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公開年:2010年
公開国:中国、香港
時 間:138分
監 督:テディ・チャン
出 演:ドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ワン・シュエチー、レオン・カーフェイ、フー・ジュン、エリック・ツァン、クリス・リー、サイモン・ヤム、チョウ・ユン、ワン・ポーチエ、メンケ・バータル、カン・リー 他
コピー:1時間、その男を守りぬく
1906年10月に、革命家・孫文がイギリス領香港に来航するという情報が流れる。目的は、腐敗した清朝打倒のための蜂起計画を話し合うためである。北京では、西太后の指令により総勢500人の暗殺団が結成され、孫文の暗殺計画が薦められた。一方、香港では、孫文を守るために、名もなき義士たちが集まり…というストーリー。
民主化活動する側を良い者にした映画なんて、今の中国でアリなんだぁ…と思ったけど、中共政権からすれば、清朝と民主化要求団体との攻防なので、そいつらが勝手に殺しあう内容なら、勝手につくれや…ってことで問題無なのかな。
清朝サイドの人たちの辮髪は後頭部にあったので漢民族だよね(清族に人たちは頭頂部だと思ったけど)。ってことは清朝から冷遇された漢民族VS.清朝にどっぷり浸かった漢民族っていう構図なんだな。
群像劇だとしてもキャラクター個々のエピソードが弱いし、アクション作品としてもそれほど特出したインパクトもない。帯に短し襷に長しとはこのことか。
孫文暗殺事件自体は史実だろうけど、義士たちのバックボーンは創作だろう。話の6割くらいまで全然アクションシーンはなくて、人集めのくだりが続く。
#前半のカット割のデキがよろしくないのも気になる。後半のアクションシーンになると改善されるのだが、途中でカメラマンが変わったか?ってくらい変わる。
義士を集める大物実業家・ユータンは、どんどん人を集めるけど、若者ばかりだしそれほど特殊能力があるわけでもない。清朝への恨みのある人間が集まっているのかというとそうでもなく、昨今のジャスミン革命よろしく、民主化!民主化!なんて理想を掲げているように見えて、自分の貧困や境遇の悪さへの不満のはけ口になっているのと同じ。身内が殺されたとか、自分の生活が貧しいのは清朝のせいだ!とか、挙句の果てには自暴自棄になった自分が生きる力を取り戻す為とか、お世話になったご主人様のためとか、高い志の人間なんかいやしない。
こんなんだから、大アクションの入るまでに「さぁ~、盛り上がってまいりました!!」って感じにはならないんだよね。戦う相手への恨みなんかが全然共有できない。
孫文を守る側、清朝暗殺団に、香港政府側を加えて三つ巴にしても面白かったと思うのだが、描ききれなかったんだろうな。前半では悪役だった香港警察も後半は一転して孫文を守る側の味方になっちゃう。警察署長がユータンの義心を前に心変わりをした…とかそういう描写がしっかり描かれているわけもなく、芯の定まっていないシナリオだと思う。
先日の『修羅雪姫 怨み恋歌』と同様に、銃がほとんど出てこないのが不自然。そりゃチャイニーズアクションを前面に出さないわけにはいかないから仕方が無いのはわかるんだけど、最終目的が孫文の殺害なんだし、暗殺団といいつつも市街で一般人を散々巻き込んでいるんだから、人力車に銃をぶっ放せば目的達成じゃねえか!って、誰もが思うでしょ。
中国ではいくつかの映画賞を採っているようだけど、国外ではさっぱり。まあ、このシナリオだとそうなっちゃうだろうなぁ。
それにしても、中国人ってのは市井の人を巻き込む内容でも、全然違和感を感じないんだね。そりゃ、第二次大戦で南京で兵士が一般人にまぎれてゲリラ戦…なんてことを平気でやるわけだよ。兵士が一般人の服装で攻撃してきたら、捕虜にされることもなく殺されても仕方が無いってルールを中国人は知らないんだな。
一般人を巻き込んじゃうから、職業軍人がそれをやるのは禁忌中の禁忌だと思うんだけど。南京での死者数を誇張するのとは別に、殺されても仕方が無い状況を自分で作ったことを理解できずに、大虐殺だ大虐殺だと叫ぶ中国人って、どうかしていると思うね。
などなど、欠点をあげつらってみたけど、これだけ欠点があっても、セット、映像、役者のスキルなど色々な面で、今の日本映画の遥か上をいっていたりする。今の日本映画はちょっと奇を衒いすぎの箱庭映画ばっかり。凡作なだけに、逆に日本映画の現状を思い知らされてしまう作品。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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