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imageX0002.png公開年:1956年 
公開国:日本
時 間:86分  
監 督:溝口健二
出 演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、町田博子、川上康子、進藤英太郎、沢村貞子、浦辺粂子、入江洋吉、小川虎之助、菅原謙二、多々良純、宮島健一、見明凡太郎、加東大介 他




赤線にある娼館「夢の里」には、一人息子のため、入獄中の父の保釈金のため、失業の夫と赤ん坊のために働く娼婦達が働いていたが、そこへ元黒人兵の愛人だった関西出身の女が入店し、自由奔放に振る舞いはじめる。そんな折、国会では売春禁止法案が審議されていたが、「夢の里」の主人は、法案が通れば娼婦は監獄へ入れられるといって彼女等を驚かせた。自分たちの稼ぎ場所が無くなってしまうと焦る娼婦たちは、それぞれが生き方を見つめなおし、動き出すのだが…というストーリー。

先日、『雨月物語』を観たところだが、ちょうど本作をBSで放送してたので、一応押さえということで録画していた。消す前に観た。実は、私、『赤線地帯』という映画は、なぜだか実際の赤線廃止の時のドキュメンタリー映画だとずうっと勘違いしていた。まったく違ったね。

『雨月物語』では様々な女の態様をみせてくれたが、本作もシチュエーションこそ違えど、基本的に似たテーマなのかなと予測して観始めた。しかし本作の登場する女性達はバックボーンも性格も違いオムニバスの様相なのだが、最終的に同じ“女”で括れてしまうような気がする。『雨月物語』がエボリューション(展開)なら『赤線地帯』はレボリューション(集約)かな。そういう意味で、これが溝口監督の遺作というのも意味深かも。

あまりにもに女性達がリアルに見えて、途中で気持ち悪くなるくらいだったので色々調べてみたのだが、どうも溝口監督の回りにいた女性たちが投影されているようだ。若いころは遊郭通いの繰り返し、その後同棲していた女性が自殺や発狂するなど、そりゃあ本作の女性も否が応でもリアルになる。『西鶴一代女』『雨月物語』『山椒大夫』と海外の映画賞を獲り続けた人物像と素顔のギャップ、これも興味深い。なにやら、“女性”に対する贖罪の気持ち…みたいなものが感じられるのだが、“作った”というよりも“自分を搾った”みたいな感じで映画をつくった人なのかもしれない。

正直にいうと、観終わった後、こっちの精気が吸い取られたみたいになってしまった。娯楽作品ではないので、気分展開・ストレス解消のために映画を観たいならば、本作は全然薦めない。このようなレビューを読んでみて溝口作品に興味が沸いたなら観るといいだろう。

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