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公開年:2011年
公開国:スペイン
時 間:89分
監 督:イグナシオ・フェレーラス
出 演:タチョ・ゴンサレス、マベル・リベラ 他
ノミネート:【2012年/第25回ヨーロッパ映画賞】長編アニメ賞(イグナシオ・フェレラス)
コピー:俺たちはきっと大丈夫だよ。
元銀行の支店長だったエミリオ。退職後は妻を亡くしてアパートで独り暮らしをしていたが、認知症の症状が出始めたため息子夫婦の介護を受けていた。しかし、症状が悪化しとても手が付けられなくなったため、養護老人施設に入所することになった。同室になったミゲルは、他の入所者から巧みに金銭をせしめコツコツため込んでいる人物で、どうにも信用ならない。一緒に食事をする女性アントニアは、面会に来る孫のためにバターや紅茶などを集めている。ドローレスという女性は健常だが、アルツハイマーの夫モデストの世話をするために一緒に入所していた。しばらくすると、自分が大事にしていた腕時計や財布が紛失してしまう。ミゲルの仕業と考えたエミリオは、ミゲルの荷物の中を探すが見つからない。そんな中、ミデストに処方されている薬と自分に処方されている薬がまったく同じであることに気付く。ほとんど無反応状態のモデストと同じ薬でいいはずがないと、医師に確認するのだが…というストーリー。
老人讃歌的な部分は一切ない。おそらく何割かの人が(いや、ほとんどの人かな)直面する事柄であることを考えると、ただただ痛い。延々と痛い。
老いは平等におとずれる…なんてことないという残酷な事実。各自におとずれる“老いの症状”は内容も進度も異なる。モデストを介護するドローレスとの、馴れ初めの思い出が素敵であればあるこそ、“二階”行きとなってしまった彼女が不憫でならない。じゃあ、どうすればいい…という代案がないという心苦しさ。頭から最後までその心苦しさを味わうことになる作品。
完全ではないのだが、主人公のエミリオ目線でストーリーは展開する。エミリオは、大事な腕時計や財布を同室のミゲルに盗まれたを思う。実際ミゲルは、ボケた婆さんからお金を巻き上げてため込んでいたりして、ものすごく胡散臭い人間に見える。その理由は終盤に明らかになるのだが、なぜそれをしたかったのかは、イマイチ不明。
(ちょっとネタバレ)
ミゲルは免許持ってなかったみたいだし。逃げたいだけなら、タクシーやら交通機関を複数乗り継いでいけばいいだけのこと。スピードを味わいたかった?それもなんか変。よくわからないや。
話を戻す。エミリオの症状を察したミゲルは、まだまだ健常であることを偽装するために手伝ってくれる。胡散臭さは何処へやらで、すごくいい人。でも、残念ながら二階行きになってしまったエミリオのベッドの下をみたミゲル。これが胃がぎゅーっとなるくらい悲しい。
腕時計や財布のくだりは、よくある“実は自分が犯人だった”系のお話になっていて、サスペンス・ホラー的な流れ。老いること=恐ろしさという意味では、身も蓋もない究極のホラーだよ。
“覚悟”。その一言だけが、焼印のように残った作品。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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