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公開国:アメリカ
時 間:112分
監 督:ケニー・オルテガ
出 演: ザック・エフロン、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュリー・ティスデール、ルーカス・グラビール、モニク・コールマン、コービン・ブルー、アリソン・リード、バート・ジョンソン、レスリー・ウィング、オリーシア・ルーリン、ライン・サンボーン、ケイシー・ストロー、クリス・ウォーレン・Jr、ロバート・カーティス・ブラウン、ターニャ・チザム 他
待ちわびた夏休みになったものの、バイト先が見つからずこまっているトロイとガブリエラたち。そんなとき、トロイの元に、高級カントリークラブのアルバイト採用通知が。仕事だけでなく、バケーション気分も堪能できる一挙両得なバイト先に大喜び。しかし、そのカントリークラブは、シャーペイの親の経営。実は、シャーペイがトロイとガブリエラを引き離し、自分との距離を縮めよういう策略だったのだ。ところが、トロイだけではなく、ガブリエラを含む仲間たちの多くが、採用されたことを知り、シャーペイはショックを受けるのだった。クラブでは、毎年、従業員が参加するタレントショーが開催されており、いつもシャーペイが優勝していたのだが、トロイたちがミュージカルで参加する申し込みをしていることを聞いたシャーペイは、優勝を奪われてしまう!と大慌て。そこで、オーナー一族の特権をフル活用し、トロイと友人たちを離間させ、自分とショーに出るように仕向けるのだった…というストーリー。
前作を観てからかなり経過していたし、所詮、ティーン女子の観るモノ、続きを観ることは無かろうと思っていたのだが、観るものがないついつい。
前作は、ミュージカルシーンはそれなりに楽しめたのだが、今回は非常につまらない。そこがウリじゃないのか?と思うのだが、肝心の歌と踊りが平板。従業員野球大会でのミュージカルシーンは、薄ら寒くなるほど。半分以上、早送りしたと思う。
唯一興味を惹いた展開は、シャーペイの弟ライアンの造反。ただの姉の腰ぎんちゃくだったのだが精神的に自立し、いい男になっていく。そのままもっとメイン級の大活躍をさせればよかったのに、尻すぼみで、大暴れすることはなく終わったのが残念。
奨学生になれるかもしれない、それも一流のバスケチームのある有名校で。それがシャーペイの手回しが発端だとしても、大学側にも実力を認められているのだから、とてもすばらしい状況。恋人と親友がそういう状況の彼を応援せずに、俺たちをないがしろにして、一人でいい目を見ている!と責めるというクレイジーっぷり。作品自体が“友情が大事”というところに無理やり着地させているのだが、人の明るい進路を嫉妬で妨害するなんて、こんなの友情だろうか。
実はガブリエラのキャラクターがおもしろさを削いでいるのではないかと、思えてきた。彼女はマジメで歌もうまく優等生なのだが、約束を守らないトロイに対して不機嫌になる以外は、作中で心境の変化のようなものを生じさせない。もう、キャラクターというよりも背景に近い。その“無味無臭”になってしまったガブリエラとのエピソードを挟まなければいけないのが、地味に足枷になっている。
案外、このお話、ガブリエラを出さないようにしたら(どうしても遠くの親戚のところに行かねばならないとか)、なかなかの友情話になっていたんじゃなかろうか。進路の話は、メールを介してガブリエラと相談する…みたいな流れで。
また、最終的に、奨学生を諦めるんじゃなくて、チーム全員にチャンスが与えられるかも…的な感じを匂わせればよかったと思う。曲りなりにも“チャンスの国アメリカ”なんだからさ。
子供向け作品に、目くじらたてるのも大人げないんだが、“どうせ現実はこんなもの…”的な、夢のない残酷な未来をティーンに提示しているような気がして、なんか気分が悪い。考えすぎかな。
公開国:デンマーク
時 間:140分
監 督:ラース・フォン・トリアー
出 演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・モース、ピーター・ストーメア、ジョエル・グレイ、ジャン=マルク・バール、ジョエル・グレ 他
受 賞:【2000年/第53回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ラース・フォン・トリアー)、女優賞(ビョーク)
【2000年/第13回ヨーロッパ映画賞】作品賞、女優賞(ビョーク)、観客賞[監督賞](ラース・フォン・トリアー)、観客賞[女優賞](ビョーク)
【2000年/第16回インディペンデント・スピリット賞】外国映画賞
【2000年/第24回日本アカデミー賞】外国作品賞
【2000年/第43回ブルーリボン賞】外国作品賞
コピー:魂の歌声は、誰にも止められない。
1960年代、アメリカの田舎町。チェコ出身のセルマは、一人息子のジーンを育てながら、工場で働いている。セルマは次第に視力を失うという遺伝性の病気を患っており、ジーンもやがて発症することがわかっているのだが、ショックを受けないように秘密にしており、ジーンに手術を受けさせるために、工場勤務だけでなく内職もして、こつこつと貯金をしているのだった。そんな彼女はミュージカルが大好きで、地元のアマチュア劇団に参加したり、友人のキャシーと一緒にミュージカル映画を観ることを楽しみにしていた。しかし、セルマの視力は日に日に落ちており、今では、映画の映像を満足に観ることも出来ない状態になっていた。そして、とうとう、工場で失敗を重ね続けたため解雇されてしまう。これまで貯めていた金額でなんとか手術をしてもらおうと、貯めていた金を持って病院に行こうとすると、何と約2000ドルの貯金が無くなっていた。いままで、親切にしてくれた警察官のビルの仕業であると思い、金を返すように彼に迫るのだったが…というストーリー。
以前に観たときは、もう二度と観ることはないだろう…と思っていたが、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』と盲人つながりで思い出して…。
前半の展開は、コールタールの中を歩かされているように、ネバネバと進む。上映時間が長めなのはそのせいである。
これでもかこれでもかと不幸が降ってくるのだが、かならず不幸の前フリがあって、予想通りの不幸な目にあう。こんな予想のつく内容なのに、飽きさせないのというのは物凄い才能でだと、素直に感心する。
うって変わって、ビルを殺害した後は、テンポが急速に上がる。正直それまでは、このノリが最期まで続くのなら観てられないな…くらいの気持ちになったのだが、これを境にガラリとかわる。もちろんこれも計算だろう。そこで私が一番好きなのは、法廷でのミュージカルシーン。といってもセルマの妄想だが。これが実に観ている側の心も踊る良い出来映え。そしてその妄想の楽しさと、現実の理不尽さのコントラストがたまらない。
そして、本作はトリアー監督のアメリカ批判の結実なのかな…という気がする。知力でも肉体的にも人より劣るセルマ。彼女は、ただただ、“産んでしまった”という罪を購うために、薄給を貯蓄し続けているだけ。そんな彼女を、見得と強欲と自分勝手が、破滅に追いやるのだ。見得と強欲と自分勝手こそ、アメリカの象徴だと彼は言っているような気がする。
そんな彼は、心の病により飛行機に乗れず、アメリカが舞台の映画でもヨーロッパで撮影するしかない。そんな彼が、なんで、『ドッグヴィル』『マンダレイ』とアメリカ三部作を作ろうとしているのか(まあ、3作目は製作されてないけど)。アメリカの歴史や社会構造に、人間の負の部分の象徴を見出しているのだと思う。
前回に観たときは、なんと理不尽だろうと思ったのだが、改めて観ると、何だかんだいってセルマはビルを撃っているし、法廷で自分の父親のことについて嘘をついているし、致し方ないのかな…という思いが沸いた。もっとうまくやれば、私刑は逃れられるだろうと、前回は思ったが、真の目標である息子の手術させ確実に叶えば、もうそれでいいという思いや落胆が良く判った。まあ、チャンスは与えられるが、そのレールからはずれたものに対してはひたすらに厳しいという、アメリカ社会への落胆の象徴とも言える。
そして、映画史上に残るであろう、文字通りの幕切れ。おそらく、このラストシーンが始めに思いついて、そこから逆算で膨らませていったのではないかな?と私は思っている。
トリアー監督は結局この陰湿なノリから外れることが未だにない。『ドッグヴィル』『アンチクライスト』は闇の部分が強すぎる。年々エログロの要素が増しており、おそらくこの路線は、一般人が付いていけないところまでいってしまうだろう。でも、どれだけ過激になろうとも、トリアー監督のラインナップを追って観続けたら、馴れてしまい、新しい感激はおきないだろう。今のトリアー監督は、彼自身が闇にまっしぐらだと思う。
正気と狂気のバランスは、本作が一番適度であり、結果的にトリアー監督の現時点での最高傑作であろう。
前半はセルマに感情移入してしまいがちだが、感情移入してしまうと本作を観るのは結構つらい。神が下界の様子を無感情で眺めるように、あくまで客観的に眺めていると、味わい深く観ることができるだろう。
観ているだけで鬱になりそうな作品なので、手放しでお薦めはできないが、体力のある時にどうぞ。
公開国:イギリス
時 間:155分
監 督:リチャード・アッテンボロー
出 演:ローレンス・オリヴィエ、ラルフ・リチャードソン、ジョン・ギールグッド、マイケル・レッドグレーヴ、ジョン・ミルズ、ダーク・ボガード、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、マギー・スミス、スザンナ・ヨーク、ウェンディ・オルナット、フィリス・カルヴァート、イザベル・ディーン、ジュリエット・ミルズ、ジェーン・シーモア、ジャン=ピエール・カッセル、エドワード・フォックス、メアリー・ウィムビッチ 他
受 賞:【1969年/第27回ゴールデン・グローブ】外国映画賞[英語]
【1969年/第23回英国アカデミー賞】助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)、撮影賞(ジェリー・ターピン)、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞、国連賞
コピー:英国の製作陣及び配役の総力を結集した…けんらんたる戦争巨篇!!
1914年初頭の欧州。ドイツと同盟したオーストリアと、フランスとロシアの支援を受けるセルビアの関係は一触即発状態だったが、セルビアを訪問中のオーストリアの大公夫妻が暗殺される。オーストリアがセルビアに対し宣戦布告すると、それを契機に、ドイツのカイゼルはベルギーに侵入し、イタリアと同盟を結ぶ。それにより中立を保っていたイギリスも参戦せざるを得なくなり、1919年4年7月第一次世界大戦が勃発する。これまで志願兵制度だったイギリスは、勝利のために徴兵運動を展開。その運動にいたって普通の小市民であるスミス一家も巻き込まれ、息子のハリーが募兵に応じ、ベルギー戦線に出兵。その後も、別の息子ジャックも妻子を置いて出兵するが、戦局はエスカレートする一方で…というストーリー。
地歴公民の教員免許は持ってるが、正直、第一次世界大戦前後は、ちょっと苦手(というか、おおよその流れ程度しか頭に浮かんでこない)という、なさけないポンコツの私。オーストリア大公夫妻の暗殺くらいはわかるけど、その周囲の動きなんかピンときていない。
だから、各国のキーマンが、ヨーロッパの地図が書いていある床の上で、いろいろペラペラお話していても、“うまくまとめた”ともシュールだともウィットだとも思えないという、実に情けない状態。
戦国時代とか幕末の話をこんなノリで演出されたら、日本人なら腑に落ちるのだろう(三国志とかでも同じかな)。海外なら高校生レベルでも、ああ、歴史の授業でやってたあれだよねーって、感じになるんだろうけどね。
また、豪華な配役とのことだが、それほど個性の強い顔立ちの面々ではないため、肝心のスミス一家の男兄弟が兵隊さん中の誰なのか、正直よくわからんまま、観終わってしまった。
そして、肝心のミュージカル部分だが、賛美歌やポピュラーミュージックの元の歌詞自体を知らないので、替え歌になってもその面白さがよくわからない。
確かに、塹壕の中での兵士たちの、本音の言葉や、厭世観はよくあらわれてはいて、反戦ムービーとしては伝わってくるのだが、それが笑いや歌にのって、私の心に届くことはなかった。
#一番、心が動いたのは、民衆の前で演説する女性のくだりだが、スミス一家の人?本当にキャラの描き分けがピンときていない。
これまで観て来た映画の中で、“付いていけていない”という不安を一番感じた映画だと思う。お薦めするとかしないとか、そういう段階ではない。まあ、私の修行不足ということなんだろう。そういうことで。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ロブ・マーシャル
出 演:ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ケイト・ハドソン、ニコール・キッドマン、ソフィア・ローレン、ファーギー、リッキー・トニャッツィ、エリオ・ジェルマーノ、アンドレア・ディ・ステファノ 他
ノミネート:【2009年/第82回アカデミー賞】助演女優賞(ペネロペ・クルス)、歌曲賞(曲/詞:モーリー・イェストン“Take It All”)、美術賞(ジョン・マイヤー、ゴードン・シム)、衣装デザイン賞(コリーン・アトウッド)
【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ダニエル・デイ=ルイス)、女優賞[コメディ/ミュージカル](マリオン・コティヤール)、助演女優賞(ペネロペ・クルス)、歌曲賞(モーリー・イェストン“Cinema Italiano”)
【2009年/第63回英国アカデミー賞】メイクアップ&ヘアー賞(Peter ‘Swords’ King)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】作品賞、助演女優賞(マリオン・コティヤール)、アンサンブル演技賞、撮影賞(ディオン・ビーブ)、編集賞(クレア・シンプソン、ワイアット・スミス)、美術賞(ジョン・マイヤー、ゴードン・シム)、衣装デザイン賞(コリーン・アトウッド)、メイクアップ賞、音響賞、歌曲賞(モーリー・イェストン“Cinema Italiano”)
コピー:世界は、男と女と愛でできている。
世界的な映画監督グイドは、新作『ITALIA』のクランクインが迫っているにもかかわらず、創作意欲がまったく湧かず、未だに1ページもシナリオは書けていない。そんな状態で製作発表の記者会見をさせられるが、記者達から問い詰められ、精神的に益々追い込まれていく。そのまま海沿いのリゾートホテルに逃亡し、愛人カルラを呼び寄せて自らを癒そうとするが、プロデューサーに居場所を突き止められ、ホテルにセットを持ってきて撮影を迫られる。そこへ妻ルイザもやってきて…というストーリー。
このホテルはフェリーニの『8 1/2』に出てきたホテルに似てるなぁ…。イタリアはこういうのが多いのかなぁ…。そういえばストーリーもなんとなく近いなぁ…、なんて感じで観ていたのだが、後で解説を読んだら、『8 /1/2』をモチーフにしたミュージカル作品の映画版なんだって。
普通の生活や会話の中で踊って歌っちゃうミュージカル映画が多いけれど、本作のミュージカルシーンは想像・空想の中でのみ展開する。私はこういう方が興醒めしなくて好きである。
グイドは多数の浮名を流すわけだが、意識してか否かはわからないが、全ての女性に母親の影を強く求めている。娼婦のような女を求めているようでも結局そこに帰結してしまう。どこの国の男性でもその傾向はあるのかもしれないが、イタリア人男性のマザコン具合の顕著さ垣間見えて、ちょっと気持ち悪かったりはする。
表面的には様々な女達との関係に苦悩するマエストロの話。だけど話の本質的には、女に依存した男の滑稽さ云々というよりも、実生活でウソが増えた分、創造の世界でウソが付けなくなった男の話ってところか。
それら女性陣を演じる中では、ペネロペの存在感が半端ない。顔小っさ!から始まり、奔放なビッチっぷりを演じきっている。こういう役をやらせたら天下一品。
ニコール・キッドマンは、美人女優が多数登場する作品の中で、さらに美人女優役のアイコンを演じなければならないわけだ。いかにもな美人な感じをしっかりと演じてくれているが、ちょっと作品の中では浮いている感じは否めなかった(ちょっと作品から浮いてる感じ)。
反面、その女性達から愛を受ける主人公を演じるダニエル・デイ=ルイスは、ピンとこない。落ち目の監督らしい風貌で、確かにダメ男には見えるのだが、男性目線だからかもしれないが、そんなに魅力的に見えない。女性から見ると納得できるの?これ。
リメイク作品と考えちゃうと凡作だと思うのだが、自分の中にある弱さとシンパシーを得られれば、軽妙な音楽と相まってなかなか愉しめると思う。軽くお薦め。でも、若い人には向いていないかも。
#余談だけど、ソフィア・ローレンの整形(特に唇)は怖いっす。アメリカのおばさんでああいうピローンと左右に突っ張ったような唇にする人がいるけど、何が良くてあれをしようと思うのか、理解に苦しむ。
負けるな日本
公開年:1978年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ランダル・クレイザー
出 演:ジョン・トラヴォルタ、オリヴィア・ニュートン=ジョン、ジェフ・コナウェイ、ストッカード・チャニング、バリー・パール、イヴ・アーデン、ジョーン・ブロンデル、ディディ・コーン、ダイナ・マノフ、フランキー・アヴァロン、アリス・ゴーストリー 他
ノミネート:【1978年/第51回アカデミー賞】歌曲賞(ジョン・ファーラー:作詞・作曲『愛すれど悲し』 Hopelessly Devoted to You)
サマー・バケーションで知り合いたちまち恋に落ちたダニーとサンディ。しかし、サンディはオーストラリアに帰らねばならず、ひと夏の恋は終わったように思われた。しかし突然、サンディの父がアメリカに転勤になり、ダニーと同じ高校に通うことに。二人は突然の再会を喜んだが、ダニーはリーゼントに皮ジャンという格好の不良グループのリーダーで、あまりの印象の違いに驚いてしまうサンディ。さらに、不良仲間の手前、つれない素振りをするダニーにサンディは怒ってしまい…というストーリー。
『サタデー・ナイト・フィーバー』のようなノリを期待していたのだが、どちらかといえば『ハイスクール・ミュージカル』に近かった。バカンス先で出会った相手が、何故か突然転校してきちゃって、あらこれって運命かしら…なんていうノリ。こういうのが好物な人もいるだろうが、私は全然受け付けない性質。このベタベタを逆手にとってわざと楽しんでいるならいいのだが、マジメにやられちゃうとね…。
本作が製作されたのは『サタデー・ナイト・フィーバー』の翌年で、トラヴォルタは24歳くらい。オリヴィア・ニュートン=ジョンなんか30歳くらいのはず。周りのキャラだってどう見てもオッチャン・オバチャンばっか。ミュージカル舞台ならわかるけど、映画となるといささか高校生を演じるには無理がある。趣味の悪いコスプレかって感じ。
ストーリーも極めてお気楽。性欲でギラギラしている生徒たちが、ほとばしる衝動をあちこちにぶつけるストーリー。とはいえ、ままごとのような背伸びの範囲を超えないので、なんか逆にほのぼのさせられてしまう青春ドラマ。大きな困難を克服するような展開もないし、鑑賞後のすっきり感も薄い。どうも全体的に置きにいった感がしてしょうがない。
何から何まで洗練されていないのだが(悪く言えばダサさ満開なのだが)、特に私にとって一番致命的に感じられたのは、ダンスの躍動感がイマイチな点。ストーリーが緩い分、踊りでしっかり魅せないといけない所だと思うのだが…。
『ヘアスプレー』の5分の1くらいの満足度。お薦めしない。すまぬ、本当に好みじゃない。
負けるな日本
公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:140分
監 督:ジョエル・シュマッカー
出 演:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン、ミニー・ドライバー、キアラン・ハインズ、サイモン・カロウ、パトリック・ウィルソン 他
受 賞:【2004年/第10回放送映画批評家協会賞】若手女優賞(エミー・ロッサム)
コピー:あなたの声で私の花が開きはじめる。
1919年のパリ。かつて栄華を極めたオペラ座は今や廃墟となっており、残された品々がオークションにかけられようとしていた。オペラ座が廃墟となった原因は、1870年代のある事件。当時、華麗な舞台でにぎわっていたオペラ座では、仮面をかぶった謎の人物“ファントム”の仕業とみられる奇怪な事件が頻発しており、動揺が広がっていた。そんな中、一人のコーラスガール・クリスティーヌは、密かに怪人ファントムから歌の指導を受け才能を伸ばしていた。ファントムを亡き父が授けてくれた“音楽の天使”と信じて。ある日彼女は、代役として新作オペラの主演に大抜擢され、その歌声でチャンスをものにする。喝采を浴びる彼女を、幼馴染みの青年貴族ラウルも祝福。しかし、直後にファントムが出現し、クリスティーヌをオペラ座の地下深くへと誘うのだった…というストーリー。
先月、京都で劇団四季のオペラ座の怪人を観ようとしたのだが、前日ではチケットが取れずに断念。その埋め合わせとして本作を鑑賞。観たことはあるんだけど、もう一度。
今回観たのは、字幕版のみのDVDだったんだけど、当時の製作側の意向なのか吹き替え音声が入っていない(DVD容量の問題なのか、歌のクオリティを確保できなかったためかは不明)。で、たしか金曜ロードショーで劇団四季による吹き替え版が、放送されたことがあったと思うんだけど、私すっかり忘れていて途中からしか観れなかったのだ。いま思えば、きちんと録画しておけばよかったと、非常に後悔している。
とにかく、歌詞を追っていたら、ステージの細かいところや演者の表情に目がいかなくなって、訳が判らなくなって数回巻き戻した。絶対、吹き替え版なら、しっかりと入り込んで観ることができたに違いない(舞台装置や演技はよくできているからね)。
それから、戸田奈津子の字幕なのだが、歌詞がメロディーにしっかり乗ってない感じもするし、歌では使わないような言い回しというか単語が多い気がして、どうもいけない。戸田奈津子って歌詞の訳は苦手なんじゃないだろうか。
もう一つ、見過ごせない難点は、人物が登場するカット(特に、腰から上のアップショット)の、カット割が非常にダサい。絵コンテの段階で悪いのかカメラマンのセンスが悪いのかはわからないが、とにかく凡庸で味のないカットの連続で閉口してしまう。いくら元は舞台劇だからって、平板な画角ばかりで許されるはずはない。
結局、ミュージカルが見れなかったことの埋め合わせのつもりだったのに、逆にもやもやしてしまった。本作のレンタルDVDは観る価値はない。お薦めしない。
負けるな日本
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:133分
監 督:ジュリー・テイモア
出 演:エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、ジョー・アンダーソン、デイナ・ヒュークス、マーティン・ルーサー・マッコイ、T・V・カーピオ、ジョー・コッカー、ボノ、エディ・イザード、サルマ・ハエック 他
ノミネート:【2007年/第80回アカデミー賞】衣裳デザイン賞(アルバート・ウォルスキー)
【2007年/第65回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]
コピー:All You Need Is Love 愛こそすべて
1960年代、リバプールの造船所で働くジュードは、まだ見ぬ父に会うためアメリカへと渡る。父はプリンストン大学で用務員をしていたが、ジュードの存在を知らず、ただ戸惑うばかり。拍子抜けしたジュードだったが、そこで学生のマックと出会い友達になる。その後、大学生活を嫌ったマックスは退学しニューヨークへと向かったが、ジュードも同行。歌手のセディが住むグリニッジ・ビレッジのアパートに転がり込み、若者たちとの共同生活をはじめる。そんな生活も軌道にのってきたある日、マックスの妹ルーシーが、兄の召集令状を携え、アパートへとやって来て…というストーリー。
前にも書いたが、基本的にミュージカル映画は好きじゃない。ミュージカルが嫌いなわけではなく、“ミュージカル映画”が嫌いなのだ。なぜなら、映画の中に舞台を置いただけのような、奥行きのないダンスが展開されることが多く、映画であることのメリットを生かしていないからである。それなら、ミュージカルの舞台をただ撮影しただけのほうが、舞台ゆえの様々な工夫を感じられて、かえって愉しめるとすら思う。
しかし、本作は違った。ミュージカルを映画で表現する意味がある作品にはじめてであった気がする。映画であることのメリットを生かし、舞台は平板ではなく、非常に立体的で奥行きが感じられる。ダンス部分の演出をした人は、ものすごく空間認知能力に長けているのと思う。私はそういう能力が、どちらかといえば劣っている方なので、純粋に感動してしまった。ダンスだけでなく特撮やCG部分も実に自然に融合していると思う。受賞歴こそないが、個人的には評価したい。
使用されている楽曲はすべてビートルズなのだが、さすがミュージカルということだろうか、私のようなポンコツヒアリング能力でも、ものすごく聞き取りやすい。そして思わず歌いたくなる。ストーリーと楽曲のからめかたも最高である。思わず一緒に歌いたくなったが、電車内だったので、一生懸命抑えた。
ストーリーに物足りなさを感じる人もいるだろうが、ノリ重視の若者のロードムービーと考えると、案外適切な気がする。なんとなくうやむやで終わらせた気もしないではないが、最近、滅入るような内容お映画ばかりだから、このくらい予定調和で展開してもらったほうが、とても気分がよい(若者映画といってしまうと、『ハイスクール・ミュージカル』みたいのを想像されてしまうかもしれないが、まったく違う)。
だれしも、流れは受け入れつつも、ただ流されは無いような、適度に自由な生き方には、憧れる。主人公の冒険(といっていいのかな)を、ものすごくうらやましく感じてしまった(…ってのは、もう、おっさんだってことなんだろうな)。
とてもセンスの良い快作なので、お薦めしたい。また定期的に観かえすような作品に出会ったと思っている。
公開年:2008年
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:109分
監 督:フィリダ・ロイド
出 演:メリル・ストリープ、ジュリー・ウォルターズ、ステラン・スカルスガルド、コリン・ファース、ドミニク・クーパー、ピアース・ブロスナン、アマンダ・セイフライド、クリスティーン・バランスキー 他
ノミネート:【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、女優賞[コメディ/ミュージカル](メリル・ストリープ)
【2008年/第62回英国アカデミー賞】作曲賞(ビョルン・ウルヴァース、ベニー・アンダーソン)、新人賞(ジュディ・クレイマー)、英国作品賞
【2009年/第18回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞[女優](アマンダ・セイフライド)
【2008年/第29回ラジー賞】ワースト助演男優賞(ピアース・ブロスナン)
コピー:どんなことがあっても、笑っていよう。自分の人生がもっと好きになる。
ギリシャの小島で小さなホテルを営む母子ドナとソフィ。ソフィは恋人スカイとの結婚式を明日に控えていたが、どうしても、父親とヴァージン・ロードを歩きたいという夢を捨てきれない。しかし、未だに父親が誰なのかを知らない彼女は、母の昔の日記を探し出し、父親の可能性のある3人を見つけ、ドナ名義で結婚式の招待状を送付する。ほどなく3人が揃って到着するが、ソフィは結婚式までドナに合わせないように彼らを匿うことにするも、ドナは偶然3人を目撃してしまい…というストーリー。
メリル・ストリープのおかげで、画が締まったからよかったものの、彼女がいなかったら、おきらくトンチキ映画になったに違いない。
メリル・ストリープの歌唱力はなかなかのものだったけど、それ引き換えピアース・ブロスナンの歌声は一体何なのか。ちょっとハズれたキャラだから許されると思ったのも知れないけど、とてもプロ俳優とは思えないクオリティの低さ。実はものすごくうまくて、わざとヘタに唄ってるんだよってことなら、わからんでもないが、たぶん(いや確実に)違うだろうね(笑)。
#ここまでヒドいことに、キャスティングの段階で気付かなかったのだろうか…
楽しきゃなんでもいいというスタンスなんでしょう。演技から歌への入り方は唐突というか不自然というか、おかまいなしってかんじ。いや、たしかに楽しそうなので、別にいいちゃあいいんだけど、もう少し工夫してくたほうがうれしかったかも。
まあ、お気楽でオメデタイ人しか登場しないわけだし、ドナの中で男3人に優劣があるとか、ラストの展開にしても、突拍子も無いノリをただただ楽しんで、細かいことは気にしちゃいけない作品なんだな…とは思う。でも、それは裏を返すとご都合主義と捉えられることもあるので微妙ではある。きっと好みは別れるだろうね。
ただ、根本的にミュージカル映画に批判的なワタシからみれば、ここまで割り切ってくれたほうが良く感じるのは事実。ミュージカル映画なのに及第点は超えていると感じるので、そこそこお薦めする。
意外に新鮮だったのが、使用されている楽曲の歌詞。よく聞いたことのあるものばかりだけれど、歌詞の意味を改めて読むと、けっこうスゴイ内容ばかりで、面白かった。
劇団四季のマンマ・ミーア!がどんなもんなのか、ちょっと興味が湧いてきた。多分、こんなにエーゲ海ロケーションの影響が大きくなくって、より音楽を楽しむ感じが強くて、いい感じなのかも…と予測。
公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:バズ・ラーマン
出 演:ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ 他
受 賞:【2001年/第74回アカデミー賞】美術賞(Brigitte Broch:舞台、キャサリン・マーティン:美術)、衣裳デザイン賞(キャサリン・マーティン、アンガス・ストラティー)
コピー:ふたりの愛、ひとつの運命。
パリ、1899年この街で、最も愛された一人の女…彼女の名はサティーン
1899年、パリのナイトクラブ“ムーラン・ルージュ”は経営難。オーナーのジドラーは、資産家の公爵に目を付け、サティーンをあてがうことで資金を引き出そうとか画策。それをきっかけにムーラン・ルージュの抜け出して女優になりたいサティーンもその案に乗る。しかし、サティーンは青年舞台作家クリスチャンを公爵と勘違いしてしまい、おまけに二人は互いに愛し合うようになる。公爵から資金を得るために、決して知られなように女優と作家という関係を装わねばならなかったのだが…というストーリー。
毎度言うことだが、ミュージカル映画というのは、それだけで“苦”を背負っていると私は思う。まず、タモリが昔から言っていることだけど、演技の途中で突然歌いだす不自然さに興醒めするという点。通常の作品は、目の前で実際に繰り広げられている世界に没頭していくわけで、没頭させるために演者さんたちは不自然ではない演技力を磨くわけである。しかしミュージカルは、それを真っ向から壊して突然歌いだすのだから、当然、観ている側の意識は、すぅ~っと俯瞰にならざるを得ない。
もう1点は、ミュージカルを見て感動するのは、目の前の舞台でリアルタイムで演じられているからである。本作の評価で、ニコール・キッドマンもユアン・マクレガーも予想以上に歌がうまくてびっくりというものがあるのだが、それも何十テイクも採った奇跡のワンテイクを使ってるのかもしれないし、世の中のミュージカル俳優の技術を比べられちゃあこまるでしょ。そういう点でも、純粋に感動できないわけである。
では、本作には良いところがないのか?といえば、ある。それは、全編、ポピュラーミュージックのアレンジ曲で占められていること。ストーリはありがちで単純なので興醒めしそうなところを、曲のノリで引き止めてくれる。いい手法である(まあ、この作品がはじめて使う手法でないのは承知だが)。しかし、残念なのは、その要素足りないこと。もっとしつこいくらいに、これでもかこれでもかとポピュラーミュージックで押してくれれば、楽しめたし、何度か見返したくなる作品になったと思う(まあ、映画というよりもPV的な意味でだけど)。
そんなにミュージカル映画に厳しいなら観なきゃいいのに…といわれそうだが、決してミュージカルという手法が嫌いなわけではない。舞台自体が非日常である『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や、精神内の表現にミュージカルを使用した『ダンサー・イン・ザ・ダーク』など、ミュージカル映画というのは、映画の世界においてまだまだその手法について模索がつづいている分野の一つだと思うので、いつも興味深くウォッチしているのですよ。
本作はそういうミュージカル映画の“苦”を背負っている割には及第点だと思うので、それほど拒否反応のない人にはお薦めする。が、ストレス解消系でも涙をさそう悲恋系でもなく、ストーリーとしては凡庸であることは指摘しておく。ただ、基本的にDVDは吹替で観るのだが、日本語吹替の声優さんの声質が似ていて非常にびっくりした。ワタシ的には、この点だけでも、観る価値はあったかなと。
公開年:2006年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ケニー・オルテガ
出 演:ザック・エフロン、ヴァネッサ・アン・ハジェンズ、アシュリー・ティスデール、ルーカス・グラビール、モニク・コールマン、コービン・ブルー、アリソン・リード、バート・ジョンソン、レスリー・ポメロイ、ニック・ウィテカー、オリーシア・ルーリン、ライン・サンボーン、ケイシー・ストロー、クリス・ウォーレン・Jr 他
高校で人気者のバスケ選手トロイと優等生のガブリエラが、高校で開かれるミュージカルのオーディションに一緒に参加することで巻き起こる奮闘や友情を描いたミュージカルタッチのストーリー。
ディズニー・チャンネルが製作したTVムービーで、お子様向け。それも女の子用かな。絵に描いたようなアメリカの学園ドラマの設定で、正直なところおっさんにはついていくのはツライものがある。この前に観た『ヘアスプレー』とは、比べてはいけない。突然に不自然に歌って踊りだすありがちなミュージカルなので、この手の作品がダメな人はまったくうけつけないだろう。
ただ、決してつまらなかったわけではない。健全な学園を舞台に純粋に歌と踊りを見せる映画で、なんといっても、歌も踊りもきちんとしているので、なかなか愉快なのである。男女間のフィジカルコンタクトは手を握ったり、せいぜいハグしたりで、そりゃNHKが放送するだろう。キスの場面すらないこの製作ポリシーはある意味、身近な学園を舞台にしていながらもファンタジー空間を演出しているともいえ、さすがディズニーの演出といったところ。そういうファンタジー表現があったか!と、ある意味感心してしまった。
タダのアイドル映画で終わらずに、世界的にブームを興したのも、このかたくななまでのクリーンさ故だろう。
ただ、いい大人がわざわざ、これ目当てにレンタルショップにいって借りてくる価値があるかは微妙なところ。どうしても借りたいものがレンタルされていて、たまたま本作が残っていたら観てください…くらいのレベル。
中高生の女子でも、テレビでやってればなにげなく観て、結構面白かったなぁ、、というくらいだろう。
#まあ、歌と踊りが始まれば、大抵の人は楽しい気分になるので、どよ~んと悲しい気分の人には、毒もなにもないので、いい気分転換になるかも。
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:アダム・シャンクマン
出 演:ジョン・トラヴォルタ、ニッキー・ブロンスキー、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、クイーン・ラティファ、ザック・エフロン、ブリタニー・スノウ、アマンダ・バインズ、ジェームズ・マースデン、イライジャ・ケリー、アリソン・ジャネイ、ジェリー・スティラー、ポール・ドゥーリイ、ジョン・ウォーターズ 他
受 賞:【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、若手女優賞(ニッキー・ブロンスキー)
【2008年/第17回MTVムービー・アワード】ブレイクスルー演技賞(ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー)
コピー:ハマる!ハジケる!ハチキレる!?
1962年、米メリーランド州ボルチモア。ダンスとオシャレに夢中な16歳の女子高生トレーシーは、ヘアスプレー企業が手掛ける人気テレビ番組“コーニー・コリンズ・ショー”に出演して踊ることを夢見ていた。そしてある日、彼女は母の反対を押し切り、番組のオーディションに参加するが…というストーリー。
『プロデューザーズ』と同様、ブロードウェイ・ミュージカルの映画化だが、あれとはまったくミュージカル部分の質が異なっている。『プロデューサーズ』がどこでもかしこでも踊り始めるのに対して、本作のミュージカル部分には、明確な法則がある。それは、街中とかで踊る場面は登場人物の脳内状態をビジュアルで表現しているのだということ。だから街中とかで踊るときは、ポスターとか写真が動き出す。その他の踊りの部分は、実際に学校や番組で踊っているリアルな場面だ。このあたりのメリハリ(踊る意味)がはっきりしているから、普通の映画と遜色なく、不自然さを感じることもない。まず、私はこのルール付けにとても感心した(ミュージカル映画というのは、こうあるべきなのではないかと思える)。
何度も比較してもうしわけないのだが、『プロデューサーズ』は展開の予想がつくような場面でもダラダラと見せ続けられる部分が多かった。歌や踊りで表現したからといって、ただそれだけで、ストーリーの進行がスムーズになるわけではないのだ。しかし本作はすっきりと展開のムダを極力排除しようという意図が明確に感じられる。次はこうなるんだろうなという部分は、スパッと切り上げてシーンが移るので、イライラさせる暇を与えない。ミュージカルシーンの場合、冗長だからといって歌の途中を切るわけにはいかないから、あらかじめよく練っておかなくてはいけないだろう。本作はそれがよくできているのだ。
人種差別問題をひとつのテーマとしているが、重すぎず軽すぎず適度な扱いで、その加減が絶妙な脚本だ。警察から逃げるくだりも、レベルの低い脚本家ならば、シリアスになったり、逆におフザケがすぎて興醒めさせてたりしまうところを、ぎりぎりの線でキープできている。
トラボルタの特殊メイクが話題になっていたが、それはあくまで“掴み”にすぎない。彼も含めて他の役者の演技も歌も踊りもすばらしい。私はあまりに楽しすぎて、最後のトラボルタが踊り始めたところで涙が出てきた。映画をみて涙が出たのは久しぶりだ(この前は、『嫌われ松子の一生』のアジャ・コングが出てきたところで涙が出たのだったな。両方とも太った女の人が出るシーンだけど(笑)それは無関係)。まあ、あそこで母親が踊りだす理由はよくわからないんだけど、そういうノリの力というか、ぐっと流れに押しだされて異常な状態が作り出されると、心が興奮するものなのかもしれない。
とにかく、今年度に観たDVDの中で一番楽しめた。一見女の子向け映画のように思えて敬遠している男性もいるかと思うが、是非是非観て欲しい。激しくお薦めする。ああ、楽しかった。
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:134分
監 督:スーザン・ストローマン
出 演:ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、ユマ・サーマン、ウィル・フェレル、ゲイリー・ビーチ 他
ノミネート:【2005年/第63回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ネイサン・レイン)、助演男優賞(ウィル・フェレル)、歌曲賞(メル・ブルックス“There's Nothing Like A Show On Broadway”)
【2005年/第11回放送映画批評家協会賞】サウンドトラック賞、コメディ映画賞
コピー:『オペラ座の怪人』『シカゴ』ですら獲ることができなかった、トニー賞12部門、史上最多受賞のブロードウェイ・ミュージカルが完全映画化!!
1968年の傑作コメディを舞台化した大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品。落ち目のプロデューサー・マックスのもとに帳簿を調べにやってきた会計士は、ショーが失敗するほど儲かる不思議なカラクリを発見する。それを聞いたマックスは、大コケ確実のミュージカルを作り出資金を丸ごといただいてしまおうと企む…というストーリー。
ミュージカル映画というのはたくさんあるが、大抵は、普通の映画のように進行する中で、キャストが歌いだすパターンが多いと思う。ようするに現実世界の中で歌いだす感じ(まあ、それが不自然だということで、好き嫌いが分かれるのだが)。しかし、本作は幾分おもむきが違う。ミュージカルの舞台を、ただ映画のセットに置き換えている感じなのだ。且つキャストのセリフまわしも舞台チック。もちろん舞台の雰囲気を出そうという演出なのだろうが、これがどうも緊張感に欠けるのである。
なぜか。それは、舞台を観ている時は、ガチンコなので演者と客の間に、否が応でも緊張感が走る。しかし、これは映画なのだから、長ぜりふをうまく言おうが、見事な踊りをしようが、所詮、何度かリテイクした中の良いテイクなだけのことである。一挙手一投足に着目する気にはならない。
私は舞台ミュージカルのファンではないし、もちろん本作の元となったミュージカルも知らない。だから、うまいこと映画にしたなぁ…という感想もない。この緊張感の無さのせいで、何度も眠りにおちてしまった。
眠くなる理由は他にもある。おそらく製作者側からの制限だと思うが、本作DVDには日本語吹き替えがない。『オペラ座の怪人』の時もそうだったのだが、歌と踊りと演技を字幕を追いながら楽しむのはムリ。日本のミュージカル役者がどれだけ評価されていないのか知らないが、絶対に吹き替え版を作るべきである(たしか、『オペラ座の怪人』は後に吹き替えありのDVDが再リリースされたと聞いた)。
また、ストーリー的にも意味がわからない点が。
本作のキーポイントである脱税の仕組みがよくわからない。いずれにせよ税務署への申告は必須なわけだし、やることは架空経費の計上か、資金・収入のごまかししかないわけで、どうせゴマかすという手法を使うならば、コケようがヒットしようが変わらない気がする。当時は、コケると税務署のチェックが甘くなったということか?ピンとこない。
それに、二重帳簿が見つかったとしても、まだ不正申告して脱税したわけでもないのに、なんで逮捕されるのか?いったい何の罪で有罪なのか。さっぱりわからん。
などなど、マイナスポイントばっかりで、全然たのしめなかった作品だ。まったく受賞歴が無いのもうなずける(アメリカの人もやっぱりつまらなかったのね、、)。よっぽど、このミュージカル作品に思い入れでもない限り、観る必要はないと思う。
余談だが、あのスウェーデン人の役が、ユマ・サーマンだとしばらく気付かなかった。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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