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公開年:1978年
公開国:日本
時 間:110分
監 督:野村芳太郎
出 演:緒形拳、岩下志麻、小川真由美、大滝秀治、加藤嘉、田中邦衛、蟹江敬三、穂積隆信、大竹しのぶ、浜村純、鈴木瑞穂、山谷初男、石井均、江角英明、岩瀬浩規、吉沢美幸、松井範雄、三谷昇、山本勝、鈴木誠一 他
受 賞:【1978年/第2回日本アカデミー賞】主演男優賞(緒形拳)、監督賞(野村芳太郎『事件』に対しても)
【1978年/第21回ブルーリボン賞】主演男優賞(緒形拳)、監督賞(野村芳太郎『事件』に対しても)
印刷屋を営む竹下宗吉と妻のお梅。最近、火事をおこしてしまい再建の費用を要したことに加え、注文も減ってしまい火の車。やむを得ず、組合のルールを無視したダンピング受注で凌ぐ自転車操業。そんな中、宗吉の愛人・菊代が三人のの隠し子を連れて押しかけてくる。寝耳に水のお梅は激昂し口論となるが、結局お梅は子供を残して蒸発してしまう。手が掛かる上にかわいげのない子供たちをお梅がかわいがるわけもなく、自分が子供を作れなかったという負い目と嫉妬が加わり、宗吉と子供達に当たり散らす地獄の日々が始まる。一切の子供の面倒は宗吉が行ったが、育児などしたことがない彼が満足にできるはずもなく、とうとう末っ子のの庄二が栄養失調で衰弱してしまう。その後、療養を続ける中、庄二の顔の上にシートがかぶさりるという事故で死んでしまう。はたしてそれは事故だったのか故意だったのか…というストーリー。
決して庄二に直接手をかけたわけではない…ということで生じる不穏さ(シートか被さったことが原因ともいえず、あくまで栄養失調を原因とする衰弱死として処理されている)。さらに、良子がその後どうなったのか語られないことで生まれる濃霧のようなモヤモヤ感。
岩下志麻演じるお梅が、明確に鬼女として描かれていれば、観客の憎悪はそこに向うであろうが、稼業が火の車のときに突然夫の隠し子を3人も押し付けられ、その心中を察っするのが容易であると同時に、自分も同じように冷たくあたってしまうのではと幾ばくか共感してしまうというところが、この話の恐ろしさ。そして、岩下志麻が鬼女の形相をしようとも、おそらく視力が悪いためであろう、微妙に焦点がずれているような目つきが一層その魅力を増し、シビれるほどの綺麗さに目を奪われてしまうという罠。
その分、矛先は、愚鈍に振舞いながらも、こつこつ小金を掠めて愛人に貢いでいた宗吉に向く。愚鈍も愚鈍の宗吉だが、彼の心の中は明確に語られないまま話は進んでいく。何を考えているかわからない夫…というのも、実にありがち。
さて、いよいよ、利一に手をかけようかと連れ出すときに、旅館で酔っ払いながら、利一に、自分のおいたちを語る。ここで、彼がどういう人間なのか…が垣間見える。
まともな家族というものを知らなかったから家族が欲しかった…と、でもいざ家族を持ってみるとどうしてよいのやらわからず破綻していくという、なんとも、そこら辺にありがちな話ではないか。虐待された子は、成長した後、結局同じことを自分の子供にしてしまう…というのは、昨今あたりまえに語られる例である。
同じ緒方拳主演の犯罪サスペンスである『復讐するは我にあり』に比べると、その犯罪行為の鬼畜加減は格段に低い(そういう類の、得体の知れない恐怖とは違う)。でもあえてタイトルは“鬼畜”なのだ。あなたの中にも鬼畜っぷりは、あるんじゃないですか?たまたま今、その鬼畜要素が発現されない環境なだけなのでは?と、そう問いかけているようにも思える。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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