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image1949.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:129分
監 督:沖田修一
出 演:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、黒田大輔、森下能幸、高橋努、嶋田久作、平田満、伊武雅刀、山崎努 他
受 賞:【2011年/第24回東京国際映画祭】審査員特別賞
コピー:雨でも… きっと晴れるさ。
無骨なキコリと気弱な映画監督のちょっといい出会い――


人里離れた山間の村。林業に従事する岸克彦は、三年間に妻を亡くし、息子の浩一と二人暮らし。しかし、浩一はすぐに仕事を辞めてしまい、家でふらふらしており、まじめな克彦はイライラを募らせる。そんなある朝、仕事に向かうを行く克彦は、立ち往生している車を発見。そこに乗っていた二人は、ゾンビ映画の撮影にやってきた監督・田辺と鳥居だった。放っておけない克彦は、彼らのロケハンの付き合い、挙句の果てにゾンビ役のエキストラで出演することになっていしまう。映画主演を仕事仲間からからかわれるも、まんざらではない克彦だった。一方、監督の田辺は、その気弱な性格からスタッフをまとめられず、撮影が一向に進まないことを苦にして、一人で東京に逃げ帰ろうと、夜半にこっそりと駅に向かう…というストーリー。

絶対に接点がうまれそうもない、林業のおっさんと映画監督。妻を失い定職に就かない息子と二人暮らし。昔にやった仕事上の事故で肺を潰してからタバコは禁止。その後は甘いものでストレス解消してたんだろう。そうしたら糖尿病予備軍になっちゃって甘いものも禁止。いったい自分は何を楽しみに生きていけばいいのか。うんざりしていたんだろうね。そんなときに、非日常である映画撮影の現場と遭遇。
はじめはそんな自分の日常を乱すやつらとしか思っていなかったけど、撮影現場を目の当たりにしたら、もう興味はとまらない。
はじめはただの小間使いの若造だと思ってたら、なんと映画監督。自分の息子と同じ歳くらいなのに映画監督だって。すげー。でも、なんか悩んでる。自分の息子は手を差し伸べても聞きやしねえ。でも、この若造や撮影現場のやつらは自分を頼りにしてくれる。もうとまらない。死んだ妻の法事を忘れるくらいはまる。
はじめに、ゾンビ映画のシナリオを読んだとき、克彦さんはちょっと泣いちゃう。でも、さすがにその話が面白かったってことではないと思う。異質な物と遭遇したインパクトとか、それこそコペルニクス的転回みたいな衝撃だったんだろうね。いやぁ、この役所広司演じる克彦さんが、じつに可愛いんだ。

『南極料理人』の監督さん。ゆるーい感じはこの監督さんの持ち味なんだろう。でも、ダメな部分も同じだった。それは構成の配分。
この若い監督さんはなんでイヤになっているのか。おそらく助監督やカメラマンにやいのやいの言われ、演者からもまったく尊重されていないからなんだとは思う。助監督は若造に監督をやられるのは気に喰わないだろう。カメラマンは煮え切らない監督の態度が気に喰わないんだろう。でも、もうちょっとその変をはっきり描けがよかったのではなかろうか。もっと個々の人物のバックボーンを使わなくても設定上は掘り下げておくべき(助監督の家族構成やこれまでの経歴、好きな映画、好きな食べ物…までね)。そうすれば、小さな所作や持ち物や仕草で、いろんなことが表現できたと思う。
#食べ物を含む小道具には拘っているんだけねえ…。拘る場所がちょっとズレてる気がするのよ。
そのへんをぼんやりと描いたために、克彦さんが映画にどっぷりはまっていくまでが長くなってしまった。はっきりと加担していくのが70分くらいだからねぇ。それまで映画の方向性がふらふらしている。
そこが遅れたせいで、巻き込まれた村人がどんどん愉しんでいく様子が、描き足りてない。はじめはいいかげんだった臼田あさ美演じる若手女優も、村人に引っ張られて、くだらないことをいうのをやめて打ち込んでいう姿も、もっと描けたはず。いよいよ村人とスタッフが渾然一体となって盛り上がったところで、“法事を忘れてた…”が生きるのだが、コントラストが甘くなってしまった。息子とのくだりもそうだな。
もっと『タンポポ』のような、どんどん周囲の人を巻き込んでいくような、目の前の霧が晴れるような演出にできたのではないだろうか。

『南極料理人』が堺雅人の演技に救われたように、本作も役所広司が救った。悪いけど小栗旬の役は別に彼じゃなくてもよかった。ARATAでもいいし濱田岳でもいいし瑛太でもいいわ。とにかく役所広司がこの映画は俺がしっかりしないとポンコツ映画になっちゃう…とばかりに入魂で愛すべき人を演じきったから成り立った。
キャスティングの甘さの局地は臼田あさ美。B級女優の役かもしれんけど、本当にB級の演技では困るんだ。ここは、ゴシップ的な意味じゃなくて器用貧乏の山田優とか、性的なイメージを忌避したいなら勝海子(梅酒のお姉さんね)とか、もっとマッチした人はいるがな。

それに、こういう映画で、エンドロールで、劇中撮影していた映画を流さないということがありえるかね(笑)。あえてやらなかったんだろうけど、そんな格好つけられるレベルには達して無いよ。

まあ、色々文句を言ったけど、お上品にまとまった愉快な作品。観て損はないことは保証する。
#『かもめ食堂』の荻上直子なんかと同じ部類の“草食系”監督ってところかな。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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