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公開国:日本
時 間:99分
監 督:深作欣二
出 演:菅原文太、松方弘樹、田中邦衛、中村英子、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、金子信雄、木村俊恵、川地民夫、渚まゆみ、内田朝雄、三上真一郎、名和宏、中村錦司、曽根晴美、大前均、国一太郎、大木悟郎、志賀勝、唐沢民賢、榊浩子、小林千枝、 東竜子、川谷拓三、宮城幸生、山田良樹、疋田泰盛、壬生新太郎、木谷邦臣、松本泰郎、西山清孝、奈辺悟、福本清三、片桐竜次、北川俊夫、梅宮辰夫、小池朝雄 他
昭和21年、呉敗戦直後の無秩序状態の広島・呉。復員後ぶらぶらとしていた広能昌三は、とある事件で人を殺め服役する。服役中、土居組若頭・若杉を兄弟杯を交わすと、先に出所した若杉の尽力で出所。広能の行動力は山守組々長・山守義雄の目にとまり、山守組の身内となる。その後、勢力拡大を目指す山守が、土居組との抗争を繰り広げていく中、元々土居組組長と仲が悪かった若杉は、対立の末に破門となり、兄弟分の広能を通じて山守組の客分となる。これにより土居組長殺害の機運が熟し、若杉がその実行に名乗りを上げるが、仲違いしたとはいえ親子杯を交わした相手を殺すことで、兄弟分が親殺しの汚名を着ることを良しとしない広能が、代わりに名乗りを上げるのだったが…というストーリー。
先日の『ドーベルマン刑事』で、そういえば『仁義なき戦い』ってきちんとは観ていないかも…と思いレンタル。子供の頃、ものまね番組とかで金子信雄の物まねをする人をみて、ポカーンだったことを思い出す。本作での金子信雄を演技をみてやっと理解した。
迫力とテンポは、多くの人が魅了される理由があっさりと腑に落ちるほどの圧巻。スタイリッシュさが皆無なことが、わざと出そうにもだせない汚れ具合を醸し出しており、画力の一助になっている。特にキャラクター付けを意図的になっているわけではないのに、溢れるほどの個性は、演者の力のおかげだけではなかろう。むしろ、説明不足ともいえる不親切な演出が、それに観客は振り落とされまいと喰いついて行く感じ。
ポラギノールのCMみたいに静止画で繋ぐシーン(もちろんCMのほうがパクってるんだろうけど)、こういう効果をこの手の作品にサラッと入れられるのは、なかなかスゴイ。
深作欣二って、ある意味様式美の人だな…と感じたのだが、かといって、市川昆のような様式美とは異なる。両者とも実にマンガ的な画づくりをする人だとは思うのだが、深作欣二のほうがマンガ家に近い印象。その違いはラストシーンで顕著だと思う。
日本のマンガ家って、おもしろい展開をつくってそれを続けることはうまいけど、いざ話を終わらせようとするときちんと終わらせられない人が多いでしょ。むしろ、なにもしないで突然打ち切りになったほうが、この世界が永遠に続いているようで、逆にいいんじゃないかと思えるど。本作は、たしかに葬儀場でピストルをぶっ放すという印象的なシーンではあるが、ストーリーとしてはなにも終わっていないし、すっきりもしない。
このおもしろい世界が永遠に続けばいい。そういう世界観。実にお祭り的な作り方だと思うが、そういう面は、私は好きじゃない。映画はきっちりおわらせてナンボだからね。
でも、始終マンガ的だったからこそ、世界観に魅了される人が続出し、続編が次々と作られたのも事実。その効果やおもしろさを否定するわけではない。
不思議なことに、昨日観た『ゴッド・ファーザー』との共通点が多々。ヤクザとは無縁だった男が、とあるきっかけにより大仕事をやって名を馳せるが、同時にしばらく一線から姿を隠す。覚せい剤に手を出す輩が出てきて、それを反対する元来のファミリー・ビジネスを良しとする勢力と抗争になる。単なる裏社会のルールうんぬんではなく、経済ヤクザに変貌する過程を描いている。
この共通点は、国は違えども同じヤクザのファミリービジネスをリアルに扱おうとすれば、当然直面する問題ばかりなので、共通してしかるべき…と捉えるべきなのか、それとも仁義なき戦いが、マフィア映画の影響を受けているからなのか…。
納得できない演出も散見される。
拘置されているならいざしらず、実刑をくらっているのに保釈金で出てくるとか、ちょっと意味がわからなかった。今でも、よく、有名人が逮捕された後に保釈されると、金さえ払えば放免になるのか。ムッキー!!って怒る人がたまにいるけど、この映画で勘違いした人が少なくないんじゃなかろうか。しかし、戦後まもなくとはいえ、保釈金を積めば禁固刑が終わるなんてシステムはなかったはずなので、これはシナリオのミスなのだろうか。一応、事実を元に書かれた手記が元なのだが、原作でもこの記述はあるのか、映画シナリオ上のポンコツ勘違いなのか。
#サンフランシスコ講和条約締結による恩赦のほうは、実際にあったのかもしれない。でも、今ではこうことで刑事犯が出てくることはまずないだろうから、非常に時代の違いを感じさせてくれる。
また、はじめに米兵に襲われてた女が、最後のほうに出てた山方&坂井の女だって、気付かないよね。気付けないってことは、あの時に助けたことが事始みたいなものなのに、助けた女は結局こんなありさま…みたいな悲哀を感じた観客はほぼ皆無。無駄な演出だと思う。
“実録”モノとすることで、その荒さが不問になっているという印象はるが、本作も『ゴッド・ファーザー』に負けず劣らずのキレキレ演出で、多くの人に影響を与えたと思う。とはいえ、意外と観たことがない人は多い作品だろう。ヤクザ映画だと忌避していた人も、珍味を食べるつもりで観ることをお薦めする。
#辰兄の消えっぷり…
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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