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公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:アンソニー・C・フェランテ
出 演:ディー・ウォレス、ステファニー・グレコ、ブレント・リディク、ジャスパー・コール 他
女主人・リリスが経営するミートパイが絶品のパン屋でアルバイトをするグレーテル。双子の兄のヘンゼルはゲームおたくで、部屋に篭ってゲーム三昧。二人は母親を幼い時に失っており、父親と3人で暮らしている。そんなある日、父が若い恋人と再婚すると打ち明けられると、ヘンゼルは憤慨し家を飛び出し、森に入ってしまう。兄を追いかけるグレーテル。ヘンゼルは何故か森に仕掛けてあった罠にはまってしまい、足を大怪我してしまう。追いついたグレーテルと重傷のヘンデルは森を彷徨っていると、一軒の家が。ノックすると出てきたのはリリス。こんな森の中に住んでいるとは露知らずおどろくグレーテル。取り急ぎヘンゼルの治療をしてもらうと、リリスはグレーテルに、今夜は泊まって行くことを薦める。そして、突然リリスは、パン屋の権利をグレーテルに譲りたいを言いはじめ…というストーリー。
お気付きだとは思うが『ヘンゼル&グレーテル』(2013)と間違えたわけですわ。そりゃ間違えるでしょ。同じタイトルなんだから。
もう、こういうのいい加減にしてほしい。リンカーン、ヘンゼルとグレーテル、ジャックと豆の木、こいつら多すぎ。
まあ、元々人喰い魔女のお話なので、お約束の展開になるのは大方の予想通り。要するにリリスが人喰いなわけだが、密かに育てている息子二人も人喰いなわけだ。ほぼ地下室などにいるようで、髪もボサボサ、風呂に入っていないような風貌。こいつらが、捕まえてきた人を捌いているわけだ。
まあ、なかなかエグい描写もあって、ホラー物としてはアリなのかもしれない。でも、冒頭で出てくる焼却炉はどうみてもオーブンに見えないのだが、野菜でデコってたところを見るとやっぱりオーブンなんだろうね。
たかだか3人の食人鬼なので、1日に食べる量なんか知れているんで、冷蔵庫とか必要だと思うんだけど、そういう描写は一切ないんだ。ということは余りは捨てているのか、ミートパイになっているのか…。でも、さすがに毎日一人ペースで人を殺しているわけではなさそう。
あまりに芸がないと思い始めたのか、突然、幻覚剤が噴霧される演出。そんな幻覚剤を噴霧できるような、高度なことができるなら、もっとバレないように色々できると思うのよ。その技術力を冷凍技術に向ければ、いかにおいしく死体を保存できるか…という冷蔵庫があったら、“飼っておく”意味もあまりなくなってしまうので、やっぱり無いような気がする。でも、それじゃ、なんか矛盾を感じる。
誰でも考え付きそうな内容なんで、驚きも感心も無いんだけど、それに加えて、ディテールが甘すぎて、時間の経過と共に興味が失せていく。
ストーリー上の大きな謎ポイントが、リリスがグレーテルを後継者と見込んでいるところ。契約書にポタりと血が落ちると、それがグレーテルという文字に。魔女的な臭いをプンプン感じさせる演出なのに、それ以降“魔法”的な演出は無くなり、タダの殺人鬼に…。なんだ、このいきあたりばったり演出…。
で、結局「私と似ているのよ…」で片付けてしまい、謎解きはない。ヒドい。
一緒につかまっていた人はもちろん、親も保安官も死んでしまった後、なんであのパンやに戻れるのか…。で、無理やりリリスの声に従ってミートパイを喰いはじめるグレーテル。だ・か・ら、そういう演出をしたいんなら“似ている”だけで片付けちゃだめなんだよ。
それに、それが最後のオチでは弱すぎる。まず、グレーテルが後継者であるおもしろい理由。その後は、グレーテルとヘンゼルの兄妹バトルに発展するくらいのむちゃくちゃしないとさ。
中学1年生レベルのシナリオ…。これは、観ちゃダメ警報。
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:マイケル・ギャラガー
出 演:ケイトリン・ジェラード、メラニー・パパリア、シェーン・ドーソン、アンドリュー・ジェームズ・アレン、ライザ・ウェイル、トビー・ターナー、ロジャー・バート、キース・デヴィッド 他
母親が自殺し、心を病んで大学を休学していたアシュリー。復学を機に環境を変えようと、実家から離れて同級生プロキシの住んでいる家に同居することに。プロキシの誘いでネット仲間のパーティに誘われたアシュリーは、そこで、とある都市伝説のことを知る。それは、インターネットのチャット上で、“I did it for lulz”とメッセージを3回タイプすると、相手の家に人間の皮膚を笑った表情のように縫い合わせた仮面の殺人鬼“スマイリー”が現れ、相手を殺してしまうというもの。そこで、パーティに参加していたネット仲間が遊び半分でタイプすると、本当にスマイリーが現れてしまう。アシュリーとポロシーは驚愕するが、ネット仲間は悪戯だと一笑に付す。帰宅後、本当に悪戯なのか疑問に思った二人は、確かめようと自分のパソコンからメッセージを打つが…というストーリー。
この、スマイルマークに縫い合わせた皮膚のマスクは、『テキサス・チェーンソー・マサカー』以上のインパクトがあるかもしれない。本当にジャケットの画像は気持ち悪い。こりゃあ、ホラー界の新ヒーローが誕生か!と期待。
しかし、アシュリーがパソコンで見る“スマイリー”は、縫い合わせた笑い顔のマスクではあるが布製である。アシュリーの妄想の中に登場するのは肉マスクだが、実際に出てくるのは違う。うーん、どう考えても、モンスターではなく、人間がマスクを被っている。
んー。犯人は人間だよねぇ…。
で、誰が犯人なのかしら…という展開になるのだが、そこから始まるのは謎解きではなく、アシュリーがまた病んでくる。アシュリーは何故か判らないけど、スマイリーが超常的な存在だと恐れ始める(まあ、画像が消えたりしていたので、そう思うのもわからなくはないんだけど…)。
そこからしばらく、カウンセリングを受けたり、大学教授が犯人か?みたいなおもしろくないミスリードがったりして、非常に退屈。ホラーなのに眠くなる。10分くらいカットしてもなんの問題もない。英語がわからなくても主役の子の演技がイマイチなのがわかるレベルなのが、退屈さを助長する。
(以下ネタバレ)
で、結局、ネット仲間のタチの悪い悪戯でした…ってオチなんだけど、どう考えても辻褄があわないところが。アシュリーはポロシーの彼氏の家にいくのだが、そこで落ちていた銃を拾う。そして、自分の部屋に帰ったときに誤って恋仲になりかけているゼーンを撃ち殺してしまう。
で、ネタばらしで、実は空砲で血糊を仕込んでいたんでーすってことになるのだが、アシュリーが銃を拾ったのなんか偶然じゃん。撃つかどうかもわかんないじゃん。
さらに、プロローグで出てきた、本編には関係ない女の子のチャットには肉仮面のスマイリーが出てきたから、あれは何なのか?ってことになっちゃうから、最後にとって付けたように本物を出しちゃう。人が死ぬような悪ふざけをしても、悪いとも感じない若者たちの神経の恐ろしさ…というオチだったのに、本物を出してしまたっために怖さが半減。もう、そこまでくるとグダグダで、エンドロールにアシュリーの目を醒まさせてしまう。生きてました…に何の意味があるのか。行き当たりばったりアンド行き当たりばったり。
駄作ですな。このシナリオを中学1年生が書いたっていうなら、将来有望だと思うけどさ。いい大人が世に出す作品ではないよ。
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:エイドリアン・ライン
出 演:ティム・ロビンス、エリザベス・ペーニャ、ダニー・アイエロ、マット・クレイヴン、マコーレー・カルキン、プルイット・テイラー・ヴィンス、ジェイソン・アレクサンダー、パトリシア・カレンバー、エリック・ラ・サール、ヴィング・レイムス 他
受 賞:【1991年/第19回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】観客賞、おもしろファンタスティック賞
コピー:人は、一日に一歩ずつ “ジェイコブの階段”を登っている。
ニューヨークの郵便局員であるジェイコブは、ベトナム戦争の元帰還兵。ある日、地下鉄の車内で、ベトナムで何者かに刺される夢を見る。それ以降、日常的に奇妙な幻覚に襲われ、夢と現実の境界があいまいになっていき、見慣れた風景に違和感すら感じるようになってきた。同棲相手のジェジーは、そんなジェイコブの症状を意に介さなかったが、不安になった彼はかかりつけの医師に相談にしようと病院に赴く。しかし、医師は既に死亡しており、ジェイコブのカルテすら病院には無いと告げられる。その後、謎の人物に車でひき殺されそうになったり、手相占いで既に死んでいる手相だといわれたり不穏なことが続き、さらに悪夢や幻聴の頻度が増していく。そんな中、ベトナム時代の戦友ポールから会いたいとの知らせが入る。そしてポールも自分と同じように幻覚に悩まされていることを知り…というストーリー。
まあ、タイトルの“ラダー”ってなんやねん…っていう引っかかりを頭の片隅に作りつつ、話が展開する。シナリオの小技だね。ただのノイローゼ帰還兵の心理描写と見せておいて、実は…という展開は、悪くない。いまでこそ、この手の作品が多いので、多くの人が理解できる土壌ができていると思うが、当時は困惑した観客が多かったと思う。
虚々実々の内容にティム・ロビンスの演技が内容にハマりすぎだったり、改めて観返すと、非常に良い出来映え。ちょっと世に出るのが3年早すぎたのかもしれない…と思う作品。
(以下、ネタバレ)
整体師の存在は何を表しているのか…も、一つのポイント。全編にわたってジェイコブを救う存在。あの世界で唯一異質な存在。まあ、天使だよね。謎解きに一つのアクセントで、程よい難解加減。
しかし、最後に「ベトナム戦争における○○の使用をアメリカ政府は認めていない」みたいなテロップが入るんだけど。これが蛇足。というか、このせいで名作から滑り落ちていると思う。政治的な話がよろしくないといいたいわけではなく、せっかく虚実入り混じった世界をうまく描き、それこそ『シックス・センス』並みのオチで終わることができたのに。薬云々なんか、どうでもいい。悲しい、切ない…となった観客の気持ちを、政府への怒りに誘導しようという意図に思えて不快になった。
これを単なる“夢オチ”という人がいるのだが、それは不当な評価。死ぬ間際、一瞬の走馬灯。ただ、その走馬灯は現実の過去を思い出すだけのものではなかった…ということ。だが、そういう指摘に至る人が出てくる理由の一つも、このテロップのせいだと思う。雰囲気を壊している。
まあ、この最後を除いて非常に良い出来だと思う。ビデオレンタルの時代に観て依頼だけど、以前よりも面白く感じた。
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ジェームズ・ワトキンス
出 演:ダニエル・ラドクリフ、キアラン・ハインズ、ジャネット・マクティア、リズ・ホワイト、ソフィー・スタッキー、ロジャー・アラム 他
コピー:見たら、逃げられない。
19世紀末のロンドン。若手弁護士アーサー・キップスは、息子の出産時に妻を失ってしまい、未だ立ち直れずにいる。そんな中、田舎町クライシン・ギフォードにある“イールマーシュの館”で、死亡したアリス・ドラブロウ夫人の遺産整理を命ぜられる。さらに、妻が死んでから4年が経過しても、落ち込んだままで仕事に身の入らないキップスに対して、弁護士事務所の所長は、この仕事を完遂しなければ解雇すると通告するのだった。キップスは寂しがる息子を、週末に現地に呼び寄せるとなだめてロンドンを出立。列車内でクライシン・ギフォードに住むサム・デイリーという紳士と出会い、降車後に町まで送ってもらうが、宿屋や地元弁護士はあからさまにキップスの到着を望んでおらず、すぐにロンドンに戻そうとするのだった。
翌日、沼地に浮かぶ島に立っている屋敷に向かったが、町と島を繋ぐ道は、満潮になると水没してしまい孤立する状態。彼はそこで、夫人の遺品整理に取り、ナサニエルという7歳の少年の死亡証明書を発見する。ナサニエルは沼地で溺死していたが遺体は未発見とのこと。ふと、キップスが森に目をやると、とこには黒衣の女が立っており…というストーリー。
一体何が起こっているんだろう…どうすれば解決するんだろう…と、頭を使わせてくれればいいのだが、そういう謎解き要素とかドキドキ要素が極めて薄い。この手の作品に存在価値があるのか?さすがにマズイと思って差し込まれたのが、“音ビックリ”シーン。しかし、中盤なんかは、①変な人影がいて、②追いかけていって、③音がドーン⇒①に戻る…の繰り返し。アカン…。
根本的に、遺産整理をしなくてはいけない理由がイマイチわからない。屋敷が転売できるように整理にいかされてるのかと、はじめは思ったのだがそうではない模様。じゃあ、遺言書を探させているのだろうか。それなら、はっきり、遺言書があるはずだから見つけろ!と業務命令すればいいと思うのだが、いまいちボンヤリ。行動目的が、腑に落ちないって致命的だよね。
妻を失くしたキップスだが、落ち込んでいるとはいえ子供を育てていくためにはお金が必要なわけで、仕事を失くせないのはわかる。しかし、4年もパッとしない仕事っぷりで、無能扱いされてるのに、子供にもほとんど会えない激務を継続するのはいかがなものなのか。社畜にもほどがあって、いまいち共感できない。
既にやる気は失っていて、今月のお給料さえもらえれば、田舎にでも引っ込もうと決断しており、、とにかく今月だけは…、今月だけは…という展開ならば。幾ばくかは共感もできるのだが。
吹き替え音声で観たのだが、ハリーポッター声の声優を使う意味がわからん。若いけど、法律事務所勤務の子持ちなんだから、それなりの年齢らしい声にすればよろしい。これで、完全に雰囲気は壊れたし、掴みに失敗している。
で、怪奇現象を起こしている主はわかったのだが、なんで人を巻き込み続けているのかは、イマイチよくわからず、解決したのに恨み続けられる意味がわからない。さらに、無駄に後味が悪い終わり方。
なんでもかんでも信賞必罰が絶対とは思わないけど、ああする必要はあったか?あの黒い女と死んだ妻は無関係でしょ?なんなの?
まあ、私はそれ以上考えるのやめた。残った感想はただ一言。「しょーもな。」
#こんな仕事を受けているようじゃ、ダニエル・ラドクリフ、消えるで。
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:サム・ライミ
出 演:ブルース・キャンベル、エンベス・デイヴィッツ、マーカス・ギルバート、イアン・アバークロンビー、リチャード・グローヴ、ブリジット・フォンダ、パトリシア・トールマン、テッド・ライミ 他
ノミネート:【1993年/第21回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】参加作品
前作、Sマートの売り場担当のアッシュは、ガールフレンドのリンダとデート中に道に迷い、森の中の一軒家で一泊することになったが、目覚めた邪悪な力によってリンダを殺害され、自分も右手を失い、中世にタイムスリップさせられてしまった。アッシュはアーサー王に捕らえられ処刑寸前となるが、チェーンソーとレミントン銃を駆使して危機を脱出。その特殊能力のおかげで、一転、天からの使者と勘違いされる。元の世界に戻るためには、呪われた墓地にある死者の書を入手する必要があることを賢者から聞いたアッシュは、封印を解く呪文を教えてもらって旅に出る。邪悪な魔物の襲撃を撃退しつつ、なんとか死者の書を入手し、城へ帰還するが、唱えた呪文に誤りがあったため、墓地から死者の大群が蘇り城に押し寄せて…というストーリー。
Ⅰ・Ⅱのクリーチャーのグロさというかシズる感(?)は、すっかり消えうせる。ほとんど骸骨まる出しさんばっかり。さらに、コメディ要素が強くなった…というか、ブルース・キャンベルのドヤ顔がスゴいんだわ。呪文を確認する賢者に対して「うるせえぞ!このクソじじぃが!」。中世のノリを受け入れようとせずにマイペースってことなんだけど、これがメタ視点からの発言にも感じられて、すごくおもしろい。
そりゃあ、自分で右手を切り落とさなきゃダメな状況になり、加えてタイムスリップまでされちゃうんだから、どうにでもなれ!的な粗暴な行動になるのも納得できる。共感できるからおもしろい。単純な構成ですばらしい。
本作で有名なエピソードは、エンディングが二種類あることだろう。薬を飲んだあとの展開が異なる。
(以下、ネタバレ)
一つ目は、薬を飲んで未来まで寝るんだけど、一滴多く飲みすぎて、目覚めると社会が滅びているというもの。まあ、SF且つシュール且つアンハッピーエンドな展開。落語の“時そば”かよって感じ。日本通のサム・ライミ。まさか、落語にも通じていたか?(たぶん違うだろう(笑))。
また、肉体の時間は変えずに未来に行く必要があるんだから、眠っている間に成長しちゃダメだと思うのだが、髪やヒゲは伸び放題に(いい加減な演出だよね)。
これじゃ、アメリカ国内では納得してもらえないってことで、別パターンが用意されている。ちなみに、DVDには収録されている。
アメリカ公開版のエンディングは、時そば(笑)のシーンはなくて、スパっと未来に戻ってSマートで働いているシーンになる。Sマートにいた女性が突然死霊になって襲ってきて、売り場のショットガンで撃退⇒アッシュ ドヤ顔…って展開。
個人的にはアメリカ公開版のほうが、馬鹿映画を貫いていて良いような気はする。いじれにせよ、中世にタイムスリップしてまで馬鹿させようと考える企画自体が、成功している作品。デキがどうのこうのではなく、ずっと語り草にされる作品だろう。
#ただ、1993年製って考えるとちょっと古臭すぎるよな(笑)
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:グレゴリー・ホブリット、リチャード・ドナー
出 演:デンゼル・ワシントン、ジョン・グッドマン、ドナルド・サザーランド、エンベス・デイビッツ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、エリアス・コティーズ 他
ノミネート:【1998年/第5回ジュラルメール・ファンタスティック映画祭】参加作品
コピー:「悪」は感染する。
刑事のジョン・ホブスは、自身が逮捕した連続殺人犯リースの処刑に立ち会う。その際、リースは意味不明な呪文を唱えホブズの手を握り、「俺は戻ってくる」と不気味な言葉を残して処刑される。すると、その直後から、リースと同じ手口の連続殺人が次々と発生する。捜査を進めていくと、かつて同じ署に、立派な刑事であったが殺人容疑がかけられ謎の死を遂げたロバート・ミラノという警部補の名前が浮かぶ。真相を探ろうとミラノの娘グレタに接触するが多くを語ろうとしない。また、上司のサントン警部補も口を閉ざし、その件に関しては何かが判っても口外するなといわれる。諦めきれないホブスは、ミラノが死んだ山荘でAZAZELの言葉を発見。グレタを問い詰めると、アザゼルは悪霊で、接触することで人から人へ憑依する邪悪な存在であるという。にわかに信じがたい内容だったが、連続殺人事件は継続発生し、なぜかホブスが容疑者であることを示唆する証拠が現場に残されており…というストーリー。
料理の仕方によっては、もっと深く面白い作品になったはずなのに、構成・演出がとにかくクソな作品。少なくとも、この作品でやってることを避けていれば、まともな映画が作れそうなくらい反面教師になる作品だと思う。
いきなり冒頭から、人から人へ“悪意”が移動していく様子が“わかりやすく(笑)”演出されている。音付きで(笑)。こんな冒頭から説明していることが、オチなわけがないよな…と思っていたが、敵の能力はそれ以外になにもないという稚拙っぷり。何か他に悪魔さんの秘密があるのかなと、思うでしょ。無いのよ。
まさか、こんな稚拙な内容のまま映画になるわけがない…と思い、何か裏があるだろうと一生懸命考える。ところが考えれば考えるほど変なところが見えてくる。大体にして“接触”とはなんだ?握手のように肉体と肉体が触れるならわかる。服越しでも移る。それじゃ接触じゃなく、距離の問題じゃないか。
乗りつった人が死んだら、数分のうちに誰かに乗り移らないといけないということで、人里離れた森で対決しようと考える主人公。でも冒頭でも中盤でも、動物に乗り移れるということを散々示唆しており、動物に乗り移ればいいじゃねえかと、10人いたら9人がそう思うはず。まさかそんなオチなわけがないだろうと思っていると、そのとおりだったりする(笑)。大体にして、接触しなくても数分ならOKな理由が、“悪魔が必死になるから”だってさ。馬鹿じゃねえか。
一番肝心な、なんでホブスと握手したのに乗り移れなかったのか?という理由が一切説明されずに終わるのもクソ。正義の心が強いから…とか、そういう理由かと思いきや、最後は乗り移れちゃうんだよ。“必死になった”から(笑)。馬鹿かと。
『アダプテーション』で、シナリオ講座の講師が「登場人物の考えていることをナレーションでかぶせるなんていうのは愚の骨頂」といっていたが、本作では連発。それもナレーションにする必要もなく、普通に演出すればいいのにわざわざナレーション。
ラストのアザゼルのドヤ顔的なナレーション。観客のみんな騙されたでしょ?みたいなの、はずかしくて聞いてられない。世界で一番はずかしい演出の映画だと思う。
こういうのって、逆に観て笑ってやってくれ!って言いたくなるものなんだけど、本当にクソだからとても薦められないレベル。
#“悪魔を憐れむ歌”っていう邦題も、まったく意味不明。
公開国:アメリカ
時 間:85分
監 督:サム・ライミ
出 演:ブルース・キャンベル、サラ・ベリー、ダン・ヒックス、キャシー・ウェズリー、セオドア・ライミ、デニス・ビクスラー、リチャード・ドメイアー 他
アッシュと恋人リンダはドライブの途中、とある森の廃屋を見付け休憩する。少し怪しい雰囲気の屋敷の中を調べると、その小屋の持ち主の考古学教授が残したテープレコーダーと“死者の書”を発見。本を読み進めながらテープレコーダーをかけていると、教授の「死霊にとりつかれた者を殺すにはその体を切断しなければならない」などという死霊についての説明が流れる。その後、悪霊を目覚めさせる呪文が再生されると、あっという間に悪霊が目覚めリンダに乗り移り、アッシュを襲いはじめるのだった…というストーリー。
続編ということだが、森の中の小屋に男女が行き、考古学者の残したテープを聴き…と、何か前作と同じようなお話。
じゃあ、セルフリメイクなのか?いや、前作の小屋にまた別の人間たちが迷い込んだ…死霊さんたちは同じ目的でそこにいるんだから、同じ被害にあっているだけ…という解釈も十分できるわけで、続編として成立しているのは間違いない。
でも、サム・ライミのデビュー作であった前作の、稚拙な演技、無駄な演出、あまりにも雑な特撮など、商業作品として最低限クリアすべき部分が満たされていない点を、とりあえず補っておきたいという気持ちからなのか、“やり直し”感がどうしても溢れる続編に…。そういうことではなかろうか。
死者の書についての説明も、発見当時の様子を差し込んだりして、世界観がわかりやすくなっている。前作のように登場人物がいっぺんに登場するのではなく、後から教授の娘一行が登場する二段構えになっているのも良い構成。続編ゆえに、はじめのアッシュとリンダが被害にあうくだりは、急展開。リンダがあっというまに餌食になる様は、最近のホラー映画では見られない斬新な展開といえる。
演者のレベルも上がっており、特にブルース・キャンベルの演技は、すばらしい。まだまだ高度とはいえない特殊メイクに、ブルース・キャンベルの極端な顔芸で寄せていくという荒業。本作のMVPといってよいかも。その特撮についても、前作に比べたら、格段に洗練されたと思う。
そして、自分で切った腕に、チェーンソーを装着するという、悪ノリ。でも、あんまり秘密兵器になっていないトホホ感。これらを前作同様の絶妙なカメラアングルがまとめあげている。サム・ライミ節が満開である。ゲロゲロ、グチャグチャの内容なのに、何故かホッとしてしまうのは何故なのか。
最後のタイムスリップで、ちょっとド肝を抜かれる。これは三作目への布石なのか?!この二作目を観て、三作目を観ない人間はいないだろう。ちょっくら借りてくる。
公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:ジョン・カーペンター
出 演:カート・ラッセル、ウィルフォード・フリムリー、リチャード・ダイサート、カーダ、ピーター・マロニー、ドナルド・モファット、T・K・カーター、A・ウィルフォード・ブリムリー 他
ノミネート:【1982年/第3回ラジー賞】ワースト音楽賞(エンニオ・モリコーネ)
1982年冬の南極。アメリカ観測基地に一匹の犬を執拗に追う軍用ヘリが近づいてくる。ヘリは犬をライフルで狙撃し続けるが当たらず、ついには基地に着陸し、二人の乗組員は犬を狂ったように追い続ける。しかし、一人の乗組員が手榴弾の扱いを誤りヘリは炎上。もう一人もアメリカ基地のゲーリーによって射殺されてしまう。ヘリの国籍はノルウェーだったが、彼らがなぜ犬を殺そうと必死になっていたのか見当もつかなかった。その後、ノルウェー基地と連絡を試みるが一切応答がない。謎を解明するために、ヘリ・パイロットのマクレディとコッパー医師は、ノルウェー基地に向かったが、そこは、隊員の死体が転がる廃墟となっていた。さらに、何かを取り出した後のような謎の氷塊や、地球上の生き物とは思えない謎の死体があり…というストーリー。
『遊星からの物体X ファーストコンタクト』のラストを1982年製の本作が繋がっていると知り、ある意味答え合わせで鑑賞。あら、マジで繋がってるわ。
ファーストコンタクトのエンドロール中に犬を射殺しようとヘリを飛ばすノルウェー人で終わるのだが、本作の冒頭で犬を追って飛来する二名のノルウェー人がまさにそれ。風貌までぴったり揃えていいる。手榴弾の型も一緒。カート・ラッセル演じるマクレディが、ノルウェー基地を訪れたときの様子は、ファーストコンタクトで散々バトルした後の様子になっている。エイリアンが飛び出した氷塊や建物も一緒。もう、偏執的といってよいほどぴったり同じ。
でも、残念ながら、ファーストコンタクトだけ観ても誰も気付かないんだわ。で、こうやって答え合わせをしても、「ふ~ん。同じに作ったんだね」とそれだけで、新たに何か発見があるわけじゃないんだな。こりゃ、マニアの自己満足でしかないな(笑)。
主人公の考古学者の女性がどうなったのかは不明で、消化不良だしなぁ。1982年版は、ラストの登場した黒人さんが、こいつも乗っ取られてるんじゃね?っていう余韻を残してたんだけど、ファーストコンタクトの方は、雪上車の中で呆然としている主人公に、そういう深読みさせる意図は見えないんだよなぁ…。
まあ、繋がっているっていう件は、そんな所だな。
ゾンビ映画の多くが、大衆社会の投影だったりするが、『遊星からの物体X』は何だろう。それは隣人への不審だな。見た目はいつもどおりの普通の人に見えているけれど、人間なんて中身では何を考えているかはわからない。いつ自分に牙を剥いてくるかわかったもんじゃない…っていう、いささか心が病んでいる気もするけれど、そういう感情。そう感じる場面に人生の上で遭遇しない人はいないだろう。ある意味普遍的な感覚だと思う。
でも、ゾンビ物が量産されるのに比べて、この手の成りすまし系の作品は少ないような気がする。それは、大衆文化、消費社会という大波が、人間個人にとっては抗うことのできないプレッシャーなのだ…という帰結だろう。まさにマルクスがいうところの“疎外”への恐怖というものが、生物としての人間とっては、頭ではわかっていても釈然としないものであり、不安の顕れなのだ。
一方の隣人不審は、あたりまえに日常生活の中で散見されるけれど、より信頼のおける人だけとの付き合いに絞ればいいし、社交辞令的な付き合いでなんとかやり過ごすことは可能なので、潜在意識に潜む恐怖としては弱いということなんだろう。
だから、この成りすまし系の話っていうのは、成りすましている者が、近しい存在であればある程怖い話になるはず。でも、本作は、隊員同士は同僚程度の付き合いで、心が通い合って信頼しきっているというほどではない。それでも、極寒の基地内という狭い空間という設定で、なんとかそれを補おうとしている。
しかし、ファーストコンタクトに至っては、数日前に初めて合流した間柄な上に、まともに言葉も通じない。この設定では、成りすまし系の本当の恐怖は表現しきれないよね。イマイチ感の原因はここにあったな。似せることばかりで、恐怖の根源までは深く追求していなかったってことだろう。
ジョン・カーペンター御大のお仕事に対して、とやかくいうつもりはない。CGのないローテクな特撮だけど、CGよりもよりリアルで、数段気色悪く感じるのだから。30年前の作品の方がすごいと感じられるんだから、文句のつけようがあるまい。
#エンニオ・モリコーネの音楽がラジー賞ノミネートってどういうことやねん。それほど悪くはなかろう。
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr
出 演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョエル・エドガートン、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ウルリク・トムセン、エリック・クリスチャン・オルセン、トロンド・エスペン・セイム 他
コピー:それは、細胞の一つ一つが単独で生きている それは、生物に同化して擬態する それは、すでに我々の中にいる…
南極大陸の太古の氷層から、謎の建造物と未知の生物の化石が発見される。調査隊がノルウェー基地に集められることになり、コロンビア大学の考古生物学者ケイトも、現地へ向かう。すでに謎の生物の化石が閉じ込められた氷塊が置かれていた。調査のために、ドリルで穴を開け、検体を取り出す。世紀の大発見に沸き立つ基地はパーティ状態だったが、一人の隊員が氷塊を見に行くと、中の生物が蘇生し、ものすごい勢いで氷塊を瓦解、天井を突き破って施設外に逃走してしまう。隊員たちはその生物を追跡するが、隊員の一人が捕食されて、倉庫に逃げ込まれる。倉庫ごと焼却し、何とか生物の暴走を止めることができたが、その後、生物の細胞と調査すると、まだ細胞は生きており…というストーリー。
ファーストコンタクトって何?と思っていたけど、これ、リメイクじゃないんだね。『遊星からの物体X』の前日譚なんだって。原題が『THE THING』のままだからリメイクだと思っていた。ビギニング物が溢れかえっているので、あえて避けたんだろうとは思うけど、本作に限っては本当にビギニングなので、タイトルはそれにしたほうが良かったと思うのだが…。
それに、よっぽどのマニアじゃないと、前作のディテールとか覚えていないし。ノルウェー基地と聞いてもピンとこないくらい忘れてるわ。まあ、たしかに、二人の人間が融合した死体とかがあった記憶がかすかにあるけど…。
それに、リメイクじゃないっていうけど、謎の生物の襲撃を受けて、どうやら誰かに乗り移るらしいってことが判り疑心暗鬼になるってい展開は、同じなんだよね。血を調べればわかるとか、怪しい隊員を隔離するとか、同じような展開があったと思うんだ。
リメイクだと勘違いしても、仕方が無いくらい展開が類似してるんだよね。前日譚だっていうんなら、同じ展開は避けるべきなんじゃなかろうか。
#落ちたヘリから戻ってこられるのはおかしいっていう展開もなかったけ?
ただ、私はリメイクだと思い込んでいたので、技術的な進歩が効果的に面白さに繋がっていて、純粋に愉しんだ。だれが乗り移られているか?だけでなく、コピーとか融合とかいう部分で、CGを十分に活用できている。
判別するために、無機物をコピーできないという特性を使うとかも良かった(これ、82年版にあったかな?)。
残念なのは、監督さんが経験不足なのか、南極の基地内だっていうのに、閉塞感が全然表現できていない点。1982年版なんか、猛吹雪で孤立した空間で、逃げ場がないっていうのがよく表現できていたと思うのだが。本作はあまり吹雪のシーンもないし。
その癖、宇宙船らしき建造物は、妙にSFチックで違和感バリバリ。あの生物があの宇宙船を操縦してきた?だってあそこに戻ろうとしていたもんなぁ。
まあ、色々と引っかかる部分は多かったけど、楽しめた。とりあえず、1982年版との繋がりを確認するために、もう一回観ることにする。
#なんで、コピーですっかりネタをバラすのか?前作は82年なんだから、若い世代は全然知らんのやで?最近の日本の配給会社の奴らのレベルって落ちすぎじゃね?
公開国:香港
時 間:93分
監 督:チン・シウトン
出 演:レスリー・チャン、ジョイ・ウォン、ウー・マ、ラム・ウェイ、ラウ・シウミン 他
受 賞:【1988年/第16回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】審査員特別賞、心臓に一撃賞
コピー:人は最後に何を願うのか
借金を集金するために旅をしている書生の青年寧采臣は、借金の帳簿を濡らして読めなくしてしまい、集金が出来なくなってしまう。無一文の彼は、ただで泊まれると聞き、蘭若寺へと向かう。しかし、そこで二人の道士、夏候兄と燕赤霞の戦いに巻き込まれてしまう。その戦いの最中、美しい娘が現れて夏候兄を誘惑。夏候兄はその娘に精気を奪われて屍となってしまう。一方、寧采臣はその難を逃れ、琴の音が漏れる一軒家を訪ねる。そこには小倩という妖艶な美女がおり、すぐに恋に落ちてしまう。しかし、その小倩こそ夏候兄の精気を吸った妖女であると見抜いた燕赤霞は、寧采臣に忠告するが、寧采臣は聞き入れない。実は小倩も、若い男の精気を吸うために吸血鬼に操られており、魔王の花嫁にされようとしていた…というストーリー。
『金瓶梅』のような艶っぽい話になりそうなものだが、エロ要素はほぼ無し。むしろ綺麗な純愛物で、童話的な雰囲気すら醸し、且つゾンビ物とうまく融合している。ホラーというよりもファンタジー。もちろん香港映画お得意のワイヤーアクション満載。SFXも80年代ということを考えれば、優秀だと思う。
リマスター版のDVDだったのだが、それでもフィルムが古くて画質は荒い。でも、見得を切ったような印象的なカットがたくさんで、美しく感じる。製作のツイ・ハークの力か。
賞金稼ぎが街中にたくさんいたり、町人たちの行動がコミカルだったり、燕赤霞をお尋ね者と間違えるが、実は元優秀な役人だったとか、コメディ要素がたくさん散りばめられているのだが、そっちのほうはイマイチ。まあ、時代や国境を越える万能な笑いなんてものは存在しないので、そこは大目に見たい。
残念ながら、ストーリーに緩急がないので、終盤ちょっと飽きるのが玉に瑕か。そして、画やノリをしっかり愉しむためには、字幕を読ませるのは難点。是非、吹き替え音声ありのDVDを作るべき。
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:ニコラス・マッカーシー
出 演:ケイティ・ロッツ、キャスリーン・ローズ・パーキンス、ヘイリー・ハドソン、サム・ボール、マーク・スティガー、アグネス・ブルックナー、キャスパー・ヴァン・ディーン 他
アーニーは、幼いころから母親に虐待されていたため、独り立ちできる年齢になると家を飛び出し、そのまま疎遠となっていた。しかし、その母親が亡くなったため、姉から葬式に出るように何度も連絡が入る。姉も同じように母親から虐待されていたのに、なぜそんな気になるのにのかアーニーには理解できなかったが、しぶしぶ故郷に戻ることに。しかし、戻ってみたが家に姉がいない。起動したままのノートパソコンが床に置かれているなど、なにか不自然な様子。しばらくすれば戻ってくるだろうと考えていたが、結局葬儀の日になっても戻らない。葬儀を終えたアーニーは、預けられていた姉の子を家に引き取り、家で休むことに。しかし、その夜、恐ろしい体験をすることに…というストーリー。
日本未公開作品だが、それほど悪くなかった。ありきたりなポルターガイストや怨念モノのような感じでスタートするので、前半でかなり観る気が失せるのは事実。始めの姉が襲われるシーンまでは、幽霊の仕業なのか人間の仕業なのか、どちらにも取れなくない演出なのだが、葬儀後は完全に霊魂の仕業であるこことが明白な演出に。さらに、知り合いの霊能者が登場して確定。ああ、やっぱりそっち路線か…凡庸だな…と。しかし、そうやって散々油断し切ったときに、突然違うテイストが放り込まれて、「あ?お?何?」となる。
(以下ネタバレ)
いい加減な演出かと思っていたが、壁に包丁が刺さるのもしっかり伏線になっている。母親と一緒に写真に写っている女性の胸には、今、自分がしているペンダントが…。母親の住民情報を確認すると、母親の弟の存在が。その弟はどこへ?おや、もしかするとシリアルキラー物に方向転換か?しかし、刑事も登場して捜査を始めるが、現場写真には不思議な影が。やはり心霊現象なのか?と。終盤まで揺らす揺らす。で、コックリさんをやってやっぱり心霊モノかと思わせていると、突然…。
壁中に穴が開いてるんだから、霊魂による超常現象が発生していることを、地下男は見ていたんじゃなかろうか…と思うと、そこは辻褄が合わないような気が。
母親が虐待するような人間だったのは、遺伝子的にそういう傾向のある姉弟だということでいいのかな。弟の存在を一緒に暮らす子供にも隠すために、やむを得ずやっていたとか、そういう演出でも良かったと思う。そう、本作に足りないのは“愛”だな。
キャリアのない監督さんらしいが(脚本も監督が書いている)、彼には悪いが、これは、時間を置いてリメイクすればいいと思う。きっといい作品になる。
公開国:アメリカ、オーストラリア、メキシコ
時 間:142分
監 督:トロイ・ニクシー
出 演:ケイティ・ホームズ、ガイ・ピアース、ベイリー・マディソン、ジャック・トンプソン、ギャリー・マクドナルド、ジュリア・ブレイク、ニコラス・ベル、アラン・デイル、テリー・ケンリック 他
コピー:背筋も凍るおとぎ話。
気をつけて!やつらは、暗くなるまで待っている。
アメリカ、ロードアイランド州。建築家アレックス・ハーストは、100年近く放置されていた屋敷ブラックウッド邸を購入し、恋人で助手のインテリア・デザイナーのキムと一緒に修復作業を行っていた。彼には別れた妻との間に小学生の娘サリーがいたが、両親の離婚で心を閉ざしていた彼女を、ロスから屋敷に呼んで一緒に暮らすことにした。しかし、屋敷にやってきたサリーは、通風孔の奥から誰かが話しかけてくる声を聞く。翌日、声のした先に地下室を見つけ、アレックスに教える。屋敷の使用人のハリスは地下室に近寄ることを止めるが、アレックスは壁に塗りこめられた扉をこじ開け地下室に入っていく。そこは、著名な画家で元家主のブラックウッドのアトリエだった。サリーはそこで厳重に封印された小さな扉から、昨日聞いた声が聞こえるのに気付き…というストーリー。
ギレルモ・デル・トロが脚本・製作ということで、期待はしていたのだが、残念ながら同じデルトロ作品である『パンズ・ラビリンス』とくらべるとかなり落ちる。
トロイ・ニクシーという人は漫画家さんで監督経験は始めてらしい。制作費は2,500万ドルほどだったようで、それほど高額とはいえないが、それでももっと安っぽく見えるのは、監督の力量不足のせいだと思う。この手の作品には、独特な様式美というものが大事。元画家の屋敷ということで、使える要素はたくさんあったのだが、シナリオ上その画風や作品などを終盤まで出すことができなかっためか、生かすことができなかった模様。よって、凝った部分を見出せなかったのが残念。デル・トロとの違いが浮き彫りになってしまった感じ。漫画家ならではの印象的なカットを期待したのだが、空振り。
それでも、小鬼のフォルムがよくて魅力的だった。もっと禍々しく、もっと煩わしく、もっと憎々しく、それこそ『グレムリン』ばりに比重を置いてもよかったと思う。しかし、設定上、光が苦手ということもあってはっきり見えるシーンが少ないという足枷が。どうも、演出と設定がかみ合っていない。
ケイティ・ホームズ、ガイ・ピアーズとなかなかのキャスティングにも関わらず、彼らの良さが全然生きていないのも、監督の力量不足。非常にカット割に気を使っているのはわかるが、スリリングさにかける。
#子役が可愛くないのはご愛嬌。
(以下、ネタバレ)
それでも、そこそこなダークファンタジーとして、要所要所でドッキリやびっくりを散りばめながら最期までもっていく。しかし、残念なのは、地下に引きずり込まれた彼女が、小鬼と同調しちゃってる終わり方が意味不明なこと。そういうオチにしたいなら、小鬼たちの存在の意味や行動の目的をはっきりさせないといけないと思う。何故、子鬼たちはそういうことをするのか。恨みなのか、呪いなのか…。まあ、デル・トロ作品なので、“そういう存在”なだけ…というノリだとは思うんだけど、そこは、何らかの示唆をすべきだったろう。ブラックウッドが晩年、その厄災に巻き込まれた…という謎解きだけでは消化不良だった。
なんなら、パーティの参加者がみんなひっくるめて、小鬼の被害にまきこまれて、しっちゃかめっちゃっかになったほうが面白かったような気もしないでもないが、“命ひとつ”の設定上の縛りがあるので不可能か。やっぱり、設定が演出上の面白みを削いでしまっているような気がする。
正直、ピリっとしないのだが、そこそこのダークファンタジーにまとまっている感じ。旧作料金なら許せる凡作。
公開国:アメリカ
時 間:86分
監 督:サム・ライミ
出 演:ブルース・キャンベル、エレン・サンドワイズ、ベッツィ・ベイカー、ハル・デルリッチ、サラ・ヨーク 他
5人の男女が休暇を過ごすために、テネシー州の深い森の小屋を訪れた。不穏な空気が漂っているものの、楽しく過ごそうとする面々。しかし、夜、地下室へ通じる戸が急に撥ね上がる。不審に思ったスコットとアッシュが地下へ降りると、そこには、古い探検、テープレコーダー、“死者の書”というタイトルの本を発見する。テープには、死霊の研究をしていた学者の研究成果が録音されており、死霊を呼び出すことに成功するものの、逆に死霊に襲われてしまったという内容だった。さらにテープには、呪文が録音されており、その呪文のせいで小屋の周りの死霊が蘇ってしまう。アッシュの姉のシェリルは、庭の木に絡みつかれ、枝に襲われてしまうが、必死で脱出。半狂乱になったシェリルは、森から出ると言い張り、アッシュと二人で車で脱出する。しかし、途中の橋が壊れており脱出できず、小屋に戻るしかなかった。しかし、小屋に戻ると、シェリルが死霊にのり移られてしまい…というストーリー。
サム・ライミのデビュー作。若い男女が休暇で森で過ごす…っていう基本パターンや、音で驚かす手法なんかも、1980年製作の『13日の金曜日』のほうが先で、特に目新しくはない。
これが自主制作映画であることを前提に観れば、そりゃぁ映画愛満載で、胸が熱くなるのは間違いない。この荒削りな情熱、形にするパワーは尊敬に値する。予算が無いが故に、偏執的ともいえる特撮の手の加え方や、独特なカメラワークなど、技術で補った点は好感が持てる。
乗り移られた女性たちは閉じ込められて、悪態をついたり、隙あらば攻撃してくるんだけど、姉や恋人なもんで、スカっと殺すわけにはいかない。もしかしたら戻るかもしれないしね。だけど、そうも、その辺の心の機微まではうまく表現できていない。それにしても、役者のレベルが低いのはもうちょっとなんとかならなかったのかと。あまりにも大根役者すぎる。
最後はカオス状態になっちゃうけど、それまでは、のり移られるのは全部女性だけなんだよなぁ。なぜか襲われるのは男性という構図。はじめは躊躇するものの、最終的には、ぐっちゃり殺めておしまい。サム・ライミたちは、何か女性にトラウマでもあったんかいな…と。
ちょっと、グロ系のホラーを観すぎたせいかもしれないんだけど、当時としては気色悪さ満載だったのかもしれないが、現在の特撮・CG技術と乖離がありすぎて、陳腐さ極まりなく失笑の連続。失笑が漏れる度に、ストーリーへの没頭が阻害される。
なにか古代の霊みたいなことらしいのだが、結局なんだったのか、掘り下げられることはないし、特に後半は、退屈な演出で飽きてしまった。実は、何度も眠ってしまって、7回以上、寝て→目覚めて→あ~いかんいかん、巻き戻し→寝て…を繰り返し。
『スパイダーマン』のおかげでメジャー監督になってしまったけど、元々は究極のB級監督だったからね。一昔前なら、笑えるB級映画だったんだけど、ちょっと時代に置いてきぼりをくらって笑えなくなってしまい、カルトムービーと呼ぶのも難しくなってしまった。
今でも面白い作品…というよりも、歴史的価値のほうが大きくなってしまったかな。
公開国:イギリス、アイルランド
時 間:108分
監 督:デヴィッド・キーティング
出 演:エイダン・ギレン、エヴァ・バーシッスル、ティモシー・スポール、エラ・コネリー 他
獣医のパトリックと妻ルイーズは、娘のアリスを治療中の狂犬にかみ殺され亡くしてしまう。以降、悲しみにくれる毎日の連続で、夫婦の心もすれ違うばかりだった。そこで、立ち直るために、心機一転ウェイク・ウッドという田舎町に引越すことに。心は癒えることはなかったが、それぞれ獣医と薬剤師の仕事を打ち込み、なんとか平静を繕うのであった。そんなある日、薬局に様子のおかしい若い娘を連れた母親と出会う。その違和感が何なのかわからずにいたが、その後、ルイーズは村の不思議な儀式を目の当たりにして、例の娘がその儀式と関わりがあることを知り…というストーリー。
“ウェイク”ウッドなんて名前の村だから、おそらく生き返るんだろうさ…と予想がつく。実際、プロットは『ペット・セメタリー』で、村の様子は『ウィッカーマン』。これらのミックス。
夫は自分の配慮不足だという負い目もあるし、妻はあまりの突然の別れに整理がつかず、おまけに妊娠できない体になってしまったため、1年経っても諦めきれない。きちんと別れを言いたいという気持ち半分、あわよくばそのまま娘を取り戻したいという気持ち半分。
秘術の信憑性がどうのこうのとか、3日経って別れる場面になったらより苦痛を味わうことになるとか、交換条件がこんな気味の悪い田舎に永住しなくてはいけないことだとか、もう、それらを天秤にかけられる精神状況ではないのだ。その証拠に、簡単に娘の遺体を損壊してしまう。ここで普通は我にかえるところだ。
怪しい儀式を行うのがティモシー・スポール演じる太ったじじぃ(『ハリー・ポッター』シリーズでピーター・ペティグリュー(ロンのネズミの正体)を演じていたおっさん)。彼がこうすりゃ生き返るんだって説明しても、ふつうはにわかに信じないだろう。薬局にきた若い娘も、この秘術で生き返ったということなんだろうけど、ちょっと判りにくい。偶然に見かけたあの秘術で、ずるっと出てきたのが、あの娘…というのが明確で信じた…みたいな、彼女が納得するのもさもありなん…っていう演出がちょっと足りないのが難点である。娘の名前を知っていただけではちょっと薄いかも。
(以下ネタバレあり)
振り返って考えると、誰か死んだら復活させて…が可能なので、村全体が生命に対する執着が希薄になっている。設定上どうなのかはわからないが、村外から調達した死体でも可能ならば、会いたいときにいつでも逢える。なんなら本当にお盆に帰ってきてもらうことができる(もちろんアメリカにお盆は無いが…)。さらに、“あの世”の様子も、戻った人たちから聞いていて、それなりに幸せそうだったりするんだろう。だから殺されそうになっても、半狂乱で抗うってこともしない。それが村全体に蔓延している様子がうまく描けていると思う。
『ペット・セメタリー』よろしく、この子、普通の状態じゃない、こりゃ大変だ…という流れ。でも、スカし方がうまいのか、既視感はない。それどころか、一体、どういうオチにするのか…という、緊張感で最後まで牽引するのがスゴイ。
ラストのオチも、きちんと夫の職業が伏線になっていて、バチっと決まっている。ムダに目をそむけたくなるようなシーンを差し込んで、姑息な演出だなと思ったのだが、実は計算されていた。さて、執着の末に取り戻した子はどうなるのか。皆さんの想像におまかせします…って終わり方も、昨今あまり観られなくて新鮮だ。
これ日本未公開?もっと評価されていいと思う。というか、是非観てほしい隠れた良作だ。お薦め。
#これは、各TV局、放映権争奪すべきでしょう。多分安い。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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