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image0323.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:103分  
監 督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出 演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、アビゲイル・ブレスリン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン 他
受 賞:【2006年/第79回アカデミー賞】助演男優賞(アラン・アーキン)、脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第32回LA批評家協会賞】ニュー・ジェネレーション賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス、マイケル・アーント
【2006年/第60回英国アカデミー賞】助演男優賞(アラン・アーキン)、オリジナル脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第22回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)、助演男優賞(アラン・アーキン、ポール・ダノ)、新人脚本賞(マイケル・アーント)
【2006年/第12回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、脚本賞(マイケル・アーント)、若手男優賞(ポール・ダノ)、若手女優賞(アビゲイル・ブレスリン)
【2006年/第19回東京国際映画祭】最優秀監督賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)、最優秀女優賞(アビゲイル・ブレスリン)
【2006年/第32回セザール賞】国映画賞(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)
コピー:夢と希望を乗せて、黄色いバスは行く

アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、問題を抱えた人間揃い。父親リチャードは人を見下した人生成功理論を振りかざし、それを出版して一儲けを目論む。長男は、そんな父親に反抗して無言の行を続け、9歳の妹オリーヴは無謀にもミスコン優勝を夢見る。ヘロイン常習の祖父は好き勝手を言いたい放題。そこへゲイで自殺未遂をした伯父が加わり、ますます混沌とした状態に。母親はそんな彼らをなんとか取り持とうとするが一向にバラバラのまま。そんな時、オリーヴ念願の美少女コンテスト出場のチャンスが訪れるが、旅費節約のため、壊れかけのミニバスに家族全員で乗り込んで、開催地のカリフォルニアを目指すことになるのだが…というストーリー。

昨日の『ダック・シーズン』のがっかりを、一気に挽回させてくれた、傑作ロード・ムービーだ。

特徴的なキャラを設定して、あとは旅にでも出してみて、さてどうなるかな…的な感じの作り方で、もしかすると結果オーライ、偶然うまいこと仕上がったってことなのかもしれないのだが(監督にしても脚本家にしても、その後、活発に作品に参加しているわけでもないようだし)、仮にラッキーパンチだったとしても、喰らってみる価値のあるパンチだと思う。

むかついてくるくらいのダメ男ばかりのメンバーだし、旅程でのエピソードも突飛に見えるのだけど、冷静になって考えれば、言うほど常軌を逸しているわけでもないのだ(それが証拠に、始めは唯一のまともなキャラに見えた母親も、話がすすむにつれて、他のキャラと変わらなくみえてくる)。その絶妙加減が、“ゆるさ”に繋がって、なんともいえない雰囲気を作り出して、私は引き込まれた。

ミスコン出場をやめさせようとする家族の意見は、一昔前の日本で流行った「ナンバーワンじゃなくオンリーワン」的な考え方と捉える人がいるかもしれないが、私はそうじゃないと思う。だから、本作は勝利至上主義批判をしたい作品でもないと思う。だって、オンリーワンは、ある意味、負けを負けと認めない姿勢だけど、本作は負けは負けとしてまず受けきる…っていうプロレス的な姿勢でしょ。全然違う。
だから、壊れた家族がどうやって修復されていくか…ということを描いた物語だとも思わない。負けない人生なんて人生じゃないんだから、目を背けるなよ!っていうメッセージを、私は受け取った。だって全員負け犬で、その負けていることを認められないが故に、奇行に至っている人ばかりだものね。オリーブを守ろうとして、家族全員で揃って負けて、全員でその負けを正面切って受け切って、全員が飄々として笑ってるんだもん。こっちまで清清しくなってくるよ。

それにしても、幼女のミスコンなんざが各地で開催されているアメリカって所は、頭がおかしいよ。
あのミスコンを台無しにした家族のほうに嫌悪感をいだく人がいるのではないかと、私は、想像している(そういう輩は絶対いる)。趣味や考え方の相違なのでとやかく言うつもりはないが、そう思うような人とは、ちょっと友達にはなれませんな。単純に気色悪いでしょう。幼女に大人のまねごとをさせるのなんて。させるほうも、それを見て喜ぶほうも、性的倒錯者だよ。だから、オリーブが、ストリッパーまがいのダンスを披露したのには、拍手喝采。溜飲が下がるよ。なんでオリーブの踊りを見て、他の大人たちが嫌悪を抱いたかって、それは、一皮剥いた自分をみさせられたから。それでも、それが自分の姿であることに気付かないアメリカ人。救いがないね。

とにかく、傑作。引き合いにだして申し訳ないけれど、同じロードムービーの『僕の大事なコレクション』の2倍くらい面白い。強くお薦めする。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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