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公開年:1985年
公開国:日本、フランス
時 間:162分
監 督:黒澤明
出 演:仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介、原田美枝子、宮崎美子、植木等、井川比佐志、ピーター、油井昌由樹、伊藤敏八、児玉謙次、加藤和夫、松井範雄、鈴木平八郎、南條礼子、古知佐和子、東郷晴子、神田時枝、音羽久米子、加藤武、田崎潤、野村武司 他
受 賞:【1985年/第58回アカデミー賞】衣装デザイン賞(ワダエミ)
【1985年/第20回全米批評家協会賞】作品賞、撮影賞(斎藤孝雄)
【1985年/第51回NY批評家協会賞】外国映画賞
【1985年/第11回LA批評家協会賞】外国映画賞、音楽賞(武満徹)
【1986年/第40回英国アカデミー賞】外国語映画賞
【1985年/第28回ブルーリボン賞】作品賞
戦国の世を駆け抜けて一国の主となった一文字秀虎も齢70。衰えを感じ、家督を息子に譲る決心をする。秀虎には3人の息子がおり、長男太郎に家督と一の城を、次郎にはは二の城を、三郎は三の城を与え、“三本の矢”の例え話のとおりに協力して国を守るように命じ、自分は三つの城の客人となり余生を過ごすと宣言する。その場にいた隣国の領主藤巻と綾部も突然の展開に驚きを隠さない。しかし、三郎は兄たちの野心を見抜けない父の甘さを諌める。激怒した秀虎は、三郎とそれを庇う平山丹後を追放するのだった。追放されて野原で事後を相談していた二人に、藤巻が近づき、三郎の気性が気に入ったので婿として迎えたいと申し出るのだった。一方、秀虎の指示通りに一の城へ移った太郎だったが、その正室楓の方は、親兄弟を舅・秀虎に殺された恨みを抱いており、秀虎に大殿の名目と格式が残っていることに不満を隠さない。太郎をけしかけて秀虎に権限を完全に移譲ように詰め寄らせ、親子を離反させる。怒った秀虎は次郎のいる二の城に向かったが、次郎の重臣たちは太郎との軋轢を恐れ、秀虎単身であれば受け入れると無理な条件を突きつけ、追い返してしまう。秀虎は失意のうちに三の城へ向かうのだったが…というストーリー。
TVを見ていたら、バラエティ番組にピーターが出ていて、何気に思い出して鑑賞。8年サイクルくらいで、何だかんだ観ていると思う。
私が劇場で観た唯一の黒澤作品。その時は、私の映画脳がポンコツだったのか、純粋にガキだったので頭が弱かったのか、画に圧倒されたのか、長すぎて半分寝ていたのか判らないけど、内容が全然頭に残らなかった。その後、ビデオやDVDで観るたびに、ああそういうことか…ということが、毎回増えていく。
過去の作品にも豪奢でこだわり満載のセットは登場したが、様式美の比重は高い。そのせいなのかはわからないが、演者の“情”がイマイチ薄く感じられる。これが、ストーリーの頭に入ってこなさ加減の遠因ではなかいかと。
ストーリー上、もっと強調したり判りやすくすればよいのにな…と思う点はある。
楓の方は親兄弟を秀虎に殺されていて、一の城は元々彼女が住んでいた城。その家族の敵の嫡男の妻になるという苦痛を負わされているわけだ。以前、観たときには、その因縁による復讐の鬼という解釈だったのだが、今回観るといくらか違って見えた。よく考えたら、滅ぼした敵の娘が嫡男の正室になっているというのも変なので、嫁いだ後に色々あって対峙せざるを得なかったという流れなのかな。でも、その辺りの経緯は説明されていないが、そのほうが自然。
問題なのは、太郎の死後に次郎の正室の座を狙う理由は、貧乏暮らしをするくらいなら敵の妻になっているほうがましという価値観からくるものなのか、絶命の際に語ったように、一文字の壊滅が究極の望みであったのか、どちらが本懐というか本性なのか。この比重をどちらが重いと解釈するかで、結構、見方が変わってくる。
長男の黒は腹黒さ、次男の赤は血なまぐささ、三男の青は青空のような忌憚の無さを表現しているのかもしれないが、そこもわかりづらい。正直言って、当時の寺尾聰と根津甚八と隆大介の演技は、さほど良いわけではない。むしろ、井川比佐志や油井昌由樹など、側近連中の役者の味が物凄く良いくらい。その“三本の矢”を折ったのが、原田美枝子が鬼気迫る演技を見せた楓の方…という構造的なバランスなのかもしれないが。
また、藤巻と綾部の使い方が、ピンとこない。藤巻は三郎が秀虎を迎えに行く際に、丘の上から日和見を決め込むのだが、私なら、藤巻は曲者で、親兄弟の離反を活用して国を乗っ取ろうと考えていた…としたい。しかし、最後に次郎を急襲するのは綾部。はたして藤巻は綾部にうまうまと領地を広げられて良しとするのであろうか。彼がただのお人好しであることに、ストーリー上意味があるのか。
また、殺されていたのが、鶴丸なのか、お付きの婆やなのかわかりにくい。てっきり鶴丸も殺されたのかと思ったら、ラストに出てくるから「あれ?」ってなちゃった(何回も観ているのにね)。そして、鶴丸が落とす掛け軸の仏の絵。もちろんそんな意図はないのだが、仏の手がOKマークに見えてなんかシュール。
まあ、何だかんだいってこれだけのセットを燃やしたのは圧巻。今、こういうスケールの作品を作ったとしても、ああCGだな…って思っちゃうし、純粋にすげーなーと思えるのは、この時代が最後なんだと思う。そしてやっぱり長い。良くも悪くも、最後の黒澤作品。そんな気がする。
公開国:日本、フランス
時 間:162分
監 督:黒澤明
出 演:仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介、原田美枝子、宮崎美子、植木等、井川比佐志、ピーター、油井昌由樹、伊藤敏八、児玉謙次、加藤和夫、松井範雄、鈴木平八郎、南條礼子、古知佐和子、東郷晴子、神田時枝、音羽久米子、加藤武、田崎潤、野村武司 他
受 賞:【1985年/第58回アカデミー賞】衣装デザイン賞(ワダエミ)
【1985年/第20回全米批評家協会賞】作品賞、撮影賞(斎藤孝雄)
【1985年/第51回NY批評家協会賞】外国映画賞
【1985年/第11回LA批評家協会賞】外国映画賞、音楽賞(武満徹)
【1986年/第40回英国アカデミー賞】外国語映画賞
【1985年/第28回ブルーリボン賞】作品賞
戦国の世を駆け抜けて一国の主となった一文字秀虎も齢70。衰えを感じ、家督を息子に譲る決心をする。秀虎には3人の息子がおり、長男太郎に家督と一の城を、次郎にはは二の城を、三郎は三の城を与え、“三本の矢”の例え話のとおりに協力して国を守るように命じ、自分は三つの城の客人となり余生を過ごすと宣言する。その場にいた隣国の領主藤巻と綾部も突然の展開に驚きを隠さない。しかし、三郎は兄たちの野心を見抜けない父の甘さを諌める。激怒した秀虎は、三郎とそれを庇う平山丹後を追放するのだった。追放されて野原で事後を相談していた二人に、藤巻が近づき、三郎の気性が気に入ったので婿として迎えたいと申し出るのだった。一方、秀虎の指示通りに一の城へ移った太郎だったが、その正室楓の方は、親兄弟を舅・秀虎に殺された恨みを抱いており、秀虎に大殿の名目と格式が残っていることに不満を隠さない。太郎をけしかけて秀虎に権限を完全に移譲ように詰め寄らせ、親子を離反させる。怒った秀虎は次郎のいる二の城に向かったが、次郎の重臣たちは太郎との軋轢を恐れ、秀虎単身であれば受け入れると無理な条件を突きつけ、追い返してしまう。秀虎は失意のうちに三の城へ向かうのだったが…というストーリー。
TVを見ていたら、バラエティ番組にピーターが出ていて、何気に思い出して鑑賞。8年サイクルくらいで、何だかんだ観ていると思う。
私が劇場で観た唯一の黒澤作品。その時は、私の映画脳がポンコツだったのか、純粋にガキだったので頭が弱かったのか、画に圧倒されたのか、長すぎて半分寝ていたのか判らないけど、内容が全然頭に残らなかった。その後、ビデオやDVDで観るたびに、ああそういうことか…ということが、毎回増えていく。
過去の作品にも豪奢でこだわり満載のセットは登場したが、様式美の比重は高い。そのせいなのかはわからないが、演者の“情”がイマイチ薄く感じられる。これが、ストーリーの頭に入ってこなさ加減の遠因ではなかいかと。
ストーリー上、もっと強調したり判りやすくすればよいのにな…と思う点はある。
楓の方は親兄弟を秀虎に殺されていて、一の城は元々彼女が住んでいた城。その家族の敵の嫡男の妻になるという苦痛を負わされているわけだ。以前、観たときには、その因縁による復讐の鬼という解釈だったのだが、今回観るといくらか違って見えた。よく考えたら、滅ぼした敵の娘が嫡男の正室になっているというのも変なので、嫁いだ後に色々あって対峙せざるを得なかったという流れなのかな。でも、その辺りの経緯は説明されていないが、そのほうが自然。
問題なのは、太郎の死後に次郎の正室の座を狙う理由は、貧乏暮らしをするくらいなら敵の妻になっているほうがましという価値観からくるものなのか、絶命の際に語ったように、一文字の壊滅が究極の望みであったのか、どちらが本懐というか本性なのか。この比重をどちらが重いと解釈するかで、結構、見方が変わってくる。
長男の黒は腹黒さ、次男の赤は血なまぐささ、三男の青は青空のような忌憚の無さを表現しているのかもしれないが、そこもわかりづらい。正直言って、当時の寺尾聰と根津甚八と隆大介の演技は、さほど良いわけではない。むしろ、井川比佐志や油井昌由樹など、側近連中の役者の味が物凄く良いくらい。その“三本の矢”を折ったのが、原田美枝子が鬼気迫る演技を見せた楓の方…という構造的なバランスなのかもしれないが。
また、藤巻と綾部の使い方が、ピンとこない。藤巻は三郎が秀虎を迎えに行く際に、丘の上から日和見を決め込むのだが、私なら、藤巻は曲者で、親兄弟の離反を活用して国を乗っ取ろうと考えていた…としたい。しかし、最後に次郎を急襲するのは綾部。はたして藤巻は綾部にうまうまと領地を広げられて良しとするのであろうか。彼がただのお人好しであることに、ストーリー上意味があるのか。
また、殺されていたのが、鶴丸なのか、お付きの婆やなのかわかりにくい。てっきり鶴丸も殺されたのかと思ったら、ラストに出てくるから「あれ?」ってなちゃった(何回も観ているのにね)。そして、鶴丸が落とす掛け軸の仏の絵。もちろんそんな意図はないのだが、仏の手がOKマークに見えてなんかシュール。
まあ、何だかんだいってこれだけのセットを燃やしたのは圧巻。今、こういうスケールの作品を作ったとしても、ああCGだな…って思っちゃうし、純粋にすげーなーと思えるのは、この時代が最後なんだと思う。そしてやっぱり長い。良くも悪くも、最後の黒澤作品。そんな気がする。
#『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』のラストの元ネタは、三郎が死ぬところなんだな…
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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