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公開年:2003年
公開国:アメリカ、スペイン
時 間:100分
監 督:オリヴァー・ストーン
出 演:フィデル・カストロ、オリヴァー・ストーン
コピー:アメリカが上映を拒絶した問題作
チェ・ゲバラと共にキューバ革命を遂行し、社会主義国家を築いたカストロを、『プラトーン』『ナチュラル・ボーン・キラーズ 』のオリヴァー・ストーン監督が2002年、3日間に渡ってインタビューしたドキュメンタリー。革命期から冷戦時の歴史的なエピソードの真相や、カストロ本人の素顔に迫る作品。
この映画を観るかぎり、カストロ自身は魅力的な老人に見える。自分を偶像化することを禁止していることからも、少なくとも毛沢東のように救いようのないアホではないことは明白である。
それ故にアメリカに住むキューバ人は、この映画をアメリカで公開することに反対したわけだ。彼らを苦しめた張本人がステレオタイプな独裁者ではないという、そういうイメージが植え付けらるのを良しとしないから(まあ、カストロが好々爺であることも事実だし、苦しめられたキューバ人がいるというのも事実だと思うので、どちらが正しいというわけではなかろう)。
人は考える生き物だが、同時に考えを止める生き物である。見方を変えると、人間は色んなことに関心を抱く、そこから謎を生み出す。しかし、その謎のすべてに引っかかっていては、生物活動を維持するのもままならない。だから、さほど必要でないことは捨てる。考えない。
生きることを捨ててまで考える生物ではないということだ。だから、考えることを生きる主目的とする哲学者が生まれるのは、巨大な都市なのだ。だから、物乞いと哲学者の数は絶対に相関があるはずだ。今の日本でいえば、ホームレスの数とエセジャーナリストの数には相関があるはずだ(歴史の必定だと思うんだけど、みんなはどう思う?)
閑話休題。何が言いたいかというと、カストロのようなタレント性を持った人だからといって、同じようなカリスマ的指導者になるわけではないだろうということだ。おそらく、考えることをやめた大衆が、引っかかりを感じながらも生活のために捨てた“考え”に、答えを提示してくれる人物が現れ、“すっきり”したから、その答えを提示してくれた人物を崇めるのだ。そして、今後も提示し続けてくれそうならば、ますますカリスマ性を増していく。大衆が考えることを止めざるを得ない状況と、且つその状況が同時に人々の不満を募らせるものであること。そこに、“答え”を携えるものが登場したときに、同様のことがおこるわけだ。
共産主義がキリスト教の一種だと言われるのは、その発生過程が宗教と同一だから。そういうこと。
#ソ連もキューバも、宗教を否定しながらも、教会が存在するのが不思議なところだよね。
さて、この状態をみんなはうらやましいと思うかい?私は思わない。どういう状況であれ考えを止めることを私は望まないから。そして、誰かの考えに無条件で賛同し、それどころか賛美するなどということに堪えられそうもないからだ。
これを読んだ人は気付くと思うが、大衆が考え始めると、ほどなくこの体制は終わる。体制を維持するためには、その体制を産んだ状況を維持すればよい。簡単言えば、貧しいままにしておくか、情報を遮断すればいいのだ。
つまり、まだキューバが体制を維持できているということは、この両方が存在することを意味している。
多くの共産主義・社会主義が、長く体制を維持できたにもかかわらず、そして国家が豊かな国家を標榜していながらも、決して裕福にならなかったのには、理屈があるのだ。
よく、北朝鮮はあんなに貧しいのに何で体制を維持できるのだろう。よっぽど暴力的に抑圧されているに違いない…という意見を聞くが、その見方は実は誤っている。貧しいがゆえに維持できているのだ。だから、もっと困窮すれば、自然に北朝鮮は崩壊すると思ったら、大間違いなのだよ。
おっと、作品のデキではなく、社会学の講義になってしまったね。でも、ドキュメンタリー映画だからしょうがない。こうやっていろんなことを考えさせる映画なのだ。そして、常に反米気質のオリヴァー・ストーンだからこそできた映画。
ただ、敵の敵は味方という理屈で生まれた友情は、お互いの息がかかるほどの距離になると、さすがに違いが鼻についてくる。その臭いの違いが、予定調和のインタビューに微妙なゆらぎを与えていて、そのゆらぎに先に何かを見せてくれるわけだ。とにかくインタビューする側のあからさまな思想の押し付けのない、よいインタビュー映画だと思う。
まあ、ここからは余談になるけど、カストロから、自分が世界の理を把握した気になっているおごりを感じざるを得ない。だから、人類が滅びに向かっていることは、複雑な数学など不要で、簡単な算数程度があれば理解できると言い放つ。
物事を簡単に考えようとする態度が楽観主義から生じているならば問題はないが、それは短絡主義と表裏一体。毛沢東しかり社会主義国家の指導者は、必ずこの誤りの轍を踏む。これ以上、長々語る気はないが、この1点において、カストロはポンコツである。そしてポンコツであるがゆえに、大衆から支持される。ああ、社会性動物たる人間の性よ。
#オリヴァー・ストーン、カウンセリングにこだわりすぎじゃね?
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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