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image1893.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:ショーン・レヴィ
出 演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー、ケヴィン・デュランド、カール・ユーン、オルガ・フォンダ、ホープ・デイヴィス、ジェームズ・レブホーン、ジョン・ゲイティンズ、グレゴリー・シムズ 他
ノミネート:【2011年/第84回アカデミー賞】視覚効果賞(Daniel Barrett、R. Christopher White、Dan Lemmon、ジョー・レッテリ)
コピー:「リアル・スティール」――。それは、親子の絆が生み出す、“本当の強さ”。

ロボットによるボクシングが娯楽として発達し、人間の牧神が衰退した2020年。プロボクサーとして将来を有望視されていたチャーリーだったが、その道を断たれ、今はロボットボクシングのプロモーターとして細々と生計を立てている。しかし、決してその手腕は優秀ではなく、ロボット調達や賭けボクシングの負け金で借金まみれとなり、このまま続けることも難しい状態に。そんなある日、昔捨てた妻が急死したとの連絡が入る。残された11最の息子のマックスの養育権について、妻の姉であるデブラとその夫マーヴィンと協議することになったが、夫妻が金持ちであることに目をつけたチャーリーは、借金返済のためにマーヴィンに10万ドルで息子を渡すと持ちかける。マーヴィンは旅行に行く3ヶ月の間、マックスを預かるという条件で承諾。金で預けられたことに気づいたマックスはチャーリーに心を開くことはなかったが、ロボットが大好きなマックスは、無理やり試合についていくことに。しかし、マーヴィンから得た金で購入したロボットはほどなくスクラップになったため、ゴミ置き場でロボットを探しにいくと、マックスがクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”を発見する…というストーリー。

『オーバー・ザ・トップ』と『チャンプ』と『ロッキー』を混ぜて、ロボットをぶち込んだ感じ。それに『ベスト・キッド』も混ざってるかな。いろんな映画のつぎはぎでおもしろいんかいな?と思われるかもしれないが、結論から言うととても面白かった。

親子共々、別に“親子”をしたいわけじゃないドライなところがいい。チャーリーは実際に息子を見てもまったく愛情なんか湧いていないようだし、マックスも親となんて微塵も思っていない様子。あくまでロボットボクシングをやりたい男同士が行動を共にしている感じ。無駄にウェットな親子ドラマじゃないのが非常に良い。
だから、終盤に息子が「僕のために闘ってほしかった!」と言うのはちょっと余計だと思うし、賭け仲間から襲われたときに「お父さん」とか言うのもちょっと邪魔だったかな。最後まで“男同士”であることを貫いてほしかったな。

マックス役の子はなかなかいい表情をする。ダンスも達者でなかなか見ごたえがある。リングインのパフォーマンスはちょっと鳥肌が立ったわ。スピルバーグが関わる映画はいい子役が出ることが多いね。
#ちなみに監督さんは『ナイト ミュージアム』とか『ベガスの恋に勝つルール』の人。

舞台は2020年。たった数年でロボットボクシングが発展して、普通のボクシングが廃れるっていう、なかなか大胆な設定だと思う。妙に日本語が氾濫するところをみると、日本の“変態的な”ロボット技術ならこのくらいのものはつくれてもおかしくないんじゃね?ってノリか。英語音声にも日本語の単語が溢れている。製作総指揮にスピルバーグが名を連ねているんだけど、彼は日本が好きなんだか嫌いなんだかよくわからんな。いろいろ通り越して愛憎のレベルまで達しているのかもしれん。
実際のロボット技術だけじゃなく、日本のロボットアニメも相当意識している。ATOMって名前もそこからきてるのかも。

ロボットの正体は何か?秘密があるのか?ロボットが鏡に映った自分を見ているシーンがあったから、自我でも目覚めるのかと思ったが、本当に普通のロボットだった。ロボットのデザインがダサいなあっておもったけど、普通に徹して“カワイイ”“カッコイイ”デザインにしなかったことに意味があったな。

で、“模倣モード”っていう設定が、最後に物凄く効いてくるんだ。高度な伏線だと思う。アクション+ファミリー+娯楽+SFと全要素で極めて優秀な作品に仕上がっている。お薦めの秀作。後々、何度も地上派放送されるレベルの作品だと思う。
 
#天海祐希の吹き替えだけはダメだな。

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image1890.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:132分
監 督:ブラッド・バード
出 演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ウラジミール・マシコフ、ジョシュ・ホロウェイ、アニル・カプール、レア・セドゥー、ミラジ・グルビッチ、サムリ・エーデルマン、トム・ウィルキンソン、ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン 他
ノミネート:【2012年/第21回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ミカエル・ニクヴィスト、トム・クルーズ)、ハラハラ演技賞(トム・クルーズ)
コピー:不可能を超えろ。

とある事情でモスクワの刑務所に収監されていたイーサン・ハントは、アメリカ極秘諜報機関の手引きによって脱獄に成功。核爆弾によるテロを画策する“コバルト”という人物の情報を探る、新たなミッションがイーサンに下る。クレムリンへ侵入し情報を捜索するイーサンたちだったが、突然大爆発が発生。巻き込まれたイーサンは爆破の容疑者となってしまう。外交問題に発展したため、アメリカ政府は一切の関与を否定。ミッションは“ゴースト・プロトコル”となり、イーサンたちはアメリカ極秘諜報機関から登録を抹消されてしまう。それでもイーサンたちは、核によるテロを防ぐために“コバルト”を追い続け、ドバイの超高層ビル“ブルジュ・ハリファ”で黒幕たちの取引が行われることを突き止め、現地へ向かうのだったが…というストーリー。

まあ、前作と時間が空きすぎてるからかもしれないけど、繋がりを密接にしなかったことが非常に効果的だったと思う。個人的には2と3は、陰謀やら謎解きやらでシナリオを小難しくしたり、哀愁やハードボイルド感を出そうという意図を無駄に出しすぎて失敗していたと思うから。

敵も早々に明確になるし、ただただ、追いつ追われつを繰り返すだけの単純明快ストーリー。ドバイのビルをクライミングするシーンが山場なんだろうね。クレヨンしんちゃんが言うところの「お尻がひゅん」となるシーンね。“高さ”という根源的に人間が恐怖を覚えるシーンを多用するという、ベタベタだけどうまい作戦。核の起爆装置強奪とか、人工衛星からウイルスとか、わざとか?ってくらいギミックも古臭いんだけど、娯楽作品なんてこんなので充分なんだよ。
ドバイの取引を両方とやっちゃうとか、思いついたアイデアをそのままやってる感じ。そんなやり方じゃなくても別にいいじゃんって、普通は思うよね。まあ、こういうレベルのコミカルチックな演出が多いのも本作の特徴かな。

途中で、あれこの人だれだっけ?とか、何を防ごうとしてるんだっけ?となっても、別に巻き戻して確認しようとなんて思わないし、必要もないんだもの。ドンパチの繰り返し。もっとやれ!って意見もあるだろうが、これ以上やったら、スパイ物作品から逸脱しちゃうと思うので、いい線で抑えたと思うよ。彼らと一緒に世界旅行している感覚で眺めてりゃ、充分すぎるほど愉しめる。

“NEWチーム始動!”って観点では、なかなかバランスよくストーリー展開するので好感はもてるが、仮に次回作があったとして、このメンバーで作成されるか?は、微妙に思える程度の魅力かと。女の暗殺者なんかおもしろいキャラだと思ったんだけど、あっさりビルから落とされちゃったしなぁ。もっとサブキャラを大事にしたほうが良かったんじゃないかな。

大して内容のない話だな…と気付かれて飽きられる直前に、逃げ切ったって印象。見た目がそろそろおじいちゃんなトム・クルーズ。なんとか一生懸命走りきったね。
目が飽きない、素直な娯楽作品だった。

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imageX0052.Png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:サイモン・ウェスト
出 演:ジェイソン・ステイサム、ベン・フォスター、ドナルド・サザーランド、トニー・ゴールドウィン、ジェームズ・ローガン、ミニ・アンデン、ジェフ・チェイス、クリスタ・キャンベル 他
コピー:この男、完璧




殺し屋アーサーは、殺人の痕跡を決して残さない完璧さ故に通称“メカニック”と呼ばれる。ある日、雇い主から指示されたターゲットは、親友ハリー。アーサーが殺さなくても別の殺し屋が来ると悟ったハリーは、アーサーに殺されることを望み、アーサーもプロに徹して任務を遂行する。後日、ハリーの葬儀に参加したアーサーは、彼が唯一の心残りだった息子スティーブと出会う。父とは疎遠で荒んだ生活を送っていたスティーブは、父を殺した人間に復讐心を燃やしていた。アーサーが殺し屋であることを知ったスティーブは弟子入りを志願。始めは難色を示したものの、彼を放っておけないアーサーは、結局受け入れ、殺し屋として仕込んでいく。そして、父の死の真相は告げぬまま、ミッションに参加させていくのだったが…というストーリー。

リメイク作品らしいが、そっちは観たことはない。

ジェイソン・ステイサム作品にはありがちな、孤高でタフなテクニシャンっていうキャラクター。でもお似合いなので問題ない。『ロシアン・ルーレット』みたいな役は似合ってなかったよ。他の作品だと、タフだけじゃなく、無闇にエロ描写が多い作品もあるけど、そういうのよりも、本作くらいのがぴったりだと思う。

シナリオ上、もうちょっとすっきりできなかったのかな?って部分は、弟子のスティーブとの関係。
父ハリーを殺したことを隠しながらも、その息子を弟子入りさせるわけだが、確かに道を踏み外しそうになったのを見かねて…というのは理解できなくもないし、父ハリーが息子を心配していたというのもわかる。しかし、どうしても救ってあげたくなるようなキャラクターでもないし、訓練の結果、そこそこ使える人間になったとは思うが、トラブルの原因はすべて彼で、このまま相棒としてやっていくのが最適とも思えない。
要所要所でのスティーブの発言や行動で、スティーブが味方なのか敵なのかわからないあやふやな立場を意図的に演出しているのだとは思うのだが、父の死の理由がわかるまでの間は、純粋な師弟物語に徹したほうが良かったような気がする。

それよりも、スティーブがすべての事実を知った上で、アーサーの近づいたってことにしたほうが面白くなった気がするんだが。まあ贅沢を言えば霧がない。考えすぎてもいないし、奇を衒ってもいないし、普通におもしろい交換が持てる作品なので、お薦めする。

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imageX0052.Png公開年:2011年
公開国:フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ
時 間:111分
監 督:ポール・W・S・アンダーソン
出 演:ローガン・ラーマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、オーランド・ブルーム、クリストフ・ヴァルツ、マシュー・マクファディン、レイ・スティーヴンソン、ルーク・エヴァンス、マッツ・ミケルセン、ガブリエラ・ワイルド、ジェームズ・コーデン、ジュノー・テンプル、フレディ・フォックス 他
コピー:伝説よりも、ハデにいこうぜ。



17世紀のフランス。若くして王位を継いだルイ13世は、王妃アンヌに夢中で政治に関心を示さない。それにつけこんだリシュリュー枢機卿は、実権を我が物にしようと着々を工作を重ねる。そんな中、銃士にあこがれるダルタニアン青年が田舎からパリにやってくる。偶然にも街でトラブルになった三銃士の面々と決闘をすることになったが、お互いにリシュリューに反感を抱くものとして意気投合。三銃士たちと行動を共にすることに。その頃、女盗賊のミレディは、アンヌがイギリスのバッキンガム公爵と密通していると見えるように、王妃の首飾りを盗み出しイギリスへと渡る。ダルタニアンは秘かに想いを寄せる王妃の侍女コンスタンスから奪還を依頼され、三銃士と共にロンドンへ向かうのだが…というストーリー。

ポール・W・S・アンダーソンは好きな監督だけど、嫁のミラ・ジョヴォの扱い方にミスしたかも。
ストーリー全体からみれば、ただの女泥棒でしかないのだが、不二子ちゃんばりの大活躍。細いピアノ線をすり抜ける様子は、『バイオハザード』そのもの。そのものすぎるのだが、パロディなんだかマジでやってるのか微妙。
三銃士の面々はロートル扱いで、完全に脇役。でもフィーチャーしているミラ・ジョヴォ演じるミレディと愛憎の因縁を持っているのは、そのロートルの一人。サブエピソードのわりには比重を置きすぎ。もっと脇役に徹した扱いにすべきだったと思う。

本当は、主役のダルタニアンを目立たせないといけないと思う。でも、ずっとただの若造扱いで、作戦遂行時にもメインの活躍をさせてもらえない。結局、いきがってる田舎者以上に成長しない。

気球船というギミックが荒唐無稽というか遊びすぎ。フランスとパリの間をそこそこのスピードで移動しなければならないのはわかるのだが、そんなものを引っ張り出さないと成立しないような話なら、やめてしまえばよかったと思う。
王が妻の愛を確信するために首飾りが必要ってのが、わからんでもないがそこまで大事か?って思う。荒唐無稽なのに弾けていない、このチグハグさ。あらすじを書いただけで、プロットがごっちゃごちゃなのがわかる。

せめてアクションシーンでたのしませてくれればよかったのだが、それほどでもない。すばらしい剣術アクションを見せてくれる部分もあるのだが、短めのちょっとしたシーンと言い切ってよい。もしかすると3Dでみると見ごたえがあったのかもしれないが、私はDVDを観てるのでなんとも評価しようがない。

日本の忠臣蔵とおなじくらい、何度も映画になっている“三銃士”なので、新たな色を出したいという意気込みはわかるのだが、そのために打ったと思われる演出が、ことごとくスベっていると思う。きわめて退屈な凡作だと思う。アクション映画で眠くなるってどうかと思う。

 

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image1882.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:ガイ・モシェ
出 演:ジョシュ・ハートネット、ウディ・ハレルソン、GACKT、ケヴィン・マクキッド、ロン・パールマン、デミ・ムーア、ジョルディ・モリャ、菅田俊、海保エミリ 他
コピー:最強の二人が世界を変える。すべてを射抜け!




戦争後の荒廃した世界。人々は争いを再び繰り返さないために、お互いに銃をもつことを禁じたが、決して暴力の連鎖が止まることはなかった。”木こりのニコラ”が牛耳るとある街に、ドリフターと名乗る男と侍のヨシが姿を現す。ヨシは曾祖父の代に奪われた家宝の竜の紋章を取り戻すためにやって来たのだ。二人はとあるバーで出会い、ちょっとした行き違いで戦うことに。二人の強さを見たバーテンダーは、ニコラ打倒のために手を組むことを持ちかける。バーテンダーも二コラと因縁があり、ひそかに機会をうかがっていたのだった。そんな中、日本料理店を営むヨシの叔父がニコラの手下に殺され、その娘も拉致されてしまい…というストーリー。

味のある折り紙アニメーションからスタート。なかなかの美術センスに期待値が上がりまくりだったのだが、良かったのはそこまで。人間が登場すると、いかにも“セット”という舞台でストーリーが展開される。アメコミ調の背景イメージを立体化したのだろうが、これがあまりにもショボい。冒頭だけかと思ったら、延々そういう美術。さすがに飽きる。なんとなく“ガン=カタ”でおなじみ『リべりオン』が頭に浮かんだのだが、本作の“銃のない世界”には、そこまでの設定の練りこみが見えない。あの冒頭のアニメで説明された世界と同一世界と思えないくらいイメージの乖離がある。

ニコラの部下の9人のナンバーズたち。№2やカポエラ使いなど、面白いキャラもいるのだが、全員は描ききれていない。それなら、もうすこし人数減らせばいいのに。というか、根本的に親玉ニコラの強さがピンとこない。衰えたという設定なのはわかるが、せめて過去にどんな所業をしてきたのかは、厚く描くべきだったろう。なんだか、屋敷のなかにいる毛むくじゃらのオッサンを、みんなが必要以上に怖がっているようにしか見えないわけで…。敵が手強く、凶悪に見えなければ、盛り上がるものも盛り上がらない。敵に対する怒りの感情が湧かないというのは、こういうアクション作品では致命傷だわな。

主人公とおぼしきジョシュ・ハートネット演じる流れ者が、何がしたいのかよくわからんので、ぼやーんとしている。最後に彼の行動目的が明かされるが、そこまで勿体つける意味がない。むしろ、サブキャラのGACKT演じるヨシのほうが、行動の目的がはっきりしていて、よっぽど主役らしい(さすが欧米人デケー、GACKTがちっちゃく見える)。でも、家宝もニコラが持っているっていうのは、彼にすべてを集約しすぎで、かえって面白くなかったな。

ロン・パールマン、ウディ・ハレルソン、デミ・ムーアと何気に豪華キャストなんだけど、結果的には無駄使いだったな。残念ながら凡作レベルからも崖落ちかと。途中で何度も気を失いかけたよ。

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imageX0043.Png公開年:1972年
公開国:香港
時 間:100分
監 督:ブルース・リー
出 演:ブルース・リー、ノラ・ミヤオ、チャック・ノリス、ロバート・ウォール、ジョン・T・ベン、ウォン・インシク 他
コピー:世紀の闘神ブルース・リー! 鮮烈必殺技のすべてを叩き込んで 宿敵ヨーロッパの群雄を打ち砕く
唸り飛ぶ迫真のダブル・ヌンチャク 壮麗ローマ・コロシアム大遺跡の一騎打ち 烈昂の叫びと共に噴きあげる《クン・フー》クライマックス!

ローマにある中華レストランが、地元ギャングに地上げのターゲットとなり、毎日のように嫌がらせを受け、とうとう客がほとんどこない状態に。亡き父からその店を継いだ女性オーナーのチェンは困り果て、父の知人であった香港の弁護士に相談すると、弁護士本人ではなく、その従兄のタン・ロンが手助けにやってきた。タンは中国語しか話せない田舎者で、ローマの習慣に戸惑うばかり。はじめのうちはレストランの従業員たちにも馬鹿にされていたが、ギャングが送り込んできたチンピラをカンフーの技で一蹴したことで、信頼を得るのだった。タンの助力によって従業員たちは勢いづくが、ギャングの手口はエスカレートしていき…と言うストーリー。

カンフー版『ローマの休日』?って感じで始まる。田舎からでてきたダサいやつが、意外と強くてキュンとしちゃう!だけど、奥手で純情っていう、ありがちな内容だ。
ブルース・リー演じるタン・ロンというキャラクターが、他作品では観られない陽気さで、めずらしかった。
スープだけが5皿でてくるとか、すべってるシーンは散見されるが、そのほのぼのしたユーモアさも、無理に演じている様子はなくて、非常に楽しそうである。

木製の投げ矢って、割り箸みたいな軽そうな素材なのによく刺さるな…とか。
“シンジゲート”なんていうからどんなに大きな組織なのかと思ったら、なんて事の無い規模で、せいぜい十数人単位の喧嘩じゃん…とか。
ギャング側がみんなでマシンガンをもってきちゃえば、簡単に方が付いちゃうよな…とか。
まあ、色々釈然としないところは山積みされるんだけど、細かいことはどうでもいい…と思わせてくれるだけの、痛快なアクションと愉快さに溢れていて、前半のオモシロさはなかなか。

でも、さすがにそれだけでは話は終わらないので、後半は無理やり盛り上げる。もっと戦力を投入して制圧すりゃあいいのに、お姉ちゃんを誘拐してみたり、わざわざタン・ロンに合わせて格闘家を呼んできて対決させたりと、アホっぽい展開に。それに伴いタン・ロンのキャラクターからコミカルさが消え失せ、なにか一貫性のない感じに。

日本人を卑下したいんなら、それなりに日本語を喋れるやつをつかえばいいのに…とか。
とってつけたような、シェフが 内通者でした…とか、あんまり意味ないね…とか。
あの子猫のカットはなんだ?とか。
やっぱり、変なところは散見されるのだが、こり、せっかくいい感じだったのに尻すぼみか…と諦めかけたところで、チャック・ノリス登場。馬鹿馬鹿しいのはわかってるんだけど、ブルース・リーとチャック・ノリスが大真面目に対決してくれるもんだから見入ってしまう。これが、なかなか迫真で美しさすら感じるほど。映画の格闘シーンでは、トップクラスのデキかもしれない。
#これが、チャック・ノリス伝説のはじまりか…と思うとちょっと感慨深い。

途中、意味もなくお色気を挟んできたりするのを見ると、映画を“興行”“見せ物”という位置付けで製作しているな…という印象を強く感じる。もっと、高尚なものに仕上げることができたと思うが、まあ、ブルース・リーが出てさえすれば、なんとでもなる…っていう沈黙シリーズのセガールに通じる勢いを感じる。娯楽作品としてはアリだと思う。
ブルー・スリー主演作の中では、上位のおもしろさだと思う。まあまあ、いい感じ。

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image1862.png公開年:2010年
公開国:タイ
時 間:130分
監 督:ウィシット・サーサナティヤン
出 演:アナンダ・エヴァリンハム、ヤリンダー・ブンナーク、ワナシン・プラスータクン、ポンウット・サーラシン 他




2016年、犯罪と腐敗が横行する都市バンコク。絶望感が支配する世界に、堕落した政治家とギャングを次々と処刑するヒーロー、レッド・イーグルがいた。しかし、若き刑事チャートは、レッドイーグルをただの殺人者とみなし、彼の逮捕に熱意を燃やしている。また、政府要人やギャングによって組織されている秘密結社マトゥリも、刺客ブラック・デビルを雇い、レッド・イーグルを追い詰めようとする…というストーリー。

昨日のとはタイつながりでチョイスしたのだが、始めに言っておく。予想の斜め上をいく珍作だった。とにかくヒーロー物っていうのが、まったくわかっていない。

まず、冒頭のTV討論番組の内容の段階でNG。まともな人間は鬱憤を晴らしてくれるヒーローなんか求めちゃだめ!って、そんな正論を言っちゃあダメでしょ。そうは言えども、観客の心の奥底にあるヒーローを待望する心や、勧善懲悪を望む心を刺激するからこそ、ヒーロー作品ってのは成り立つ。現実がそうでないことは百も承知してるのに、それを突きつけるなんて、観客をいきなり興醒めさせてどうするのやら。

タイ映画にはありがちなんだけど、他国の作品では有り得ない構成なの。
最後の方になるまで、レッドイーグルの正体がわからん。謎にしてるとかじゃなくって、正体の人すら、本当に登場してこないんだもん(新聞記者が正体なのか?とかフェイクかましてるわけでもない)。そして、最後まで観ても、なんでこの人がそこまで強いのか、そのスーツはどこから入手したものなのかさっぱりわからない。
さらに敵の組織もよくわからない。ものすごいテクノロジーを持っていて、そんだけのことができりゃ、一人の仮面被った男が暴れようが、どうにでもなるんじゃね?と思うくらい。敵味方のバランスの悪さが半端ない。

話の根底にある“原発反対”のロジックもいまいちよくわからない。
タイ発展のことを考えて、必要な電力量のことを考えたら、石油に変わるエネルギーなんて原発しかないじゃん…っていう推進派の理屈に対して、ヒロイン(っていっていいのかわからんけど)がまともな反論ができていないのがトホホの極み。あまり大風呂敷広げないで、判りやすい“悪”にすりゃいいのに。
政府は買収したり圧力をかけたり悪いことしてるに決まってる…という、決め付け設定で話は進む。敵がぼやけているのは、ヒーロー物として致命的である。

やっぱりヒーロー物の醍醐味がよくわかっていなんじゃないかなと思うシーンは他にもある。
途中でヒロインが「自分のことを救えないヒーローが、他人を救えると思う?」とか言う。むしろ救う気になるから。自己犠牲だから。ヒーローってそういうもんだから(笑)。

タイ映画といえば生身のアクションシーンなんだけど、はじめから超人どうしの戦いなので、アニメの戦闘シーンを観てる感覚で驚きがない。ラストの決戦など、凡庸で飽きる。その戦いの末に、なんと「つづく」で終わるという、ビックリ作品。ラストに“初代レッドイーグル”に捧げる…とかテロップが入ってギョっとする。タイでは昔からあるヒーローらしいわ。

技術では日本映画に決して劣っていないと思うんだけど、とにかく“物語”が作れないのが残念極まりない(そこの壁さえ越えれば、サブカル的な側面で、日本のライバルになると思うよ)。
未公開なのみ至極納得。もちろんお薦めのしようがない。

 

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image1841.png公開年:2009年
公開国:タイ
時 間:114分
監 督:ラーチェン・リムタラクーン
出 演:“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン、カズ・パトリック・タン、パトリック・タン、マーク・ホアン 他





ロックバンドのドラマーのドゥは、彼氏の浮気現場を目撃し自暴自棄になり、街を彷徨っていたところ、ギャングに誘拐されそうになる。その時、サニムとその仲間たちが現れ彼女を救出する。彼らは泥酔拳という武術の達人たちで、興味をもったドゥは、その拳法を学びはじめるのだった。しかし、サニム達は、ギャングたちに、恋人や妻・妹を誘拐されてしまった過去を持つ男達で…というストーリー。

『チョコレート・ファイター』の主役の人が、本作でも主役。『チョコレート・ファイター』の原題は『Chocolate』だったけど、本作はChocolateとは無関係。もちろん続編でもなんでもなく、監督も違う。本作は大阪アジアン映画祭で公開された程度で商業的には未公開。『チョコレート・ファイター』は阿部寛が出演していて話題になったけど、本作では拉致された被害者の中に日本人がちょろっと紛れているだけ。一応、日本公開を意識した営業的演出の一環だと思うけど、効果は無かったようだ。
まあ、普通に考えれば、つまらないんだろうな…と思うよね。

もともとタダのバンドマンの女性なわけで、そんなちょろっとの特訓でなんで達人レベルになるのか。いや、なんで達人になろうと思ったのか。訓練内容とか、何の意味があるんだかわかんない部分が満載で、それを逆手に取って笑いにできそうなものなんだけど、マジメ路線なのかバカっぽさを追求しているのか。笑いのセンスの違いがちょっとイタいところかもしれない。
で、結局、なんで酔拳なのか…っていうストーリー上の理由も見えないし、泥酔拳とやらを教える男たちのバックボーンが、強引すぎてピンとこない。この映画の演出上酔拳でなくてはならない必然性や効果もいまいちわからない。
挙句の果てに、敵のアジトに突入しての最後の戦闘では、彼らはまったく酔ってないという…これって欠陥シナリオのレベルでしょ(苦笑)。

そういう悪の組織が存在するっていう前提で話は進むが、その敵のディテールが一向に見えてこない。敵がぼんやりしているストーリーがおもしろくなるわけはない。とある悪の集団に対する復讐というプロットは悪くないのだから、もう少しストーリーテリングを考えたほうがいいだろう。展開のタメみたいなものが無くて、スルスルと進めすぎているので、単調に感じられる。緩急の付け方や、人物描写メリハリを工夫すればいい。
#四年も囚われの身っていうのもリアリティないよな。

確かに彼女のアクションはスゴイだけど、カットが多いというか編集点が多いので、スゴさが半減。ワンカメの引き回しで連続アクションを見せないとダメなんじゃないかな。タイがどういう映画の撮り方をしてるのかよくわからないが、香港映画のようにシナリオを現場でほいほう書き直すのでなければ、一度外国人が書いたシナリオをタイのスタッフで撮るってのはどうだろう。

頭のネジがはずれた演出ばかりの韓国映画にもそろそろ飽きてきたし、経済は開放されてきているのに何故か映画のほうは閉塞感が溢れている今の中国映画にも食指は動かないし、かといってインドまでいっちゃうと娯楽の基本線から違うような気もするし。
お薦めするのははばかられるところだが、異国の若い衆が一生懸命つくったのであろう“好感”だけは感じられる。今後の、タイ映画の未来に期待したくなる作品。




負けるな日本

 

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image1824.png公開年:2010年
公開国:アメリカ、イギリス、カナダ
時 間:112分
監 督:エドガー・ライト
出 演:マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、クリス・エヴァンス、アナ・ケンドリック、アリソン・ピル、オーブリー・プラザ、ジョニー・シモンズ、マーク・ウェバー、エレン・ウォン、サティヤ・バーバー、ブランドン・ラウス、ブリー・ラーソン、メイ・ホイットマン、斉藤慶太、斉藤祥太、ジェイソン・シュワルツマン 他
コピー:最も切なくて、最も怖ろしい、イノセントスリラーゲーム、ロック、イケてる彼女、それがぼくの人生の必勝アイテム!

アマチュアバンド“セックス・ボブオム”のベーシスト、スコット・ピルグリム。23歳の彼は、17歳の高校生ナイブスと付き合っていたが、とあるパーティで見かけたラモーナという不思議な魅力の女の子に一目惚れしてしまう。すっかり夢中になってしまったスコットが彼女に告白すると、突然謎の男が登場し、闘いを挑んでくる。その男はラモーナの最初の彼氏マシュー。何故かラモーナと付き合うためには、彼女が過去に付き合った7人の元カレを倒さなければいけないらしい…というストーリー。

日本のサブカルチャーに影響を受けてるってことなんだけど、日本人としては、馴れていて刺激が薄いというか、楽しそうって感じはするんだけど何故か眠くなる(実は、3回寝た)。日本のサブカル通を標榜する海外の人は高評価しただろう。でも、実際に観た人はその評価が正当とは思わなかった。一般の外国人は日本のサブカルに興味がないから?多分違う。

7人の敵と戦うことになる展開は、往年の少年ジャンプ漫画的なテンプレートだし。ファイトシーンは格闘ゲームを模したり、モンスターを映像化する部分なんかは少年向けの日本アニメによく見られるし。BGMはファミコン音声で溢れかえっている。でも、カフェインを続けて飲むと効かなくなってくるのと同じで、2,3戦目で刺激を感じなくなってくるんだわ。

ただ、日本でこういう作品をつくった場合、主人公は大抵奥手ぎみ。対して本作の主人公はある意味“リア充”。“青春”の概念の違いという、根本的なギャップ。アメリカのB級コメディにありがちな、小ネタの連発とギリギリのエロネタは、本作にも溢れているが、これが、日本サブカルとの相性が極めて悪いんだな。これが。

斉藤慶太/祥太兄弟は、海外映画デビューってことで、いいキャリアになったはずなんだけど、逆にちょっと怪我した感じになっちゃった。かわいそう。さらに、世界的に大コケしたせいで、日本のサブカルが怪我したみたいな感じで、ちょっとイヤかも。
監督に悪意があるわけじゃないのはわかってるんだけど、結果が伴っていないのは如何ともしがたい。レンタル料金100円なら損したとは思わないけど、それを超える金額だと微妙。そんなレベル。




負けるな日本

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image1832.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:D・J・カルーソー
出 演:アレックス・ペティファー、ティモシー・オリファント、テリーサ・パーマー、ダイアナ・アグロン、カラン・マッコーリフ、ジェイク・アベル、ケヴィン・デュランド 他
コピー:ナンバー4、覚醒――その“力”に、集結せよ。


モドガリアンと呼ばれる異星人に侵略された惑星ロリアン。彼らに対抗するために産み落とされた9人の子供たちは、成長して超能力が覚醒するまで、ガーディアンの庇護の下、地球で育てられることに。しかし、成長する前にロリアンは滅亡してしまう。その後、モドリアンたちは9人の子供たちを追って地球にやってきて、ナンバー1から3まで3人を殺害する。追手の影を感じたナンバー4とガーディアンのヘンリーは、オハイオ州に非難。ナンバー4はジョン・スミスと名を変え高校生として静かに暮らすことに。彼は、サラという女の子と出会い恋に落ちるが、それと同時に、能力が覚醒を始める。そして、いよいよモドガリアンの魔の手が迫るが、ジョンは逃亡ではなく闘うことを選択し…というストーリー。

「中2か!」っていいたくなるようなレベルの設定で、いくらディズニーでも子供すぎやしないか?と心配したのだが、杞憂だった。いくら稚拙な設定でも、照れずに、奇を衒わずに、手を抜かずに、愚直に作れば良くまとまるのだな…と実に関心させられた。
なので、子供向けかというと、まったくそんなことはない。謎解き要素、アクション要素、ヒロイックファンタジー要素、SF要素と非常にバランスがよくて、飛び抜けたホメ所こそ無いが、素直に引き込まれる出来映えだ。

最近のディズニーのティーン向け作品ではお約束の青春&恋愛ネタ。まるで『トワイライト』のように展開するが、そこはディズニー。エグい恋愛にはならない安心っぷり。でも、充分に女性の鑑賞にも堪えるポイントは多いと思う。

9人の子供が宇宙人にとって危機的存在だから、殺しにきていると考えるのが自然なのだが、9人を次々殺して廻っているところを見ると、別に9人が揃わないとモドガリアンを倒せないというわけではなさそう。誰か一人でも脅威なのか?と思ったが、敵の宇宙人が欲しいものをナンバー4が持っているようなセリフも。じゃあ、ナンバー1~3のなんらかの能力も既にモドガリアンに奪われているのかしら。いずれにせよ、ナンバー4が持っていてモドガリアンが欲しい能力ってのが何かは、結局わからなかった。
いやいや、それ以前にナンバー4と6の能力も、詳細はよくわかんないし(まあ、守護者は両方とも死んじゃってるし、ナンバー4も6自身も自分のことは判っていないんだろうから、設定としても自然だな)。大体にして親が残した箱の正体なんか触れていないに等しいわ、UFOオタクのお父さんの件も、そういう人がいました以上の内容はない。とにかく、わかったようで判らないことが満載なのだが、これは、続編と作る気マンマンっていう顕れ。

でも、原作アリの作品みたいなので、闇雲に伏線の種だけバラ撒いているわけではないと思う。
続編想定で、尻切れトンボみたいな内容になっちゃってるんじゃない?と思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。正直、『グリーン・ランタン』の3倍は愉しめた。是非、とっとと続編をつくっていただきたい。気軽に見れる快作。お薦め。



負けるな日本

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image1780.png公開年:1988年
公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:マーティン・ブレスト
出 演:ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリナ、ジョー・パントリアーノ、ロイス・スミス、リチャード・フォロンジー、ロバート・ミランダ、ジャック・キーホー、ウェンディ・フィリップス、ダニエル・デュクロス、フィリップ・ベイカー・ホール 他
ノミネート:【1988年/第46回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ロバート・デ・ニーロ)

元シカゴの警察官だったジャックは、現在ロスで保釈人を連れ戻す仕事を保釈金融屋から請け負って生計を立てている。ある日、通称“デューク”と呼ばれるマデューカスという男を連れてくる仕事の依頼を受ける。マデューカスは、シカゴの麻薬王セラノの会計士をやっていたが、セラノの金を横領し慈善団体に寄付し逃げていた。その横領事件の公判まであと5日。ジャックは、ニューヨークの自宅にいるマデューカスを捕まえて飛行機でロスまで連れ戻そうとするが、マデューカスが飛行機恐怖症だといいはじめ、渋々列車で移動するはめになり…というストーリー。

展開がスピーディでスパートで開始10分でものすごく引き込まれる。飄々として軽妙な演技のデニーロだが、案外こういう役柄を演じることが少ないので、とても新鮮。本人も本当はこういう役をたくさんやりたいんじゃなかろうか。実に生き生きしている。

FBIも寄ってくる。マフィアも寄ってくる。デニーロ演じるジャックが、大きく動かなくても、周りがどんどん動いてくれる。『ペイバック』に近いノリ。

マフィアのセラノも、捕まえる対象のマデューカスも、保釈金融屋よりも高額の報酬を提示するんだけど、ジャックは頑なに断る。それは元警官として、犯罪人は罪を償うべきであるという高潔なポリシーがあるから。だけど一方で、こういう危険で不安定な仕事にも疲れていて、今回の報酬で保釈人探しの仕事から足を洗って、ささやかに喫茶店でも経営して、おとなしく暮らしたいとも思っている。
マデューカス自身、お金は持っているはずなのに、保釈金を保釈金融屋から借りているあたり、だれがマフィアがらみで自分の金なんか使うか!っていう彼の性格が良く表れている(まあ、元々は自分の金じゃないけど)。
このような、さりげないキャラの厚みの付け方がものすごくウマい作品だと思う。

そして、過去にマフィアからの買収を断って街を追われた男と、マフィアの金を横領して慈善団体に寄付した男の間に、次第にシンパシーが生まれていく。

同じ展開の繰り返しを予感させ、飽きかけたところで、新たな別の保釈人探し屋マービンが登場。まあ、最期までメイン級で絡んできて、ストーリー展開上重要な役割なんだけど、ちょっとグダグダのキャラで、唯一本作を安っぽくしているかな。

後半は、さらに同じ逃げて追われての繰り返しになって飽きかけてくるのだが、なんとか大捕物でまとめ上げ、最後は爽やかにシメて終わる。
(ちょっとネタバレくさいけど)最後に、時計と一緒に、わずかばかり残っている未練を捨てて、新しい人生に向かっていくのだが、小銭がなくてタクシーの乗れない。だから、真夜中に走って自分の部屋まで帰る。だから“ミッドナイト・ラン”なのね。まあ、アメリカらしいコメディ&ロードムービーなんだだけど、綺麗で爽やかな後味を残してくれた。お薦め。




負けるな日本 

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image1759.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:リシャール・ベリ
出 演:ジャン・レノ、カド・メラッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、マリナ・フォイス、リシャール・ベリ、ジョーイ・スタール、フィリップ・マニャン、カルロ・ブラント、ファニ・コラローヴァ、ムーサ・マースクリ 他
コピー: 『レオン』から17年──愛する者を守るため、男は再び戦うことを決意する。



かつて、マルセイユのマフィアのボスだったシャルリは、現在引退して家族との平穏な日々を送っている。しかしある日突然、複数のヒットマンに襲撃され重体に。奇跡的に奇跡的に一命を取り留めたものの、自分を襲わせたのが、幼馴染でもあるマフィア時代の盟友であることが判明。怒りが沸くものの、家族や仲間を巻き込む泥沼の抗争になること嫌い、シャルリは報復を躊躇い…というストーリー。

子供がいなくなるんだろうな…って思わせておいて、そうじゃなかったのは、ツカミとしてはよし。

しかし、20分経過しても、話がよく見えない。ジャン・レノ演じるシャルリは何で撃たれたのか?とか、まあ、これがこのストーリーの謎解き部分なのだろうが、どこまで引っ張るのやら…って感じ。
散々引っ張っておいて、麻薬ビジネスに手を出したいから、うるさい奴を始末したかっただけ…という、つまらない理由が待っている(シャルリは引退してるんだから、とりあえずこっそり黙ってやりゃあいいじゃないか…と思うのだが)。

ストーリは、古い友情を大事するか、殺された仲間の家族の悲しみを重く考えるか?っていうジレンマにシャルリが直面するのだが、どう考えても後者の一択だろ?って。全然、究極の選択でもないことで悩んでるところが、面白く感じられないところ。

実際、後者を選択することになるのだが、だからといって、イケイケGO!GO!でドンパチがはじまるのかと思いきや、敵さんが勢揃いしているところに乗り込んでいきながら、一人しか殺さない。何か元マフィアなりの美学を表現したいらしいのだが、どうせ殺るつもりなら、殺ればいいじゃないかと、どうもピンとこない。

中盤を過ぎてくると、ストーリーは一層ガチャガチャしていく。商売道具の麻薬をキレたからといって大量にブチ撒いたりするかなぁ…とか、右手が麻痺してるのにバイクって運転できるのかなぁ…とか、その鉄条網をわざわざくぐらないといけないのかなぁ…とか。
女刑事さんの存在の効果もいまいち。

フランス人の役人嫌いとか、マフィアはうんざり…とか、そういう気持ちはよく表れているけど、肝心の男のロマンとか生き様みたいなものが感じられない作品。
それに、コピーに『レオン』を引っ張り出してきたことが、失礼に感じる。




負けるな日本

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image1783.png公開年:2010年
公開国:中国、香港
時 間:138分
監 督:テディ・チャン
出 演:ドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ワン・シュエチー、レオン・カーフェイ、フー・ジュン、エリック・ツァン、クリス・リー、サイモン・ヤム、チョウ・ユン、ワン・ポーチエ、メンケ・バータル、カン・リー 他
コピー:1時間、その男を守りぬく



1906年10月に、革命家・孫文がイギリス領香港に来航するという情報が流れる。目的は、腐敗した清朝打倒のための蜂起計画を話し合うためである。北京では、西太后の指令により総勢500人の暗殺団が結成され、孫文の暗殺計画が薦められた。一方、香港では、孫文を守るために、名もなき義士たちが集まり…というストーリー。

民主化活動する側を良い者にした映画なんて、今の中国でアリなんだぁ…と思ったけど、中共政権からすれば、清朝と民主化要求団体との攻防なので、そいつらが勝手に殺しあう内容なら、勝手につくれや…ってことで問題無なのかな。
清朝サイドの人たちの辮髪は後頭部にあったので漢民族だよね(清族に人たちは頭頂部だと思ったけど)。ってことは清朝から冷遇された漢民族VS.清朝にどっぷり浸かった漢民族っていう構図なんだな。

群像劇だとしてもキャラクター個々のエピソードが弱いし、アクション作品としてもそれほど特出したインパクトもない。帯に短し襷に長しとはこのことか。
孫文暗殺事件自体は史実だろうけど、義士たちのバックボーンは創作だろう。話の6割くらいまで全然アクションシーンはなくて、人集めのくだりが続く。
#前半のカット割のデキがよろしくないのも気になる。後半のアクションシーンになると改善されるのだが、途中でカメラマンが変わったか?ってくらい変わる。

義士を集める大物実業家・ユータンは、どんどん人を集めるけど、若者ばかりだしそれほど特殊能力があるわけでもない。清朝への恨みのある人間が集まっているのかというとそうでもなく、昨今のジャスミン革命よろしく、民主化!民主化!なんて理想を掲げているように見えて、自分の貧困や境遇の悪さへの不満のはけ口になっているのと同じ。身内が殺されたとか、自分の生活が貧しいのは清朝のせいだ!とか、挙句の果てには自暴自棄になった自分が生きる力を取り戻す為とか、お世話になったご主人様のためとか、高い志の人間なんかいやしない。
こんなんだから、大アクションの入るまでに「さぁ~、盛り上がってまいりました!!」って感じにはならないんだよね。戦う相手への恨みなんかが全然共有できない。

孫文を守る側、清朝暗殺団に、香港政府側を加えて三つ巴にしても面白かったと思うのだが、描ききれなかったんだろうな。前半では悪役だった香港警察も後半は一転して孫文を守る側の味方になっちゃう。警察署長がユータンの義心を前に心変わりをした…とかそういう描写がしっかり描かれているわけもなく、芯の定まっていないシナリオだと思う。

先日の『修羅雪姫 怨み恋歌』と同様に、銃がほとんど出てこないのが不自然。そりゃチャイニーズアクションを前面に出さないわけにはいかないから仕方が無いのはわかるんだけど、最終目的が孫文の殺害なんだし、暗殺団といいつつも市街で一般人を散々巻き込んでいるんだから、人力車に銃をぶっ放せば目的達成じゃねえか!って、誰もが思うでしょ。
中国ではいくつかの映画賞を採っているようだけど、国外ではさっぱり。まあ、このシナリオだとそうなっちゃうだろうなぁ。

それにしても、中国人ってのは市井の人を巻き込む内容でも、全然違和感を感じないんだね。そりゃ、第二次大戦で南京で兵士が一般人にまぎれてゲリラ戦…なんてことを平気でやるわけだよ。兵士が一般人の服装で攻撃してきたら、捕虜にされることもなく殺されても仕方が無いってルールを中国人は知らないんだな。
一般人を巻き込んじゃうから、職業軍人がそれをやるのは禁忌中の禁忌だと思うんだけど。南京での死者数を誇張するのとは別に、殺されても仕方が無い状況を自分で作ったことを理解できずに、大虐殺だ大虐殺だと叫ぶ中国人って、どうかしていると思うね。

などなど、欠点をあげつらってみたけど、これだけ欠点があっても、セット、映像、役者のスキルなど色々な面で、今の日本映画の遥か上をいっていたりする。今の日本映画はちょっと奇を衒いすぎの箱庭映画ばっかり。凡作なだけに、逆に日本映画の現状を思い知らされてしまう作品。


負けるな日本 

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image0245.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:138分
監 督:クエンティン・タランティーノ
出 演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュウ、マイケル・パークス、サミュエル・L・ジャクソン、パーラ・ヘイニー=ジャーディン、ボー・スヴェンソン、ラリー・ビショップ、シド・ヘイ 他
受 賞:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ダリル・ハンナVS.ユマ・サーマン)
コピー:KILL is LOVE

4年もの長い昏睡状態から奇跡的に目覚めた“ザ・ブライド”は、コッパーヘッド、オーレン石井らを次々と仕留めていった。残るはバドとエル・ドライバーとビル。彼女は次なる標的のバドを倒すため、テキサスへ向かう。バドは、かつて持っていた服部半蔵の刀も売り飛ばしてしまい、すでに殺し屋家業から手足を洗っており、今は、パブの用心棒として食いつなぐ日々だった。そんな彼をザ・ブライドは急襲するが…というストーリー。

Vol.1から半年後にVol.2の公開となったわけだが、これはなかなか配給会社泣かせだったのではなかろうか…と思う。Vol.1はカルト的な評価を得て話題になっていたが、残酷っぷりにヒいた人が相当いるので、次作に流れる人は半分くらいだろう。その減少分を、劇場に足を運ばなかったけれど噂を聞いて興味をもった人で穴埋めしたい。そこで、早々にDVDをリリースして、Vol.1を劇場で観なかった人が追いついてくる…という流れが必要だった。しかし、Vol.2のDVDリリースはVol.2公開の1週間後。おまけに当時は、セルからすこし遅れてレンタル開始だったので、Vol.2公開前に鑑賞する絶対数が多くはならなかった。おまけに、そうこうしているうちにVol.2の評判が聞こえてくる。「Vol.1と全然違う。」「つまんなかった…」と。そうなると、じゃあVol.2もレンタル待ちでいいかな…と。実際、私はコレだった。

まあ、結果的にはVol.1には満たないまでも興収的には成功したんだけどさ。でも、作品自体への評価は高くなかった。

今、改めて観ると、Vol.1/Vol.2というよりも前編/後編ってノリで、あわせて一本として作られたものだということが判る。それが証拠に、スタッフロールはVol.1/Vol.2両方のエンドロールとなっているのも、その証拠。両作の映像がふんだんに使われていて、類を見ないような見ごたえのある充実っぷり。これ自体は高く評価したい。

でも、あまりにキャッチーなほどにバイオレンスだったVol.1のノリを期待したら、確実に肩透かしを喰らうのは必至。これでもかこれでもかというサブカル的な演出や、おバカなノリが完全に鳴りを潜めるのは、致命的だと思う。オマージュもピンとこない作品を対象としたものが多い。
じゃあラブロマンスに寄ってるのかというと、半分冗談めいた中国修行なんかもあるので、寄り切ってはいない。さらに、中国での修行のくだりもぜんぜんハジけていなかったりする。ショートレンジパンチも、ちょっとスベってるんだよなぁ。カンフー映画にありがちでクスっとできるポイントがもっとあったと思う…(ミヤギさんのワックス掛けのほうが面白いわ)。で、結局、最後に五点掌爆心拳を使いたいがための単なる伏線になっちゃってる。

好意的に表現すればドラマ性が増しているといえるかもしれないが、エピソードが盛りだくさんのわりには、退屈に感じてしまう。それは、好きなシーンをただ並べただけだから。はたして138分の必要があるのか。特に、メキシコの娼館のくだりは必要なのか(雰囲気がユニークなのはわかるけど)。ビルの居場所を突き止めるために、ワンクッション必要だったのは理解できるし、ビルも曲がりなりにも人に愛されていたという表現なのだとは思うが、もっと整理したほうが良かっただろう。こういう冗長さが多々みられる。

結局、ザ・ブライドの本名をピー音で隠していた意味もわからんしなぁ。2作に分けるほどだから、もっと巧妙な仕掛けがあると期待したほうが悪かったのかもしれないが、ただの悪ふざけだったとしたら、Vol.1まで汚された感じがして少し不快だわ。

もう一度いうけれど、連続で観てはじめて意味を成す作品。本当は3時間超になってもいいから1本にまとめたほうがよかったんだと思うよ。

#パイ・メイとクレイジー88のハゲは、同一俳優なんだね。




負けるな日本

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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