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image0911.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出 演:ビリー・ボブ・ソーントン、フランシス・マクドーマンド、ジェームズ・ガンドルフィーニ、アダム・アレクシ=モール、マイケル・バダルコ、キャサリン・ボロウィッツ、リチャード・ジェンキンス、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・ポリト、トニー・シャルーブ、リリアン・ショーヴァン 他
受 賞:【2001年/第54回カンヌ国際映画祭】監督賞(ジョエル・コーエン)
【2001年/第27回LA批評家協会賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2001年/第55回英国アカデミー賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
コピー:髪型を変えるように少しだけ人生を変えたい

1949年、カリフォルニアの田舎町サンタローザ。床屋に勤務するエド・クレインは、多くを望まず平凡で物静かな生活を送っていた。ふとしたことから妻ドリスと彼女が勤めるデパートの店長デイブが浮気をしているのではないかと疑い始めたが、仮にそうだったとしても、彼の心が大きく揺れることは無かった。そんな時、他の町からやってきた客から、ドライクリーニング店を始めるために出資者を探しているという話を聞かされ、あること思いつく。それは、ドリスとの不倫をネタに相手のデイブを恐喝し、出資金を調達すること。そして、それは実行に移され、一時は思い通りに事が運んだかに見えたが…というストーリー。

カラー版もあるのだが、作られた経緯が不明。殺人モノでありながら、白黒であることによってファンタジー然とした雰囲気が生まれているくらいで、白黒で充分。透明感すら感じる。ちょっと変化球ながらもニューシネマ的な終わり方もよい。

無口でさえない男だが、大言を吹聴するわけでもないし、社会に恨み節をいうわけでもないし、現状を受け止め物事にも動じない、ある意味クールなキャラ。現代においても、むしろ理想に近い小市民像で、共感を覚える人するらいるのではないか。

それが、「自分は変われるかも…」と、ちょっぴり抱いたことが、変転につぐ変転を産むという、まさにコーエンの真骨頂。話が展開するたびに本筋からズレてきて、最後には取り返しがつかなくなっちゃう、っていう流れは、今となっては良くあるテイストだけど、そういう真似っコしたような作品は、所詮真似っコで、先が読めてイライラしちゃう。本作は、ごく自然に、鑑賞者の頭に“?”と“!”とつけることに成功している。この巧みさよ。

それに、実は別に主人公が床屋である必然性も無かったりするんだけど、特殊技能でありながら凡庸なルーチンワークという両面を兼ね備えた床屋という職業にスポットを当てたのが慧眼。この1940年代の男性の髪型というギミックが時代の雰囲気と男の役割をうまく表現する一助に。そして、世の男性と社会を俯瞰で眺めている立場というのも効果的である。

他のキャラ設定も巧みでバリエーション豊富な上にメリハリが効いているし、最終的にロズウェルのくだりまで持ち出しているのに、しっくりハマるのもめずらしいと思う。もう名人の領域。めずらしくカンヌで高評価の作品と、好みがあった。強くお薦めする。



負けるな日本

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