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公開年:1980年
公開国:日本
時 間:122分
監 督:手塚治虫、杉山卓
出 演:塩沢兼人、三輪勝恵、池田秀一、藤田淑子、熊倉一郎 他
地球連邦は、人口を抑制するために、試験管ベイビーによる出生数管理を行い、その能力に応じて将来の姿を決定付け、教育を施していった。つまり、生まれながらにして、職業や階級が定められているのだ。育児ロボット・オルガに育てられたゴドーも、生まれながらにして宇宙ハンターになることが運命づけられていた。その頃、地球は深刻なエネルギー不足に陥っており、地熱エネルギーによる発電を試みていたが、それがかえって地球を悪影響を及ぼしていた。そのエネルギー問題の打開策と考えられていたのが、“コスモゾーン2772”と呼ばれている未確認宇宙生命体。それを捕まえるのが宇宙ハンターの使命だった。ゴドーは厳しい訓練の末、晴れて一人前の宇宙ハンターとなり、市街地への自由行動が許される。そこで、禁じられているにもかかわらず、一人の女性と恋におちてしまう。おまけに、その女性はロックの許婚者レナで、発覚後、激怒したロックによって、ゴドーは労働キャンプに追放されてしまう。そこで、反政府活動により追放された学者のサルタを出会い、意気投合した二人は、オルガの助けを得て宇宙船を奪取し、コスモゾーン2772を求めて宇宙へ飛び出すのだったが…というストーリー。
以前観たはずで、冒頭のシーンも、ラストのオルガが人間になるくだりは覚えていたけれど、真ん中がすっかり記憶から抜けてしまっていた。クラックとかプークスが動いている姿に既視感がない。もしかすると、紹介映像とかを観ただけで、実は観ていなかったのかも。いや、手塚治虫漫画全集のシナリオ巻とかを読んで観た気になっていただけか?
脚本自体を手塚治虫が手掛けているので、火の鳥の正史として扱っていいのかな?と思ったのだが、他の編とのアンバランス感が否めない。まず、世界観は、『火の鳥 未来編』と同じ。未来の地球では、人間は試験管で作られて管理されている。文化的にも衰退しており、同時に地球自体の寿命が尽きかけているという設定。ロボットに愛情を抱くという設定は、『火の鳥 復活編』を彷彿させるし。最後の、ゴドーは赤ん坊に、オルガは人間になるくだりで、『火の鳥 宇宙編』を思い出す。火の鳥の各編は、時代を過去・未来と振幅している構成になっているので、やはり、本作のように設定や要素がダブることに非常に違和感を覚える。あくまで別モノとして捉えるのが正解なのかも。
上記に挙げた、諸々の要素が何を意味するかは、原作で扱われている内容なので説明しない(共産主義批判とかね)。逆いえば、本作独自の新しい視点がないともいえ、ちょっと面白みに欠ける内容だと思う。
技術的にはフルアニメーションであり、その他にも実写トレースとか、いろいろな技術をふんだんに用いており(実験的にというほうが正しいか)、むしろ、そちらに注力した作品なんだと思う。ただ、その注力具合が結果に出ていない。せっかくのフルアニメーションなのだが、動画が力尽きているし、原画も背景も書き込みが不十分。特に動画マンが、平面的に動かすことしかできていないのが致命的。結局、24時間テレビの、スターシステム作品と同クオリティに落ち着いてしまっている。
レイアウト・メカ作画監修として湖川友謙が参加しているのが興味深い。私、キャラクターデザイナーとしての湖川さんが大好き。『ザブングル』とか『ダンバイン』とかのキャラデザは、私にとってちょっとしたお絵かきのバイブルだった。いまだに、人間の手足の書き方は影響をいると思う(設定画集とかを紛失してしまったのが本当に残念)。でも、本先では、キャラデザはやっていない。おそらくオルガの変形部分を担当していたのではないかと予想する。
手塚作品に散見される、男は結局母親を求めているのよ…という観点が、あまりすきじゃない。そういうコンプレックスをもった人は多いのかもしれないけど、男性共通の普遍的な意識みたいにいわれるのはなんか違和感が…。
アニメ技術もダメ、ストーリーも新規性に欠ける、メッセージも性に合わないとなると、高い評価のしようがない。手塚治虫ファンの私でもシビアにならざるを得ない。凡作未満(駄作と言わないのは武士の情け)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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