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公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:マシュー・ヴォーン
出 演:アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、マーク・ストロング、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ、ギャレット・M・ブラウン、クラーク・デューク、エヴァン・ピーターズ、デボラ・トゥイス、リンジー・フォンセカ、ソフィー・ウー、エリザベス・マクガヴァン、ステュー・ライリー、マイケル・リスポリ、ランダル・バティンコフ、デクスター・フレッチャー、ヤンシー・バトラー、オマリ・ハードウィック、ザンダー・バークレイ、クレイグ・ファーガソン 他
ノミネート:【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】若手俳優賞(クロエ・グレース・モレッツ)、アクション映画賞
コピー:正義の心で悪をKILL
特殊能力ゼロ、モテ度ゼロ、体力微妙──なりきりヒーローが世界を救う
アメコミ好きの高校生デイヴは、“なぜ、みんなヒーローになろうとしないのか?”と思いつき、インターネットで手に入れたコスチュームを着て、ヒーロー“キック・アス”として街に出る。とはいえ、何の能力もないタダの高校生の彼は、最初のパトロールでチンピラに瀕死の重傷を負わされてしまう。おかげで、全身の骨に金属のプレートが入れられ、神経にも障碍が残り痛みに鈍感な体になってしまう。懲りない彼は、痛みを感じないのをこれ幸いと、トレーニングを重ねパトロールを再開。リンチを受けている人を助けると、野次馬がその様子を動画サイトにアップしたことで、キック・アスの名はたちまち知れ渡ることに…というストーリー。
ヒーローコミックが好きなんだろう。それはヒシヒシと伝わってくる。神経が麻痺してるギミックは『ダークマン』と同じだし、その他色々なヒーロー物ありきというかリスペクトというか、愛情で溢れていると思う。
はっきりいってしまえば、私が求めていたヒーローアクション映画とはコレ。今の仮面ライダーは“改造人間”という設定すら使わないし、敵側も無慈悲に人を殺したりはしない。太古の神話しかり、ヒーロー物というのは、ある意味、子供の心にトラウマを残すくらいじゃなくてはいけないと私は思う。昔の敵の怪人・怪獣の描写はグロかったりエグかったりしたものだ。子供への配慮という名目のくだらない予定調和なんかにはウンザリしていた。ヒーロー側が悪を憎んだとしても完璧な聖人君主でいられるわけがないし、私怨に溺れてしまうことのほうがかえってリアル。現代のリアルヒーローとは何かを、真剣に考えたらこういう設定になると思う(仮面ライダーV3だって家族の敵討ちだぜ)。
この予定調和の壊しっぷりは、昔、週間少年ジャンプで“ウイングマン”の連載が始まったときのインパクトを思い出したなぁ。
なんといっても、監督のマシュー・ヴォーンは、どこの製作会社からも、子供の暴力等々の過激描写を抑えるように要求されたため、自分で制作費を調達して自主映画として本作を製作したという。その心意気だけでも驚きだけど、そこまで私が欲している要素を譲れないマスト条件と考えてくれたことに、強い共感とリスペクトを感じる(この監督の未来に幸あれと祈る)。
加えて、完全に主役を喰ってしまったクロエ・グレース・モレッツの存在が秀逸(『(500)日のサマー』に出てたっていうんだけど、記憶になかったので観返してしまった。主人公の妹役ね)。そのキュートさが、この狂気の世界の屋台骨を支えているといってもよい。とにかくヒットガールの登場するシーンにはシビれっぱなし。
残念なのは、ニコラス・ケイジ。けっこう、こういうコミックヒーローテイストの作品に関わるけど、今回も、バットマン風の衣装にしたいと要求したとか(TSUTAYAの宣伝を読む限り)。この映画のイマイチなところは、そのバットマン風衣装が浮いている点だけ(そうするなら、せめてバットマン風にする意味をしっかりと作って欲しかった)。彼が死ぬほどヒーローコミックが好きなのは有名だけど、この人ほど好きこそものの上手なれって言葉から遠いのもめずらしい(『ゴーストライダー』の時も、なんかズレてたんだよね)。今後は余計な口出ししないで、製作側にお任せして欲しい。
普通のアクション映画と同列に観ている人には、つまらなく思たかもしれないだろうけど、私の中では、『X-MEN』も『スパイダーマン』も軽く超えた最高の作品。強くお薦めする。とはいえ、女性の心に響くかは、甚だ疑問だったりする(どうなんだろ)。
#日本でコレをつくると、多分、主人公に多かれ少なかれなんらかの超能力を持たせてしまったと思う。生身で勝負して違和感がないのは、銃社会、バイオレンス社会のアメリカがベースだからかも(アメリカにはこんな感じで、自前でヒーローやってる人が本当にいるらしいし)。
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:ジェームズ・マンゴールド
出 演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ、ジョルディ・モリャ、フォーク・ヘンチェル、マギー・グレイス、デイル・ダイ、マーク・ブルカス、レニー・ロフティン、セリア・ウェストン、ガル・ギャドット 他
コピー:ワイルドな誘惑。スイートな衝撃。
ヴィンテージ車のレストアを仕事にしている女性ジューンは、カンザスにパーツ調達へいった帰りの空港でロイと名乗る男性とぶつかる。彼とは機内でも再会し、そのハンサムな笑顔とオシャレな振る舞いに心をときめかせるジューン。彼女が化粧室から戻ってくると、突然彼は、パイロットを殺したと突拍子もないことを告げる。ジョークだと思っていると、実際にパイロットは死亡しており、飛行機は急降下。ロイが操縦桿を握り、なんとか農地に不時着するも、脱出の直後に飛行機は大爆発。気絶したジューンが目を覚ますとそこは自宅のベッド。あの出来事は夢か?と思ったが、その後次々と危険な目に遭い、その度にどこからともなくロイが救出に現われるのだった…というストーリー。
この作品は、カップルで鑑賞して男女の両方が愉しめることを目的に作られている。これは、コンセプト的にものすごく正しい。映画鑑賞はデートの定番だが、男女両方が満足できる映画というのは案外無いもので、大抵がどちらかの趣味に合わせている。特にアクション物で、男女両方が同じように満足できる作品は皆無に近いと思う。本作は、全編にわたってターゲットが明確でブレがなく、マーケティングがかなり成功している例だと思う。
『バニラ・スカイ』の時のような輝きは既にない主役の二人。昨今の奇行イメージのついたトム・クルーズに、落ち窪んだ眼窩のせいで所々でゾンビのように見えるキャメロン・ディアス。今となっては陳腐にすら見えるキャスティングだが、かえってそのくたびれ加減が、本作のくだらなさにマッチしてしまった。これを狙っていたとしたら、このキャスティングをした人の才能はすばらしい。
内容にも色々難はある。早々に、人質っていうメリットよりも連れまわすデメリットのほうが大きくなっちゃってたり、太陽が永久なエネルギーだとかトンチキなこと言い始めたり、話の収集が付かなくなってスペイン語圏に舞台を移してみたり…とか。でも、そんな野暮なことを言ってたら映画が成立しなくなっちゃうよね!って感じで、無視できる勢いと、バカなノリがあるのでオールOK。ハーレクイーンロマンス小説か韓国ドラマかってレベル。何の問題も解決していないラストだけど、それもご愛嬌。
今年一番、頭を使わせずに愉しませてくれた作品。解説するだけ無駄。疲れた頭を気分転換させたい時には最適。でも、一人で観るとなんかバカにされたような気持ちがちょっとよぎるので、できることならカップルで観たほうがいいかな。
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ブライアン・レヴァント
出 演:ジャッキー・チェン、アンバー・ヴァレッタ、マデリン・キャロル、ウィル・シャドリー、アリーナ・フォーリー、マグヌス・シェヴィング、キャサリン・ボシェール、ルーカス・ティル、ビリー・レイ・サイラス、ジョージ・ロペス 他
中国からCIAに出向してきているボブは、隣家のシングルマザーのジリアンと結婚の約束をする。ジリアンには3人の子どもたちがいるが、表向きはペンのセールスマンであるボブは、退屈な人間として嫌われている。ある日、ジリアンの父親が大怪我をしたため実家に戻らなくてはいけなくなり、その間子供たちの面倒をみることに。しかし、子供たちはまったくいうことを聞かず、ほとほと手を焼く。そんな中、長男イアンが、ボブのパソコンを勝手に操作して、極秘情報をダウンロードしてしまったことから、ロシアの犯罪組織の標的となってしまい…というストーリー。
原題の“THE SPY NEXT DOOR”は正しい。スパイをやめて第二の人生を歩もうって話だもの。“ダブル・ミッション”っていう邦題のほうが良いと考えた理由がさっぱりわからない。インパクトはかえってなくなっているし、意味がわかりやすくなったわけでもない(ガルネクとかがいるんだから、逆に意味はしっくりくるだろう)。変なの。
CIAのスパイが中国政府から出向してきているという設定は、要するにアメリカ政府と中国政府は蜜月状態だということを意味するのだが、これはアメリカ人にとってスンアリと受け入れられるのだろうか。映画というのは世界情勢を反映するものだが、中国が味方でロシアが敵っていう構図が、今のアメリカ人にはしっくりくるのか?中国とアメリカは経済の面で仲良しさんで、ロシアとは石油利権の面で対立関係にあると?そういう認識はなかったので、ものすごく不思議。
アクションコメディだが、アクションの面でもコメディの面でもイマイチ感が。
正体を隠しているスパイという設定が使い古されているし、ダウンロードの件もどこかで観たような感じ。悪役の服装の件も、砂糖で興奮する件など、笑いと取ろうとしている部分が全部スベってる。細菌が樹脂を喰うなら、マニュキアも喰ってほしかった…とか細かい部分のツメも甘い。
子供達がボブをそこまで嫌ってる理由の説明が描写不足。オタクだとかロボットとか、父親が戻ってきたら…とか言ってるけど、それでも説明は不十分で、人種差別に見えなくもない。
敵から襲われて、話が動き出すと、徐々におもしろくなってはくるのだが、いささか手遅れ。おまけに、やっと面白くなったと思ったら、母親があっさり迎えに来てしまって、せっかくの盛り上がりかけも早々にしぼむ。前半の段階で、もうちょっと、自分の正体がばれないように丁々発止で逃げ回る展開をつくるべきだったろう。
“ジャッキー30周年”の作品と気合が入っているのなら、往年のファンにも喜ばれるように、原点回帰な感じにしてほしかった。なんでこんな子供向けコメディなのか。これがジャッキーのやりたいことだとすると、ちょっと悲しい。
アメリカ人には東洋人の年齢がピンときていないのかもしれないが、我々から見ると、ジャッキーの老いは、いささか痛々しく見える。やっちまった感満載のアクションコメディ。エンディングのNGシーンのつまらなさが、この映画のレベルを象徴しているような気がする。
少なくとも、新作料金で観る価値はない。お薦めしない。
公開年:2010年
公開国:アメリカ、中国
時 間:140分
監 督:ハラルド・ズワルト
出 演:ジェイデン・スミス、ジャッキー・チェン、タラジ・P・ヘンソン、ハン・ウェンウェン、ワン・ツェンウェイ、ユー・ロングァン 他
コピー:最高の師匠がくれたもの──それは、逃げずに立ち向かう勇気。
あの伝説が北京で甦る!
母と二人暮しの少年ドレ。母親が北京に転勤することになり、デトロイトから異国の地へ。言葉もわからず、文化の違う中、見かけた一人の少女に心ときめくドレ。しかし、そのために、同じ学校に通う少年達に目を付けられてしまいいじめの対象になってしまう。その少年達はカンフー教室の生徒で、ドレはとてもかなわない。いつものようにいじめられていたある日、突然現れたアパートの管理人ハンに助けられる。これ以上いじめられないように、ハンとドレは少年達が通うカンフー教室の師範に話をつけに行くが、逆にカンフー大会で勝負をするハメに。ドレはハンの下でカンフーの修行に励むことになるのだが…というストーリー。
いわずと知れた1984年製の『ベスト・キッド』のリメイク。しかし、原題は“THE KARATE KID”なのにカンフー。別に他のタイトルでもいんじゃないか?と思ったけれど、基本的なプロットを愚直なまでに踏襲しているので、いたしかたないか。
ただ、話の筋はそのままに舞台を変えたことで、いろいろと補正が必要となった模様。細かいシーンを足したおかげで、140分という長さになっている。それを逆手にとって、ガラっと新しいベスト・キッドの味にすることもできたと思うのだが、残念ながら昇華するまでには至らず。
はじめに出会った西洋人の少年とか、ヒロインの女の子といじめっ子の家の親同士が仲がいいとか、新たに加えた師匠の過去とか、そういう設定が全然生きていない。オリジナルの売りの一つである奇抜な修行(ワックスガケ)も、本作では別の修行方法になっているのだが、あまり目を惹くような内容ではない。その他諸々の修行も全然効果があるように見えないどころか、ダラダラした印象で、そんなんで強くなれるとは全然感じられない。
#母はいったい何の仕事で中国なんかに転勤になったのか?管理職でもなさそうだし。
たかだか子供のカンフー大会なのに、巨大モニターや、すぐにリプレイ編集される演出など、リアリティが無いにもほどがある。製作が米中ということで、アメリカVS.中国という構図を避けたかったのか、悪役のワルっぷりもいまいち振り切れていない。そのために、勝手もまったくスカっとせず、オリジナルの馬鹿馬鹿しいともいえる勢いには、遠く及ばない。
それでも、なんとか鑑賞に堪えるのは、オリジナルの設定とジャッキー・チェンの存在感の成せる業といえる。及第点中の及第点。置きにいったストライクっていう作品。
それにしても、主役のウィル・スミスの息子は、日本でのプロモーションでの態度が非常に悪かったですな(わざとなのか天然なのかわからないけど)。あれで礼儀正しい子供だったら、もっと話題にしてもらえただろうけど…。オリジナル大好き世代は、こんな調子こいた二世タレントの映画なんか、誰が見てやるかよ!って気持ちになったのではなかろうか(私は、その一人)。
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ジョー・カーナハン
出 演:リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、ジェシカ・ビール、シャールト・コプリー、パトリック・ウィルソン、ジェラルド・マクレイニー、ヘンリー・ツェーニー、ユル・ヴァスケス、ブライアン・ブルーム、モーリー・スターリング、テリー・チェン、オマリ・ハードウィック、ダーク・ベネディクト、ドワイト・シュルツ 他
奇抜な戦略家のリーダー・ハンニバルを筆頭に、色男フェイス、怪力男B.A.、パイロットのマードックの一癖あるメンバーで結成された特殊部隊Aチーム。結成して8年、彼らは数々のミッションをこなしてきた。ある日、ドル札原版を所持しているテロ集団の情報を入手し、それを一掃して原版の奪還に成功するAチーム。ところが、その直後に上官である将軍が爆死し、その上に原版も何者かに持ち去られる。4人は軍法会議にかけられ、階級を剥奪され別々に監獄送りに。収監されて半年後、持ち去られた原版で刷られた紙幣が見つかったとの情報を掴み、汚名返上のために脱獄を図るが…というストーリー。
昔、夕方とかに再放送していたTV版もかすかな記憶しかないんだけど、テロ撲滅とか、こんなに公益のために熱くなる人たちだった?もっと、私的な情とかで動いていたような気もするけど?なんて思っていたけど、始めはそういうスタンスだったってことなんだね。
ボスコ(日本名だとコングか)の飛行機嫌いの理由まで説明してくれちゃって、Aチームビギニングってところですな。まあ、今回は顔見世興行みたいなもので、次作からが本番開始。あと2作くらい続編をつくってもいいでしょう。
政治的なギミックなんて、適当極まりなくて、何一つ社会情勢を理解している必要なし。肝心の最後の作戦とかも、何をしようとしているのかよくわからないんだけど、すべて行き当たりばったりみたいなもんだし、とにかく痛快・奇策・ベタな展開の連続。日頃のムシャクシャを何も考えずに解消するための優秀なツール。とにかく燃える。ヘタすりゃ、途中から観ても、満足できるんじゃないかってほど。
リーアム・ニーソンのくたびれかたがちょっと足りなくて、元気良すぎな気はする。でも、『ダークマン』とか『SWエピⅠ』とかアクション系はチョコチョコ出ていて、きっと本人は元々好きなんだろうね。やっと、アクションの当たり役ができて喜んでいるんじゃないかな。
とにかく、脳ミソゆるゆる、ストレス解消には、お薦め。
#エンディング後のおまけ映像には、ミスターTも出て欲しかったわね。
公開年:2008年
公開国:フランス
時 間:103分
監 督:オリヴィエ・メガトン
出 演:ジェイソン・ステイサム、ナタリア・ルダコーワ、フランソワ・ベルレアン、ロバート・ネッパー、ジェローン・クラッベ、アレックス・コボルド、ヤン・サンベール、エリック・エブアニー、デヴィッド・カンメノ、シルヴィオ・シマック、デヴィッド・アトラッキ、セーム・シュルト 他
コピー:手首に罠、依頼品は赤い代物
ある日、フランク家に車が突っ込んでくる。ドライバーは、フランクが断った仕事を代わりに引き受けた知り合いのマルコム。救急車を呼んでマルコムを搬送したが、その直後に救急車が爆発。実は、マルコムと同乗していた女の腕には特殊な腕輪型爆弾が装着されており、車から離れると爆発する仕組み。すると、フランクは何者かに襲われ気絶し、ジョンソンという男の元に連れて行かれる。フランクの腕にも同じ爆弾が仕掛けられ、トランクに入った“赤い代物”という品物を指示通りに届けるように命令される。仕方なく、赤毛の女ヴァレンティーナを助手席に乗せ、搬送を始めるのだったが…というストーリー。
1も2もどんな内容だったか覚えていないけど、前作の内容なんかまったく押さえておく必要はない。
車から離れられないっていうことで、面白いアクションが展開できているのは事実なんだけど、特殊な爆弾っていう仕掛けもってこないと、ストーリーが作れないという時点で、シリーズとしては限界なんだな…とも思う。
事件のベースである誘拐事件もよくわからない。廃棄物を引き取らせたいから無理にでも契約させるって、もっとらしいのだが、実はかなり変。とりあえずドラム缶にしまっておけるレベルの廃棄物なんだから、不法投棄すりゃいいじゃねえか。悪者なのに、そのくらいのこともできないのか?そう考えると、けっこう馬鹿馬鹿しく思えてくる。もう、あまりストーリーを練る気すらないのかな…と。
また、ヒロインがいまいち魅力に欠けており、くっついちゃう展開が好みではない。ツンデレでじゃじゃ馬キャラなのに、ここまでピンとこないのも珍しい。いっそのことぶん殴ってくれたほうが、すっきりすると思ったほど。
運び屋さんなのでカーアクションが前面のお話なのだが、私はぜんぜん車に興味がなくってワクワクしないのだが、ジェイソン・ステイサムのアクションで充分満足できたのが救い。普段から体を鍛えておかんといかんなぁ~こりゃって思わせるくらい、いい動き。色々な小道具の使い方も面白かった。セーム・シュルトもよくがんばりましたな(笑)。
まあ、シリーズ的には最後だと思うので、こんな感じでいいのかな…と。可もなく不可もなく、“こんなもんでしょ”と誰でも思うレベル。まさに“まあまあ”。極めて軽い作品。
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:フィリップ・ノイス
出 演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー、アンドレ・ブラウアー 他
コピー:彼女は、何者なのか?
ある日、CIAに勤務するイヴリン・ソルトは、ロシアから逃亡してきたという密告者を尋問するが、突然その密告者が、大統領暗殺のためにロシアのスパイがニューヨークに潜伏中であり、さらにそのスパイが目の前のイヴリンであるといい始める。何かの罠だと弁明するが、CIAの同僚たちは彼女を拘束しようとする。追いつめられたソルトは、決死の逃亡を図るのだったが…というストーリー。
まだレンタルし始めたばっかりだから、ネタバレの警告をしておく。以下、完全にネタバレ注意。
結論を言ってしまうと、残念ながらイマイチだった。主演のアンジーにおそらく非はない。しっかりアクションもこなしていて、単なる売れっ子女優としていい加減な仕事をする気はさらさないわよって声が聞こえてきそうな気概を感じた。さらに、アサシン顔とラブモード顔がしっかり演技じ分けられていて、ダテにオスカー女優じゃない硬軟両面を見せてくれていて、何の問題もないと思う。
根本的な着想もプロットにも問題はない。問題は、主人公に感情移入できない演出である。
はじめは、ソルトがあらぬ疑いをかけられて、さらに夫まで誘拐されているらしく、きっと誰かにハメられていて、その疑いを晴らしつつ愛する夫も救わなければならないんだな~、あーこりゃ大変だーと、彼女目線で映画を観るのだ。すっかり彼女に感情移入していたら、なにやら雲行きが怪しくなって、本当にスパイだったのかよ~!ってことに。それまでソルト目線で観ていたのに、突然放り出されてしまう。そこから、この少し悲惨な境遇の女はどういう顛末を迎えるかな…という客観的な目線を強いられる(そういう観方をせざるを得ないと諦める…という表現が正しい)。ところが、ロシアの黒幕のおっさんを殺して、また立場が変化する。おそらくここでは愛する夫を殺されて感情が爆発したんだな…とまた、ソルトに感情移入したくなる。しかしその後、やっぱり大統領暗殺に向かって、CIAの奴らは遠慮なくやっつけ始めちゃうし、一体だれを応援すればいいわけ?何を軸に観たらいいわけ?と混乱状態になる。
いや、話自体はとてもおもしろいのだ。よくデキていると思う。問題は見せ方。同じような映画で『ボーン・アイデンティティー』のシリーズというのがあるが、あっちは事実が徐々に明らかになろうが、さらに謎が深まろうが、ずーっと主人公のジェイソン・ボーン目線なので、映画に没頭できるでしょ。なんで好例があるのに参考にできないか。
監督は、巧みなミスリードを駆使して、観客の鼻をあかしてやったぜ!くらいの気持ちでいるかもしれないが、まったくの逆効果。策に溺れたというか、本当に大事にしなくてはいけない部分を見失ったというか…。あ、この監督『裸足の1500マイル』の監督じゃないか。あの映画も政策批判が前に立って、映画のおもしろさをそっちのけでやっちまったんだよな。同じこと繰り返すなよ。この監督、私の中で、ダメ監督のレッテルを貼られつつあるぞ。2アウトだ。
#まあ、脚本も悪いんだろうけど、そこは演出でカバーしてほしいよ。
旧作になってからで充分。お薦めはしない。
#まあ、続編なんかないだろうよ。これじゃ。
公開年:2008年
公開国:フランス
時 間:93分
監 督:ピエール・モレル
出 演:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、リーランド・オーサー、ジョン・グライス、デヴィッド・ウォーショフスキー、ケイティ・キャシディ、ホリー・ヴァランス、ファムケ・ヤンセン、ザンダー・バークレイ、オリヴィエ・ラブルダン、ジェラール・ワトキンス、ニコラ・ジロー、カミーユ・ジャピ、ゴラン・コスティッチ 他
コピー:父の愛が、パリの街を暴走する。
長年、アメリカの秘密工作員として活躍してきたミルズだったが、現在は引退しボディガードのアルバイトなどで細々と暮らす日々。現役時代に家庭を顧みなかったため離婚しており、すでに別れた妻は裕福な夫と再婚、娘もその元で暮らしている。ある日、親友とフランス旅行へ行きたいので許可がほしいと娘に懇願され、渋々承諾。しかし、現地に到着した娘から、滞在するアパートに男たちが乱入してきたとの電話が掛かってきて、その一部始終を伝えていた娘は結局連れ去られてしまう。ブライアンは娘の奪還と犯人への復讐を決意し、単身フランスへ。事件発生から96時間を過ぎると被害者の救出が不可能という情報を元に、犯人と思われるアルバニア系の人身売買組織への捜査を開始するのだったが…というストーリー。
すでに別れた夫の許可がなぜ必要なのかよくわからん(パートナーだが再婚はしておらず、親権はいまだ半々だから?欧米の離婚事情ってそんなもんか?)というのは脇に置くとして…。
『スター・ウォーズ エピソード1』とか『ギャング・オブ・ニューヨーク』とか、最近ならば『タイタンの戦い』とか、決してアクション物の出演が少ないわけではないリーアム・ニーソンであるが、地がお上品なのためか、あまりフィジカルなアクションを駆使しているイメージがない。本作では、それこそスティーブン・セガールばりのマーシャルアーツ的なアクションの連発で、なかなか新鮮。若干、重く見えるそのアクションは、くたびれたオヤジが娘のために奔走するという感じにつながっていて、逆にリアル。主題を考えると、実に適役といえる。
製作がリュック・ベッソンだからか、無駄な場面がとても少なく、展開がものすごく快調で息をつく暇もない感じ。相手の犯罪組織には、いささかの情をかける要素も存在せず、完全なる勧善懲悪モノである。フランスにいってからは、それこそヤッチマイナ!的な感覚しか沸かず。そして実際にバンバンとにかくやっつけてくれるので、とてもストレス解消になる。旧友の嫁さんへの扱いなんか、まあブっ飛んでいて非常によろしい。いや、もう、ストレス解消を目的につくられたとしか思えない。1時間以上、そりゃ!いっちまえ!こんにゃろ!って、ずーっとそんな感じだった。久々に、ムチャなアクションとと現実線の興醒めしない加減を表現してくれている作品かと。
主人公と昔の仲間以外は全員阻害要因というのは、いささかやりすぎの気もしないではない。敵やかつての旧友どころか、妻まで憎たらしい(ファムケ・ヤンセンが小汚いババアを良く演じている。いや、X-MEN3の時からいまいち汚れぎみか)。それどころか、肝心の救うべき娘ですら、こんなに言うことを聞かないんなら、痛い目にあわせりゃいいんじゃね?くらいの気持ちになってしまう。娘LOVEはわかるのだが、正直、最後は頭の一つも小突いてほしい気持ちにはなったが…。
まあ、欧米作品ではありがちだが、一緒にいった友達の安否などだれも気にしていないという、自分勝手さ。私の嫌いな『ホステル』が若干よぎるくらいである。この製作側のおめでたさには、甚だ呆れる限りなのだが、ストレス解消という目的のためなら許容範囲か。でも、非常におもしろかったので続編は十分考えられるはずなのだが、この“雑さ”が続編製作を阻害するかもしれない。
拾い物だった。秋の天候のすぐれないモヤモヤした気分どころか、仕事のイライラまでをすっきり晴らしてくれた気がする。大満足。お薦めする。
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:マイク・ニューウェル
出 演:ジェイク・ギレンホール、ジェマ・アータートン、ベン・キングズレー、アルフレッド・モリナ、スティーヴ・トゥーサント、トビー・ケベル、リチャード・コイル、ロナルド・ピックアップ、リース・リッチー 他
コピー:砂よ──時間を巻き戻せ!
繁栄を極める古代ペルシャ。親のないスラムの少年ダスタンは、友人を救うための勇気ある行動が王の目に止まり、養子に迎えられ第3王子となる。それから15年、勇者に成長したダスタンは、兄や叔父ニザムと共に聖なる都アラムートを征服し、1本の短剣を手に入れる。しかし、王に贈ったアラムートの衣に毒が塗られており王が死亡。ダスタンに嫌疑がかけられ追われるが、捕虜となっていたアラムートの姫タミーナが手助けしたおかげでなんとか逃走する。実は彼女の目的はダスタンが手に入れた短剣。その短剣は、世界をも支配できる力を秘めており、タミーナは、その短剣を守る使命を担っていたのだった…というストーリー。
すっかり、古代ペルシアを舞台にした『キングダム・オブ・ヘブン』のような、半分史実みたいな作品と思いこんでいたのだが、どちらかといえば『ハムナプトラ』に近いマジカル・アドベンチャーだった。ベン・キングズレーがDVDジャケットにいるせいかもしれないが、こういう内容の作品だとは、パッと見では判らない。
以下、ネタバレ。
実際、剣の能力が発動するまで、こんなマジカルな内容だとは気付かないだろう。アラムートを攻める根拠とか、裏の策謀とか、なかなかドラマとしてしっかりしてるんだもの。ボーガンの矢で壁を登っていくギミックとか、歴史ドラマにしては、なかなか面白い演出をするなぁ…なんて思ってたくらい。
あれ?魔法?ファンタジー?と思ったところで、あわてて確認したらジェリー・ブラッカイマー製作だった。そういわれりゃたしかにブラッカイマーらしいし、タイトルは“□□□オブ○△△△”だし、ディズニーだし(笑)。
#副題の“時間の砂”って何かの比喩表現かと思ったらそのままでやんの。
でも、決して陳腐なわけではない。映像面はかなり愉しめる。時間が戻る際の描写がとにかく格好よく(というか、日本人なら『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出した人が多いだろうけど)、アクションの躍動感もすばらしく息つく暇もない感じ。近年のこの手のアドベンチャー系作品の中では、随一だと思う。最後の展開もなかなか大胆だし、単なるハッピーエンドではないピリっとスパイスの効いた感じもなかなかよい。
後半、若干ダレる部分はあるけれど、全体的には、非常によくまとまっている良作。カップルで観るには最適の映画だろう。頭を使わなくていい、娯楽映画らしい娯楽映画。
公開年:2002年
公開国:フランス
時 間:108分
監 督:フローラン=エミリオ・シリ
出 演:ナディア・ファレス、リシャール・サムエル、ヴァレリオ・マスタンドレア、ブノワ・マジメル、サミー・ナセリ、サミ・ブアジラ、アニシア・ユゼイマン、マルシアル・オドン、パスカル・グレゴリー、マルタン・アミック、アンジェロ・インファンティ 他
コピー:12000発喰らえ。
ナセールをリーダーとする5人の男女は工業倉庫へ盗みに入ろうとしていた。同じ頃、ラボリ中尉率いる特殊警察部隊は、少女売春の罪で逮捕されたアルバニア・マフィアの首領を護送していたが、マフィアの襲撃に遭い、ナセールたちが侵入した倉庫へ逃げ込む。ラボリとナセールたちは共にアルバニア・マフィアに包囲され一斉放火を浴びてしまうが…というストーリー。
昨日の『あるいは裏切りという名の犬』がなかなかよかったので、続けてフランスモノ。
コピーが“12000発喰らえ。”ということで、『ホットショット』ばりの乱射(笑)が繰り広げられるのかと期待したが、わざわざ言うほどのこともない普通の銃撃戦かな。勝手にハードルを上げすぎたせいか、全然迫力が感じられず。
それに、上に書いたあらすじの設定以上のドラマがない。圧倒的な戦力差で追い込まれ、次々と死んでいくという、本来ならばドラマチックな展開にできそうな筋なのだが、各キャラのバックボーン・経歴・特殊能力の設定が薄く、特徴差が際立っていない上に、人数だけは多い(黒人の軽業師なんか全然能力を発揮しないし、なにやら過去がありそうな警備員についても何の説明もない)。アクションがメインとはいえ、役者陣も演技に独自色を出せていないのも頂けない。よって、観ている側も感情移入しにくいし、こうやってレビューを書いていても、あまり記憶に残っていないのだ。ネット上のあらすじを読んで、「ああ、そういうハナシだったか…」って思う始末(アルバニアマフィアとか…)。
#記憶に残ってるのは、『荒野の七人』の口笛くらいかな…
ワタクシ的にはかなり不評なのだが、ネット上では拾い物だと中々の評判で、ちょっと逆にびっくり。なので、もしかすると愉しく観れる方が多いのかもしれないが、ワタシはお薦めしない。赤点とは言わないがC+評価くらいかな。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:スティーヴン・ソマーズ
出 演:チャニング・テイタム、レイチェル・ニコルズ、マーロン・ウェイアンズ、シエナ・ミラー、レイ・パーク、イ・ビョンホン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アドウェール・アキノエ=アグバエ、クリストファー・エクルストン、サイード・タグマウイ、デニス・クエイド、ジョナサン・プライス、アーノルド・ヴォスルー 他
受 賞:【2009年/第30回ゴールデン・ラズベリー賞】ワースト助演女優賞(シエナ・ミラー)
コピー:この戦い、かなり刺激的。
NATOの開発した、あらゆる金属を粉砕する驚異の化学物質ナノマイトが悪の組織コブラと武器商人デストロに強奪される。化学兵器に転用されることを恐れるアメリカ政府は、訓練された強靱な肉体とハイパースーツなど最新装備を操る最強の国際機密部隊“G.I.ジョー”を送り込む。しかし、G.I.ジョーの若きメンバー・デュークとコブラのメンバー・バロネスとの因縁などが絡み合い、苛烈を極めた攻防に発展していく…というストーリー。
CGの質もアクションも充分だし、基本的なストーリーのアイデアも悪くは無い。それでも、ラジー賞の格好の餌食になってしまった本作。
イ・ビョンホン演じるヘンテコ忍者の設定とか、日本描写がヘンテコなのは、毎度のことなので、腹も立たない。しかし、コブラとデストロの構図がいまいち判りにくいとか、登場キャラクターが多すぎる上に、それぞれのバックボーンやエピソードや特徴が中途半端で感情移入しにくい。一切わくわくしない、こんなアクション映画はめずらしい。捨てるべきところを捨てずにとりあえず思いついたことは全部残してしまった感じ。
イ・ビョンホンは欧米人の中に混じっても、なかなかの存在感で、ハリウッドでも充分やっていけそうな感じなのだが、いかんせん一発目が本作とは、運が無い。
これだけ激しいアクションの連続なのに、観ている側をぽやーんとさせる、実に奇妙な映画。企画先行で、会議を重ねて設定もストーリーも配役も決めて、その結果を雇われ監督に作らせたって感じ。当初の企画はボヤけにボヤけ、“G.I.ジョー”である必要すら無くなってしまうという、笑い話にもならない状況。“G.I.ジョー”といえば「こち亀」にでてくるあのオモチャだけど、そのイメージの残滓すらない。
残念ながら、久々に時間の無駄だと思わせる映画。お薦めしない。
公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:スティーヴン・ソダーバーグ
出 演:ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス、ヴィング・レイムス、ドン・チードル、デニス・ファリナ、アルバート・ブルックス、キャサリン・キーナー、イザイア・ワシントン、スティーヴ・ザーン、ルイス・ガスマン、ナンシー・アレン、キース・ロネカー、ヴィオラ・デイヴィス、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン 他
受 賞:【1998年/第33回全米批評家協会賞】作品賞、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、脚本賞(スコット・フランク)
コピー:全米マスコミがベタ賞(ボ)メ!“もしあの時”立ち止まっていれば… “もしあの時”って そう何度も起こる事じゃない
銃を使わない手口の銀行強盗常習犯のジャックは、逃走車の故障で運悪く逮捕され収監される。ジャックは、脱獄した後、刑務所内で知り合った株屋のリプリーが自宅に隠し持つダイヤモンドの原石を盗み、それを元手に足を洗おうと決めた。ところが、相棒のバディの手引きで脱獄を試みるさなか、たまたま刑務所に立ち寄ったFBI捜査官カレンと出くわす。脱獄を阻止しようとする彼女はバディに拘束され、ジャックと共に車のトランクに押し込められ逃走に付き合うはめに。二人は車のトランクで会話するうちお互いに好意を抱き始める…というストーリー。
先日の実験的作品『フル・フロンタル』や『イギリスから来た男』『ソラリス』『オーシャンズ』シリーズ、『さらば、ベルリン』『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』と、製作総指揮も入れれば『コンフェッション』『インソムニア』『シリアナ』『アイム・ノット・ゼア』『フィクサー』等々、振り返ってみると、ここ1・2年は、彼が携わっている作品を一番多く観ている。彼の作品群を眺めると、よく言えばバラエティに富んでいると言えるけど、独自のカラーが薄いと言えるかも。
で、本作は、しゃれた雰囲気を前面に押し出そうとしている作品。でも、ソダーバーグ流のスタイリッシュなのかもしれないが、ストップモーションとか時制の組み換えとか、正直なところグッとくるような好みの演出は少ない。決して新しい作品ではないので、手法の目新しさをとやかくいうのはフェアじゃないかもしれないけれど、それを差し引いてもさほど格好よいとは思えない。
ストーリーも同様にイマイチ。主役キャラ二人は、銀行強盗常習犯でまったく社会に適合できない男と、FBI職員のクセに銀行強盗と交際していた過去のせいで閑職にある女。観ている側がシンパシーを感じられる線を越えていて、共感しにくい。
車のトランクの中の密着シーンとか、ホテルのロビーでのすれ違いとか、二人の恋愛にまつわるシーンも、さほどグっとこなくてアクセントになっているともいえず、緩急がなく単調な展開。
ただ、主役2人の演技が非常に魅力的なので、陳腐なストーリー展開なのに、なんとか観ることができる状態。なんで、ここまで評価が高いのか理由がわからない(受賞こそ多くないがノミネートはたくさん)。
マイケル・キートンがでてきたところで、なにやら『ジャッキー・ブラウン』が頭をよぎったのだが、原作者が同じだった。ということは、おのシーンはお遊びシーンということか(大してニヤリともできない、トホホな演出かも)。
でも、『フル・フロンタル』の時にも書いたけど、なんか現場の雰囲気のよさが伝わってくるのが不思議なんだよね。ソダーバーグは雰囲気作りがお得意な方なんでしょう。俳優やスタッフが決定したら、自分は雰囲気作りに徹して、みんなプロなんだからお任せする…そんなスタイルなのかも。
本作に関しては、面白いと思う人は1割程度だろう。お薦めはしない。
#『インフォーマント!』をレンタルしたので、近いうちにこちらを観ることにする。そういえば『セックスと嘘とビデオテープ』『グレイズ・アナトミー』『スキゾポリス』を見ていないので、トライしてみたい(なんだかんだ文句いうくせに、期待してみちゃうんだなぁ…。
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ティムール・ベクマンベトフ
出 演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン、コモン、クリステン・ヘイガー、マーク・ウォーレン、デヴィッド・オハラ、コンスタンチン・ハベンスキー、クリス・プラット、ローナ・スコット 他
ノミネート:【2008年/第81回アカデミー賞】音響賞[編集](Wylie Stateman)、音響賞[調整](Frank A. Montano、Petr Forejt、Chris Jenkins)
【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】アクション映画賞
コピー:“1を倒して、1000を救う”
凡庸なサラリーマン生活をおくるウェスリー。そんな彼の前に、ウェスリーの亡き父が凄腕の暗殺者だったと語る謎の女フォックスが現われ、事情がよく判らないまま銃撃戦に巻き込まれる。応戦するフォックスに引き連れられ、古来からから神に代わり“運命の意志”を実践する“フラタニティ”という秘密暗殺組織の元へ。ウェスリーの父もその組織の一員で、ウェスリーもその資質を引き継いでいると知らされる。彼は父の復讐を誓い、暗殺者としての潜在能力を覚醒させるため、フォックスの下で特訓を受けることになったがが…というストーリー。
一番の中心的な設定である“フラタニティ”だが、荒唐無稽だわ存在意義もいまいち良く判らないわ、普通ならアホくさ…と興醒めするところなのだが、CGとアクションの融合具合がうまいので、とにかくノリだけでグイグイと押し切られる。そのアクションも、物理的には有り得ないレベルばかりで、弾道カーブなんて『リベリオン』くらいのいい意味での珍作かも……なんて思うのは、中盤まで。
終盤にさしかかり、ストーリーを集約し始はじめると、まるで強制的に夢から醒まされたようで、出来事すべてがクダラないものに見えてくる。結局、“フラタニティ”ってなんなんだか。なんとなくその場の感情で左右される程度の掟とか、大概の人は予測がつくような父親の秘密とか、とってつけたような『マイノリティ・リポート』みたいなノリとか、合わない入れ歯を無理やり嵌めたような具合の悪さ。もう、最後までなんとか突っ走ることはできなかったのだろうか。私は急に眠たくなってしまったよ。
さらに、誰もが間違いなく同じことを思ったに違いないが、その興醒め具合に油を注いでいるのが、DAIGOの吹替え。平板な抑揚に所々ヘンテコなイントネーション、叫び声に至っては聞いていて恥ずかしくなる。DAIGOの吹替えにどれだけ集客力があると判断したのか知らないが、このめまぐるしいアクションシーンは、字幕を追わずに観たほうがいいと思うので、せめてDVDリリースする時には、別の声優のトラックを入れてほしかった。配給会社の失策である。
時間が経つごとに徐々に減点されて、最後は赤点ギリギリで終了する作品。特にお薦めはしない。4割の人が別に観なくてもよかったな…と思うこと必至。
公開年:2004年
公開国:アメリカ、メキシコ
時 間:146分
監 督:トニー・スコット
出 演:デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニング、クリストファー・ウォーケン、ラダ・ミッチェル、マーク・アンソニー 他
コピー:男に生きる希望をくれたのは、たった9歳の少女だった。
元CIAの特殊部隊員ジョン・クリーシー。彼はこれまで、米軍の対テロ部隊に所属して16年にわたり暗殺の仕事を続けてきたが、そのために心を閉ざし、生きる希望を見失っている。そんな彼はある日、メキシコで護衛の仕事をしている部隊時代の先輩レイバーンから新しい仕事を請け負うことに。それは、誘拐事件が多発するメキシコ・シティに住む実業家の9歳になる娘ピタのボディガードだった。始めはこの仕事に乗り気でなかったクリーシーも、ピタの無邪気な笑顔や素直なやさしさに触れるうちに心洗われていくのだが…というストーリー。
原題の“MAN ON FIRE”のMANはデンゼル・ワシントンのことだが、邦題の“マイ・ボディガード”のマイはダコタ・ファニングのこと。プロモーション的にダコタ・ファニングを押したかったうのが邦題から伺えるが、内容とズレている上に凡庸で、結果的に最悪な邦題になっている。実際、評判も悪い。せっかくのハードな内容が台無しで、これなら原題のままでよかったかと。
後半の淡々と拷問していく復讐劇は、凄みがあて非常におもしろかった。『リーサル・ウェポン』のようなキレキャラの話がとても好きなので、うれしい。上映時間が長いと感じていたが、復讐が始まりだしたら、もっとこれを続けてくれ…と思ったくらい。たとえ非合法あっても、この状況ならイッちゃって問題なし、どんどん行け!という気分になった。
もちろんデンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニングの演技は文句なしだが、映像も結構お洒落。画面上に表示される文字もなかなかクール。監督のトニー・スコットはリドリー・スコットの弟だが、もしかすると兄より才能があるかも…と思わせる。ただ、やはり、本作を130分に収められなかったのは力不足の表れか。いい監督と売れる監督の間にある壁を越えられていないのは、そのあたりのセンスが原因かも。
最後のどんでんがえしは無しにして、そのままバーサーカー(狂戦士)モードで、突っ切って散ってしまったほうがよい。(ネタバレだけど)そのまま死んでいたほうが、かえって新機軸で、興味深い作品になったと思うのだが…。その場合、クリーシーが苦しんでいる理由(過去の出来事)を、もうちょっと説明する必要が生じるけどね。
#アメリカ人子役は、大人になると変な感じになるのが通例だが、ダコタ・ファニングは綺麗に成長するはじめての例かもしれない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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