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公開国:イギリス
時 間:90分
監 督:ハリー・フック
出 演:バルサザール・ゲティ、クリス・フュール、ダニュエル・ピポリー、バジェット・デイル、ゲイリー・ルール、アンドリュー・タフト、エドワード・タフト、マイケル・グリーン 他
コピー:生き残れるか、子供たち。
陸軍学校の生徒たちを乗せた飛行機が南太平洋上で墜落し、大怪我した機長と24人の少年たちが無人島に漂着する。唯一の大人である機長は意識不明の昏睡状態だったため、年長のラルフがリーダーとなり、生き残るためのルールが決められていった。とりあえず火をおこすことに成功し、狼煙を上げ続けて救助を待つことに。不便ながらも男の子だけの島の生活は楽しいものだったが、徐々にルールを守らなくなる少年が現れ、ラルフはいらだちを覚えてきた。そんな中、海上にヘリコプターの機影を発見。救助してもらえると期待は高まったが、ヘリは彼らを発見できず去っていった。なんと、狼煙の火が消えていたのだ。火の番をしていなかった者を叱責するラルフだったが、元々ラーフと仲の悪かったジャックが猛反発し、狩猟隊を結成して離脱してしまう。ジャックたちが、自由に遊び、豚を狩って食べるのを見て、ラルフの元にいた子供も、ジャックの元へ移りはじめ…というストーリー。
日本未公開の作品だが、その理由は二つだろう。一つは、無人島での両陣営の攻防に山谷があまりなく、淡白な印象であること。サラッと終わったように感じ、物足りなく思った人が多いだろう。もう一つは、エグい所業が少年によって為されること。
別に子供であることでエグさを際立たせようとかそういうことではなく、人間の奥底にある“素の人間”とはどんなものなのかを浮き彫りにするために、子供を用いているのである。そして、むき出しの人間性による“レッセフェール”の末に何が待ち受けているか。これは、行動心理学であり経済学のモデルであり、ロールプレイなのだ。
欲求のままに振る舞う人間と、自制こそ集団維持の道と考える人間の対決は、どうなるか。『ミスト』ばりの後味の悪さだが、子供の所業故に『ミスト』よりも不快感を覚えた人は多かろう。でも私はOK。立派にロールプレイとして成立していると思う。この後、子供達はどうなるんだろう…と気になる人もいるだろうが、作品の主旨を考えるとそんなことはどうでもいいポイントなのである。
ただ、シナリオとしては、ちょっと芸がない所がが目立つ。昏睡状態だった機長が、子供達の行動のエスカレートにあまり影響を与えておらず、存在の意味が薄い。そしてタイトルの意味。“蠅の王”とは、怪物を恐れたジャックが供え物にした蝿が群がる豚の生首のことで、それが暴食の象徴である悪魔ベルゼバブにも懸かっているのだが、それがタイトルにするほど重要な意味を持っているか?という点。その辺がガチっと噛み合えば、傑作になり得たかもしれない。まあまあの作品ってところ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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