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公開年:1977年
公開国:アメリカ、モロッコ、リビア、サウジアラビア、クウェート
時 間:180分
監 督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
出 演:アンソニー・クイン、イレーネ・パパス、マイケル・アンサラ、ジョニー・セッカ、マイケル・フォレスト、アンドレ・モレル、ロバート・ブラウン 他
ノミネート: 【1977年/第50回アカデミー賞】作曲賞(モーリス・ジャール)
コピー:神の声は下った…行けそして戦え!豪壮、華麗!砂漠に燃えるマホメットと殉教の戦士たち!製作費51億円を投じて放つ 感動のスペクタクル巨篇!
西暦610年メッカ。人々はカーバの神殿に数々の神を祭り、偶像崇拝していた。メッカは、マフズーム家やアブド・シャムス家など、一部の者に支配されており、貧富の差が激しく、女性や奴隷は不当な扱いを受けていた。その頃、メッカ近郊のヒラー山の洞穴である男が、神からの啓示をうけたという噂が流れていた。その男マホメットは、唯一絶対の神アラーを信奉し、その預言者として社会矛盾を非難したため、彼とその支持者たちは迫害を受けることになり…というストーリー。
昨日の『アラビアのロレンス』と同じ舞台の中東。テーマでもあるイスラム教、その発生過程を追った作品。マホメットが啓示を受けてから、メッカがまさに“聖地メッカ”になるまでの話である。
キリストの生涯については、色々映画化されているので、目にすることはあるのだが、マホメットの場合は本作以外に聞いたことが無い。おまけに、日本人はイスラム教自体になじみがないので、マホメットがどんな人だったのか知る機会は少ない。コーランは聖書と違って基本的にアラビア語以外に訳することが禁じられているので、勉強しようにもなかなか難しかったりする。
ジャケットのおっさんがマホメットなのか?と思うかもしれないが、イスラム教は一切の偶像崇拝を禁止しているため、マホメットの顔を描くことすら禁忌。冒頭でも説明(言い訳?)されているのだが、本作には一切マホメットの姿は映っていない。じゃあ、どうやってマホメットの生い立ちを語っているのだ?と疑問に思われるだろう。時にはマホメット目線、時には画面の外のマホメットに話しかける、始終そんな感じ。そしてマホメットの言葉は一切音声にはなっていない。宗教上の事情があることは百も承知だが、そうだとしても、とんでもない奇作であることには変わらない。
本当ならば、イスラム教の歴史を知る上での一級の資料だといいたいところなのだが、まったく画面に登場しないので、そのエピソードの時にマホメット本人がいたのか弟子だけなのかがよくわからないのだ。途中、思い出したようにマホメットに話しかけたりするシーンが差し込まれるのだが、さすがに始終それをやってるわけにもいかないし、非常に苦しいところ。
こんなことになるなら、とりあえず誰かに仮に演じてもらって、マホメットを黒塗りにしてもらい、そのセリフは字幕にでもしてくれたほうがわかりやすかったと思う。
#まあ、教義的には、仮に撮影することも許されないし、本当だったらアラビア語以外の音声すらNGのはずだから、無理だろうけど。
いずれにせよ、人種間の平等や男女間の平等を標榜し、非常に社会主義的な思想を根本的な教義としてイスラム教が発生しているのが、よくわかる。そして、“戦う宗教”の要素を早々に帯びて、現在のイスラム=戦闘のイメージの萌芽が見られるところも興味深い。そして、初めの志とは大きく違い、種族間の迫害や女性蔑視が当たり前の現代イスラム世界。彼らは省みるということを知らないのだろうか。その乖離が実に不思議でならない。
国の法と宗教の法が一体であり、宗教の律法のありかたとしては完璧なイスラム教(人々が幸せかどうかは別の問題)が生まれる過程が理解できる作品。神との契約から人間同士の契約の概念は生じているので、イスラム世界でも資本主義経済が発生しておかしくはないのだが、利息を頑なに否定するため、経済活動が発達しないというジレンマを抱えている社会。知らない世界を理解するための扉を開けるという意味では、有益な作品かと。ただし、本作もとにかく流いし、予備知識がなければトンチンカンになるのは否めないので、お薦めはできないけど。
#まあ、やっぱり珍作の部類に入るんだろうなぁ…。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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