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公開年:1970年
公開国:アメリカ、日本
時 間:115分
監 督:リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二
出 演:マーティン・バルサム、山村聡、ジェイソン・ロバーズ、ジョセフ・コットン、三橋達也、ジェームズ・ホイットモア、東野英治朗、E・G・マーシャル、田村高廣、千田是也、内田朝雄、安部徹、エドモン・ライアン、島田正吾、ジョージ・マクレディ、エドワード・アンドリュース、キース・アンデス、野々村潔、リチャード・アンダーソン、ネヴィル・ブランド、宇佐美淳也、十朱久雄、リック・クーパー 他
受 賞:【1970年/第43回アカデミー賞】特殊視覚効果賞(L・B・アボット、A.D. Flowers)
コピー:今世紀最高最大のスケールで描く戦争スペクタクル巨篇!太陽は昇った-昭和十六年十二月八日--その真紅の朝焼けは、血と炎のドラマにふさわしく大空をそめた--
各国によるABCD包囲網による経済封鎖で疲弊していく日本。経済制裁を主導するアメリカとの共存を模索する一方で、陸相兼首相の東条英機は、アメリカへの攻撃を進言。アメリカの圧倒的な物量に日本が対抗しきれないことを知る連合艦隊司令長官・山本五十六中将は、短期決戦の末に有利な講和に持ちこむという青写真を描き、太平洋艦隊を編成し、ハワイ攻撃の準備を着々と整える。アメリカ側も日本が攻撃するならばハワイの可能性が高いことを予測していたが、その情報は現地に伝わらない。
その後、野村駐米大使とハル国務長官の交渉は決裂し、日米間の通商条約は破棄され、決戦の日は刻々と近づくのだった…というストーリー。
日本の奇襲が宣戦布告前であるように見える点について、手続き上の不備だったりアメリカ側の組織の怠慢であるとい描き方をしているのが、非常に興味深い。未だに、原爆投下を戦争を終結させるためには必須だったと言って憚らないアメリカ人さんは、奇襲とはいえ軍事施設しか攻撃しない日本人のお行儀の良さをどう見るのか(原爆もB29による焼夷弾攻撃も、すべて民間人への直接攻撃で、ルール違反だからね)。公開時にこれを観たアメリカ人がどう捉えたのだろう。
ベトナム戦争当時だったこともあり、アメリカ国内でもアメリカ(特に軍)に対して納得いかない感情があったのかな…と思うが。それにしても、アメリカの情報機関やハワイ軍の体たらくの描き方が顕著で、私がアメリカ人だったら、情けなくて涙が出てくるレベル。
それにしても、マイケル・ベイ監督の『パール・ハーバー』とは、いったい何なのか…という想いが湧く。あのクソCGと、本作における戦闘機の迫力の違い。細かいことを言えば、日本の戦闘機や戦艦のディテールに事実と違うところが多々あるとは思う。しかし、とにかく“実際に戦闘機を作って飛ばしている”という、今では考えられない驚愕の事実。
映画におけるビジュアル面での技術は確かに発展したのだろうが、本作をみると、なんでもかんでもCGで片付けてしまう現在のほうが、当時よりも“貧しい”と強く感じる(予算的な意味ではなくて)。
『パール・ハーバー』における三文メロドラマって、日本側どころかアメリカ国民すらバカにしてるような気がしてくる。
三橋達也、東野英治朗、田村高廣、井川比佐志。これら日本サイドの役者陣の“顔力”がものすごい。アメリカ側の役者がキャラでも演技でも特徴を打ち出せないでいるのも相まって、彼らの個性の光り方はハンパない。欧米人がアジア人の見分けが付けにくとしても、彼らの顔はイヤでも認識できただろう。
これらの演出が舛田利雄によるものなのか深作欣二によるものなのかは不明。大局的に納得のいかない場面でも、個々が最大限にできることを発揮しようとする、日本人らしさをよく描けていると思う。もし、黒澤明がそのまま演出をしていたら、こういう日本人像になったかどうかは疑問(もっと非道な日本人像になっていた気もする)。
本作における黒澤明の降板騒動は有名な話だが、確かに黒澤明が作ったらどうなったかな…という興味が沸かないといえばウソになる。しかし、彼がそのまま手掛けたとしたら、変なところにこだわりすぎてスジュール延び延びになり費用もかさみ、最悪の場合、日の目を見なかったんじゃないかとすら思えるので、結果オーライかと。
まあ、とにかく、教科書を読むより流れがわかりやすい。というか、意図的にこのあたりを端折ったり、一方的に日本が悪魔の所業で世界に迷惑をかけたと教え込む社会科教師が多いから、若者は見たほうがいいと思うよ。観た後は、自分で判断してくれればよい。
愉しいとか、そういう次元ではなく、観ておくべき一作かな…と。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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