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公開年:2009年
公開国:インド
時 間:170分
監 督:ラージクマール・ヒラニ
出 演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、オミ・ヴァイディア、ボーマン・イラニ 他
ノミネート :【2013年/第37回日本アカデミー賞】外国作品賞






写真家のファルハーンと会社員のラージューは、大学時代親友同士。ある日、同じく同窓だったチャトルから「ランチョーの消息がつかめた」ことを聞き、待ち合わせ場所の母校へ向かう。彼らは、10年前、インド屈指の難関工科大学ICEに入学し、そこで自由奔放な天才青年ランチョーと出会い、ファルハーンとラージューとランチョーの3人はルームメイトだった。いつも一緒にバカ騒ぎしていた3人は、学長から目をつけられていた。しかし、卒業後、なぜかランチョーは消息を絶っていたのだ。落ち合った3人は、ランチョーが暮らしているという町へ向かうのだったが…というストーリー。

インド映画なんで突然踊り出しちゃうのばっかりでしょ?という認識の人が多いだろう(実際、そうだけど)。でも、日本映画は、本作をもってインド映画に完全敗北したと言い切ってよいと私は思う。

2008年に製作された『スラムドッグ$ミリオネア』は、世界の各賞を採り、主演のデヴ・パテルも評価された。インドが舞台でもインド人が主演でも世界では評価されると、ボリウッドは確信しただろう。“異文化のめずらしい作品”ではなく、平等な作品として。そして、『スラムドッグ$ミリオネア』は、こういう画を撮ればよいのだという、リアルなお手本だったと思う。
#まあ、これらは私の勝手な予測でしかないのだが…。

ライティングと編集技術が素晴らしい。過去と現在を交互に綴っているのだが(これは『スラムドッグ$ミリオネア』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』にも通じる)、この編集もうまい。というか、すっかりハリウッドクオリティ。かといってすべてがハリウッド映画に迎合しちゃってるかというとそうではない。コントチックな擬音とか、インド映画のお約束である突然ダンスとかも健在。でも、擬音も最小限で邪魔しない範囲だし、ダンスも登場人物の内証の表現方法として不自然さはない。うまく、インドと欧米の客の求めるものに折り合いをつけたな…という印象。もう昇華といってよいレベル。

インド映画として譲れなかったのは長さか。途中で一旦インターミッションが入る。ただ、このインターミッションの直前に、衝撃の大展開!!って感じ。インドでは映画はTVドラマの代替的な意味もあるから、こういうCMまたぎで客を引き付けるみたいな演出も得意、というか多い。

謎めいた自由人ランチョーの行動によって、周囲は影響を受けて変わっていく基本プロットが親しみやすいし、そのランチョーに秘密があるという設定なのだが、日本人がいかにも書きそうなシナリオに思えるだけに、くやしいというかニクイというか。
あまり説明しないでおくけど、久々に素直に心が揺れ動かされた作品。長い作品だけど、短いスパンでほっこりと感動がやってくる。かといって全編ユルユルなわけでもなく、シビアでちょっとそれはどうなの?と思えるような、身もふたもないエグい場面もある。その虚飾のない素っ裸な演出に好感が持てる。

今年観た作品の中で、間違いなく3本の指に入る作品。超オススメ。
直訳すれば“3バカ”になるが、それを“きっと、うまくいく”として邦題センスも良し。

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