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公開年:1949年
公開国:イギリス
時 間:105分
監 督:キャロル・リード
出 演:ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トレヴァー・ハワード、バーナード・リー、ジェフリー・キーン、エルンスト・ドイッチュ 他
受 賞: 【1950年/第23回アカデミー賞】撮影賞[白黒](ロバート・クラスカー)
【1949年/第3回カンヌ国際映画祭】グランプリ(キャロル・リード)
【1949年/第3回英国アカデミー賞】作品賞[国内]
第二次大戦後まもないウィーン。親友ライムの招きでこの街を訪れた作家のマーチン。ライム家を訪ねると彼が自動車事故で死亡したことを知る。ライムの葬儀に出席するマーチンスは、本件を捜査するイギリス軍のキャロウェイ少佐とである。少佐は、ライムが闇取引をしていた悪人であると主張するが、それが信じられないマーチンは、独自の調査を開始する。ライムの恋人であった女優アンナや、事件の目撃者である宿のガードマンの話から、現場に正体不明の“第三の男”が居たことをつきとめる。しかしその証言をした門衛が殺害され、マーチンスがその犯人だと疑われてしまう。また、偽造パスポートでウィーンに滞在していたアンナも、ソビエトのMPに連行されてしまい…というストーリー。
4カ国に分割管理されている戦後まもないウィーンという、異国情緒と時代背景がうまいこと混ざりあった設定が、サスペンスの味付けとしてとても効いている。
60年以上前の作品で、パブリックドメイン化していることから今回観たDVDも安価に製作されており、決して良い画質ではなかった。それでも、白黒映画であることで生まれるメリハリのあるコントラストや緊張感・退廃的なイメージの表現はすばらく、まさにこれぞフィルム・ノワールといったところ。2006年公開のジョージ・クルーニー主演『さらば、ベルリン』も、同様の時代背景と白黒映像による同様の効果を狙っているが、ソダーバーグをしても本作には及んでいない。
私が解説するまでもなく、ライム初登場シーンのインパクトや、今ではビールのCMや恵比寿駅を思い出してしまうテーマ音楽など、映画史を語る上ではずせないが、教科書的な評価ではなく、純粋に作品として現代においても充分に鑑賞に堪えうること自体が、奇跡といえる作品だと思う。ハードな内容とある意味おきらくなチターの音色とのギャップが生む雰囲気は、本当に秀逸。
結局、ライムの隠避が単独犯行なのか組織的に行われたものなのか明確になっていないなど、シナリオのディテールとして甘さは残るが、それを補って余りある完成度。そして、勧善懲悪でもなければ決して後味が良いわけでもないラストには、後のニューシネマの萌芽を見る思いだ(かつ、これがハリウッド作品ではないことにも、ちょっぴり驚く)。正直、古い作品でも観てみようかな程度の軽い気持ちだったのに、予想外のデキに驚いている。懐古趣味云々ではなく、純粋にお薦めできる作品。
#とある映画解説本で、「下水道の中でライムが流されてしまう水の勢い」などという解説があるのだが、そんなシーンは無いと思うのだが誤訳だろうか。不思議。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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