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公開年:2003年
公開国:日本
時 間:116分
監 督:蜷川幸雄
出 演:二宮和也、松浦亜弥、鈴木杏、秋吉久美子、中村梅雀、山本寛斎 他
コピー:世界の“NINAGAWA”が描く――17才の魂の鮮烈な輝きと挫折――
湘南の高校に通う17歳の秀一は母・友子と妹・遥香との三人暮らしだったが、母と10年前に離婚した元継父の曽根が突然現れて、そのまま家に居座ってしまった。朝から酒びたりで、母がそれを諌めれば容赦なく暴力を振るい、それは妹にも及ぶ。なんとか曾根を追い出そうと、母の離婚を担当した弁護士に相談に秀一は相談にいくが、法律では問題が解決できないことを悟ることに。これでは大事な家族を守ることができないと、自らの手で曾根を殺すことを決意し、薬物系の裏サイトや医学書を調べ、周到な殺害計画を立てる。美術の時間に教室を抜け出した秀一は、自宅に戻って計画を実行。速やかに学校に戻り何食わぬ顔で授業を受け、帰宅後に自ら警察に通報する。検視の結果、曽根は病死と判断されて、計画は見事成功したようにみえたのだったが…というストーリー。
『蛇にピアス』で、蜷川監督ってなかなかやるじゃん…と思ってしまったので、同様に若い旬な芸能人を主役に据えた作品をチョイス。ジャニーズにハロプロという直球アイドル映画かよ!っていうキャスティングに若干臆したが、エイヤーでレンタル。
蜷川監督は若い素人同然の役者を使うのが実にうまい。役者たちは学芸会みたいな演技を求められている。へんに巧みな演技をされると逆に興ざめしちゃう。必要なのはこざかしい演技力ではなく、演技はヘタなままで役に没頭してくれればそれでいいという状況、現場の雰囲気をつくれている段階で勝利は確定したるようなもの。“監督”の仕事ってこれなんだな…と、思い知らされた感じ。
原作は『黒い家』『悪の教典』の人。映画化されているののはサイコキラーの話ばかりだけど、好み。本作の主人公は、殺人を決意するに至るもっともらしい理由があるだけで、普通の高校生…といいたいところだけど、このシチュエーションがなかったとしても、きっとどこかで逸脱した行いをしただろうな…という感じを臭わせているのが秀逸。
無味乾燥な雰囲気が支配しているから、無味乾燥で淡々とした作品だと思っている人も多いだろうが、それは狙い。“青い炎”ってのは、チェレンコフ光のことかな。普通の炎とちがってチェレンコフ光自体は熱くない。イメージ的に冷たい炎ってイメージ。主人公のキャラクターの象徴。
そしてチェレンコフ光といえば、原子炉なんかでよく観測される事象。チェレンコフ放射とは直接関係ないんだけど、放射線で肉体内部を破壊するイメージと結びつかなくもない。秀一の殺害の手口に通じているのかな。
で、放射線も通常は目に見えない。家族も同級生も彼の反社会性には気づかない。一部のある“目線”を持った人間だけがそれに気付く。この静けさが、静かな凶暴性とリンクするようでもあり、逆に際立たせるようでもあり…といったところだと思う。不良の同級生や刑事から追い詰められても、さほどあせるでもなく淡々と対処していく様子も、まさに“青い炎”。いろいろ考えた末のタイトルなんだろうね。
秀一は家族を守りたいんだろうな…と思って観ていたけど、母親が曾根に体を許したシーンの後、母親も憎悪の対象にならなかったことがどうもピンとこなかった。レイプされたならまだしも、そういう描写ではなかった。実は母親のことはどうでもよくって、守りたかったのは妹との関係だけなのかな…と思ったがどうだろう。ただ、そうなると、松浦亜弥演じる紀子のキャラクターが邪魔くさい。愛を傾ける女性の対象を2人にする意味はなんだろう。サイコキラーに普通の恋愛をさせるのは、いかがなものかと、私のセンスは叫んでいたよ。
私なら、妹のことを気に入っている同級生がいて、そいつが秀一の犯行に薄々気付くのだが、同じく妹を大事に思っている同士、無言で理解しあう…みたいな感じにするかな。
個人的には、もっと犯罪計画を周到に行うシーンを盛りだくさんにしてほしかったが、“青い”サイコキラーがじわじわと追い詰められていくスリリングさを、十分に愉しんだ。良作だと思う。少なくとも、単なるアイドル映画ではない。
#コピーはクソ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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