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公開国:日本
時 間:140分
監 督:森谷司郎
出 演:藤岡弘、いしだあゆみ、小林桂樹、滝田裕介、二谷英明、中丸忠雄、村井国夫、夏八木勲、丹波哲郎、伊東光一、松下達雄、河村弘二、山本武、森幹太、鈴木瑞穂、垂水悟郎、細川俊夫、加藤和夫、中村伸郎、島田正吾、角ゆり子、梶哲也、稲垣昭二、内田稔、大木史朗、吉永慶、宮島誠、大杉雄二、神山繁、高橋昌也、近藤準、竹内均、石井宏明、今井和雄、早川雄三、中條静夫、名古屋章、斉藤美和、大久保正信、アンドリュウ・ヒューズ、ロジャー・ウッド、大類正照、小松左京 他
ある日、小笠原諸島の一部の島が一夜にして消えてしまう。深海潜水艇の操艇者・小野寺と物理学者の田所たちは、その原因を突き止めようと日本海溝を調査する。その結果、異様な海底異変を発見。いま日本の海底で何かが起こりつつあることを検知する。やがて、伊豆天城山が爆発すると、相次いで三原山と大室山が噴火する。地震問題に関する学者と閣僚たちは懇談会を開催。いずれのメンバーも楽観的な意見を述べていたが、田所博士だけが列島の異常を警告する。しかし、彼の意見は狂人のたわごとと一笑に付されるのだった。しかし、その後、田所は政財界の黒幕と噂される渡という老人に呼び出され、昨今の地震や噴火について問いただされる。後日、政府の人間が田所を訪れ“D計画”への参加を要請する…というストーリー。
今は亡き竹内均先生が、若き姿で、丹波哲郎演じる総理大臣にプレートテクトロニクスを説明している。NHK教育の地学はよく観ていたなぁ。今でこそ、プレート・テクトロニクスはあたりまえだし、何といっても東北太平洋沖地震を経験してしまって、絵空事だなんていう気なんか微塵もないわけだけど、当時はどうだったのか。
パニックムービーに違いはないのだが、本作で描かれているのは、日本列島の終末を知ってしまった人々の苦悩。自分の立場で、今何ができるのか…という、折れそうな心を振り絞って、知恵を出し体を動かす様子にスポットが当たっているところが良い。この作品が持つ、緊迫感と虚無感は今観ても秀逸だった。
個人的には、小野寺が結婚して日本を脱出すると打ち明けられても、これまで一緒に調査してきた政府の人や研究者たちが「そうかそうか」と納得しちゃうところがおもしろかった。不思議な達観の境地というか、腹が据わってしまった人間の価値観がうまく描けていると思う。
全部救えないなら、言わないほうがいいんじゃないのかっていう意見も当然出てくる。時代が違うな…と思う部分も多々ある。一切、文化財的なものを退避しようとか、当時、そういう価値観がないことがわかる。いまでこそ、日本の文化は世界から着目されているが、当時はそれほどでもなかったのだろう。今なら、そこそこの文化財ひとつで2万人くらい引き取ってくれそうじゃん。
欧州じゃ移民で痛い目にあっているが、それでも、お行儀がよくてある程度の資産と技術をもってくる日本人は、ウェルカムだろう。今なら、日本企業が海外の企業と合併して、社員とその家族単位で移住してくる…なんて展開もあるだろうね。
ギリギリになって手を差し伸べるのが中国だというのは、失笑。公開の1年前に日中国交正常化があったので、なんとなくわからないではないけれど、当時の中国が万単位の人間を救助できるほど船を持っていたとは思えないし、無条件でそんなことするわけないがな。行ったら、奴隷だかな。でも、韓国に行くと銃殺されるらしいよ(そこは本気で笑った)。
ネット上では、本作の特撮のデキに文句をいっている輩が多いのだが、この作品の特撮のデキは物凄くよい。ミニチュアセットの映像と、実際に人が歩いてる映像の合成がものすごくシームレス。
ラストは非常にあっさり終わってしまって、そこだけが残念。オチは“日本沈没”なので見えているので、最後に締まりがなくなっちゃうのは仕方が無いのだが、だからこそ、最後はヒューマンドラマなり、ヒロイックなシーンを差し込んだりして、人間のがんばりで感動させるべきなんだけどね。
草なぎ剛が演じた2006年のリメイク版では見事にその点を補っていたんだけれど、他の部分がまるでクソだったので、如何ともし難い。リメイクでリスペクトしたつもりが、むしろ侮辱になっているという…。
藤岡弘も丹波哲郎も、コミカルというか何か締まらない感じなることが多いんだけど、本作での彼らはなかなか。秀作な一作。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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