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image0518.png公開年:2006年
公開国:アメリカ、日本、カナダ、フランス
時 間:126分
監 督:クリストフ・ガンズ
出 演:ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ、ターニャ・アレン、アリス・クリーグ、ジョデル・フェルランド 他
コピー:その街では、祈りさえも、悲鳴に変わる――



毎晩悪夢にうなされ、夢遊病のように歩き回る9歳の娘シャロンに悩まされているローズとクリストファー夫婦。シャロンがいつも口にする“サイレントヒル”という言葉。ある日ローズは、ウエストバージニアにサイレントヒルという町が実在することを知る。その街は、30年前に炭鉱火災が原因で町中が大火災に見舞われ、今はゴーストタウンとなっていた。シャロンがその町のことを知っているはずはないのだが、解決の糸口があるかもしれないと、夫にだまって娘をつれてサイレントヒルに向かうのだった。サイレントヒルへ向かう道は封鎖されていたが、無理やり突破。しかし、その後、事故をおこしてしまい気を失ってしまう。目を覚ますとシャロンの姿は消えており…というストーリー。

異世界に紛れ込んだことが明白なので、リアルなホラー表現を期待していた人は、求めていたものと離れてしまって途中で飽きるかもしれない。現実だと錯誤させる時間をもうすこし長めにできると良かったとは思う。

しかし、ローズたちを襲ってくるモンスターたちのデザインや、灰が降る世界観など、ノリと雰囲気を重視した作品。さすがベースがゲーム。これにノリ切れれば非常に愉しめるはず。私は愉しめた。三角頭さんとか、なんでそんなデザインやねん…って思うけど魅力的だもん。
謎解きも、判ったような判らないような、とりあえず場面を進めるための鍵の連続であり、ストーリーに深く根ざした謎ではない。ここもゲーム的。

復讐の視点に、極めて“日本臭”が漂う。煉獄の概念自体はカトリックのものなのだが、自分が死んだことにも気付かず、永遠に愚かな存在であり続けるという地獄の様態は、日本の地獄の概念に近い。もしかすると、欧米人は逆にピンとこなかったかもしれない。

で、シャロンはアレッサの子なのか、本当に人ならざる力によって生み出された存在なのか。
単に孤児院の前に置かれていた子というだけ、そしてたまたまアレッサに似ていたというだけならば、あそこまで孤児院の修道女や町の人間がタブー視することもないと思うし。その辺はすっきりしない。

さて、ローズとシャロンは夫の所にもどれるのか…。ここが賛否両論分かれるところだと思うし、それまでのハリウッド映画にはみられない流れだと思うし、やっぱり日本的だと思う。
対して、復讐時の、茨のように這いまわる有刺鉄線による惨殺シーンは、アメリカンホラー直球の演出で、それらの融合が実に味わい深いものになっていると思う。

最後、車にもどった娘シャロンは、指をしゃぶる。白シャロンと黒シャロンが融合して新たな(本来の)シャロンに生まれ変わったので、もう一度赤ん坊からやり直す…というわけだ。見事、二人はサイレントヒルを脱し家に帰るが、そこは現実とは異なる世界。二人はまるで自縛霊のようになり(ここも日本的な表現)、延々と親子の生活を繰り返すという、ある意味地獄を永遠に味わうのだろう。人を呪わば穴二つを地で行くオチである。
視点を変えれば、昨日の『ペントハウス』のように他者への献身で、満足に至っている様子にも見える。

以前、観たときはそれほど良いとは思わなかったのだが、今、改めて観ると、なかなか良い出来映え、良い味わいがあった。もう一度観てみては?
#ブルーレイの精緻が画質でみたいかも。

 

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image1930.png公開年:2010年
公開国:カナダ
時 間:102分
監 督:イーライ・クレイグ
出 演:タイラー・ラビーン、アラン・テュディック、カトリーナ・ボウデン、ジェシー・モス、フィリップ・グレンジャー、ブランドン・ジェイ・マクラレン、シャーラン・シモンズ 他





トイレ設置業者のタッカーとデイルは親友同士。二人はこつこつお金を貯めて、念願の別荘を購入。バカンスをその山小屋で過ごそうと森へ向かう。その途中、キャンプにやってきた大学生のグループと遭遇。デブでヒゲ面でまったく女性に縁の無いデイルはグループの女子に興味津々。どうせ自分なんか…と諦めようとする彼を、「人生は短い、勇気を出して笑顔で話掛けてみろ」と励ますタッカー。勇気を奮って近寄るデイルだったが、荒くれ者みたいな風貌で大きな鎌をもって近づいたものだから、大学生たちは殺人鬼を勘違いして逃げ出してしまう。ガッカリしつつも、気を取り直して別荘へ向かう二人。いい気分のまま夜釣りに出かけると、そこには水辺で遊ぶさっきの大学生たちが。しかし、その中の一人の女子が溺れてしまったことに気付き、助けるタッカーとデイル。しかし、その救出の場面を見た他の大学生は、拉致されたと勘違いし逃げ出してしまい…というストーリー。

ジャケット画像はまるでコメディ。私も、気分転換に軽いコメディを…と思って借りたのだが、全然違った。

山男というか犯罪者というか、とにかくあぶない風体の二人組みなのだが、気持ちはピュアな二人。デブのデイルにいたっては、くまのプーさんばりの優しさで、実際に“妖精”さん。そこに、ホラー映画ではおきまりの、キャンプにやってきた大学生。アンジャッシュのコントみたいに、二人を殺人鬼と勘違いするネタをずっと展開して、結果的にコメディになっていくのかと思っていた。

確かに、序盤はホラーになる気配すらなく、中盤になってもホラーになりそうでならない寸止め状態が続く。むしろ、大学生側のヒロイン役の女の子とデイルの関係にスポットがあたりはじめ、ラブコメディの要素まで臭ってくる。ところが、しっかりと裏切ってホラー作品になるのだ。
おお、やっぱりやっちゃうのかよー的なメタな視点と、どこまで踏み込むのかわからない感じ。それに加えて、主人公デイルと女子大生のグローイングアップストーリーがウマく絡み合う。この、シチュエーションコメディとホラーの絶妙な融合は他に類を見ない。

おいおいおい!って感じで人は死んでいくんだが、明らさまなコメディ調ではなく、しっかりホラー的に死んでいく。小屋の柱のくだりとか、まあ判りやすい伏線なんだけど、くだらねぇ…ではなく、あ~あ~と思わせてくれるのは、決してコストがかかっているわけではないのだが十分なクオリティの特殊メイクのなせる業。

あまり語りすぎるとおもしろくなくなるので、これ以上言わない。落とし所が見えないので、先読みがしにくいというホラーとしては秀逸な出来映え。これは秀作だと思う。是非観て欲しいお薦めの作品。
#これは今年の大晦日にでも、TV放映すべき。絶対ウケる。各局、放映権を争奪すべし!

 

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image1912.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:ジョン・カーペンター
出 演:アンバー・ハード、メイミー・ガマー、ダニエル・パナベイカー、ローラ=リー、リンジー・フォンセカ、ミカ・ブーレム、ジャレッド・ハリス 他





1966年。20歳のクリステンは、身に覚えのない放火の容疑で逮捕され、そのまま精神病院に収容される。そこには、自分以外に同年代の女性が4人収容されていた。クリステンは、自分に異常なところがあるとはとても思えず、納得ができないまま初日の夜を迎えるが、何者かの気配を感じ、ますます不安を募らせる。他の患者は、汚れたぬいぐるみを片時も離さずいつも怯えているゾーイ、振る舞いが派手で奔放なサラ、絵を描くのが得意なアイリス、いつも歌を口ずさんでいるエミリー。自分は異常ではないと思っているが、記憶が欠落していることに気付きはじめるクリステン。治療が進行するほど、不気味な何者かの気配を感じることも多くなり、いよいよ収容されていることに危機を感じた彼女は、他の患者と一緒に脱走を試みるのだが…というストーリー。

『遊星からの物体X』のジョン・カーペンター様の久々の作品。音楽が、過去のジョン・カーペンター作品らしさを彷彿とさせてくれる。いかにもな自分らしさを出せているのがすごい。

はじめっからB級臭満載。なんだこれ。ありがちな普通のホラーじゃんか。多くの人はそう思うだろう。
亡霊の仕業だ…とか、医者とか看護婦とかが実は…とか、別の患者が実は…とか、クリステンが多重人格で…とか、誰かがこの病棟に潜んでる…とか、もうそんなありきたりなパターンに決まってるじゃん……、、、あれ、色々予想は挙がるけど、これだな…って確定はできない。ありがちな演出ばかりの波状攻撃で、逆にどういうオチなのか判らなくなっている。これって、案外、高等テクニックなのでは?と気付くと、感心しきり。

“監禁病棟”なんてお色気路線みたいな邦題だけど、そんなシーンは皆無。けっこう正統派なB級ホラー。変な表現かもしれないけど、そうとしか言いようがない。とにかく、予算はかかってないのは明白。

(以下ネタバレ)

結局は『アイデンティティ』そのままだった。
はじめは、なんでわざわざ舞台を60年代にしたのか疑問だったんだけど、もし時代設定を現在にしていたら、オチは読め易くなっていたと思う。なんでもおこり得そうな空気を出すには、ちょっと昔の設定にしたのは効果的だったと思う。

結果的にはベタベタなオチなのに、何かそこに落ち着いたこと(奇を衒わなかったこと)で安堵を覚えてしまうという、不思議な作品。ベテランのなせる業か。絶対多数の人は低い評価をくだすと思うが、先が読めた気にさせておいて、実は読めていないという、観客の泳がせ方に対して好評価をしてみたい。

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image1898.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:106分
監 督:クレイグ・ギレスピー
出 演:アントン・イェルチン、コリン・ファレル、クリストファー・ミンツ=プラッセ、デヴィッド・テナント、イモージェン・プーツ、トニ・コレット、デイヴ・フランコ、リード・ユーイング、ウィル・デントン 他




オタクだったチャーリーは、学校一の美女エイミーと付き合うためにオタクを卒業。見事に彼女を恋人にして充実した日々をおくっていた。そんなある日、チャーリーの隣の家にジェリーという男が引っ越してくる。オタク時代の友人エドは、最近数多くの学生が失踪しているのは、ジェリーがその犯人だと主張したが、相手にしないチャーリー。しかし、そのエドも失踪してしまう。相手にしなかったことを心苦しく思うチャーリーが、エドの部屋を調べると、ジェリーがバンパイアであるらしい証拠を発見する。ところが、母もエイミーもチャーリーの警告を信じないため、ラスベガスのショー“フライトナイト”でヴァンパイア・キラーを演じるピーターに助けを求めるのだったが…というストーリー。

1985年の『フライトナイト』のリメイク。オリジナルとの違いが実に興味深い。あらゆる設定変更やストーリー変更がウマく効いているのだ。ここまで的確にリメイクできている例はめずらしいかも(まあ、オリジナルが、シナリオのセオリーをかなりハズしているだけ…っつー話もあるんだけど)。

オリジナルで隣家に住むのは男二人だった。大してストーリーに貢献しておらず、味のある存在でもなく、メリットは薄かった。それを一人に変更。実にすっきり。
母親の処理。途中でストーリーがダレぎみになったところで、バトルシーンを設け、同時に母親に画面から消えてもらう流れに。なかなか巧み。
オリジナルの恋人は、さほどかわいくもないのに自分からバンパイアの親父を受け入れてしまうというビッチっぷりを発揮。そんな“汚れ”なら死んでしまえ!とすら思わせるのを、コントロールされて仕方なく…に変更。とりあえずまともな形でヨリが戻る。ディズニー配給ってこともあるし、さすがにオリジナルのままじゃね。
手助けしてくれる人が、オカルト好きなおじいさんから、インチキイリュージョニストに変更。終盤のバトルが、じいさんのモタモタで興醒めするのを避けたってことだろう。これも正解。
オタクの友達の処理。オリジナルは、別に仲違いしたわけでもないのに敵対関係になってしまうという、見も蓋も無さだったが、敵対する理由をつけ意味のある対立軸になった。

とにかく3Dのホラー作品ということで、疾走感がすべてだと思ったのだろう。引っかかる部分や変なの…と思わせる部分は徹底的に排除されており、それらが非常に功を奏していると感じる。どうせ大したものではなかろうと半分馬鹿にしていたけど、大変楽しめた。佳作。

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image1888.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:アレクサンドル・アジャ
出 演:エリザベス・シュー、アダム・スコット、ジェリー・オコンネル、ヴィング・レイムス、ジェシカ・ゾー、スティーヴン・R・マックイーン、ケリー・ブルック、リカルド・アントニオ・チャビラ、ディナ・メイヤー、ポール・シェアー、ブルックリン・プルー、ブライアン・クーバッハ、グレゴリー・ニコテロ、イーライ・ロス、クリストファー・ロイド、リチャード・ドレイファス、セイジ・ライアン、ライリー・スティール、コーディー・ロンゴ、デブラ・コーウィン 他
ノミネート:【2011年/第20回MTVムービー・アワード】恐怖演技賞(ジェシカ・ゾー)

アメリカ南部にあるヴィクトリア湖。真夏のイベントに若者たちが押し寄せ大賑わい。そんな中、地震が発生し、地割れによって太古に密閉された洞穴が露出。その中に潜んでいたピラニアのような魚が大量に湖に流入する。地割れが生んだ渦に、一人の老人マシューが乗ったボートが巻き込まれ転覆すると、そのまま魚に襲われてしまう。女性保安官のジュリーは、毎年恒例の若者たちの乱痴気騒ぎにうんざりしつつ、行方不明になったマシューの捜索を開始。夜の浜辺でかみ殺されたようなマシューの遺体を発見したジュリーは、海洋学者の調査団に協力を依頼する。一方、ジュリーの息子ジェイクは、湖へ繰り出したいが、弟妹の子守を命じられうんざり。そんな時に、陽気なポルノ映画監督にロケ地のガイドを依頼されたジェイクは、弟妹に口止めをして帯同してしまい…というストーリー。

エログロ要素はもちろん、くだらね~って部分が多すぎて乗り物酔いみたいな感覚になる。めまいがするほどくだらないって、もう、褒め言葉だよね。これが3Dっていうんだから、劇場で観た人は、いっそう酔ったに違いない。飛び出してくる色んなものが、すべてエロいんだろ?もう馬鹿企画の極み。

いけすかないヤツに、死亡フラグ。実に、わかりやすい。ほんと、“人がゴミのようだ”状態。絶対子供は死なないのは判ってるんだけど、力が入っちゃって、すんげー首と肩こった。主人公のジェイクが、ポルノ女優の方に傾いたら、同級生が死んでたのかな?(笑)。DVDはマルチエンディングにするってのも、おもしろかったのでは?

ボートのエンジンスクリューで魚を切り刻もうとする黒人保安官。なんで、そこまで頑張るのか、いやその位置で頑張る意味がまったく意味不明。無駄死にするなよ(笑)。 そう、いけすかないヤツだけじゃなく、馬鹿も死ぬんだよね。この映画。
#あれ、こいつの声、出川か?

地味に魚に喰われる以外の死に方をしてる人が多くて、ますますカオス状態。ワイヤーがピュン!で真っ二つとか、『ゴーストシップ』かよ。ヌードとかはセーフ、血しぶきもセーフ、でもアレが漂って喰われて吐かれては、下品のラインを越えてるかな。

まあ、モラリストの私としては(笑)認めたくないけど…、怪作であり快作だわな。
#なんで、ドクが魚の解説してるの~~!?。

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image1874.png公開年:1956年
公開国:メキシコ
時 間:80分
監 督:フェルナンド・メンデス
出 演:コルンバ・ドミンゲス、ウォルフ・ルヴィンスキス、カルロス・リケルメ、クロクス・アルヴァラード 他





メキシコ・シティで、死亡したプロレスラーの死体が墓場から盗まれ、さらに頭に手術跡を残して発見されるという事件が発生した。メキシコ警察は、近隣各国の警察機関から情報を集め、何者かがスポーツ選手の死体を盗んで同様の手術を繰り返していることをつきとめる。この事件の担当になったロブレスは、メキシコ・シティにあるスポーツ施設に警察官を配置したが、その警戒網を潜り抜け、プロレスラーが殺害され死体を運び出されてしまう。追い詰められたロブレスは、親友のギレルモを屈強な覆面レスラーに仕立て上げ、犯人に狙わせるために囮にして捕まえようとするが…というストーリー。

レトロなジャケットと見世物小屋的なタイトルに気を惹かれレンタルしたのだが、もちろんキワモノだと思ってまったく期待はしていなかった。どちらかといえばとことんトンデモであることを期待。冒頭の墓から死体を盗むシーンは、それこそエド・ウッド臭がプンプンしていたのだが、意外や意外、観られる作品だった。

出演しているルチャドールはおそらく本物の方々で、これがなかなか見ごたえがあるしっかりとした動き。
プロレス自体がそういうものではあるのだが、それにしても、しっかり演技もして、スムーズにガッツリアクションに入れるのは、すばらしい。

刑事とレスラー志望の旧友に、プロレス事務所で働く事務員の女性というキャラ配置も良いし、事件との絡め方もうまい。マッドサイエンティストの犯行模様が、結構ベタベタだけどドキドキで見ごたえがある。時代を考えれば、アクション要素、サスペンス要素が、うまく融合した作品になっていると思う。
ハゲ頭のゴリラ男の特殊メイク(?)にトホホ状態だったが、その後に感情に高揚にあわせて変態するというギミックはなかなか効果的で、当時の技術、それもメキシコってことを考えると、なかなか頑張ったデキだと思う。

しかし、せっかく鑑賞に堪えうる作品だったのに、次の二点で台無しに。
1点目は、手術の内容がピンとこない。さすがにゴリラと脳を交換したら、その精神はゴリラだろう。恋人の家に行くのは違和感がある。この手術は脳幹はゴリラの物を使ってるけど、その他は人間のを使っているから記憶は人間なんだよ…とか、無理やりながらも納得できる説明があればね。この点は時代もあるので許容したいところだが、今観る分にはやっぱりキビシイ。

2点目は、致命的で、無理やりキングコングと同じようなオチにして、同じような効果を狙っている点。等身大のゴリラ男が出現して、。市民は逃げまどうもののそれほど大事か?という感は否めない。女性をさらったところで、それほど救出は難しくもなく、実際あっさりと狙撃されておしまい。やはり、人間としての部分がかなり残っていて、殺すのを躊躇してしまう展開など、関係者が苦悩する部分がすっぽり抜けているのが、よろしく無い。

とにかく息切れして尻すぼみしてしまった残念な作品で、わざわざレンタルして観るような作品ではなかった。
劇中の日本語は、間違っているわけではないが、語彙のチョイスや言い回しがおかしくて、移民二世とかがやっていると思われる。WW2前後の中南米への日本人移民の浸透度が伺え、資料的な価値はあるかも。

 

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image0904.png公開年:2005年
公開国:ベルギー、フランス
時 間:103分
監 督:ヴィンセント・ラノー
出 演:カルロ・フェランテ、クリスティーン・グルロワ、ステファン・リベルスキー、オリヴィエ・グルメ 他





家具店を経営するジョージは、いたって平凡な父親。しかし、ある晩、高速道路でドライブ中のカップルとトラブルを起こし、諍いの末に男性を殺害してしまう。犯行が発覚することを恐れたジョージは、自分が所有する山小屋付近に男性の死体を埋める。しかし生きている女性の方を解放するわけにいかず、山小屋に監禁することに。しかし、彼が仕事にいっている間に、逃走を図ったことから、女性をトランクにいれて常に近くに置いておくという、生活を送ることにするのだった…というストーリー。

邦題は“変態男”だけど、現代はTHE ORDINARY MAN“普通の男”って、真逆のタイトルじゃん。どういうこと?

冒頭からなかなかエグい暴行シーンから始まるが、このお父さんが犯人なのか?いやぁ、そんな単純な展開ってことはないだろう。むしろ救う側のほうなんじゃないの?なんて思っていたのだが、そのまま犯人だった。
車でトラブルになったってことらしいんだけど、話の中では、犯人の車が一方的に粘着して追い詰めただけのように見える。結局、全然動機がわからない。シリアルキラーってわけではなさそう。いずれ明かされるのかと思ったが、結局明かされることはなかった。

女性が山小屋から逃げるシーン。犯人らしき人がいたから逃げました→逃げられたのに大声出しちゃう…とか、チグハグな演出のオンパレード。
娘に安易に車の鍵を渡しちゃうとか杜撰にもほどがある。見られたらじゃあ娘も…的な感覚はさっぱり理解できないし。この犯人が何を守っているのかわからん。家族や社会的立場を守っているわけでもなさそう。さっぱりこの犯人の感覚が理解できない。いったい誰目線でこの作品お観たらよいのやら。

そうこうしているうちに、もう、観客はおいてけぼりになる。なんとトランクで監禁されている女性が、快適に過ごし始めたではないか! 刑事のホモ描写とかが、突然差し込まれる。何の意味が?! 突然、回想のような夢のシーンが差し込まれるが、子供のことの記憶なのか何なのか、さっぱりわからない。

こんなヤケクソな邦題を付けたくなる気持ちがわかってきたかも…。

凍死しそうだからって、これまでのルールをあっさりやぶって家に入れるとか、もうグチャグチャでグダグダ。斜め上というか斜め下というか、とても常人の感覚では思いつかない展開。
浮気相手の男は、なんで銃をかまえている女ではなく、男を躊躇なく撃ったのだ? あの状況なら女を狙うのが普通じゃないのか? その疑問がホットなうちに、あれよあれよとラストを迎えるのだが、なんだこのオチ。頭おかしくなりそうなんだけど。

私、これまで何千本と映画を観てきてるけど、こんなに頭がおかしくなりそうになって、吐き気を覚えた作品は初めて。ぎゃ~~~~~~~~~! 殺害シーンとかで吐き気をもよおしたんじゃないから。純粋に展開で頭が狂いそうになるから。

観ただけで脳挫傷を起こすくらいのクレイジー具合。マジキチとは正に本作のこと。こりゃ、日本未公開なのも納得。

 

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image1825.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:トム・ホランド
出 演:クリス・サランドン、ウィリアム・ラグズデール、ロディ・マクドウォール、アマンダ・ビアース、スティーヴン・ジェフリーズ、ジョナサン・スターク、ドロシー・フィールディング 他
ノミネート:【1986年/第14回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】ダリオ・アルジェント賞
コピー:闇夜 それは人間のものではない

高校生チャーリーの隣家に二人の男が引っ越してきた。チャーリーは、男達が何故か家に棺桶を運び込んでいるのを目撃し、不審に思うのだった。そして、彼らが引っ越してきた直後、近隣では殺人事件や行方不明事件が頻発する。ある晩、チャーリーが自室から隣家の窓を見ると、男が女を殺害しようとしている。見間違いかと思ったが、翌朝、遺体を目撃。チャーリーは警察に「隣家の男達が犯人で、彼らはヴァンパイアだ」と主張するが、相手にされない。その夜、隣家の男の一人が、チャーリーの家を訪れ、チャーリーにある取引を持ちかける…というストーリー。

青春モノとヴァンパイアモノがミックスした、ある意味、古典的なホラー映画。
若者というだけでなく主人公の相当なアホっぽさで、いきなり「この人はヴァンパイアだ」なんて言ったら、逆に信じてもらえなくなることくらい判りそうなものなのに、一人興奮して、信じてもらえずムッキー!ってなっちゃって、ありがちなんだけど微笑ましさすら覚えるレベル。DVDパッケージの画像のイメージとは異なり、けっこうライトな内容。

なんとなく勢いで展開するのだが、実のところ、このヴァンパイアが何でこんなことをしているのか、目体はイマイチはっきりしない。
女性は殺害されているようなのだが、男性はヴァンパイア化したり。でも最後、ジェリーはヴァンパイア化しちゃう。ヴァンパイアさんのさじ加減でどうにでもなるみたいだけど、境目がよくわからんし(笑)。ヴァンパイアさんは、なぜかエミリーを気に入ったご様子で、お仲間にしたかったってことなんだろうけど、
で、そのエイミーがヒロインらしく抵抗を見せるのかと思いきや、ヴァンパイアさんの男に魅力にあっさりと屈するビッチっぷりを発揮してくれる。

エイミーのヴァンパイア化が進む中、ヴァンパイア男二人はなぜか棺桶の中に土を挿入。何やってんだかわからん(笑)。
最後、日光が勝利に鍵になるんだけど、これまで、そんなに日光を嫌っていなかったのに、なんで最後だけあんなに過剰に反応するのやら(笑)。

ホラーのお約束展開を外さず、正統派ホラーといってよいほど。じゃあ、おおよそ展開なんか想像がつくよね?確かにそうなんだけど、何故か飽きない不思議。じゃあきっと、魅力のあるキャラクターが満載なんじゃないの?いやいや、全員けっこう薄っぺら。深夜のB級ホラー番組のホストを務める役者が、ユニークなキャラっていえばそうなんだどさ、知識を発揮するとかそういうわけでもないし、武器は自前の小道具だしね。

十字架の効果は、十字架を信じているかいないかだ!(キリッ!)って、一回、効果があるのを見てるんだから信じてるよね(笑)。信仰のことを言ってるの?違うよね。もう、ディテールの整合性とかふわっふわしまくり(笑)。

ファンが余興感覚でつくったんだけど、意外といいクオリティになっちゃった…みたいな感じ。これ、エド・ウッドの正統進化系かもしれないな。山のようなジャンクフードと、コーラとビールをガブ飲みしながら観る作品。(笑)マークだらけの文章で、なんとなくわかるでしょ。



負けるな日本

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image0609.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ダニエル・アティアス
出 演:コリー・ハイム、ゲイリー・ビューシイ、ミーガン・フォローズ、エヴェレット・マッギル、テリー・オクィン、ロビン・グローヴス、レオン・ラッサム、ビル・スミトロヴィッチ 他
ノミネート: 【1986年/第14回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】参加作品



アメリカの田舎町ダーカーズ・ミルズで、満月の夜になると残虐な殺人事件が連続発生。車椅子の少年マーティは、犯行が狼人間の仕業であると気付くが、大人たちは誰も信用してくれない。町が深夜外出禁止となっている中、こっそり家を飛び出し、叔父がくれた花火で遊んでいると、狼人間と遭遇。ロケット花火で逆襲し、何とか逃げ帰ることができたが、狼人間が町の誰かだと睨んだ彼は、姉にそのことを打ち明け、顔にロケット花火による火傷の跡がある人間を捜し始める…というストーリー。

何か異界のものが襲ってくる…とか、襲われる側にも鬱屈した人間関係や家族問題、地域社会の問題を抱えているなど、キング作品の常套パターンだと思う。

でも、ロケット花火でダメージがあるんだから、普通の銃でも殺せそうなもんだけどね…とか、保安官につっかかるような人間にはわかりやすい死亡フラグが立つのかな?とか、チャチに感じる部分が多い。
なんとなく、原作の通りに映像化したように感じられるのだが、キング作品はそのまま映像化するときは、1枚も2枚も別設定やサブストーリーを加えたくらいじゃないと、映画全体が薄く感じられてしまう。調味料が、4種も5種も足りてない感じ。
#キングは、いつも自分の作品が映画化されるときに文句をつけるんだど、そうしないとおもしろくならないことを早く自覚して、文句つけないようにしないとイカンよね。

冒頭、主人公とおぼしき弟ではなく、姉の回想ナレーションではじまる。ということは、弟は、大人になる前に死んだり…とか、この話の中で死んじゃったりするのかな?なんて考えてしまうのが普通だと思う。しかし、おそらく大人になったであろう姉のナレーションには、何も意味もなくて、さらっと終わるのだ。そんなこと許されるのか?と腰が抜けた。センスなさすぎ。

怪物の特殊メイクもあまりにもチャチで、結果として、子供向けのホラーレベル。夏休みの夜に小学校低学年の子供と観て安心のクオリティ。大人が是非モノで観るような作品ではない。




負けるな日本 

 

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image0233.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ルイス・ティーグ
出 演:ドリュー・バリモア、ジェームズ・ウッズ、アラン・キング、ケネス・マクミラン、ロバート・ヘイズ、キャンディ・クラーク、ジェームズ・ノートン 他





友人の薦めで禁煙支援を行うとあるクリニックに通院することになった男の周りでまきおこる出来事の話。マフィアの妻と浮気をしていた男が、その夫からとある“ゲーム”を提案される話。夜な夜な少年の部屋を襲う小鬼と、少年を守ろうとする猫の話。スティーヴン・キング原作・脚色による3話のオムニバス・ホラー。

はじめの禁煙クリニックの話は、星新一っぽい内容。この禁煙クリニックの話は猫が逃げたところでさらっと終了。なるほど、猫を狂言廻しにして、オムニバスが繰り返されるっていう手法か。

冒頭のマネキンのHELPのくだりは、いかにもキングっぽいけど、このマネキンと猫のやりとりが、禁煙クリニックとどういう関係が?としばらく不思議に思っていたが、最後の3本目の話に繋がるんだな。

2本目の話は、誰でも高所は怖いよね…っていう、本能的な部分に訴える作品。まあ、ベタベタながらも手に汗を握ってしまったよ。ある意味、ちょっとずるい作品。ヒネリは全然ないけどね。

…と、ここまでの2本はまあまあ鑑賞に堪えるんだが、3本目の小鬼の話がイマイチ。ちょっと趣が違いすぎるんだよね。このレベルのストーリーなら、4・5本くらいの波状攻撃でやってもらって、やっと鑑賞に堪えるレベルになるかな…と。ホラーとカテゴライズするのが憚られる。
なんかTVムービーレベルのデキなんだけど、劇場公開作品みたいだね(日本では未公開だけど)。キング原作だからといって、大きな期待は絶対に抱いてはいけない作品だ。レンタル料金が100円だったとしても、妥当な料金だと思えるか微妙な出来映え。お薦めしない。

#音楽が『幻魔大戦』みたい。



負けるな日本

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image1763.png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:アレクサンドル・アジャ
出 演:キーファー・サザーランド、ポーラ・パットン、エイミー・スマート、メアリー・ベス・ペイル、ジョン・シュラプネル、ジェイソン・フレミング、キャメロン・ボイス、エリカ・グラック、ジュリアン・グローヴァー、ジョシュ・コール、エズラ・バジントン 他
コピー: 感じる。その奥に秘められた存在を──



NY市警刑事のベンは、誤まって同僚を射殺してしまい停職処分に。そのショックからアルコールに溺れ、家族とも別居。妹の部屋に居候しながら、家族と再び暮らせるように社会復帰を目指していた。ある日ベンは、5年前の大火災で閉鎖されるも、解体費用がないため保存されているメイフラワー・デパートの夜警の仕事に就くことに。勤務初日、建物内にあった巨大な鏡に興味を惹かれ近づいていくと、突然激痛に襲われたり、鏡の中にいるはずのない焼けただれた女性の姿を見てしまうなど、次々と恐怖体験に襲われ…というストーリー。

その大火事の廃墟に、そういう霊みたいなのがいるんだろうな…ってのが始めの10分で判るわけだが、はたしてそれ以上の何かがあるのか…。是非そこを裏切ってもらわないと。

根本的に守るような資産がないような建物を、夜中に二時間毎に見回る必要なんか無いわけで、なんで給料を払ってまでそんなことをしているのか?と普通は思っちゃう。きっとそこにストーリー上の秘密があるんだろうな?なんて考えてしまうわけだが、残念ながらそういう視点は無かったみたい。

デパートの前は病院でした…なんて、そこまで都合よく持ってきたら、ストーリーなんかどうとでもなっちゃうだろ!と思いつつ、百歩譲って、これから人間ドラマに比重がシフトしていくんだろう…、この建物の謎を解明しながら、自分の人生も変えていくような展開になるんだろう…と好意的に観ることに。しかし、家族にスポットこそ当たり始めるものの、結局、登場人物の誰一人として、心の変化も成長もしない。これでは人間ドラマとはいえない。
#そこを軸に展開すべきだと思うんだけどな。
ただ病院のくだりをもってきて、まわりくどく説明しただけだった。ごっちゃごちゃにこねくり回しすぎて何がいいたいのやらわからん。オチも非常につまらなかったし。

細かい部分も「はぁ?」って言いたくなるところが盛りだくさん。遺留品があるかもしれないバスタブの水を、何の躊躇もなく栓を抜いて流しちゃうとか、非常に馬鹿馬鹿しい。ホラー作品なのに、ドッキリのツボも微妙に外れているし。
これは、お薦めできない。

#吹き替えの声がジャック・バウアーなのは、同じ俳優だからって安易に決めたんだろうけど、本作の役柄には合っていないわ。そんな声力は不要。



負けるな日本

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image1778.png公開年:1976年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ブライアン・デ・パルマ
出 演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ウィリアム・カット、ジョン・トラヴォルタ、エイミー・アーヴィング、ナンシー・アレン、ベティ・バックリー、P・J・ソールズ、シドニー・ラシック、プリシラ・ポインター 他
受 賞: 【1976年/第11回全米批評家協会賞】主演女優賞(シシー・スペイセク)
【1977年/第5回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】グランプリ
コピー: キャリーをいじめないで! 彼女が泣くと恐しいことが起こる……

宗教的に偏向した母子家庭で育ったキャリーは、そのおどおどした様子や地味な容姿のせいで、友人からイジメられており、家でも何故か母から疎まれていた。しかし、彼女には怒りの感情によって念動力を発揮する能力があった。そして、プロムの夜、クラスメイトの悪戯と知らずクイーンに選出されたキャリーは、ステージ上でブタの血を頭からかけられ…というストーリー。

冒頭のソフトエロシーンの意味がいまいち不明だったんだけど(まあ、デ・パルマらしいっちゃらしいか)、血で始まり、血で終わるってことなのかな。

始めの段階で、いきなり能力発現。これってこのままエスカレートして、終わりなんじゃねーの?それ以上なんかあるの?なんて思っちゃったのだが、実際にそれ以上、何も無かったりする。

だからといって、決してつまらないわけじゃない。タダの勧善懲悪ストーリーって気もするけど、まあ、いさぎよいっちゃあいさぎよい。シンプルな話だからこそのおもしろさ。誰でも多かれ少なかれ経験するイジメというとっつき易いテーマ。それが小出しに色々搾り出されて、最後の“破滅”まで盛り上がり続ける。
音楽も中々特徴的で、おもしろさの半分は音楽がつくっているといってもよいかも。

しかし、難しいのは、エスカレートしきった後のオチ。あまりヒネリはなくて、この展開だと、そりゃ“自滅”ってオチしかないよな…って。いくらなんでも、そこにナイフを刺しても体重ささえられないよ…せめて壁にしようよ…とか、細かいことも言いたくなったが、まあ、いい弾けっぷりだろう。

陰湿だし、救いもなにもないけど、見事なバーサーカー・ムービー。快作。

#トラヴォルタの端役っぷりにニヤリ…


負けるな日本

 

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image1760.png公開年:1989年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:メアリー・ランバート
出 演:デイル・ミッドキフ、デニース・クロスビー、フレッド・グウィン、ブラッド・グリーンクイスト、ブレイズ・バーダール、ミコ・ヒューズ、スティーヴン・キング、マイケル・ロンバード、スーザン・ブロンマート、カヴィ・ラズ、チャック・コートニー 他
受 賞:【1990年/第18回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】観客賞



田舎の大学の校医となることが決まり、家を購入して引っ越してきたクリード一家。妻レイチェルと幼い娘のエリー、歩き始めたばかりの息子ゲイジと共にシカゴから引っ越してきた。しかし、家の前の道路を大型トラックが猛スピードで頻繁に往来する様子にに驚く。向かいの家にすむ老人ジャドは、この道路で轢かれたぺットを葬るペット霊園が裏山にあることを教える。感謝祭の日、レイチェルと子供達がシカゴの実家に帰省していたが、エリーが可愛がっていたペットの猫チャーチルが車に轢かれて死んでしまう。ルイスは、幼いエリーが身近な“死”を受け入れることが難しいと悩む。そんな彼の様子を見たジャドは、詳しい事情も説明せずに、チャーチルの死体を裏山からさらに奥に分け入った丘に埋めるように指示するのだった…というストーリー。

原作者スティーヴン・キング自らシナリオを書いているのだが、映画版に直接関わって成功している稀有な例だと思う。キューブリック版の映画の内容が自分の原作のイメージと合わないっていって、自ら脚本・製作総指揮をした『シャイニング』なんかトホホの極みだった。逆に、原案とか原作だけで関わっている作品のクオリティの高さはハンパないわけで、天はニ物を与えずとはまさにこのこと。

ズバっと猟奇的な演出になりがちな昨今のホラーとは違い、奥ゆかしさすら感じる(?)ホラーかなと。守護者の霊が導くという展開や、奥さんの過去の経験の話など、恐怖と悲しさと軽いユーモアが絶妙なバランスで配合されいるところが、実にキングらしい。

本人も薄々どうなるかはわかっているのに、情にほだされてやってしまう悲しさ。子供がいる人は、この状況になったら自分も思わずやってしまうかも…と思うか思わないかが、本作の評価の分水嶺だろう。まあ、息子のことはまあわからんでもないが、奥さんはどうなのよ?と思う人は多いかもしれないが…。
#まあ、「ジャドじじぃ、おまえがすべて悪い!」と言いたくなるけどね。

そこに共感できずに、単純にホラーを期待していた人は肩透かしをくらうことになる。いや、そういう人は、キングのホラーは元より“モダン・ホラー”ってやつでは物足りなく感じる脳になっちゃってるのだろう。ホラーやスプラッタって観続けていると耐性ができちゃっう。麻薬みたいなもんだからね。麻痺している人には、こういう家族の感情みたいな部分をチクチク攻撃してくるキングの演出のよさが見えなくなってくるのかも。
そういう意味でも、逆に新鮮に感じた一作。これはお薦め。

#しかし、ネイティブアメリカンの墓がゾンビ製造機だとか、ヨチヨチ歩きの子供がチャッキーばりに殺りまくる内容は、今では製作しにくいだろうし、地上波で流すのは難しいかもしれん。





負けるな日本

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image1723.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ミヒャエル・ハネケ
出 演:ナオミ・ワッツ、ティム・ロス、マイケル・ピット、ブラディ・コーベット、デヴォン・ギアハート、ボイド・ゲインズ、シオバン・ファロン・ホーガン、ロバート・ルポーネ、スザーヌ・C・ハンケ、リンダ・モラン 他
コピー:禁じられた遊び。




夫ジョージと妻アン、一人息子のファーバー家は、バカンスのために湖の別荘へとやって来る。くアンが夕食の準備を始めると、一人の青年が訪れる。隣家の者だという彼は、卵を分けて欲しいと丁寧に申し出る。アンナは卵を渡すが、男は2度も落として割ってしまう。その後、男2人で再訪問して来るが、不遜な態度をとり続けたためにジョージーに平手打ちを食わされると男たちの態度が豹変。近くにあったゴルフクラブでゲオルクの脚を殴りつけ、一家全員をソファーに縛り付け…というストーリー。

1997年のオーストラリア映画のリメイクとのことだが、元作品は未見。『ダークナイト』『ノーカントリー』と不条理で理解不能な悪役の作品を観てきたが、本作の不条理ぷりはそれらを超える。

とにかく、あまりに不快極まりない。これをみてこの男たちをぶん殴ってやりたい衝動に駆られないヤツはいないと思う(何とも思わないやつはむしろそっち側の人間)。筋肉に力が入って腕が痛くなるくらい。製作側もそれが狙いで、とにかくどうやったらイライラさせられるかに注力しているのが良くわかる。

じゃあ、バイオレンス作品なのか?というと、そうじゃないところが、本作の特徴。お化けも出なければ、異形の殺人鬼も出てこないけれど、これは立派なホラームービー。
元がオーストラリア映画で、今回はアメリカでのリメイクだから"U.S."が付いていると、簡単に考えることもできるが、やはり『ダークナイト』『ノーカントリー』と一緒で、日常のそこかしこに理解不明な怪物が普通に存在する今…というアメリカ人が抱く恐怖を反映しているから、あえてそれを付加したのだと思う。『ダークナイト』のジョーカーと同じく、本作の男たちも幼少期に虐待されたことを滔々と語るのだが、それがまたまたうそくさく、自分の犯行の責任を社会に押し付けているとしか見えないのが、またまた気持ち悪い。

じゃあ、『ダークナイト』や『ノーカントリー』と同じように名作なんだよね?と聞かれると否である。その理由を簡単にいうと"やりすぎ”ているから。反撃しそうな展開を匂わせるくせに、まったくもって救いは無く、完全に観客は突き放される。そのくせ、“こっち見んな”演出とか、巻き戻し演出とか、沈んだ気持ちにグリグリグリグリといやらしい演出を重ね、イライラのピークを超える。
#ちょっと『ナチュラルボーンキラーズ』を意識しているのかなという部分もあるが、そういうのも邪魔臭い。

とにかく、気力・体力の落ちている人が見るのはやめたほうがよろしい。家族で見るのも厳禁。何なら一生観なくても問題なし。わたしの中では『ホステル』と同じレベルで不快。


負けるな日本

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クボタカユキ
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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