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image1041.png公開年:2004年 
公開国:韓国
時 間:148分
監 督:カン・ジェギュ
出 演:チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ、コン・ヒョンジン、チェ・ミンシク 他
コピー:一緒に帰ろう…





1950年ソウル。恋人ヨンシンとの結婚を控えるジンテは、弟ジンソクを大学に進学させるために、一生懸命に働き、苦しい家計を支えている。しかし、6月25日朝鮮戦争が勃発。ジンテは、強制的に徴兵されてしまったジンソクを取り戻そうと後を追うが、一緒に徴兵されてしまう。兄弟はまともな訓練も受けないまま戦場へと送り込まれてしまうが、兄ジンテは、軍功を上げることで弟を除隊させようと考え…というストーリー。

昨今の朝鮮半島情勢の雲行きの怪しいなか、あえてチョイス。

色々、言いたいことはあるのだが、まず、映画のテクニカル的な部分に、先に言及しておく。戦場(特に市街戦)のセットは非常によく作ったなと感心。フィジカルなダメージ表現も、目を背けたくはなるが、ストーリーの重みに水を差すことなく、よく仕上がっていると思う。日本映画界には、このクオリティの作品をつくるのは、無理かな。残念ながら根気もテクニックもないのではなかろうか。一点注意しておくが、心臓の悪い人は観ないほうがよい。それはグロいシーンがあるという意味ではなく“音”。突然、大ボリュームの爆発音が出る場面が多々あるが、尋常ではない(ちょっと悪意を感じるくらい)。観ないほうが…というか総じてボリュームは下げたほうがいいというのが、正しいか。

で、一番、印象に残っている点(というか、私の目にはものすごく奇異に映った点)なのだが、戦場にアメリカ兵が1人たりとも居ないことである。これは何を意味するのか。
実際問題、そんなことはありえないはず。ほぼ共同作戦のようなものだから。中国人民軍は登場するくせ、米兵は出てこない。アメリカ海兵隊が上陸したとかそういう情報は語られるが、米兵は出てこない。本作は、韓国内で大ヒットになったわけだが、その点をおかしいと指摘する人はいなかったのだろうか。見事になにもなかったようにこの点は無視されたのではないかと、私は思っている。正直なところ、これが何を意味するのかは、私自身整理がついていないが、あくまで私見として書く。単に同胞と殺しあっただけなら正視できるが、アメリカと一緒に(というか、アメリカの指揮下で)同胞と殺しあったことは、彼らにとって正視できないことがらなのではなかろうか。つまり、“やらされて”同胞と殺しあったということが。イデオロギーの違いとはいうけれど、実際に戦っている本人たちは、そんな了見で戦っているわけではなく、はじめは成り行き、その後は積み重なった私怨をエンジンとして殺しあった。それも同じ文化で言葉も普通に通じ合う同胞と。
#ちなみに、翌年製作された『トンマッコルへようこそ』でも、アメリカ兵こそ出てくるが、韓国軍と一緒に白兵戦をしているシーンはない。
この歴史的経験は、大きな傷になる。これはある意味、自文化を自らの手で破壊したともいえ、このような経験をすれば、問題がおこるとその原因を自分以外に原因を求めるようになるし、他文化に執拗なまでにこだわりをみせることに繋がるだろう。これを言うと、元々は日帝のせいだ!となるので議論にもならないのだが(するつもりもないんだけど)、単に戦争のむなしさといういう以上のものが、心を占拠する。

今回の騒動も、安保理に話をもっていくようだが、同じように、世界情勢がそうだから…という流れで、“やらされた”感や“しかたない”感で、同胞が争うことにならないことを祈ろう。同じく傷つくとしても、釈然としないまま手を血で染めることを、またもや繰り返したら、完全に狂ってしまいかねない。

最後の兄の正気の失いっぷりは、ちょっとご都合主義と感じるけれど、概ね映画としては評価できる(というか“したい”かな)。ただ、もろもろ引っかかりは感じるはずなので、それも含めて丸抱えする覚悟で観ることをお薦めする。
 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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