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公開年:2008年
公開国:日本
時 間:133分
監 督:瀧本智行
出 演:松田翔太、塚本高史、成海璃子、山田孝之、柄本明、劇団ひとり、金井勇太、佐野和真、井川遥、笹野高史、塩見三省、風吹ジュン 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】新人俳優賞(松田翔太)
コピー:人生最期の24時間。あなたは誰のために生きますか?
全国民が子供の頃に体内に特殊なカプセルを埋め込まれ、1000人に1人が18~24歳の設定された日時に自動的に死を迎える制度、、“国家繁栄維持法”。該当者は、いくつかの特典が付与され、24時間後の死亡を通告される。それは、死の恐怖により国民がより生命の大切さを意識することで、国家の繁栄に繋げることを企図した法律である。藤本賢吾は政府発行の死亡予告証“イキガミ”を本人に配達する厚生保健省の職員だったが、イキガミを渡された若者たちの最期の24時間を見ることで、心の中に葛藤が生じ…というストーリー。
簡単に言っちゃうとドリフのコント「こんな○○があったら…」みたいなもの。ただ笑えないコントだけど。そして『バトルロワイアル』の亜種である。『バトルイロワイアル』は“BR法”という法があっただけだが、本作の場合は、あらかじめ定められた日時に死亡するというSF的なナノテクノロジーを前提にないと成立しない。ましてや秒単位まで正確に発動するという技術(どうやったら秒単位でピタっと殺せるのか、SF的発想を駆使しても、思いつかない)。おまけに18~24才の間に無作為に死亡することが24時間前に伝えられるわけで、とても重要な職種についていれば社会的に大変なことになるし、旅行にいっていれば伝えられないわけで、運用面でも問題が生じることが容易に想像できる。また、1000分の1という相当な高確率なので、頭の片隅に死ぬかもしれないという思いが常にある状態で、若者がマトモに働くとは考えにくく、主張されているような“生”を意識したまともな社会が実現するとは思えない。とてつもなく荒唐無稽。荒唐無稽に荒唐無稽を3回くらい重ねたくらいマンガ。
いや、私は荒唐無稽がいけないといっているわけではない。むしろ大歓迎。ちょっと無理な設定であっても、マンガだもの、全然OKである。では、何が気に喰わないのか。荒唐無稽な設定を一生懸命“リアル”に見せようとする、本作の製作姿勢が気に喰わないのである。あのマンガをよくまとめたねという評価もあるのだが、私はそうは思わない。リアルに見せよう見せようと説明をすればするほど、陳腐でつまらないものになっていると思う。とことんマンガであるべきだと私は思うのだ。
では、どうすればよいのか?私ならビジュアル的にブっとんだ演出をしただろう。例えば『スキャナー・ダークリー』のような手法。普通にアニメ化しただけならきっとつまらないはずで、実験的な映像表現で、そのムチャな設定が気にならない表現に邁進したと思う(簡単にいうと、観客の目をそらしたい)。そうすることで、繰り広げられる“生命”への執着により焦点が当たるだろう。
だって、原作を読んだことの無い人からすれば、こういう荒唐無稽な話ではじまっておきながら、生命賛歌になるとは想像し難いもの。なんか肩透かし喰った感じになっちゃうでしょ。1800円払って観終わった人のモヤモヤ感が容易に想像できるよ。
別の話。
『リアル鬼ごっこ』のときにもいったが、 柄本明はこういう作品に合わない。笹野高史が端役なのにいい演技をしていることもあって、柄本明ってもしかしてポンコツ役者なんじゃないの?と思えてしまう。ストーリー的にも、この法制度を転覆するような展開はないのだから、わざわざスポットを当てる必要のないキャラ。そこに、わざわざ柄本明をもってくる必要もない。
また、シナリオが3本のエピソードの単なるオムニバスに見え、且つ増長に感じるのは、原作者が脚本に加わっているからだろう。思いの強さが、思い切った編集を阻害している。スティーヴン・キングと同じ弊害が発生したと予想する。原作の評判が良かったので、各社の取り合いになっちゃって、原作者を上げ膳据え膳で扱って、自由にさせすぎちゃったってところかも。餅は餅屋に任せないといけないという悪例だろうな。簡単にいってしまうと、マンガを読めばいいと思うし、そっちのほうがおもしろいと思うので、このデキではわざわざ観る意味を見つけることができない。おもしろくできる素材だったのに、非常に残念。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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