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image1561.png公開年:2009年 
公開国:フランス
時 間:124分
監 督:ラデュ・ミヘイレアニュ
出 演:アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ミュウ=ミュウ、ドミトリー・ナザロフ、ヴァレリー・バリノフ、アンナ・カメンコヴァ、リオネル・アベランスキ、アレクサンドル・コミサロフ、ラムジー・ベディア 他
受 賞:【2009年/第35回セザール賞】音楽賞(アルマン・アマール)、音響賞
コピー:さあ、人生を奏でよう。


ロシアのボリショイ交響楽団で清掃員として働く男アンドレイ。彼は30年前、この楽団で天才マエストロとして活躍していたが、当時の政権がユダヤ系演奏家たちを排斥しようとしたことに抵抗したため、解雇させられた過去を持つ。以来、再起の機会を窺いながら、清掃員に甘んじていた。そんなある日、パリの劇場からの出演依頼のファックスを偶然目にした彼は、かつて彼と一緒に解雇されたかつての仲間を集めてボリショイ交響楽団と偽り、パリ公演を実現させようと考える。現在は様々な職業に就いている仲間を集めて、いざパリへと向かうのだったが…というストーリー。

ロシアからパリへと展開するドタバタ喜劇かと思いきや、良い意味で相当裏切ってくれた。この作品はかなりイイ。

若干、ネタバレ注意。

二つのミスリードですっかりやられてしまった。オーケストラに憧れるポンコツ親父が、自分のポンコツ楽団と繰り広げるレッドビッキーズ的な展開か…と思ってウンザリしかけたが、裏にはしっかりした歴史的事情やドラマがあった。そして、自分の娘か?みたいなありきたりな展開がよぎってウンザリしかけたが、そこにも心がぐっと握られるようなドラマがあった。
#最近、ユダヤ迫害物はナチス系じゃなくソ連系に移行する傾向にあるね。『カティンの森』とか。

最後の演奏の最中に、以後の展開を見せる演出もよい。シビレた。鳥肌が立った。音楽とのマッチ具合が絶妙。ここで泣ける人は多いと思う。演奏が終わって、その後…みたいな編集だったらがっかりしたと思う。

偏狭な思想のために亡くなった多くの人々の魂を追悼する映画まで昇華していると思う。そして、今も偏狭な思想のために苦しむ人々がいることが切なく思えてくる。そんな感情が絡み合うラスト。先日の『プラトーン』とは違う意味で、平和の大事さと努力の必要性を感じる作品。
他人のエゴを糾弾する人間こそ、もっと大きなエゴに支配されていることは、往々にしてあるよね。

“ウマさ”“感動”“音楽”というパラメータ値は、今年観た映画の中でトップクラス。強くお薦め。いい映画に出会った。

#でも、こういう良い映画でも、もう一回観ようって気にはならなくて、昨日の『脳内ニューヨーク』みたいな必ずしも良い作品とは言えないのをもう一度観ようと思っちゃうってのが、映画の不思議なところだね。

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