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公開年:2013年
公開国:アメリカ、ニュージーランド
時 間:161分
監 督:ピーター・ジャクソン
出 演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ベネディクト・カンバーバッチ、オーランド・ブルーム、エヴァンジェリン・リリー、リー・ペイス、ルーク・エヴァンス、スティーヴン・フライ、ケン・ストット、ジェームズ・ネスビット、ミカエル・パーシュブラント、シルヴェスター・マッコイ、エイダン・ターナー、ディーン・オゴーマン、グレアム・マクタヴィッシュ、アダム・ブラウン、ピーター・ハンブルトン、ジョン・カレン、マーク・ハドロウ、ジェド・ブロフィー、ウィリアム・キルシャー、スティーヴン・ハンター、ジョン・ベル、マヌー・ベネット、ローレンス・マコール、ピーター・ジャクソン 他
受 賞:【2014年/第23回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(オーランド・ブルーム&エヴァンジェリン・リリーvsオーク軍団)
コピー:邪悪な竜、目覚める。
邪悪なドラゴン、スマウグに王国エレボールを奪われたドワーフの王子トーリンは、王国奪還のために旅に出る。その旅に、灰色の魔術師ガンダルフに誘われて帯同している、ホビット族のビルボ。やがて、ガンダルフはもう一つの危機を感じ取り、闇の森の前で旅団を離脱。邪悪なネクロマンサー復活の噂を確認するためにドゥグルドゥアに向かうのだった。ガンダルフと別れたトーリン達はは闇の森で巨大クモの襲撃をうけ、捕食されそうになるが、ビルボが指輪を使ってクモを撃退。加えて森のエルフの王子レゴラスと闇の森の守備隊長タウリエルの援護によって難を逃れる。助かったものの、森のエルフはドワーフを毛嫌いしており、エルフの目を逃れたビルボの除き、一行は捕えられてしまう。特に、過去の因縁から恨みを忘れていないレゴラスの父であるスランドゥイルは、トーリンの望みを聞き入れることなく彼らを投獄してしまう。また、息子レゴラスがタウリエルに好意を寄せていることを知ったスランドゥイルは、身分の違いを理由にタウリエルを叱責。しかし、当のタウリエルはレゴラスに好意を持っておらず、獄中のドワーフの1人・キーリと種族を超えて意気投合し、互いに意識するようになる。その後、密かに侵入したビルボの助けにより一行は脱出に成功。しかし、エルフの里の外で待ち構えていたオークたちの襲撃にあってしまい、辛くも逃れるがキーリは毒矢を受けてしまい…というストーリー。
前回は旅に誘うだけで終わってたからなぁ。いい加減にせいよ!ってレベルの進度で、これはいかんでしょ!と思ったものだが、2作目は話がスイスイ進む。やっと動き始めたって感じ。
『LOTR』の時と同様に、別行動するガンダルフ。別行動の理由も、ドワーフたちが底抜けにバカではないので説明すれば理解できるのの、ちゃんと説明せいないガンダルフ。ヨーダ並みに“よく考えたら無能”キャラだわ。もう、ここまでくると、ガンダルフの方が説明する能力ないバカに見えてくる。
エルフ、歳取らず。オーランド・ブルーム演じるレゴラスは、そのまんま。エルフがくるのが、非常に良いタイミングで、さすがピーター・ジャクソンって感じ。タウリエルのくだりは、なんで、エゴラスがドワーフが嫌いなのか?っていう『LOTR』のキャラ設定の補足になってるのね。おもろい。
エルフの里脱出後の、川下りのシーンがおもしろいなぁ。ジョイポリスとかでアトラクションにしてくれないかなと思うくらいおもしろい。おもしろすぎて、観てるうちに、旅の目的な何だったかすっかりわからなくなる。そのくせ、旅の目的とは無関係な部分で、必ず感情が動くようなエピソードが挟まれるのも優秀。
『LOTR』に出てるキャラは、死なないことが確定なので、ハラハラ感が削がれることは、難点ではある。しかし、(特にレゴラスだが)死ぬか死なないかのハラハラではなく、目的を果たせるかハラハラ、果たせなくてイライラっていう部分に焦点を当てる演出になっているのもウマい。
設定的には“邪悪なドラゴン”という扱いなのだが、ドワーフ=強欲という観点が加わり、実際にトーリンがクソ野郎なんじゃないかという描写も散見されるせいで、何か、スマウグの言っていることが正論で彼こそ気高い存在のような気がしてきた。
で、竜の鱗が一枚取れているとか、前の戦いで弓の達人バルドご先祖様がやらかしたエピソードとか、散々伏線を張っておきながら、未回収のままスゴイところで“続く”となる(前回もそうだったけど)。
まあ、たしかに続きを観たいいう枯渇感は涵養される。でも、小エピソードのひとつくらい、本作内で終わらせてもよさそうなもんだよね。
公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:106分
監 督:トール・フロイデンタール
出 演:ローガン・ラーマン、アレクサンドラ・ダダリオ、ブランドン・T・ジャクソン、ダグラス・スミス、スタンリー・トゥッチ、レヴェン・ランビン、アンソニー・ヘッド、ネイサン・フィリオン、ロバート・ネッパー、ロバート・メイレット、リチャード・イヤーウッド、グレイ・デイモン 他
コピー:世界は<ギリシャ神話>に飲み込まれる
パーシー・ジャクソンは、海の神ポセイドンと人間との間に生まれた“ハーフゴッド”。水を自在に操る能力を持つ彼は、現在、他のハーフゴッドたちと一緒に、訓練所で生活を送っている。訓練所は、結界を形成する大木によって周囲から守られていたが、その大木が枯れ始めていた。かつてポセイドンとゼウスが封印したクロノスが力を取り戻そうとしており、その手下が訓練所を襲撃してくる。結界を修復しなければ、クロノスの魔の手から訓練所を守ることはできない。そのためには、“魔の海”に隠された“黄金の毛皮”が必要であることを知ったパーシーは、ポセイドンと海の精霊のハーフゴッド(つまり自分の異母弟)である、サイクロプスと一緒に、魔の海・バミューダ・トライアングルへ向かうのだったが…というストーリー。
ギリシャ神話のど真ん中を題材にした作品なのだが、前作はやたらとスケールがデカくなって発散したイメージ。大体にして、日本人はそれほどギリシャ神話にワクワクしないからねぇ。ちょっと続編が作られるかあやしいなぁ…とは思っていたのだが、欧米人とは感覚が違うんだろうね。
その前作から考えると、若いハーフゴッドを育てる訓練所という設定は、小粒感満載だ。さらに学校チックな雰囲気や、同じ世代が敵側についていたりとか、否が応でもハリー・ポッターをよぎらせる。
水を自在に操れるという、花柳社中的な特殊能力の持ち主であるパーシー。世の中は水分だらけなので、それを自在に操れば無敵状態な気がするのだが、ピンチのときにしか能力を使わない。発動条件があるとか、もう少し練った設定にしないといかんと思う。
さらに、ポンコツなサイクロプスをお供に加えて、旅がうまく進まないような演出。そういう、設定的な障害ではなくて、ストーリー展開で困難にぶち当たる内容にしてもらいたかった。
明らかにハリー・ポッターと同じ層を狙いにいっているのだが、本当にストーリーが淡白で重層的な仕掛けがないため、ハリー・ポッターを漂わせれば漂わせるほど比較することになり、その度に劣っていると感じてしまう。もう、タクシーが出てきたところなんか、ウンザリするよね。
本作は3Dなのだが、おそらく3Dでみたら楽しめるんだと思う。そういうアトラクション的な位置づけの作品。よって今回、普通のDVDで観た私は、コンテンツのすべてを堪能できていないのだろう。要するに、2Dなら、無理して観なくてもいいレベルだ…というのが私の主張。
最後、結界の大木の下から、伝説のハーフゴッドが蘇生。明らかに3作目を作る気マンマン。まあ、いずれにせよ子供向け作品だわ。
公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:114分
監 督:ブライアン・シンガー
出 演:ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン、スタンリー・トゥッチ、イアン・マクシェーン、ビル・ナイ、ユアン・マクレガー、エディ・マーサン、クリストファー・フェアバンク、サイモン・ロウ、ラルフ・ブラウン、ジョイ・マクブリン、リー・ボードマン、ベン・ダニエルズ 他
コピー:一緒に登って、一緒に戦え!
高低差1万メートルの大冒険!
農家の青年ジャックは、馬と引き換えに不思議な豆を手に入れる。ある日、お城の窮屈な生活から逃げ出したイザベル姫が、激しい嵐を避けるためにジャックの粗末な小屋に非難してくる。ジャックが、そこで豆を地面に落としてしまうと、みるみるうちに芽を出して、巨大なつるとなり、ジャックの小屋を巻き込んで天空めがけてどんどん成長していく。ジャックは小屋からころげ落ちたが、イザベル姫はそのまま上空に運ばれていってしまうのだった。翌日、姫の捜索にやってきたエルモント率いる王家の捜索隊がやってくる。彼らは、ジャックから事情を聞くと、豆の木を登って天空を目指す。ジャックも捜索隊への参加を志願し登っていく。多くの兵士を失いながらも、天空に浮かぶ陸地に到達。持ち上げられたジャックの小屋も発見するが、姫の姿は無かった。陸地に上がった一行が、姫を探し始めると、なんと巨人の襲撃を受ける。そこは、かつて人間界で共存していたが、追放された巨人族が暮らす国だったのだ…というストーリー。
若者が家畜と交換した豆がニョキニョキ成長し、空に浮かぶ巨人のいる国に到達するという、基本中の基本ははずしていない。でも、かつて巨人が地球にいたという設定や、お転婆なお姫様などのキャラや、その許婚のクソ人間・ロデリック卿を登場させたりするなどの工夫が非常に功を奏していると思う。特に、ユアン・マクレガー演じるエルモントという飄々としたキャラクターが非常に魅力的だったと思う。彼だけじゃなく、人間も巨人も皆どこかおとぼけムードを漂わせつつ、殺しあっているという雰囲気がおもしろい。
ロデリック卿が、巨人をコントロールして世界を牛耳ろうという展開や、空の国に巨人が住んでいるというだけでなく、巨人族と人間との、複数対複数という構図にしたのも良い。
ただ、中盤はちょっとダレる。巨人たちの知的レベルの設定に、ちょっとステレオタイプな童話の巨人像を当てはめすぎている所や、ジャックが地上に帰還する際の、落ちてる蔓から脱出するシーンに見られるような、力学的にいかがなものかと思う、ちょっとひっかかるシーンが散見される、童話なんだから気にしてもしょうがないはずなのだが、なにかひっかかるような演出になっている。中途半端にリアルなCGを用いているせいかもしれない。
また、巨人が姫を欲しがるということに感じる違和感。もっと冷静に考えれば、なんで地上を欲しがるのかという強固な理由も明確ではないと思う。いや、元から地上にいたんだからあたりまえだし、人間を攻撃するのは昔の恨みってことで、あたりまえでしょ…というかもしれないが、それでも、ちょっと弱く感じた。彼らを狂わせる何かを用意すべきだったと思う。例えば、だれかが巨人族の何かを奪い、それを探して降りてくるとかね。
とはいえ、そういう矛盾をうやむやにするくらい、巨人対人間のバトルは、愉しめたと思う。豆がけっこう残像しており、その豆が勝利の鍵になっているのもおもしろかった。
また、「後ろに何かいるのか?」の伏線とか、姫は貴族としか結婚できないという設定もきれいにクリアするなど、結構巧みなシナリオに仕上がっていると思う。そこそこ愉しめる作品だった。
#エンドロール付近。現代では、博物館にある…という話、いるかな?現代を舞台にした続編をやるならOKだけど(やんないでしょ?)
公開国:アメリカ
時 間:127分
監 督:アン・リー
出 演:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、アディル・フセイン、タブー、レイフ・スポール、ジェラール・ドパルデュー 他
受 賞:【2012年/第85回アカデミー賞】監督賞(アン・リー)、撮影賞(クラウディオ・ミランダ)、作曲賞(マイケル・ダナ)、視覚効果賞(Donald R. Elliott、Erik-Jan De Boer、Guillaume Rocheron、Bill Westenhofer)
【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】音楽賞(マイケル・ダナ)
【2012年/第66回英国アカデミー賞】撮影賞(クラウディオ・ミランダ)、特殊視覚効果賞(Erik-Jan De Boer、Guillaume Rocheron、Bill Westenhofer)
【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】撮影賞(クラウディオ・ミランダ)、視覚効果賞
【2013年/第22回MTVムービー・アワード】恐怖演技賞(スラージ・シャルマ)
コピー:なぜ少年は、生きることができたのか。
命を奪うのか、希望を与えるのか。
小説のアイデアを探していた作家は、パイ・パテルというインド人男性がおもしろい話を持っていると紹介され訪ねて行く。物腰の静かなパイは、インドで育った幼少期からの出来事をゆっくりと語り始める。パテル家はインドのボンディシェリで動物園を営んでいたが、パイが16歳になった時、経営が苦しくなりカナダへの移住をすることに。恋人と別れたくないパイはカナダ行きに反対したが、どうすることもできず、両親、兄、そして動物たちと一緒にカナダへ向かう日本の船会社所有の貨物船に乗り込む。しかし太平洋上で巨大な嵐に遭遇し、船は沈没してしまう。運よく救命ボートに乗り移ることができたパイは、同じように脱出してきたシマウマやハイエナ、オランウータン、そしてリチャード・パーカーと名付けていたベンガルトラとの同乗を余儀なくされる…というストーリー。
散々CMで紹介されていた通り、ボートで虎と一緒に漂流するというシチュエーションに向かって、ストーリーが進んでいく。着々と。どうせそうなることがわかっていて、実際にその通りに展開していくのをただただ観るのは、なかなかの苦痛。
“パイ”という名前の由来とか、がっちりと敷かれたレールから目を逸らそうと色々小ネタを差し挟んではくるものの、漂流するためには、動物と一緒に船を沈没させる展開以外には考えられない。 そして44分まで観た私の感想は「こりゃ、つまらん」。
そうなると、粗ばかりが見えてくる。虎が他の動物で飢えを凌いだのはわかるが、糞尿はどうしたんだ…とか。クジラの衝突をうけ、水や食料が海に落ちるが、もの凄く泳ぎはウマいんだから、けっこうな量を拾えるんじゃないか…とか。
所詮ファンタジーなんだよな…と諦めかけたところで、とても現実とは思えない、謎の島が登場。ミーアキャットが足の踏み場もないくらいいる島。アフリカのサバンナに生きる動物が島に?どういうこっちゃ。
どうして、こんな作品が、それほどブーイングも受けずにいるのか…と疑問に思っていたが、最後のオチで納得した。
(以下ネタバレ注意)
トラと別れ救助された後の、日本の船会社に語った話。せっかくのファンタジー性が毀損されたと思う人がいるかもしれない。でも、本作のファンタジー的な要素っておもしろい?そうでもないよね。私はこの“真実”があったからこそ、本作を受け入れることができた。みなまでは言わないが、シャマラン監督的なこの作品のオチは好きである。
人間の脳は、受け入れがたいものに遭遇したときに、都合よくストーリーを創作する。先に書いた虎の糞尿の件など、見えるはずがないのだ。そして、謎のミーアキャットの島。そこに生えている木の実の中にあった、人間の歯。それは何を意味するか。混濁した意識の中では、彼は一線を越えてしまった可能性を示唆していると思う(もしかすると自分の便の中に歯を見たのかも)。それで我に返り、最後の力(人間たれ!という意識)を振り絞った。まあ、そこで彼がベジタリアンだというのがカウンターとして効いているのかもしれない(けこうエグいが)。
なんで、日本の船会社という設定なのかな…と違和感を感じていた。インドからカナダまでの貨物船を日本の船会社が担っているのに、日本に寄港した描写がない。なんでわざわざ日本を絡めるのか…と。もしかすると、原作者は『ヒカリゴケ』という日本の小説を意識していたのかな?と。
上沼恵美子が自分が司会をしている芸能情報番組でこの作品の話になり、何で最後に別れる時に、虎は会釈の一つもせんのか?と文句をいっていたが、するわけが無い。上沼恵美子は本当に虎と旅をしたと思っていた模様だが、どうしてそう捉えられるのか、逆に疑問。自分の“獣性”が去っていくことを象徴しているわけで、獣性と会釈という人間的な行為は真逆でありえない。
#案外、ピンとこない大人は多かったのかな??
こりゃ、純粋な冒険ファンタジーと思って、子供を連れて行った親御さん、なかなか困惑したのではないか。どういう意味?なんて聞かれたら、キビシイわな。
あ、言い忘れたが、CGの技術はこの世に存在する作品の中で最高。もう、どれがリアルでどれがCGかなんて、調教した実際の動物を使ったって無理無理って、状況的に推察してやっと区別できるレベル。
公開国:アメリカ、アラブ首長国連邦
時 間:89分
監 督:ロバート・ロドリゲス
出 演:ジョン・クライヤー、ウィリアム・H・メイシー、レスリー・マン、ジェームズ・スペイダー、ジミー・ベネット、カット・デニングス、ジェイク・ショート、デヴォン・ギアハート、レオ・ハワード、トレヴァー・ガニョン、レベル・ロドリゲス、ジョリー・ヴァニエ 他
万能ツールを販売しているブラック・ボックス社がある郊外の町ブラック・フォールズ。住人はブラック・ボックス社に何らかの形で関わっており、ブラック・ボックス社が支配している言っても過言ではない。学校で社長の子供たちからいじめられている少年トビーは、空から降ってきた虹色の石を発見。その石が何でも願いを叶えてくれる“魔法の石”であることに気付く。はじめは自分の望みを次々と叶えていくトビーだったが、その石は友達ルーギーなど、様々な持ち主を転々として、彼らの願いを叶えていくのだが、誰一人うまく使いこなすことができず、大騒動を巻き起こしてしまう。やがて、石はとある陰謀に利用されてしまい…というストーリー。
日本未公開になるほど悪い作品ではない。でも、公開されない理由はちょっとわからないでもない。ロバート・ロドリゲスによる子供向け作品は、しっかりと子供目線で作られており、これができるのは、すばらしい才能。でも、ロドリゲスの子供向け作品には類型パターンがあるから。つまり既視感が満載だからではなかろうか。
表面的には相反する男の子と女の子。いじめられっこが主人公側。そのいじめは度が過ぎる。親以外に彼らを援助する大人。スーパーツール。ドロドロ・ぐちょぐちょな物。変人が登場し、はじめは敵対するが主人公の味方に。女の子のキャスティングがうまくて地味にかわいい(今回だとジミー・バフェット)…etc。
どことなく似ていて、『スパイキッズ』の枠をいつまでも超えられていないような…。
『パルプ・フィクション』ばりの、時間軸行ったり来たりする演出も本作の特徴だが、これによって興味深くなっているような気もするし、別にこれが無くても成立しているような気もするし、効果はよくわからない。
また、何でも願いごとがかなう石っていうのが、オールマイティすぎて逆にピンとこないような。
まあ、愉快にまとまってる作品だけど、凡作。子供もちょっと飽きちゃうかも。
公開国:ノルウェー
時 間:103分
監 督:アンドレ・ウーヴレダル
出 演:オットー・イェスパーセン、ハンス・モルテン・ハンセン、トマス・アルフ・ラーセン 他
コピー:本当に、本当にいる! これは全世界を揺るがす衝撃的な記録映像である!
ノルウェーのヴォルダ大学の学生3名は、地元で問題になっていた熊の密猟に関するドキュメンタリーを作成していた。密猟事件を取材していくと、その容疑者としてハンスという男が浮かび上がる。キャンプ場に滞在していた彼は、取材に一切応じない。3人がハンスの行動を監視していると、毎夜森に入っていくことがわかり尾行することに。すると、ハンスが相手にしていたのは、おとぎ話に登場する“トロール”。からくも逃げ切る一行。混乱しつつもハンスに同行取材を申し込むと、難色を示しつつも許可してくれた。ハンスはノルウェー政府機関であるトロール保安機関(TSS)に雇われたハンターで、本来の生息テリトリーから逸脱したトロールを殺す仕事を請け負っているのだが、政府のトロールに対する扱いへの疑問と、あまりにも過酷な仕事ゆえ、彼らの取材がそれに一石を投じることになるのではと思ったのだ。そして3人はハンスの指示の元、トロール捜索に帯同するのだったが…というストーリー。
やはりトロールという北欧ならではの存在を扱っている点が、日本でのとっつきにくさにつながっているのか。日本でトロールといえばムーミン。さすがに本作にでてくる生物がムーミンのようにかわいいということはないのだが、人に害をなす謎の生物としては、いささか緊迫感に欠けるフォルム。コミカルな生物が人間を襲うというギャップを狙うという演出上の作戦も無いわけではないのだが、さっとした気持ち悪い生物だったりして、なにかピンとこない。
それでもCGは、なかなかがんばっていて、ノルウェーの技術はなかなかのものである(ノルウェーのスタッフなのかどうかは知らんけど)。おそらく同じものを日本でつくったとしたら、もっと興ざめするものになっていたと思う。
ドキュメントタッチで、見つかったビデオテープを編集しました…的な手法は、『パラノーマル・アクティビティ』や『ブレアウィッチプロジェクト』とか、もう使い古された手法で食傷ぎみ。ビデオカメラが収めた謎の生物ってことだと『クローバーフィールド/HAKAISHA』ってのもあるし。
でも、舞台が北欧というわかっているようでいまいちわかっていない地域である点と、自作の強化服でトロールに退治するハンターのローテクっぷりのおもしろさや、国家的に対処しているわりにひっそりと地道に隠蔽されている様子が、なんともいい味を出している。仮にアメリカでリメイクしたとしても、国家的プロジェクトという設定にしてしまったらすっかり興ざめしてしまうだろう。秘密結社的なお仕事として脈々とボランティアが続けられていた…みたいな設定にでもしないとね。ハリウッドはリメイク権を買うような気がするのだが、彼らがどう仕上げるのかは、すごく興味がある。
トロールがなぜ、本来のテリトリーから逸脱しはじめたのかという説明は、うまくできていると思う。光を浴びるとできるビタミンDをうまく処理できないから光を嫌がるという設定もおもしろい。だけど、光を一定量浴びると爆発しちゃうとか、老齢のトロールは固化しちゃうというのはやりすぎじゃないかなぁ。倒れて、それを始末するのが一大事…とか、そういう設定のほうがよかったかも。
なんで、キリスト教徒じゃダメなのか…については、設定がいまいち消化しきれていないかと。北欧神話をはじめ土着の神話がキリスト教に駆逐されたという歴史があるから、言いたいは判る、しかし、トロール退治の向き不向きとは繋がりが表現しきれていない。
『シェーン』のように巨大トロール退治を終えたハンスは去っていくのだが、彼らに取材させ映像に収めさせたにもかかわらず、なぜ放置したのか。車は壊れ、まともに岐路につける可能性は高くない上に、派手にバトルしたので秘密機関に位置がわかってしまうのは明白。疲れきってしまって、取材を受けることすら面倒くさくなって、自暴自棄になってしまったとでもいわんばかりなのだが、そういう解釈でいいのかしら。まあ、相手がトロールだけでに、なんかボヤーンとしたゆるいオチなんだけど、このゆるさが、作品のウィークポイントであり魅力でもある。
なんだかんだいって、個人的にはかなり楽しめたので、隠れた迷作としてお薦めしたい。
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:ブラッド・ペイトン
出 演:ドウェイン・ジョンソン、マイケル・ケイン、ジョシュ・ハッチャーソン、ヴァネッサ・ハジェンズ、ルイス・ガスマン、クリスティン・デイヴィス 他
17歳になったショーンは、ある日謎の信号をキャッチする。微弱な信号だったため、強い信号を受信するために天文台に忍び込んだが、警察に見つかってしまい母親と義父にこっぴどく叱られてしまう。義父のハンクは、なぜ天文台に忍び込んだのか問い詰めると、ショーンが信号のことを説明する。ショーンはその謎の信号の解読に手間取っていたが、元海兵隊で暗号解読はお手の物だったハンクは、すいすいと読み解いてしまう。その信号は、南太平洋上の座標を表しており、おそらくその発信者がショーンの祖父であると思われた。どうしても発信源まで行くと聞かないショーンに、ハンクは付き添うことにする。何とか近隣の島まできた二人は、その座標までのガイドを捜したが誰も引き受けてくれなかったが、1000ドルの報酬に目がくらんだヘリコプター操縦士・ガバチョと、その娘カイラニがガイドをしてくれることに。4人は座標点に近づこうとすると、とてつもない大嵐が彼らを襲い…というストーリー。
前作の原題は“JOURNEY TO THE CENTER OF THE EARTH”だから、邦題がセンター・オブ・ジ・アースのは至極もっともなんだけど、本作は“THE MYSTERIOUS ISLAND”で地球の中心になんか行かないから、センター・オブ・ジ・アース無関係なんだけどなぁ。
一応、主人公は同じキャラクターで役者も同じだし、設定上も4年後ってことなんだけど、繋がっていることを明確にしないと話がわからないか?といわれれば、まったく別の話でもOKなわけで…。
世界中のほとんどの人が到達できない“神秘の島”に、ヘリコプターで簡単に到着できちゃう都合の良さはなんやねん…と思うけど、ジョイポリスとかにあるような、3D画像を見ながら座席が動くアトラクションなんかのノリだよね。
まあ、大嵐に囲まれた島って設定なんだけど、最後の方はピーカンに晴れて、見渡す限りの平穏な海だったけどね。
ここでは、大きいものが小さく、小さいものが大きいって、小さい動物は象しかでてこなかったな。それに蜂に乗ったのはいいけど、どうやって自由にコントロールしてるんだ?とか。空から金が降ってるなら、その辺に溜まってると思うんだけどね。わざわざ固まりを掘らなくてもさ。いろいろあるけど、そういう細かいことはどうでもいいんだわ。
『宝島』『ガリバー旅行記』『海底二万哩』などごちゃ混ぜにして、ディズニーリゾートで遊んでる感じ。
3Dで劇場公開されたと思うんだけど、3D映像で誤魔化した作品ではなく、ストーリーもそれなりに面白い。
“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンは、プロレスラーとしての実績ばかり先行して、ポンコツ役者のまま終わるのかと思ったけど、ゆっくりながらも着実に演技ができるようになってきたと思う。ヴィン・ディーゼルのポジションくらいは奪えているのかな…と。
お歌のシーンなどなかなか良かった。そこから、偏屈ジジィやわがまま息子との関係がほぐれていくところなど、ドラマとしての要素も子供向けにしてはしっかりしていると思う。
そして、昨今めずらしく、素直に八方丸く収まったハッピーエンド。金なんか持ち帰らなくてもノーチラス号の観光ツアーで大儲け。誰も傷つかない、色んな意味で安心の子供映画だ。なんなら前作よりも良いかもしれない。
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:ジョナサン・リーベスマン
出 演:サム・ワーシントン、リーアム・ニーソン、レイフ・ファインズ、ダニー・ヒューストン、エドガー・ラミレス、ロザムンド・パイク、ビル・ナイ、トビー・ケベル、ジョン・ベル、リリー・ジェームズ、アレハンドロ・ナランホ、フレディ・ドレイブル、キャスリン・カーペンター、マット・ミルン、ケット・タートン、シニード・キューザック、スペンサー・ワイルディング 他
コピー:この闘い、怒迫力。
ゼウスと人間との間に生まれた勇者ペルセウスは、妻を亡くした後、愛する一人息子と平穏に暮らしていた。その頃、神の世界では、神々が弱体化し、タイタン族の封印が解けそうになっていた。タイタン族の長であり、ゼウス・ポセイドン・ハデスの父親であるクロノスが復活するようなことがあれば、世界が破滅してしまうだろう。そこでゼウスは神々が手を携えて、再び父クロノスの封印を強固なものにしようと考えた。まず、ゼウスは息子ペルセウスに協力を求めたが、彼は息子との生活のために闘いを拒否する。仕方なく、兄ポセイドンと一緒に冥界に向かい、ハデスに協力を願う。しかし、積年の恨みが募っているハデスと、ゼウスがペルセウスばかりを可愛がることに嫉妬している軍神アレスの裏切りによって、ゼウスは捕らえられてしまう。ハデスは、ゼウスの神の力をクロノスに与え、復活させようとするのだが…というストーリー。
2年前の『タイタンの戦い』の続編。
根本的にタイトルにある“タイタン”ってのは巨人の神様の一族で、ゼウスの父親クロノスがそのタイタン族の長っていう設定。何でかわからんがクロノスは自分の子供たちを全部食べちゃうんだけど、末っ子のゼウスは逃れて、最終的に父親クロノスを封印したと。そしてのその封印が最近解けそうだから、皆で手を組もうぜ!とゼウスは言っているわけだ。
#でも、“逆襲”ではないな。
ただ、ゼウスが最高神に君臨する一方、兄貴のハデスは冥界の支配者とか地味なポジションに不満タラタラ。だから、前作でもハデスさんは悪玉だったと。
だけど、あんまりギリシア神話は詳しく無い人が多いでしょ。私も実はよく知らない(上に書いたのは疑問だったから調べただけ)。だから、途中からゼウスとハデスが仲直りして、クロノス退治とか。マッチポンプも甚だしくて、なーにやってんだか…って感じになっちゃう。ゼウスの親父って岩じゃん!とか。前作からだけど、神だ半神だーっていっても見た目は普通の人間だしね。
ハーキュリーズだマイティ・ソーだ、アメリカ人はギリシア神話好きだからねぇ。歴史の浅い国なので、精神的なルーツをギリシア・ローマに求めてるんだろう。だから日本人とは比べ物にならないくらいピンと来ているんだと思う。
#でもやっぱりサイクロプスが、タイタン族と同様に巨人の神様の一族だ…とか、バックボーンを知らないと、ただの怪物に追いかけられてるシーンにしか思えない。サイクロプス三兄弟が三叉の槍を見ておとなしくなるくだりとか意味がわかんない。
もうストーリーに何かあると期待するほうが野暮だったんだ。
映像は前作以上に精緻で、造型の違和感もない。アクションもバトルシーンも見ごたえがある。サイクロプスに追いかけられたくだりなんかは、とても楽しめた。劇場公開は3Dだあったので、余計楽しめただろう。前作同様、アトラクション感覚で鑑賞するのが良い。
公開国:アメリカ
時 間:140分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:ショーン・アスティン、ジョシュ・ブローリン、ジェフ・B・コーエン、コリー・フェルドマン、ケリー・グリーン、マーサ・プリンプトン、キー・ホイ・クァン、ジョン・マツザク、アン・ラムジー、ジョー・パントリアーノ、ロバート・ダヴィ 他
警察署から悪人フランシス・フラッテリーが脱獄し、母親と弟の車で逃走。警察とのカーチェイスと銃撃戦の末、見事に逃げ切ってしまう。その頃、13歳のマイキーと兄ブランドンの家に、いつも軽口ばかりのマウス、食いしん坊のチャンク、発明好きのデータら自ら“グーニーズ”と名乗る仲間たちが集まっていた。マイキーの家は、銀行への借金返済が滞り、一帯を買収してゴルフ場にしようとしていた銀行に立ち退きを迫られている。そしていよいよ、明日には家を出なくてはいけない状況だった。別れを惜しむ彼らが、立ち退く家の屋根裏部屋を探検してみると、古地図を発見。どうやら、海賊・片目のウィリーが隠した宝の地図らしい。宝を見つければ、借金が返済できて、引っ越す必要はなくなると考えたグーニーズは、地図が指し示す岬を目指すのだったか…というストーリー。
冒頭のフラッテーリ一家の逃走のシーン。敵も味方もすべて紹介するだけじゃなく、その特徴や性格までサラリと説明する巧みさ。まさにアドベンチャーらしい話の運び方で、問題→アプローチ→決断→突破→問題…のループが途切れることなく展開される。振り返って考えれば、伏線はベタベタなんだけど、テンポがいいから先回りさせない。
『リーサル・ウェポン』の直前のリチャード・ドナー作品。このテンポ良さこそ彼の真骨頂。
伏線で無駄なのは、ステファニーの眼鏡が壊れて何も見えないの…って部分だけ。見えなくて弟とキスしちゃうのはアンドレアのほうだし(そのときはしっかり見えてるし)、チグハグな演出。
子どもが冒険の楽しさを知り、大人は思い出し、ワクワクする作品。この、冒険活劇のすばらしさは、原案・製作総指揮のスピルバーグのおかげなのだが、なぜかこの頃のスピルバーグからは“日本嫌い”は滲み出ている気がするのだが、気のせいだろうか。
子供映画だと始めから無視されていたのか、映画賞とは無縁。でも、永遠の名作。トロイの描写のせいか、TV放送される機会は少ないのが残念。
#チャンク、一緒に暮らそうっていうけど、家族はイヤだと思うけどなぁ(笑)。
なぜかわからないが、夏の蒸す夜には最適な一本。すごく久々に観たけれど、とてもおもしろかったよ。
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:アリスター・グリアソン
出 演:リチャード・ロクスバーグ、リース・ウェイクフィールド、アリス・パーキンソン、ダン・ワイリー、クリストファー・ベイカー、ジョン・ガーヴィン、ヨアン・グリフィズ 他
コピー:世界には、まだ人間が行ってはならない場所がある。そこは、聖域――
パプアニューギニアのジャングルにある前人未踏の巨大洞穴。ベテラン冒険家フランクを隊長とする探検隊は、この洞穴の調査を進めているが、複雑な構造のため未だ全貌を掴めずにいた。そんな中、サイクロンの急接近により大量の雨水が洞穴に流入。地上にいたメンバは退避できたが、洞穴内にいたフランクと相棒のクレイジー・ジョージ、フランクの息子ジョシュ、この探検のスポンサーであるカールとその恋人ヴィクトリアたちは、洞穴の底に閉じ込められてしまう。彼らは出口を求めて、だれも踏み入れたことの無い洞穴の奥深くへと進まざるを得なくなり…というストーリー。
『ディセント』みたいに、謎の生き物が登場したりするのかと思ったけど、それは無し。がっつりのサバイバルムービーだった。正統派のサバイバルムービーか?といわれるとちょっと違う気はしないでもない。
実話というか元ネタみたいなものはあるようだけど、ほぼフィクションと考えてよいだろう。
私、数年に一回くらい、海底洞窟みたいのに泳いでいって、だんだん狭くなって、この先を進んでいいものだろうか…みたいな夢を見るので、既視感バリバリで背筋が寒くなった。観ていて息が詰まるよ。
あまりメジャーな役者も出ていないし、メインのキャストの演技も正直いってたいしたことないのだが、とにかく洞穴自体の迫力がすごくて、なかなかハラハラさせてくれる。ある意味、この洞穴が主役なんだろうな。
100人に、この中で誰が生き残るでしょーか?って聞いたら、65%が正解の人を挙げるだろう。さらに最後に生き残るのが○人ですよって、ヒントを加えたら、85%が当てると思う。そのくらいシナリオとしては稚拙。
親子の相克とか、息子の成長とか、ストーリーの盛り上がりにさほど貢献していないし、ピンチになる前に後でアッと驚かせてくれるような伏線があるわけでもない。
こういう、サバイバル物なら、死亡フラグみたいなものが散見されるのが普通だが、嫌な奴の行動に特別何かの伏線が貼られるわけでもない(わざとらしい死亡フラグが無くて、そこは逆に良かったのだが…)。
振り返ってみれば、普通に危機的状況に陥って、落ち着いて行動できたやつが生き残るという、なんともヒネリのない話だったな。でも、さっきも言ったけど、すべて洞窟の迫力がカバーしてくれるんだよね。普通にドキドキできる佳作。
劇場公開は3Dだったみたいだが、DVDで観たのでもちろん2D。普通、3Dは物体が飛び出す系が多いんだけど、こういう巨大空間の奥行きはうまく表現されたのだろうか。その点は非常に興味があるが、仮に3Dのブルーレイがあったとしても、我が家には機材がない。観た人、どうだったか教えて。
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:スティーヴン・スピルバーグ
出 演:ジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグ、サイモン・ペッグ、ニック・フロスト 他
受 賞:【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】アニメーション作品賞
コピー:今、勇気ある冒険が始まる。
少年記者タンタンと愛犬スノーウィは、ノミの市で伝説の軍艦ユニコーン号の模型を見つけ購入する。しかし、購入直後、その船に関わってはいけないという見知らぬ男が近寄ってきたり、サッカリンと名乗る男がその船を売って欲しいといってきたり、おかしなことが続く。その模型に何か秘密があるに違いないと踏んだタンタンは、ユニコーン号の秘密を図書館で調査。ユニコーン号は海賊に襲撃され、積んでいた財宝と共に海に沈んだことが判る。改めて模型を調べようと部屋に帰ると、部屋はあらされ模型も盗まれた後だった。しかし、模型から偶然落ちていた暗号が記された羊皮紙の巻物を発見し、それを手がかりに秘密を探ろうとした矢先、謎の男たちに拉致されてしまい…というストーリー。
原作は、輸入書籍を置いてあるような店でパラパラと見た程度。TINTINなのに何故タンタンか?フランス語ではそう書いてタンタンと読むんだろうな。でも本作は英語なので、ティンティンと呼ばれている。ちょっと違和感があるけど、まあ吹き替えで観れば気にはならん。
微細な毛の表現などは、ピクサーアニメなどで既に実現できているレベルなので驚きはないが、アクションのデキは文句なしで、実によく動いている。おそらくモーションキャプチャーっていうのかな、人間の動きのデータを取り込んで、それにCGで肉付けしているやつ。3D作品だったようなので、劇場で観た人はかなり愉しめたことだろう。
ただこれは、原作漫画が好きかどうか(知っているか否か)で、印象はかなり違うと思う。それを一番感じたのは、敵から奪った飛行機で砂漠に着陸した後のシーン。気絶したタンタンがプロペラに巻き込まれそうになる動きは、原作漫画の動きが良く表現できていたと思う。ただ、原作を知っている人は、ああうまく作ったな…と思うだろうが、知らないとちょっと野暮ったい動きに感じられるだろう。
タンタンを愛する人たちが、その脳内に浮かんだ映像を共有して愉しむ映画。そういうコンセプトなんだと思う。
ストーリーも同様で、正統派のアドベンチャーであることは間違いないのだが、タンタンのノリが判っていない人には、野暮ったいストーリーに感じられるかも。鍵はすべてハドック船長の頭の中にある…って内容で、謎解きのおもしろさも結果的には皆無に近い。
“臭う”ことを鼻をつっこんで、冒険に身を投じるタンタンの行動パターンはわかるし、記者というバックボーンもわかる。しかし、あまりタンタンのキャラ自体は濃くない。ほとんど色のないフラットな少年のキャラクターで、手塚治虫でいうところのケン一くんに近い。それを、周囲の魅力あるキャラクターと愛らしい犬が、ドタバタで盛り上げる。同じスピルバーグのインディ・ジョーンズを彷彿とさせるが、根本的にアクの強さが違う。そのあまり主体性のない主人公に、どこまでオモシロさを感じられるか…。
キャラクターの人間化は、鼻だけが原作漫画に近い造型。そういうコンセプトなんだろうから、それはそれでかまわないのだが、やはり人間の表情を再現した先には“不気味の谷”が。CG技術極まれり…と言いたいところだが、特殊メイクをCGで作った…、そんなレベルに到達って感じかな。
スピルバーグ&ピーター・ジャクソンってことで、ちょっとハードルが上がってしまったが、万人が愉しめる痛快なアクション活劇だと思う。新作料金でレンタルしても損だと思うことは無いだろう。
そこそこ満足した。
公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:141分
監 督:ロブ・マーシャル
出 演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジェフリー・ラッシュ、イアン・マクシェーン、サム・クラフリン、アストリッド・ベルジュ=フリスベ、ケヴィン・R・マクナリー、キース・リチャーズ、スティーヴン・グレアム、グレッグ・エリス、リチャード・グリフィス、ジュディ・デンチ、ジェマ・ウォード、クリストファー・フェアバンク、ポール・ベイズリー、ブロンソン・ウェッブ、リチャード・トムソン、松崎悠希、セバスチャン・アルメストロ、ホアン・カルロス・ヴェリド、オスカー・ジャネーダ、ポール・ハンター、アントン・レッサー、ロジャー・エイラム、ルーク・ロバーツ、デオビア・オパレイ、ロビー・ケイ、スティーヴ・エヴェッツ、エミリア・ジョーンズ 他
ジャック・スパロウと間違われて捕らえられた相棒のギブス。彼を救うためにロンドンにやってくるジャック。法廷から見事に逃走した彼らの前に、かつてジャックと抗争を繰り広げたバルボッサが現れる。バルボッサは、永遠の生命をもたらす“生命の泉”を求める英国王ジョージ2世に忠誠を誓い、英国海軍の士爵となっており、同様に生命の泉を探すスペイン王フェルナンド6世と、熾烈な争いを繰り広げていた。そんな中、ジャックは、かつて恋人だったた女海賊アンジェリカと再会。彼女も、父親である海賊“黒ひげ”のために、生命の泉を目指しており、ジャックはその後悔に巻き込まれてしまい…というストーリー。
監督が『NINE』のロブ・マーシャルに変更に。彼に変更した効果はいまいち見えないけれど、新旧のキャラを自然に織り交ぜ、前3作の質を毀損することなく、楽しい冒険活劇に仕上がってはいる(まあ、織り交ぜといっても、旧キャラはギブスとバルボッサくらいのもんだけど)。
ただし、これまでと同レベルの仕上がりとはいえ、もう少し何とかならなかったのか…というポイントはいくつかある。
まず、サブタイトルの“生命の泉”が何なのか、中盤を越えるまでさっぱりわからない。何となく延命に関わること…ってことだけで、イギリス・スペイン・黒ひげが本気で必死になっていることに、どうも違和感が。
ちょっとネタバレになってしまうが、一方の寿命が片方に移る…という生命の泉のギミックも何か変。だって、人の寿命なんて残りどのくらいあるのか判らないし、移ったあとにどれだけになったのかわからなければ、次のどのタイミングで聖杯を使えばいいのかわからないじゃないか。
また、アンジェリカが、何であんなに父親に偏執的に加担するのか、説明不足。ただ父親だから、献身的なカトリックだから…という説明だけで、ほぼ一緒に生活をしたこともない父親に、自分の生命を差し出すなんてのが、全然説得力がない。
大体にして、本当に父親である…というのは、アンジェリカがそういっているだけだし。ちゃんとした映画なら、親子関係に説得力を持たせる証拠を描くと思う。
そこがふわっとしているせいで、別の問題も。本作の一番の悪役は黒ひげで、本来ならば、むちゃくちゃなクソ野郎に描くべきなのだが、アンジェリカが彼を慕う必要があるため、闇雲に悪逆非道に描くことができず、最後の最後で子に対する愛情なんか無い…と描くにとどまっている。
悪役が立派に悪役を演じていないということは、主役も生きないということである。それが証拠に、本作のジャック・スパロウは、主役にもなりきれていないし、かといって狂言廻しでもない中途半端な立ち位置になってしまっている。最後の聖杯のトリックだって何のヒネリも無く、おもしろくもなんともない。
あれだけ必死に生命の泉を探していたスペインが、ああいう行動に出るのもいまいち意味不明だしなぁ。そう、本作のシナリオは圧倒的に説得力に欠けるんだよね。
おっと、これでは難点だらけの作品のように聞こえてしまうかな。まあ、前3作もこのレベルの難点は散見されたから、同じクオリティだと思ってくれればよいと思う。まあ、本作は3D作品で、そっちで楽しめれば、シナリオの稚拙さには目はいかないだろうってノリなのかな。
大作だけど至極普通。準新作レンタルくらいまで待っても、全然問題ないレベル。
負けるな日本
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:186分
監 督:ピーター・ジャクソン
出 演:ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、トーマス・クレッチマン、コリン・ハンクス、 ジェイミー・ベル、エヴァン・パーク、カイル・チャンドラー、アンディ・サーキス 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】視覚効果賞(ジョー・レッテリ、Brian Van't Hul、Christian Rivers、リチャード・テイラー)、音響賞[編集](Mike Hopkins、Ethan Van der Ryn)、音響賞[調整](Christopher Boyes、Michael Semanick、Michael Hedges、Hammond Peek)
【2005年/第59回英国アカデミー賞】特殊視覚効果賞
コピー:伝説が蘇る。
1930年代初頭のニューヨーク。映画監督のカール。デナムは、投資家達が資金が引き上げようとしていることを知り、これまで撮ったフィルムをすべて持ち出し、アジアロケを強行しようとする。降板した女優の代わりに無名で極貧のアン・ダロウを抜擢。脚本家ジャック・ドリスコルも騙して下船さず、そのまま撮影クルーを率いて航海に乗り出す。やがて船は幻の孤島スカル・アイランドに到達。さっそくカールは撮影を開始するが、撮影班は原住民に襲撃される。船員達の救出によってかろうじて脱出したが、その夜、原住民達が船を強襲し、アンがさらわれてしまう…というストーリー。
『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を作り上げたご褒美に、思い入れのある『キング・コング』を好きなように作る。うん。ピーター・ジャクソンには好きなようにやる権利は充分にあると思う。長年の夢だったのもわかる。でも、とにかく長い。長いものは長い。思い入れの分だけ詰め込みすぎたんだろう。
所詮『キング・コング』は、南海の孤島で巨大ゴリラを発見し→アンに恋するコング→見世物にされるためにニューヨークへ連れて来られる→悲恋の末の死…というシンプルなストーリー。普通につくったら二時間を越えるわけがない。実際にオリジナル版は90分そこそこ。
じゃあ、何で長くなってるのかというと、まず、序盤の人間模様が丁寧すぎるほど丁寧。ヒロインのアンがとボードビリアンってどうなの?大恐慌を舞台する意味あるの?船長が動物ハンターっていう設定は必要?脚本家とアンの恋愛展開って本当に必要?とか、冗長に感じる演出は多々あったんだけど、きちんと伏線にはなっていた。最後のビジョンがあって、そこから逆算しているのだな…ということは理解できた。でも、長いものは長い。
#黒人の船員と小僧のくだりは必要だったかは疑問だけど。
序盤のもたもたから一点して、スカルアイランドについてからは、猛スピード展開に。
原住民や巨大ゴリラは理解できるが、突然、恐竜の群れが登場。あの大量の恐竜との追っかけっこ→恐竜のごった煮状態…をやりたかったんだろうね。
虫唾が走るような襲いくる大量の虫とのバトル…をやりたかっただろうね。
ドンキーコングみたいに、崖にたれた蔦を落ちそうになりながらも恐竜とバトル…をやりたかったんだろうね。
思いつくことは全部やった…って感じ。展開は猛スピードになったけど、こういう演出がこれでもかこれでもかと続く。
滑らかな動きは数々の受賞歴を獲っているだけのことはあるのだが、両手を縄なのか蔦なのかわからないが、原住民に縛られた状態から、ムギッ!っとコングむしりとられたのに、肩のひとつも外れないとか、巨大な動物に片手に握られてぶんまわされてるのに無傷だとか、アンが一番すごい生物な気がするのは、私だけか?
でも、スカルアイランドで、恐竜や虫からにげまくる所が、本作のピークである。そこで力尽きたかのように、本来は最大のクライマックスであるはずのニューヨークのシーンで、何故か無性にに眠くなる。
#数多くのキャラも投げっぱなし状態に。
おまけに、鉄板の泣けるシーンのはずなのに、なぜかまったく泣けないのだ。一番の理由は、コングにさほど感情移入できないこと。アンとコングの間にあった感情が、私には愛には見えないこと。コング側にあるのは並以上の興味。アンにあったのは哀れみ。ベクトルの違う感情が、いくら交差しても、そこには愛は生まれないと思う。
もしかして、ピーター・ジャクソンって“泣き”のセンスをもっていない監督なんじゃなかろうか。
あのままニューヨークにはいかず、島で生き残りバトルを繰り広げてくれてたら…、あのスピーディなハラハラドキドキをずっと続けてくれたら…、どれだけよかっただろう。いっそのこと島のシーンだけ、ジョイポリスのアトラクションにしたらいいと思うくらい。600円くらいなら平気で出すよ。
これは、アトラクションムービーだね。それ以上のものではないかな。素晴らしい映像スペクタクル-(長すぎる+ラストのデキが悪い)=普通。こんな感じ。
負けるな日本
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:マーク・ウォーターズ
出 演:フレディ・ハイモア、サラ・ボルジャー、メアリー=ルイーズ・パーカー、ニック・ノルティ、ジョーン・プロウライト、デヴィッド・ストラザーン、セス・ローゲン、マーティン・ショート 他
コピー:その世界は、すぐそこに…
双子の兄弟ジャレッドとサイモン、姉マロリー、母ヘレンは、森の中の屋敷に引っ越してくる。元々その屋敷は行方不明になった大叔父アーサー・スパイダーウィックのものだったが、ヘレンが相続していた。住み始めてみると、屋敷の中で不思議な現象が次々と発生。屋敷の謎を探ろうとしていたジャレッドは、屋根裏部屋で“決して読んではいけない”とメモが貼られた一冊の本を発見。その本には、80年以上前にアーサーが調べた様々な妖精たちの研究内容が記されていた。その後、屋敷の周囲に色々な妖精が姿を出現し、その本を手に入れようと屋敷に迫ってきて…というストーリー。
フレディ・ハイモアは同じテイストの『アーサーとミニモイの不思議な国』にも主演している。昨日の『アンストッパブル』のンゼル・ワシントンもそうだが、似たような作品に出ることに躊躇はないのだろうか。同じようなファンタジーなノリにCGのクリーチャー、おまけに不思議なツールで謎解きという、ちょっと油断していたら、同じシリーズの作品かと思っちゃうレベル。とはいえ、ジャケット画像も邦題もダサいので、本作を手に取る頻度は低いかなと。
で、実際に観てみると、なんとなんと。リュック・ベッソン監督の『アーサー~』シリーズなんかよりも、数段おもしろい(『アーサー~』シリーズがつまらなすぎるという意見はあるが)。とにかくCGのデキは本作のほうが上だと思うし、ファンタジーの具合もちょうどよい頃合。『アーサー~』までいっちゃうと、現実との乖離が甚だしくて、ワクワクしないからね。また、叔母さんに接触しようと屋敷を出ていくシーンなど、冒険モノとしてもデキがよい。
原作アリの作品なのだが、おそらく両親の離婚を乗り越える…みたいな要素が強い作品なんだろうなと予測する(読んだことなし)。ただ、結果として、父親の不貞の話はおもしろさには繋がっていないし、母親は最後まで部外者だったほうが良かった気がする。父親に化けた敵を刺しちゃうくだりを、父との決別・区切をつけることができた…と見せるのなんかは、正直どうかなと思うのだ。また、ケチャップやはちみつがさほど古くなかったことから、おばさんが精神病院に入れられたのは、そう昔ではないと思えるし、生きているのに屋敷が相続できていることから、日本でいうところの成年被後見人ということ?等々、ちょっとエグい部分が多かったりもする。そういう部分は、「よく考えれば…」と匂わす程度に抑えておけばよかっただろう。
ファンタジーの面でも優良だし、技術的にも穴が少ないので、家族関係のトラブルを絡めすぎずに、ファンタジー直球でいったほうがよかったんじゃないかと思う。子供と一緒に見るべき作品と素直お薦めできないのは、こういう理由かな。
とはいえ、(繰り返すけど)『アーサー~』シリーズよりは、全然愉しい。軽くお薦めしたい。
#おばさんが失踪したら、後々大問題になる気が…とか、そういう方向に気がいってしまうのは、汚れた大人だから?個人的には、性格の悪い姉に精神的なダメージを食らわせてほしかったと思う。なんか生理的に気に喰わないキャラだわ。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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