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公開年:1962年
公開国:アメリカ
時 間:207分
監 督:デビッド・リーン
出 演:ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、ジャック・ホーキンス、アーサー・ケネディ、クロード・レインズ、ホセ・ファーラー、アンソニー・クエイル、ドナルド・ウォルフィット、マイケル・レイ 他
受 賞: 【1962年/第35回アカデミー賞】作品賞、監督賞(デヴィッド・リーン)、撮影賞[カラー](フレデリック・A・ヤング)、作曲賞(モーリス・ジャール)、美術監督・装置賞[カラー](ジョン・ボックス:美術、John Stoll:美術、Dario Simoni:装置)、音響賞(John Cox)、編集賞(Anne V. Coates)
【1962年/第20回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、助演男優賞(オマー・シャリフ)、監督賞(デヴィッド・リーン)、撮影賞[カラー](フレデリック・A・ヤング)
【1962年/第16回英国アカデミー賞】作品賞[総合]、作品賞[国内]、男優賞[国内](ピーター・オトゥール)、脚本賞(ロバート・ボルト)
【1991年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
1916年、カイロに赴任中の英国軍少尉ロレンスは、トルコの偵察任務をうける。トルコではアラブ諸国の独立の気運が高まっており、その動きを中東進出の足掛かりにしようとする思惑がイギリスにあった。ロレンスは偵察目的であった任務を逸脱し、武力も組織も脆弱な反乱軍を指揮して、ゲリラ戦を敢行。ついにはオスマントルコの重要拠点アカバを陥落させるに至る。その功により、指揮官として再びトルコ打倒を命じられるロレンスだったが、アラブ諸族間の諍いが発生し、且つ、考え方の違いにより本国からも孤立していく…というストーリー。
#なぜか古めの作品が多い、今日このごろ。
まあ、冒頭のお亡くなりになるシーンから、この大スペクタクルな展開はなかなか予想がつかないだろう。そして、大スペクタルゆえにこれが実在の人物、実際の出来事とは思えないほど。ああ、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。
ビザンチン帝国を滅ぼしてから400年間もアラブを支配していたオスマントルコ。その支配が衰え始めて久しく、アラブ諸族のトルコに対する不満もピークに達しており、それをイギリスが利用しようとするという構図である。ロレンスはその尖兵であり工作員でありアジテーターだったわけだ。本作でも、トルコは完全に落ちぶれた悪役扱いで、アラブからの嫌われっぷりもよく表現されている。
その後、世界史のお勉強のとおり、アラブ諸国が曲がりなりにも一生懸命戦ったおかげでトルコに勝つ。しかし、イギリスがちらつかせた独立などは夢のまた夢。イギリスとフランスがやってきてトルコの代わりに分割統治を図る。フサイン=マクマホン協定にサイクス・ピコ協定、バルフォア宣言と現代史的には重要なポイント(そのころになると三学期のおわりの方だったりして、気合が入ってない時代だったりするけど)。
さらに、パレスチナにユダヤ人の入植は認めるは、イスラエルの独立支援はするわ、現在のパレスチナ問題の原因はイギリスがつくったのである。これに石油がプラスされれば、ほぼすべての要素が揃うといってよかろう。
#お気づきだと思うが、中東から石油が出ていない時代のお話である。
私は、イスラエル建国の理屈がまったく理解できない。ナチスに迫害されたからといって、また、かつてパレスチナの土地に住んでいたからといって、そこに住んでいた人間を追い出していい理屈などあるはずがない。こんなアホな所業は無いと思っているが、それもこれもすべてイギリスの後ろ盾のせいである。第一次世界大戦ころのイギリスのやったことは、後に禍根を残したことが多すぎる。
タイトルのとおりロレンスが主人公で出ずっぱりなのだが、実のところ彼は狂言回しだと思う。前半はイギリスによる中東への野心とちょっかい。そして後半は戦闘の繰り返しの歴史。ロレンスはそれに翻弄されたにすぎない。
個人に苛烈なまでの意志があったとしても、その理想のとおり世界は動かない。そして理想と現実のギャップは若いときほど大きい。しかし、ロレンスが経験したこの歴史は、あまりにも一人の人間が負うには重すぎた。老獪な先達にあまりにも利用されすぎてしまい、私ならとてもまともな精神でいられないと思う。単なる歴史劇を超えた、哲学的なものすら覚える。
ただ尋常じゃないくらい長くて、まったく苦痛に感じなかったいえば嘘。しかし、それ以外にケチをつける箇所はない。この長さを乗り切る覚悟は必要だと思うが、一度は観ておくべき作品かと。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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