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image0317.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:スティーヴン・ホプキンス
出 演:ヒラリー・スワンク、デヴィッド・モリッシー、イドリス・エルバ、アンナソフィア・ロブ、ウィリアム・ラグズデール、スティーヴン・レイ 他
コピー:イナゴ少女、現る。




キリスト教の宣教師だったキャサリンは、布教先のアフリカで幼い娘と夫を失ったことで信仰を捨てる。その後、宗教的な奇跡的現象をを科学的に解明する専門家として有名になっている。ある日、彼女に、田舎町ヘイブンで発生ている不可解な出来事を解明してほしいと依頼される。現地を訪れ調査を始めたキャサリンは、事件が旧約聖書の“10の災い”の通りで、科学では説明がつかない現象であることがわかり…というストーリー。

もう、二度もオスカーを獲ってしまった後なので、経験のないジャンルをあえてチョイスしてるのかしら(ショーン・ペンと似たような感覚で仕事を選んでる?)

彼女も出演していた『ギフト』にテイストは似ているんだけど、中盤までの安っぽい謎解き展開は、ジョニー・デップ主演の『ナインスゲート』に似ているかも。信仰心を無くした女性が信仰心を取り戻す的な所は『サイン』だし、色々な要素が混ざってるね。キリスト教&悪魔崇拝がネタのホラーはハズレの場合が多いし、ヒラリー・スワンク主演なのに、コピーが“イナゴ少女、現る。”って、もうキワモノの臭いがプンプンしている。

こりゃあダメだろうな…と予測していたが、気色悪さ満載だし、ドラマ性も意外にしっかりしているし、オチにヒネリもあって、いい意味で肩透かしだったかも。“イナゴ少女”ってことで、なんとなく『キャリー』みたいな展開があるのかな…とおもったけど、正直、なんで日本の配給会社が“イナゴ”で押そうと思ったのか、よくわからん(笑)。

もしかすると、キリスト教に対する畏怖の感覚が身に沁みている欧米人は、もっと怖いと感じるのかもしれないけれど、キリスト教徒じゃないワタシには所詮絵空事。だから、怖いというよりも、どちらかといえば気持ち悪い(虫とかが)って感覚のほうが強く、世のホラー好きの人にとっては、怖さレベルはかなり低くて、むしろホラーとは認めたくないレベルかもしれない。実は、ホラー要素より、サタンがなんでキャサリンを呼び寄せたのかとか、ストーリー面の仕掛けのほうがけっこう練りこまれている。
“イナゴ少女”という売り文句を見て、馬鹿馬鹿しいに違いないと思っている人がいたら、そうではないよと言ってはあげたいが、お薦めするほどではない。でも、観て時間の無駄だったということもない。そんなレベル。

おもしろくなるかどうかは微妙だけど、結局、最後の子供は、将来どうなっちゃうのか。別にヒラリー・スワンクじゃなくていいから(超B級でいいので)、続編が観たいかも。

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image1472.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ケヴィン・グルタート
出 演:トビン・ベル、コスタス・マンディロア、ベッツィ・ラッセル、マーク・ロルストン、ピーター・アウターブリッジ、ショウニー・スミス、アシーナ・カーカニス、ジョージ・ニューバーン、ショーナ・マクドナルド、デヴォン・ボスティック 他




凄惨な殺人現場でFBI捜査官ストラムの遺体が発見され、他の遺体などに彼の指紋が付いていたことから、彼がジグソウの後継者とみなされ、一連の事件は落着したかに思われた。しかし、それに疑問を抱いた上司のエリクソンは独自に操作を続行。実行犯のホフマンは徐々に追い詰められていく。一方、ジグソウの遺言と遺品の箱に困惑する前妻のジルだったが、意を決して箱の中身を確認。ジグソウの真の後継者を知る。その頃、保険会社の男と彼の関係者が拘束され、新たなゲームが始まる…というストーリー。

以下、ネタバレ。

いつもどおり、冒頭の殺人ゲームで掴みはOK!といいたいところだが、今回のファーストゲームには無理があった。あのシチュエーションで、ゲームをサッと理解して、ギリギリ命がキープできる部分を判断し、切除合戦が繰り広げられるというのは、いささか都合が良すぎる。さすがに「ああ、もうネタがないんだな…」と思えてくる。

ただ、ギミックの巧みさと救いようの無さで、このシリーズは注目を集めたわけだが、ここまで続いているのは、そういった要素のおかげだけではない。“ソウ”シリーズの決定的な魅力は、“生命を粗末にする人間に、生命の尊さを理解させる”というジグソウの高尚な目的のおかげである。その手段が、社会通念上許されるものでなくても、病的であっても、その底辺にこの高尚さが存在するおかげで、見ている側が、どこかでジグソウの行いに幾許かの正当性を見出しているのだ。

あえて不遜なことを承知で書く。キリスト教の目線で言えば、一見悪魔の所業としかいいようがない行いだが、死ぬ間際に自分の行いを悔い、命の大切さを痛感できたならば、殺された人間は天国にいけるのかもしれない。仏教的目線で言えば、命の尊さを理解して、成仏に近づき次に生まれ変わったときにはよい境遇になっているかもしれない。そういう意味で、ジグソウは悪魔の仮面を被った天使、修羅の形相の菩薩と解釈できなくもないのだ(もちろんかなりの曲解なんだけど)。

しかし、さすがに本作では、ゲームに参加させられる側の悪行が判りやすすぎて、勧善懲悪が淡白に感じられる。これまでは色んな立場の人が対象になっていたが、今回は保険会社がらみの人のみ。ちょっと間違えば私怨なんじゃないの?と思えてくる時もある。このシリーズ最後の砦ある高尚さが崩れ始めているようだ。

また、後継者問題も策を弄しすぎて発散しかけているし、ジグソウの亡霊モードも陳腐だし、社会問題を問いかけ始めるなんて、会議で決められた展開…という匂いがプンプンしてくる。
あからさまに続編の存在を予告したラストだが、次はシリーズ最終作。よほど手の込んだラストにしないとシリーズ自体を台無しにしかねない。それなのに3Dにしようなど、危うい道を進みつつあるのは明々白々。最後こそ、原点に立ち返るべきなのに。

よほどのファンなら別だが、そうでなければ、7のDVDが発売された時に一緒に観るくらいで充分な内容。わざわざ今、観る必要はまったくなし。お願いだから会議で展開を決めるんじゃなくって、力のある脚本化か監督が、思うがままに作りこんでいって欲しい。船頭多くしてなんとかである。

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image1384.png公開年:2007年 
公開国:スペイン、メキシコ
時 間:108分
監 督:J・A・バヨナ
出 演:ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ、ジェラルディン・チャップリン、マベル・リベラ、モンセラート・カルーヤ、アンドレス・ヘルトルディクス、エドガール・ビバル 他
受 賞:【2008年/第22回ゴヤ賞】脚本賞(セルヒオ・G・サンチェス)
コピー:愛を信じたら、本物の光が見える。


海辺に建つ古い孤児院を買い、医師である夫カルロスと7歳の息子シモンと暮らすことにしたライラ。彼女は昔、この孤児院で生活しており、里親に引き取られて30年が経つ。現在は閉鎖されているこの孤児院を、障害を持つ子どもたちのための施設として再建するつもりだ。開園準備を進めるさなか、シモンがに見えない子供たちが見えるといい始め、さらには彼ら遊ぶようになる。不安を覚えつつも、施設のオープンは近づき、開園を祝うパーティが催されたが、その場でシモンが忽然と姿を消してしまう。警察も加わって捜索が行われたが発見に至らず。ラウラは精神的に衰弱しながらも、必死にシモンの行方を追い続ると、孤児院に秘められた過去にたどり着く…というストーリー。

スペインの映画観客動員記録を塗り替えて、7つのゴヤ賞を受賞して、フランスのジェラールメール・ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得したという、華々しい肩書きの本作。ここまで評価されているのだがから、さぞや…とハードルがあがりまくったのがいけなかったか。それとも根本的に趣味が合わなかったか。結果を言ってしまうと、可もなく不可もなくという評価である。

ばぁさんが女性にアタックしてくる点は『スペル』と同じなんだけど、足場が違うというか、監督の境地が違うというか。
緊張感をずっと維持できていることと、ジャパニーズホラー的な情愛とかの絡め方はよい点だとは思う。そう、ジャパニーズホラー的というキーワード。効果音の大きさとか、どっきりポイントのズラし具合とか、前半の引っ張りに比べて後半がしぼむ感じとか、西洋ホラーとか趣が異なる。もしかすると、そういうテイストがスペインではウケたのかもしれない。
ただ、それだけなら、同様に評価できたのだが、どうも気になる点が散見され、乗っかりきれなかった。

(以下、ネタバレ)

色々あるので箇条書きになってしまうが…。

・幽霊でした、、で片付けられて、ふわーっと終わってしまうと、「はあ、そうですか」としか言いようが無い。
・閉じ込めてしまったというオチは、鉄パイプが「ガンッ」ってなったところで、多くの人の頭をよぎったと思われる。
・広い屋敷で行方不明になったのだし、さらに子供は病気で倒れている可能性があるのだから、見取り図で入ることが可能な部分はすべて捜索するのが警察の仕事では?いや、それも霊の仕業だったんだよ…と、思い込もうとしたが、どうしても納得できず。
・ベニグノが犯行に及んだ心情・経緯をもっとクローズアップしたほうがよい。どう考えても第一容疑者なのに、逃げ切れている状況も説明してほしい(はじめは容疑者だったが、別の有力な容疑者が浮上して放免になったとか)。
・「母の愛」はわかるが、なぜ異様なまでに情愛を発揮するのか、バックボーンのエピソードがあってもよい。

私は、ラウラが子供たちの死に実は関わっているとか、もっと危機一髪な状況だったとか、下手に演出がうまいせいで、後半はたくさん想像してしまったのだ。でも、その結果、閉じ込めちゃってました、幽霊でした…と、想像を遥かに下回る凡庸なオチに。軽く落とし穴にはまった気分。

そう考えると、同じように杜撰なら、『スペル』のほうが割り切っていてよかったかな。だけど、決してお薦めできないわけではない。おそらく好みの問題。女性のほうが母性的に共感できて、良いと感じるかもしれない。

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image0192.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:トム・コーカー、デヴィッド・エリオット
出 演:シャニン・ソサモン、ラデュ・アンドレイ・ミク、ケイン・マノーリ、アリシア・ムーア、エミール・ホスティナ、サンディ・ドラゴア 他
コピー:恐怖に心が犯される。




アメリカ人のヴィクトリアは内気で極度に臆病な性格だったが、ソルボンヌ大学に通う姉キャロリンから誘われ、パリへ初めての海外旅行に。妹を迎えたキャロリンは、700万体もの遺骨がむき出し葬られている巨大な地下墓地“カタコンベ”で行われる過激なアンダーグラウンド・パーティに彼女を連れ出す。しかし、喧噪を避け会場から抜け出したヴィクトリアは、巨大な地下迷路に迷い込み出口がわからなくなってしまう…というストーリー。

ソウの製作陣によるホラームービーということだが、引き継いでいるのは、怖いと感じさせる直感的な表現や、観ている側の感情を煽る技術だけで、肝心の巧みなストーリー展開は引き継いでいない。よって、内容も上に書いた以上のものは何もない。

あとは、最後に、どんでん返しというか、ひと展開あるだけである。本作がまあまあの作品と評価されるとすれば、その最後のギミックがあればこそで、それがなければ駄作であることは確実。それが何かをいってしまうと、何ものこらないので、もちろん言わない。よって、これ以上、説明も評価もできない。

私が本作を早々に見切ってしまったのは、あまりにも設定が練られておらず、製作側の真剣さが見えてこなかったから。それは何か。警察にばれないように、深い迷路の中を場所を転転と移しながら、ダンスパーティーを行っているという設定で、かなりの大人数が浴びるように酒を飲み踊る。しかし、カタコンベの深部にはトイレなんかない。バレないようにしているのだから頻繁に外に出るわけがない。簡易トイレが持ち込まれているなんてありえない。じゃあ、どうしてるんだ?タレ流しか?

細かすぎる指摘だと思うかもしれないが、絶対にこの問題を解決しない成立しない設定。これに気付いてしまったら、馬鹿馬鹿しくなってしまって、初めの30分までに2度ほど見るのを中断した。
時間の無駄とまではいわないが、『ソウ』の6分の1くらいのデキだと思ってよい。はじめからハードルを下げておけば、まあまあ満足できるのかも。私はお薦めしないけど。

でも、『ソウ』シリーズで味をしめている人たちなので、2をつくるに違いないとは思う。でも、さすがにおもしろくはならないだろうけれど。
でも、出るまえに水のなかに飛び込んで血は落とすべきだと思うし、手ぶらなのに空港に向かうのは無意味だと思うし、やっぱりシナリオの詰めが甘いんだよな。

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image1501.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:サム・ライミ
出 演:アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、ローナ・レイヴァー、ディリープ・ラオ、デヴィッド・ペイマー、アドリアナ・バラーザ、チェルシー・ロス、レジー・リー、モリー・チーク、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ケヴィン・フォスター、アレクシス・クルス 他
ノミネート:【2010年/第19回MTVムービー・アワード】恐怖演技賞(アリソン・ローマン)
コピー:何故?どうしたら? 解けなければ、死。


銀行の融資窓口で勤務するクリスティン。ある日彼女は、不動産ローンの返済期日延長を必死に懇願する老婆の願いを拒絶する。その夜、仕事を終えたクリスティンは老婆の待ち伏せに遭い不気味な呪文をかけられしまう。その翌日から、次々と恐ろしい怪現象が彼女を襲うようになり…というストーリー。

『スパイダーマン』で成功して、あっちの世界にいってしまったサム・ライミがこっちの世界の戻ってきた(あっちこっちって、説明するまでもなく、あっち=メジャー、こっち=インディーズ・B級、である)。“おかえりなさいサム・ライミ”と、色々なところで書かれていたが、まさにそんな感じの内容。実のところ『死霊のはらわた』は遠い記憶の中にしかないんだけど、『死霊のはらわた』シリーズのスピンオフか?っていう指摘もあるので、これを機会にちょっと観てみる気になったかな。

旧来からの彼のファンに、あの頃のサム・ライミはいなくなっちゃったねえ…と散々言われ続けたのを、忸怩たる思いで聴いていたのだろう。本当のオレはここにいるぜぇ~~!。オープニングのユニバーサルのロゴも古いやつだったものね。あの頃のオレ参上って感じで大爆発である。老婆の痰まじりの唾液とか、よだれまみれの入れ歯とか、歯茎ではむはむされたりとか、口から虫とか、昨今のホラーでは逆にめずらしくなっちゃった生理的な嫌悪感が画面に盛りだくさん。

ストーリー的には、悪気があって断ったわけでもないのに、とんでもない呪いをかけられちゃうという理不尽さがよい。社会が発展したからといって、なんでも道理で解決できる世の中になるわけじゃなくって、かえって理不尽で納得できないことが散見されるものなのよ(おお、これも“疎外”)。そういう罪と罰の因果関係は明らかじゃないんだけど、厳然と存在する社会不安みたいなものってあるでしょ。そういう腑に落ちなさをベースにしてグイグイ引っ張り続ける感じがステキ。
逆恨みババアに、田舎娘を見下す恋人の母親とか、妙に都合がいい恋人等々、普通に考えれば変な要素が盛り沢山。それらが理不尽さに輪をかけている。猫あっさり(笑)とか、ミス・ポーク・クイーンとか、こういうコメディ要素も大事だよね。

ちなみに“スペル”っていうのは綴りのスペルじゃなくって、呪文とかまじないって意味だそうだ。こういうB級ホラーには、『死霊のはらわた』とか『遊星からの物体X』とか原題とはかけ離れながらも名邦題が多かったものが、せっかくサム・ライミが戻ってきたのだから邦題のセンスだって回帰すべき。しかし残念ながら邦題のセンスは回帰しなかった。そこはがんばれよな、配給会社。私なら“死霊の舌なめずり”とか“呪いのいきづかい”ってつけるかな(ダメか)。
#さすがに“私を地獄につれてって”って直訳にはできないものね。

最後の勘違いオチも、ほぼ全員が予測しただろうけど、そんなのどうでもいいっすわ。とにかく眠気はまったくおこらず。これがA級パワーでつくったB級映画である。軽くお薦め。

#とかなんとか言っておきながら、私のサム・ライミでお気に入りの作品は『ギフト』だったりするという矛盾。

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image0679.png公開年:1999年 
公開国:アメリカ
時 間:105分  
監 督:ティム・バートン
出 演:ジョニー・デップ、クリスティナ・リッチ、ミランダ・リチャードソン、マイケル・ガンボン、キャスパー・ヴァン・ディーン、イアン・マクディアミッド、マイケル・ガフ、クリストファー・リー、ジェフリー・ジョーンズ、マーク・ピッカーリング、リサ・マリー、クリストファー・ウォーケン、レイ・パーク 他
受 賞:【1999年/第72回アカデミー賞】美術賞(リック・ハインリクス、Peter Young)
【1999年/第25回LA批評家協会賞】美術賞(リック・ハインリクス)
【1999年/第53回英国アカデミー賞】プロダクションデザイン賞(リック・ハインリクス)、衣装デザイン賞(コリーン・アトウッド)

18世紀末、NY郊外の村・スリーピー・ホロウにて人間の首が切り落される猟奇連続殺人事件が発生する。科学的な捜査を信条とする市警捜査官のイガボットが派遣されるが、村人から自分の首を求めてさまよう伝説の首なし騎士が犯人と聞かされ…というストーリー。

T・バートン&J・デップの『アリス・イン・ワンダーランド』が公開中ということだが、そちらは観にいかないで、本作を観るという…。多分『アリス』はDVDで観るんだろうな(とてもバートンファンとは思えない発言)。

本作は5度目くらいの鑑賞で、なぜか何度も繰り返し見てしまう作品の一つなのだ。ゴシック・ホラーなんていわれるが、ゴシックというか画の中に漂う空気自体が灰色に感じるくらい。

今回はいつもと違う視点で…と思って観始めたのだが、なぜこれを私が好きなのか気付いてしまった…
私は金田一耕介シリーズが好きなのだが、本作と妙に共通点があるとは思わないか?時代遅れの田舎。因習に縛られた閉塞的な村。猟奇殺人。その解決の役割を担う若い男。一族への恨み。家族への愛憎。あやしい村人達。腹に一物を抱える妻。純真な若い娘。
違いは、この世のモノではない霊的な存在が実際にいるかいないかだけ。ヘタすりゃオマージュですか?リスペクトですか?って言いたくなるぐらい同じ。あとはパートナーが、変な小僧じゃなくってハナ肇で、最後はだまって立ち去ってくれたら、完璧だったろう。

本作のクリスティーナ・リッチを観ていたら、公開中の“アリス”の質感と共通点があるような。バートン監督の中にある、少女と大人の中間にいる女性像のアイコンなんだろうな(クリスティーナ・リッチがかわいくみえるのは本作くらい。他の作品ではちょっと気持ち悪いものね)。
また、その対比として、元パートナーのリサ・マリーがとても綺麗に写っているが、これはこれでバートン監督の中の母親像の投影なのだろう。あまりバカにはしたくないが、女性観としてはちょっと幼い感じがしないでもない。そういうバランスの悪さが、彼のいいところでもあるか。
しかし、その後、ヘレナ・ボナム=カーターが彼を略奪するわけだが(表現が悪いか?)、その後の作品にはリサ・マリー的な母親像はとんと出てこない。影響されやすい人なのね。

バートン作品では、あまり“情念”的な部分は強く出ていないことが多いが、本作と『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』は、そっち寄り。未見で横溝正史好きなら、お薦めする。どうぞ。

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image1476.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:123分  
監 督:ハウメ・コジェ=セラ
出 演:ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン、CCH・パウンダー、ジミー・ベネット、アリアーナ・エンジニア、マーゴ・マーティンデイル、カレル・ローデン、ローズマリー・ダンスモア 他
コピー:この娘、どこかが変だ。



3人目の赤ちゃんを運悪く流産したケイトは、その耐え難い苦痛から精神不安定となり、家庭の安定を脅かしかねない状況に。そこで夫婦は養子を迎えることを決意し、地元の孤児院を訪れる。そこで、聡明で大人びた少女・エスターに惹きつけられ彼女を養子として引き取ることにしたが、やがてエスターの恐るべき本性に気づいてしまい…というストーリー。

子供がいないというならわからないでもないが、すでに2人いるのに何でさらに養子を取らねばいけないのか。それも、小さい子ならまだしも、上の子を同じ年くらいというのが、まったく理解できない。

とにかく導入部の演出は回りくどいしテンポも悪い。妙に音で驚かせようという演出が続くのだが、それは映像的に驚かす演出が得意ではないからかも。効果的な演出で惹きつける力に欠けるようだ。内容としては100分くらいでおさまるはずなのに、ダラダラと無駄な演出が多い。

ロシアから来た少女が、アメリカの手話ができる。最後の最後まで、まったく父親が疑わない。等々、不自然極まりない無理なシチュエーションの連続で、次第に観る気が失せてくる。ネタバレになるので、はっきりいわないが、早い段階で、この映画のオチが読めてしまっていた。そうならないでくれ…と祈っていたが、どんどんその方向にするんで行く。ツライ。
さらに致命的なのが、“子供は絶対に死なない”というアメリカ映画の暗黙のアホルールのおかげで、息子が死なないのが判ってしまうという、このつまらなさ。そこまでくると、イライラするだけの三流ホラー。

もうすこし「エスターが何者なのか?」という部分に比重を寄せたほうがよかったのではなかろうか。

最後の方では、精神を病んでいる人の行動ではなく、明確な目的と強い意志をもった人間になってしまい、根本ルールも破綻してしまったように見える。うまくやれば、次々と色んな家に貰われて、次々と家庭を壊してくという珍しいシリーズになったかも。21世紀のジェイソンになったかもしれないのになぁ。せめて長男だけでも殺していれば、なんとかなったかもしれない。残念。
まあ、『ホースメン』よりは面白い。暇つぶしとしては充分だが、強く薦めはしない。

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image0130.png公開年:1973/2000年 
公開国:アメリカ
時 間:132分  
監 督:ウィリアム・フリードキン
出 演:エレン・バースティン、マックス・フォン・シドー、リー・J・コッブ、ジェイソン・ミラー、リンダ・ブレア、キティ・ウィン、ジャック・マッゴーラン、ウィリアム・オマリー、ルドルフ・シュントラー、バートン・ヘイマン、ピーター・マスターソン、マーセデス・マッケンブリッジ 他
受 賞:【1973年/第46回アカデミー賞】脚色賞(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)、音響賞(Chris Newman、Robert Knudson)
【1973年/第31回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、助演女優賞(リンダ・ブレア)、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、脚本賞(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)
コピー:この家の少女に 想像を絶する何かが起きている! すべてを託された男 《エクソシスト》の生命を賭けた闘いが--いま始る!
この恐怖を越えた映画はいまだ存在しない。禁じられた15分の未公開映像、挿入

学者でもあるメリン神父は、イラクの古代遺跡の中から悪魔パズズの偶像を発見し、不吉な予感に襲われた。一方、ワシントンに住む女優クリスの一人娘リーガンが、奇妙な声色で卑猥な言動を発し、表情も変貌していった。医学的検査では何ひとつ解明されず、症状は日増しに悪化。苦しむクリスは、カラス神父に救いを求めた。悪魔が取り憑いたとしか思えないカラス神父は、教会に悪魔払いを要請。到着したメリン神父と共に壮絶な悪魔払いが始まる…というストーリー。

私、映画が好きという割りには、結構、金字塔的作品を観ていない。本作もそのひとつ。さらに、何を考えていたのか『エクソシスト ビギニング』を先に見てしまい、何が何やら。改めて今回観てみたわけだが、初見なので、ディレクターズ・カット版だが、元とどう違うのかはわからないので、その点は解説できない。

本作といえば、女の子の首が回ったり、ブリッジ状態で階段下りたりとか、コントでパロディされるようなイメージしかなかったので、そういうシーンばっかりの映画かと思ったが全然違う。
ホラー系ではありがちな、ためてためてドーンみたいな演出は少ない。昨日の『ゲッタウェイ』と共通して、変に説明的な部分が無く淡々としているのだが、実に現実離れしている内容にもかかわらず、実社会の1シーンを切り取ったような印象を与えてくれる。ドキュメンタリータッチといってもいいくらいなのだが、これこそフリードキン監督の力か。

当時、欧米ではR指定されていたらしいが、それは反キリスト教(というかカトリック)な要素を含んでいるように見えるからだろう。ラストも、自己犠牲によって信仰を取り戻したとも取れるし、取りかたによっては悪魔が勝利したといえなくも無い。フリードキンもユダヤ人のようだし、話が中東からスタートするところからも深読みしたくなるのだが、純粋に内容だけをみれば、あからさまな批判の意図は感じられない。
それに、なによりホラーとカテゴライズされているくせに全然怖くない。公開から30年以上。宗教的にも恐怖への耐性的にも、世の中は変わった…ということなのだろう。

ホラーの金字塔といわれているが、ホラー的要素以外の部分が非常に評価できる名作だと思う。この緊張感は他のジャンルの映画作りにおいても参考にできるはず。未見の人は(少ないと思うが)観ることを薦める。ドッキリ&スプラッタ要素ばかりのホラーに慣れてしまった若い人は、そのノリで観ると不満に感じるかもしれないが、純粋に一つの映画として納得できると思う。

ちなみに、フリードキンが作った『エクソシスト2』、さらに原作者が『2』の出来栄えに不満を唱えて制作した『3』があるようで、そちらも観てみたくなった(たぶん、こいつらは経緯を考えるとイマイチに違いないはずだが(笑))。とりあえず、『ビギニング』のほうも再度、観てみよう。前より少しは意味がわかるだろう。

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image1200.png公開年:2002年  
公開国:アメリカ
時 間:93分  
監 督:トミー・リー・ウォーレス
出 演:ジョン・ボン・ジョヴィ、クリスチャン・デ・ラ・フエンテ、、ナターシャ・グレグソン・ワグナー、アーリー・ジョヴァー、ダリアス・マクラリー、ディエゴ・ルナ  他





味方を亡くしたヴァンパイア・ハンターが新たな仲間と共に、女吸血鬼をはじめとするヴァンパイア一味に立ち向かう…というストーリー。

会社の人が、ジョン・カーペンターのDVD-BOXを購入したということで、未見の作品を貸してもらった。そのうちの1本。
あまり情報を持たずに観始めてしまったのだが、後から調べてみると、まず、本作は、『ヴァンパイア/最期の聖戦』というジョン・カーペンター監督作品の続編で、彼は監督ではなく製作総指揮(それも連名)であった。
ジョン・カーペンターは、自分の作品では脚本から音楽までやってしまうくらいの人なので、続編なので名前だけ出しておいただけで実際は一切製作にはノータッチだと考えていいだろう。予想だが、製作側がジョン・ボン・ジョヴィの映画をつくろうとおもって、引っ張り出されたように見える。

とはいえ、低予算職人ジョン・カーペンターのノリは引き継いでいて、CGはもちろん撮影後の特殊映像効果などは加えられていない。それが良さに見えるかチャチにみえるかは微妙なところで、1989年作品ですといわれれば納得するが2002年作品と言われると、もうちょっとどうにかならないかと思わざるを得ない感じ。

ジョン・カーペンターの脚本というのは、いくら低予算かつグロテスクであっても、その底辺には実人間社会に存在する疎外感や人の心のゆがみなどが投影されているのだが、本作はあくまで設定をいただいただけで、そういう感性は引き継いでいないようだ。まあ、続編もなにも、まず私は前作を観ていない(笑)ので、設定をちゃんといただいているのかどうかも評価できないのだが…。

だが、前作があることにも気付きもせず、というか何の違和感もなく観終わった。それはおもしろかったと言う意味ではない。深夜に放送するのも、ちょっと厳しいレベルかもしれない。むしろ深夜放送なら、逆につっこみ放題のつまらなさ満載で珍作と思われるくらいのほうがよいのだが、本作はあまりにも凡作すぎ。日本未公開なのもわかる。よって、日本語吹き替え音声はついていないのだが、またもや、それがつらいところ。結構、細かい編集が多いので、字幕を追っていると、見にくい部分がある。

ジョン・ボン・ジョヴィが大好きで仕方が無いという人以外は、観る必要はないと思う。

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ecc35ce9.Png公開年:2001年  
公開国:アメリカ
時 間:113分  
監 督:リチャード・ケリー
出 演:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マローン、メアリー・マクドネル、ドリュー・バリモア、パトリック・スウェイジ、ホームズ・オズボーン、キャサリン・ロス、ノア・ワイリー、ベス・グラント、マギー・ギレンホール、デイヴィー・チェイス、ジェームズ・デュヴァル、スチュアート・ストーン、ゲイリー・ランディ、セス・ローゲン、リー・ウィーヴァー、スコッティ・リーヴェンワース、フィリス・リオンズ  他
ノミネート:【2001年/第17回インディペンデント・スピリット】主演男優賞(ジェイク・ギレンホール)、新人作品賞、新人脚本賞(リチャード・ケリー)
コピー:死んでいるのか? 生きているのか?
     「世界の終りまで、あと28日6時間42分12秒」

ある晩、高校生ドニー・ダーコは、現れた銀色のウサギに導かれにフラフラと家を出ていくと、あと28日6時間42分12秒で世界が終わると告げられる。翌朝、ドニーはゴルフ場で目を覚まし、帰宅すると、ジェット機のエンジンが落下していてドニーの部屋を直撃していた。その日から彼の周囲では、不可解な出来事が次々と起こり始める…というストーリー。

ドリュー・バリモアが脚本に惚れ込み製作総指揮として参加しており、サンダンス映画祭で「メメント」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」とともに話題になった作品らしい。

確かに、なかなか他にはないストーリー展開だ。オカルトか、サイコか、SFか、青春モノか、いくら観進めていっても、どういう展開になるか、全然読めなかった。悪い意味で、いっているのではなく、目がはなせない、いいシナリオだと思う。

ただ、タイムリミットが設定されている映画なので、そろそろ最後の方向性が見えてくるなぁ…というころになってくると、どの展開になっても、面白く終わらせるのが難しいことに気付くだろう。そして案の定、それは的中し、残念ながら、本作のシナリオは破綻する。

ネタバレになってしまうが、

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image0008.png公開年:2003年  
公開国:アメリカ 
時 間:90分  
監 督:ジェームス・マンゴールド
出 演:アリアンヌ・フィリップス、ジョン・キューザック、レイ・リオッタ、アマンダ・ピート、ジョン・ホークス、アルフレッド・モリーナ、クレア・デュバル、ジョン・C・マッギンリー、ウィリアム・リー・スコット、ジェイク・ビジー、プルート・テイラー・ビンス、レベッカ・デ・モーネイ、カーメン・アルジェンツィアノ、マーシャル・ベル、マット・レッシャー、ホームズ・オズボーン、フレデリック・コフィン、スチュアート・M・ベッサー 他
コピー:ここに集まったのではない。ここに集められたのだ。

激しい豪雨の夜、郊外のモーテルに、交通事故で大ケガをした妻アリスを運び込む男ジョージが舞い込む。救助を要請するが豪雨のせいで電話は不通。アリスをはねたのは女優キャロラインの運転手のエド。エドは助けを呼ぶために病院へ車を走らせる。途中で車が故障した娼婦パリスを乗せ、病院へ向かうが、道路が冠水しており引き返すことに。さらに引き返す道で新婚夫婦ルーとジニーの車も合流。4人はそろってモーテルへと向かうのだが…というストーリー。

ジェームズ・マンゴールドは「17歳のカルテ」の監督だ。狂気の匂い的な部分は共通していなくもないが、同じ監督と感じさせる部分はほぼ無いように思える。雇われ監督的な仕事だったかも。まあ、その点は、この映画のイイところとは無関係なので、気にしなくてよいだろう。

この作品は、紹介するのが非常に難しい。その理由は『シックス・センス』と一緒。“星新一”的というか、オチを説明せずして作品のエッセンスを語ることが容易ではないから。でも、私はとても好きな作品で、見終わったとき(というか意味が判ったとき)のカタルシスは、『シックス・センス』以上だったかも。

(以下ネタバレ)
なぜなら、私は『24人のビリー・ミリガン』(書籍)や『ファイト・クラブ』が大好きだから。
『24人のビリー・ミリガン』は解離性同一障害(多重人格)の症例を紹介した本だが、その後半では、複数の人格が統合される様子が書かれている。もっとも同書では、その場面はぼんやりとしたイメージで表現されているだけなのだが、それに着想を得てたのは、間違いない。でも、パクりという以上に、大きく昇華できている。いい膨らませ方だと、評価していいだろう。正直、やられた!と思ってしまったくらい。

一部、気になる点はある。それは、解離性同一障害の症例として、こんなのはありえるのか?という部分。複数の人格は、小学生くらいのが一人、あとは成人した人格が多数である。分離した人格の年齢は、分離した時点の年齢になりそうなものなのだが、そうならば、小学生くらいに一度分離した後、成人するまで分離は行われずに、相当成人してから何度も繰り返し分離したことになる。また、現実の患者よりも年齢が上なのでは?と思える人格も存在するが、そういうことも在り得るのか?

このような点を度外視したとしても、この仕掛けと、最後のオチで、十分楽しめると思うので、強くお勧めする作品である。犯人はだれだ?実は自分だ…的な作品が頻発した時期があって、食傷気味になっている方も多いだろうが、そういった作品群からは、頭一つ抜き出ていると思ってよい。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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