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公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:シドニー・ポラック
出 演:ロバート・ミッチャム、高倉健、ブライアン・キース、岸恵子、ハーブ・エデルマン、リチャード・ジョーダン、ジェームズ繁田、岡田英次 他
コピー:すさみきった現代。ストレンジャーが 愛で まもり通した花一輪に 日本任侠の心が燃えた! 全世界の注目をあびて《巨匠》が描く娯楽超大作!
アメリカの海運会社を経営するタナーの娘が、日本のヤクザ組織・東野組に誘拐された。東野とタナーが交わした武器売買契約をタナーが履行しなかったためだ。タナーは、第二次大戦後に進駐軍兵士として一緒に日本に滞在していた旧友のハリー・キルマーに相談。ハリーは、日本にいる田中健というヤクザの幹部に貸しがあり、彼に協力を依頼すれば、問題を解決できるかもしれないと告げる。元々はタナーの不備が発端だったため、乗り気ではないハリーだったが、タナーの部下のダスティと共に仕方なく訪日する。東京に到着したハリーは、田中英子という女性が経営するバー“キルマー・ハウス”を訪れる。英子はハリーの日本滞在時の愛人で、バーは帰国の際に彼女に贈った店だった。英子から健が京都にいることを聞いたハリーは、すぐに京都に行き事情を説明するが、健は既にヤクザの世界から足を洗っており…というストーリー。
もう、タイトルからして直球すぎて如何なものか…と思ってしまったのだが、内容もタイトルに負けていなかった。
当時のアメリカ人にとってすれば、日本の文化・風習だけでもアメージングなことばかりだっただろうに、それに加えて任侠世界の感覚やしきたりを理解しなければ話が進まない。だから、とにかく至る所で説明、説明 and 説明。誤解されてしまうと厄介なので、説明的な台詞もとにかく丁寧だったりする。
東京や京都でロケされていて、当時の街並みがものすごく味わい深い。新宿の様子なんか、臭いが伝わってきそう(パチンコ屋のトイレが臭そう)。なぜかJCBの看板が目立つのがおもしろい(UCの看板もあるので別にスポンサーといわけでもないだろう)。1970年代の頭には、すっかりクレジットカードが定着しているのね。
シドニー・ポラックの手腕なのか否か、アメリカ映画にありがちな“トンデモ”な日本描写が、この作品には極めて少ない(異論があるのは承知)。違和感が強いのは、花子役のクリスチナ・コクボのカタコトな日本語くらいじゃなかろうか(教師設定なのにカタコトはないわな。ここは吹き替えでよかっただろう)。
足を洗ったヤクザが、京都で剣道を教えているのが変?私は別に変だとは思わないな。もう遠い昔の日本だから、私の頭の中で“別世界”という判断をしているせいかもしれないけれど。
#ハリー、東京⇔京都の移動 ごくろうさん…。
(以下、ネタバレ含む)
同じ女を愛した男というシンパシーで、通じる二人の男。必死の目にあって復員したのに、毛唐の愛人になっている妻。しかし、その毛唐がいなければ、売春婦にでもならない限り娘共々生き抜くことはできなかっただろう。命あっての物種。これも運命、身分を兄と偽って身を引けば丸く治まる。なんとも息苦しいが、そういう時代ということで。
本当はプラマイゼロで、もうハリーに義理なんか無いんじゃないの?と思うのだが、それを隠している以上、表面的には義理があることになってしまうという難しい状況。高倉健はそういう微妙な感じや、やるしかない…そういう運命なんだ…と達観した気持ちをうまく表現していたと思う。
そんな事情だから英子もおいそれとハリーと結婚なんかできなかった。じゃあ、すっぱりと縁を切りゃあいいと思うのだが、そうしていないところをみると、英子は元々シモがだらしない女だということになるのだが、それはご愛嬌。
そんなことも露知らず、田中健は自分に義理があるだとか上から目線だったことに、とてつもなく恥ずかしくなってくる。
ヤクザ、ヤクザというけれど、単に社会からドロップアウトした無法者とは違うのよ。マフィアとは違うのよ。男と男が義理を通せば、それが任侠なのよ。それは外国人だって同じことだよ…と、そこで最後にハリーがやっちゃうのがなかなかのインパクト。もちろん、実際はそんなに簡単には切れないんだろうけど、ハリーが失神しそうになってるのが、なかなかリアル。でもさすがに、そこまで美化しちゃいけないと思うのよ。兄貴分の目を盗んで、ささっとエンコを詰めちゃうのなんて、見方を変えれば滑稽だものね。
今、地上派で放送されることは間違いなくないであろう、色々と総合して珍作と言い切ってよい本作だが、雰囲気といい人物描写といい、全編に緊迫感を維持し続けた作品だと思う。あまりに予想外で、思わず「おもしれ~」って口に出してしまったよ。
#パンナムのカバン欲しい…
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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