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image1350.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:105分
監 督:中島哲也
出 演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也、貫地谷しほり、彦摩呂、後藤ひろひと、林家ペー、林家パー子、ゆうたろう、松本さゆき、デヴィ・スカルノ、クリスチャン・ラッセン、木村カエラ 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】美術賞(桑島十和子)、新人俳優賞(アヤカ・ウィルソン)
コピー:子どもが大人に、読んであげたい物語

変人ばかりが入院するとある病院。特に、“お前が私を知っているだけで腹が立つ”と傍若無人な振る舞いを繰り返す偏屈な老人・大貫は院内全員から嫌われていた。ある日、毎日同じ絵本を読んでいる少女パコに対して、紛失した純金のライターをパコが盗んだと誤解して頬を引っ叩き、泣かせてしまう。しかし翌日、パコは大貫のことを覚えおらずケロっとしている。実は、彼女は交通事故の後遺症で記憶が1日しかもたず、しかもその事故で両親を失ったことも知らず、毎朝枕元にある絵本をママからの誕生日プレゼントと思い込んでいたのだ。それを知り、さすがに落ち込む大貫だったのだが、何故かパコは、大貫が自分の頬に触れたことがだけは覚えており…というストーリー。

『下妻物語』『嫌われ松子の一生』と、個人的にかなり好意的だったのだが、本作は趣味に合わない。ビジュアル的な中島監督色は、出そうとしなくても出てるくらいがちょうどよいのに、意識して全開にすると、こんなに陳腐に見えるのかと呆れるというかがっかりというか。ティム・バートン作品に似ていると思われることだけは絶対に避けなければいけないハズなのだが、音楽までチャリチョコに似てしまうという、この愚作さ。観ている側に感じさせたらアウトで、この点だけでも失敗だといってよい。

また、色の付いてる役者が出すぎ。全体のトーンの統一感を損ねている(そう意味では、自分の色を消すことを意識しているように見える小池栄子は“判ってる”のかも)。
#アヤカ・ウィルソンだけは無条件にかわいらしい。他の子役のように変な成長をせずに、このまま大きくなってくれることを神に祈るほか無い。

また、もっと、シナリオに注力すべきだったろう。こんなに短い作品なのに、パコの病状が判明して話が動き始めるまでが長く感じるということは、根本的に内容が薄いということ。楽しくも悲しくもない薄っぺらな感じは、この膨らませた部分のせいだと思う。80分くらいにシュリンクすれば、サラっと感が逆にいい効果を生んだかもしれない。

消防士の放水の部分など、伏線の張り方が稚拙すぎて観ている側の感情が揺れないのだが、同様のシナリオ上の拙攻が多い。最後の絵本からカエルが飛び出す演出も、わけがわからない。私には「失敗しちゃいました」と匙を投げたか、「横から口を出す奴がいっぱいいて私の思い通りになりませんでした。イライラします」っていうメッセージに聞こえたんだけど、気のせいかな。
ネット上での評価も真っ二つに分かれているのだが、褒めている人のここが良いっていうポイントは、私にはさっぱりピンとこない。涙が止まらなかったという絶賛意見も散見されるのだが、ここまで世の人たちと自分のセンスがズレているのかと、不安になってしまう。
ただ、本作はある意味、人を測る物差しになると思う。『下妻物語』『嫌われ松子の一生』は好きだが『パコと魔法の絵本』はイマイチ…っていう人と、その逆っていう人がいる。私は前者。申し訳ないが、後者の人と私のセンスは合わない。それだけ。

中島監督がこういうテイストの作品を本気で作りたかったのか。私は疑問に思っている。廻りの期待に答えただけじゃないかなと。で、答えてはみたもの、結局こういう中途半端というか薄っぺらな高評価しか得られなかった。彼は満足しないと思うので、今後、彼はこの路線からはあえて忌避すると予測する。幸いなのは興行的には成功したということ。本作のことは忘れて次作に望んでいただきたい。という意味で『告白』には期待する(期待してるとか言うくせに、劇場では観なかったけどね)。

世の中の評価はどうか知らんけど、私はお薦めしない。凡作だと思う。最後は時間を無駄にしたなって気すらした。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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