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image1550.png公開年:1987年 
公開国:西ドイツ、フランス
時 間:128分
監 督:ヴィム・ヴェンダース
出 演:ブルーノ・ガンツ、ソルヴェーグ・ドマルタン、オットー・ザンダー、クルト・ボウワ、ピーター・フォーク 他
受 賞:【1987年/第40回カンヌ国際映画祭】監督賞(ヴィム・ヴェンダース)
【1988年/第23回全米批評家協会賞】撮影賞(アンリ・アルカン)
【1988年/第54回NY批評家協会賞】撮影賞(アンリ・アルカン)
【1988年/第14回LA批評家協会賞】外国映画賞、撮影賞(アンリ・アルカン)
【1988年/第1回ヨーロッパ映画賞】監督賞(ヴィム・ヴェンダース)、助演男優賞(クルト・ボウワ)
【1988年/第4回インディペンデント・スピリット賞】外国映画賞(ヴィム・ヴェンダース)
【1988年/第31回ブルーリボン賞】外国作品賞

天使たちには、下界の人々の心の声が聞こえる。ふらりと人の傍らをめぐる天使ダミエルは、サーカスの空中ブランコ乗りのマリオンに恋をしてしまう。そして、「だれかを愛したい」という彼女の心の声に、心が動揺してしまう。そんな中、サーカス団は経営難により解散することが決定し、窮するマリオンを手助けしたいという気持ちはますます高まっていく。しかし、人を愛してしまうと、天使は天使であることを止めねばならなくなる。どうすればいいか悩むダミエルに、撮影のためベルリンを訪れていたピーター・フォーク本人が、見えないはずの彼に話しかけてきて…というストーリー。

はじめに説明しておくが、終盤になるまで、『シティ・オブ・エンジェル』のリメイク元であることに気づかなかった。まったく知らずに、ただ「名前は知ってるけど、そういえば未見だな…」と思って借りただけである。

観はじめたものの、私が人生の中で観た数々の映画の中で、一番寝たと思う。観よう観ようと努力したのに、催眠術を掛けられたように気絶した。体調の問題ではない。白黒の画調。ボソボソとした天使の口調(天使なのに呪文を唱えているようである)。淡々と人間を観察する様子の繰り返し。引きの画だといまいち区別のつかない天使たち。個々のシーンが特別凡庸というわけではないのだが、展開自体に刺激が少なく、残り40分までに何回気絶したかしれない。目を覚ます度に記憶のあるところまで巻き戻す(実は、あまりに断片的すぎるので、一度はじめから見直している。観終るまでに3時間は費やしていると思う。

以下、ネタバレ。

で、天使が落下して人間になったあたりで既視感に襲われ、マリオンと接触しようと試みたあたりで、『シティ・オブ・エンジェル』に気づいた。しかし、その時点の残り40分未満。それまでは、いつまでこのノロノロ行進が続くのか…と、我慢の限界にきていた。ところが、人間になって、ピーター・フォークが元天使だと判ったあたりから急激に、ストーリーに吸い込まれる。突き進む恋の行方から目が話せなくなってしまう。

でも、正直にいうと不満は多い。前半でもところどころカラーになるが、その意味がよくわからない。おそらく恋の感情が沸いて人間に近づいたために、色覚が宿ったってことなんだろうけど、でも人間になる条件は恋をすることではなくって、落下しなくてはいけない。人間になる手順が2つあるということ?それとも、ただ恋をするだけだと、人間になるのではなく消滅する?じゃあ、消滅したくないから人間に?(それは違うよね)

とにかく、天使でいる間のシーンに刺激がなさすぎるのは、何とかならなかったものか。聞こえてくる人間の声も、あまりにも善良だし、そこから何を感じ取ればいいのか、さっぱりわからない。マリオンの悩みというのも、あまりにさらっとしていて、確かに手を差し伸べたくなるな…という共感も得られない。ダミエルもマリオンもさほどすぐれた容姿ではなく、恋をするのもさもありなんとは思わないし。

評価が高い撮影技術についても、あまり関心しない。黒澤明だったら、補光を当てまくって天使の影は一生懸命消していただろう。少なくともただの人間と遜色のない映像にはしなかったと思う。ただ、ストーリー着眼点や天使の目を通した人間の素晴らしさなど、簡単にスルーするにはもったいない輝きがあるのは事実だし、素人の私でも、もうちょっと構成の配分を工夫すれば、こんなに眠くなく、終盤の感動を全体に及ばすことができるはず!と、リメイクしたくなる気持ちはよく判る。

光るものは感じるが、最終的に催眠光線であることには違いない。やっぱりカンヌが評価するような、もっともらしいだけの芸術の域は出ていないかな。世に中がいかに名作と評価しようが、残りの人生で本作をもう一度観ることは、まあ無いだろう。不眠症になったら処方するかも。

#明日は、続けて『シティ・オブ・エンジェル』を観て、比較してみようと思う。

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