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公開年:2010年
公開国:イギリス
時 間:106分
監 督:ジム・ローチ
出 演:エミリー・ワトソン、デヴィッド・ウェナム、ヒューゴ・ウィーヴィング、タラ・モーリス、アシュリング・ロフタス、ロレイン・アシュボーン 他
コピー:その手を誰も忘れなかった。






1986年。イギリスのノッティンガム。ソーシャルワーカーのマーガレットは、ある日、オーストラリアからやって来たシャーロットという女性から、自分のルーツを調べてほしいという相談を受ける。シャーロットは、幼児期にノッティンガムの児童養護施設にいたが、4歳の時に突然ほかの数百人の子どもたちと一緒にオーストラリアに移送されたという。養子縁組の手続きが取られていた記録はなく、不振に思ったマーガレットが調べると、シャーロットと同じようにしてオーストラリアに連れて行かれた人がオーストラリアにたくさんいることが判る。マーガレットはオーストラリアに向かい、彼らの家族を探す作業に取り掛かるのだったが、児童移民に深く関わっていたと思われる、慈善団体の圧力や、教会の信者たちからの中傷や脅迫を受けるようになり、疲れ果てていく。やがて、子供たちが教会にて強制労働やレイプなどの被害を受けていたことを知り…というストーリー。

実話。戦後にイギリスとオーストラリア間で発生した出来事だと考えると、ものすごく恐ろしく、気持ちの悪いお話。鑑賞中は無意識に考えないようにしていてが、後でよく考えると吐き気がするほど。調査が教会に及んだときの、信者の反応は吐き気がするよ。現在、カトリック教会で問題になっている性的虐待問題と直結する話でもある。
そして、この事実を両政府が認めたのが、たった5,6年前の話っていうのがね。それが13万人もいて、いまだにマーガレット・ハンフリーズが原作本の印税で彼らの家族を探しているっていう。すべて両国が責任もってやるべきだろ?っつーね。英豪の人権感覚ってどうなってるんだろう、そら恐ろしくなる。彼らと付き合う際には、感覚が違うことを忘れてはいけないな。特に、オーストラリアは、原住民対応も含め、人を人とも思わない行動を取るくせに、鯨は守れと拳を上げるわけで、ちょっと同盟国といえども線引きは必要な国民性だと感じる。
#イギリスはいつまでたっても三枚舌だから、いうまでもない。

本作の監督のジム・ローチは、あのケン・ローチの息子。なるほど、社会派のDNAを引き継いで入る。ちょっとヒドい事件すぎて、映画のテクニック云々に頭が回っていないという面もあるんだけど、再現ドラマの域を出ていない気はする。
ケン・ローチのナイフのような鋭さがないこと、淡々とことがらを追うのが息子の味だという見方ができなくもないが、この点は、他の手がけた作品を見ていないのでなんともいえない。

いずれにせよ、日本人はあまり知らない事件だと思うので、決して映画としておもしろいわけではないが、観ておいた方はいい作品だと思った。本作のレンタル料金の内の幾ばくかでも、彼らの家族探しの助力になっていれば幸いである。

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