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公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:マイケル・プリース
出 演:チャック・ノリス、エディ・シブリアン、ジョー・スパーノ、ジェフ・コーバー、ブレンドン・ライアン・バレット、ジェームズ・ギャモン、アントニー・コルナキオーネ 他
シカゴ地方検事のファロンは、ギャングのタルゴーノを有罪にしようとしていたが、ある夜、警察によって警護されていたにも関わらず、タルゴーノの手下に襲撃されてしまう。ファロンとその妻と押さない娘が殺害され、生き残ったのは不思議な危機察知能力を持つ長男のローガンのみ。これによりタルゴーノの訴訟は棄却されてしまう。ローガンは、叔父のジェイクに引き取られる。ジェイクは元アメリカ軍の英雄で、現在は農場を軽視しているが、ローガンの生まれ持った危機察知能力に気付き、彼に特訓を施す。成長したローガンは陸軍レンジャー部隊に志願。歴戦を重ね軍曹となし、殊勲十字勲章を得るまでに。しかし、帰郷したローガンは除隊することをジェイクに告げる。タルゴーノへの復讐を果たすために…というストーリー。
レンタルビデオ屋で物色していたら、安っぽいパッケージの本作を何気に発見。チャ・ッ・ク・ノ・リ・ス?
ん?もしやこの人が例の、アメリカの死亡原因の第2位といわれるあのチャック・ノリスか?小便でコンクリートを削り自分名前を彫るというチャック・ノリス?ピアノでバイオリンを弾けるというチャック・ノリス?
噂には聞いていたが、これまで出会うことなく、このたび偶然にも初遭遇。ビギナーとして1作目はこれでいいのか?と思いつつも、他を探しても、本作より新しい作品が他に1本あるだけで、パッと見で見当たらない。まあいいや…とエイヤーでレンタル。
結論からいうと、チャック・ノリス ビギナーとして、1本目が本作というのはダメだったのかも。CMを挟む用の編集があるので、テレビムービーなんだろうね。
大体にして、チャック・ノリスは主人公でもなんでもない。地方検事の兄(主人公の叔父)役で登場。長い鼻の下にヒゲのおっさんは、主人公のお助け役で、半分も出てこない。
父と母と妹を殺されて仮面ライダーV3状態の主人公は、プロキシミティセンスという謎の第六感を保持しており、同じ能力を持つチャック・ノリスが、ジェダイのように訓練を施すのだが、このプロキシミティセンスというギミックに、ストーリー上の必然性を感じない。むしろ普通に、歴戦のヒーローの手ほどきをうけて強くなった…とした方が面白かったと思う。危機を色で表現するという陳腐な画像処理が、さらなるチープ感・トンデモ感の増幅に一役買っているだけ。
そのくせ、主人公の若者はなんだかピリっとしていなくて、画面上のインパクトはチャック・ノリスがズバ抜けている。そして、最後の山場にだけは、ちゃっかりはせ参じて主人公に助力。主人公以上の大立ち回りを披露して、悪者が乗るキャデラックのフロントガラスにとび蹴りを食らわす。むしろ、これがやりたっかっただけと言わんばかりに(笑)。
こうやって書くと、逆に興味が沸いちゃう人がいるかもしれないけど、正直、途中でかなり飽きてきちゃって、ちょこちょこ別のことやってたわ。お薦めはしない。多分、1980年前後のを観なきゃダメなんだろう。まあ、積極的に探す気は無くて、また偶然に出会えたら…ってことで。
まあ、大義名分さえ立てば、戦争したってノープロブレム!っていうアメリカの短絡志向を象徴している、おめでたい作品ですわ。
負けるな日本
公開年:2003年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:クエンティン・タランティーノ
出 演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、ルーシー・リュー、千葉真一、栗山千明、ヴィヴィカ・A・フォックス、ジュリー・ドレフュス、マイケル・マドセン、マイケル・パークス、ゴードン・リュウ、麿赤兒、國村隼、北村一輝、田中要次、風祭ゆき、大葉健二、シャナ・スタイン、ボー・スヴェンソン、マイケル・ジェイ・ホワイト、前田愛、楠見尚己、緑川光 他
受 賞:【2004年/第13回MTVムービー・アワード】女優賞(ユマ・サーマン)、格闘シーン賞(ユマ・サーマンVS.栗山千明)、悪役賞(ルーシー・リュー)
コピー:許せない。許さない。
4年もの長い昏睡状態から目覚めた女“ザ・ブライド”。彼女はかつて最強の暗殺集団に属していたが、妊娠を機に足を洗おうと、一般男性との結婚を選択する。その結婚式のリハーサルにて、組織のボスであるビルとその配下の4人の殺し屋から襲撃を受け、夫を殺され、彼女も重傷を負わされて昏睡状態となってしまう。目覚めた彼女は、自分の幸せを奪ったビルと4人の殺し屋を血祭りに上げるため、復讐の鬼と化す…というストーリー。
既に2,3回は観てると思うが、『修羅雪姫』の後に本作を観ると、ニヤニヤが込み上げてきて、おもしろさ倍増だった。タランティーノは、『修羅雪姫』へのオマージュといっているようだが、これはパロディの域。仮面ノリダーと同じレベルだと思うよ(笑)。馬鹿馬鹿しさをとことんまで追求すると、ここまで昇華するのだ…という好例である。
復讐!復讐!復讐!、クレイジー!クレイジー!クレイジー!がしっかり引き継がれているね。
昨今、日本が登場する映画は数あれど、一番しっくりくる日本像は、案外本作なのかもしれない。いや、細かいディテール云々ではなく、日本人の頭にある日本像という意味で。千葉真一演じる服部半蔵の寿司屋なんか、絶対に日本じゃないんだけど、日本人クリエイターが無国籍っぽい場面をつくったらこんな感じになるだろうな…とは思うわけ。本作を観て、日本刀を持って飛行機に乗れるわけねーじゃん!とか野暮なツッコミをしている人がいるけど、これパラレルワールド、架空の世界だから、そういう恥ずかしい指摘はしないように。
そんな数ある日本表現の中で一番光っているのが、高校生キラー・ゴーゴー夕張を演じる栗山千明だってのが、いかにもって感じだよね。
本作のアイコンでもあるユマ・サーマンが着る黄色いトラックスーツは、Vol.2の中国拳法修行への布石。でも純粋に格好よくて、靴が鬼塚タイガーなところの芸が細かい。その他の細かいポイントを見ても、日本人しか気付かないであろうセンスが取り入れられており、タランティーノが日本人のアドバイスを素直にそれを受け入れているのがよく判る。
#で、本作のアンサーとして、三池崇史監督の『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』があるんだろうな。日本人がへなちょこ英語を駆使する西部劇ってことで(アンサーになっていたかどうかは甚だ疑問だけどね)。
不必要とも思える惨殺シーンに閉口する人、主人公をはじめ登場人物全員の考え方や行動に共感できない人、色々と本作を忌避する理由はたくさんあると思うが、元ネタの『修羅雪姫』がクレイジーの局地で、それを引き継いだのだから、本作がそうなのも仕方が無い。むしろ『修羅雪姫』が、終盤にクレイジーさを失いかけているのに対して、同じ轍を踏まないようにしようと思えば、こうなるのは当たり前。
二部作にする意味があったのかどうか疑問だったが、ラストは『修羅雪姫』を踏まえて、大人数のバトル→雪の庭での一騎打ち…にしたかったんだろう。そう考えるとむしろ必然だよね。
もし、『修羅雪姫』をみていない人はワンセットで観てみることを強く強くお薦めする。新たな何かが見えるはず。
#タランティーノのBGMの選曲のセンスはやはりスゴいなぁ。
負けるな日本
公開年:2011年
公開国:アメリカ、カナダ
時 間:110分
監 督:ザック・スナイダー
出 演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、ヴァネッサ・ハジェンズ、ジェイミー・チャン、オスカー・アイザック、カーラ・グギーノ、ジョン・ハム、スコット・グレン、リチャード・セトロン、ジェラルド・プランケット、マルコム・スコット、ロン・セルモア、A・C・ピーターソン、フレデリック・ド・ラコート 他
母の死後、遺産を狙う義父により精神病院に入れられてしまう少女ベイビードール。彼女は辛い現実から逃れるために、売春宿に入れられたという設定の空想に逃げ込む。そこで、同じ境遇のロケット、ブロンディ、アンバー、スイートピーと知り合い、売春宿から脱出するのために、ある計画を実行しようと呼びかける。その計画とは、男達がベイビードールの踊りに見とれている間に、建物の地図、ライター、ナイフ、鍵を手に入れるというものだった。当初はためらいを見せる4人だったが、やがて自由をもとめ共闘していく…というストーリー。
別に賢い人ぶって言うわけじゃないんだけど、おそらく6割の人が「はあ?」ってなるんじゃないかと思う(プロの映画批評家でさえも)。そして、2割の人が「まあまあかな」。残りの1割の人が「あれ?評判悪いけど、良いよね、これ」って感じじゃないかな(私はその1割の中にいるけど)。
まあ、そりゃそうだろう。基本的にザック・スナイダー作品に好意的で、『アンデンティティ』みたいな話も大好物な私ですら、一瞬戸惑うレベルだからね。
日本の寺院、世界大戦下、中世の城、未来の惑星と、ベイビードールの空想の“ステージ”が移り変わっていく様子が、テレビゲーム的だと批評されているわけだが、プロの批評家達がそんな見たまんまの指摘をしてどうするのか…とちょっと閉口。つっこむところはそこじゃないと思うんだ。ザック・スナイダーが、日本のサブカルチャーやコンピュータゲームが好きなのは明らかだけど、だからといってそれだけを前面に出して勝負しているようには見えないし、映像表現に関しては、むしろ過去作品を超えているくらい。
踊り始めたら空想の世界に飛んじゃって、上手に踊れていることをああいう映像で表現しちゃうって、これは薬をキメた人じゃないと思いつかないレベル。ザック・スナイダー、やはり只者ではないな…と(いろんな意味で)感じさせてくれた。むしろ、そこは否定するところではなくて、褒めるべきところである。
では、なにが問題か。その答えは単純明快。シナリオが悪い。その精神病院では目ぼしい入院患者をこっそり売春組織に送り込んでいる…という部分を、観客がそれがリアルであると疑わないレベルで作りこむべきだったのだ。はっきりと、ベイビードールの空想だと始めからわかってしまうような演出こそが、本作シナリオの稚拙な部分である。どっちが現実なのか判然としない演出に腐心すべきだった。
じゃあ、シナリオを書いているのはだれか?ザック・スナイダー本人だったりする。だから、今回、文句を言われるのは監督のザックではなく、脚本家のザックということだね。
でも、個人的には許容範囲。この作品をOKといえる人はどんな人は。『アイデンティティ』『キックアス』『300』この3つがすべてOKな人は本作もOK。間違いない。
ベイビードールに見覚えがあるな…と思っていたが、『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』で長女役を演じていたエミリー・ブラウニングだね。絶妙というか微妙というか、いい感じに成長しましたな。クリスティーナ・リッチみたいな感じになるのかと思っていたけど、少なくともそういう方向には進んでいない模様。
“SUCKER PUNCH”じゃ聞いてもパッと意味がわからないから、適当な邦題をつけてみたのだろう(“SUCKER PUNCH”は“不意の一撃”的な意味)。でも、観終わるとエンジェル ウォーズの意味がわからん。いまどき、ネット辞書で簡単に調べられるんだし、むしろそのままの題名のほうが気を引いたんじゃないかな。
#カテゴライズに困る作品だな…。
負けるな日本
公開年:2003年
公開国:ベルギー、オランダ
時 間:123分
監 督:エリク・ヴァン・ローイ
出 演:ヤン・デクレール、ケーン・デ・ボーウ、ウェルナー・デスメット、ヒルデ・デ・バールデマーカー、ヘールト・ヴァン・ランペルベルフ、ヨー・デ・メイエレ、ジーン・ベルヴォーツ、フィリップ・ペータース 他
ヴィンケ刑事は、12歳の娘に売春をさせていた父親を逮捕するために囮捜査で潜入していたが、正体バレたために警官隊が突入。抵抗したため父親は射殺さて、娘のビーケは保護される。一方、殺し屋のレダは、ベルギーに土地勘があったため、ベルギー内のとある殺人を依頼される。彼はアルツハイマーを煩っており、最近その進行が著しかったため辞退したが、強固に依頼され仕方なく受諾する。最初の標的だった都市開発局長カンプの殺害には難なく成功したが、次の標的が12歳の少女ビーケだったため、殺しを中止する。レダは標的が子どもだったために殺しを止めたことを伝えたが、依頼人は次の殺し屋を雇い…というストーリー。
2007年公開のアメリカ映画『ヒットマン』のDVDジャケットのパクリ…と思ったら、本作のほうが古いんだけどどゆこと?(DVD化は後ってことか?)なんじゃこりゃ…って、ジャケットを手に持て見ると“ヨーロッパ映画祭 大阪市賞”…なんじゃそりゃ。なんか大阪で開催された映画祭らしい。大阪人の心を打つ作品だったってこと?
#その映画祭以外は、日本未公開だったみたいだけどね。
長年ヒットマンをやっている男で、もうけっこうなジジイ。子供にヒドイことをするやつは許せなくて、アルツハイマーで…。アルツハイマーであることが主人公のキャラクター設定において重要な役割を占めているんだけど、本当にその要素がないと成立しないのか?ストーリー構成の面から改めて考えてみると、必ずしもそうではない。
悪者側からハメられて犯人とみなされてしまうというのは、昨日の『グリマーマン』と同じ流れ。その悪者達からも追われるが警察からも追われるという流れは悪くない。ただ、
①子供を食いものにする奴らのことは許せないが、敵の敵は味方だからね…と警察に協力してホイホイと証拠を渡すわけにもいかない。
②証拠を渡したくてもアルツハイマーで思い出せなくて、脳が通常だったころの彼が残したであろうヒントを元に、証拠物件を探してまわることになる。
この①と②の親和性がいまいちよろしくない。まず、①と②のどちらか一方だけでもストーリーは成立する。むしろ、どちらかに比重を寄せたて膨らませたほうが味が出ただろう。
急激にアルツハイマーが進行したわけでもないだろうし、普通に考えれば記憶能力に欠陥のあるヒットマンなどというのは有り得ないのだから、なんでそこまでして仕事をする必要があるのか…という部分に説得力が欠けているのは問題。ここをしっかりと設定した上で、②をメインに展開すればよかったと思う。ヒットマンとして警察と協力することなんか論外と考えており、自分で始末を付けることしか考えていない。しかし、終盤はだんだん病状が進行し自分でも何がなんだかわからなくなってくる。警察に確保された時には、かなり記憶の退行が進んでいて、警察は少ない証拠から、謎解きをせざるを得ない…、こんな感じ。
やっぱり、警察とヒットマンが歩み寄って、悪者を法廷で裁こうとするところが、興醒めするんだろうな。この①と②は、両方のいいところを阻害していると思う。ここは、原作を多少無視してでも、ブラッシュアップすべきだった。
まあ、ベルギーでこういう作品が頻繁に製作されているのかどうかよく知らないが、あまり小馴れていない感じ。良く言えば粗削り、悪く言えば洗練されていない。そんなに悪い作品ではないが、お薦めできるレベルには遥かに及ばない作品。
ただ、別に、こんなパクリジャケットにする必要なんかあったかね…。充分にオリジナルな作品として成立してるし、こんなパロディ作品みたいな扱いって失礼なのではなかろうか。『ヒットマン』とまちがって借りても憤慨モノだし、いずれにしても、日本のDVD製作会社の失礼さが鼻に付く。
負けるな日本
公開年:2005年
公開国:アメリカ、フランス
時 間:110分
監 督:ジャン=フランソワ・リシェ
出 演:イーサン・ホーク、ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・レグイザモ、マリア・ベロ、ガブリエル・バーン、ジェフリー・“ジャ・ルール”・アトキンス、ドレア・ド・マッテオ、ブライアン・デネヒー、マット・クレイヴン、キム・コーツ、コートニー・カニンガム、アイシャ・ハインズ、カリー・グレアム、ヒュー・ディロン、ピーター・ブライアント 他
コピー:脱出劇アクションの頂点、遂に誕生!!!
大雪のデトロイト。大晦日の今日で閉鎖となる13分署は、ほとんど引越しも済んでおり閑散としている。ローニック巡査部長は、ベテラン警官ジャスパー、警察秘書のアイリス、そして心理カウンセラーのアレックスたちと13分署で新年を迎えようとしていた。そこへ、吹雪のため護送できなくなった凶悪犯ビショップを含むら犯罪者たちが一時避難してくる。彼らを一時的に拘置所に収容すると、その矢先に、何者かが署内へ強行的に侵入。ローニック達はなんとか阻止するも、何故か署は武装した人間達に包囲されており、外部との通信も遮断されてりまう。そんな状況の中、正体のわからない敵と戦うことに…というストーリー。
けっこうしっかりとしたプロットだしテンポもよい。前半までは、なかなか好感が持てるなと。76年のジョン・カーペンター監督作品のリメイクだそうだが、観終わってから知ったが、オリジナルは観たことがない。元の話が良いのか、ブラッシュアップしたのかはわからないが、しっかり練られているってことだね。
ただ、中盤から何か歯車がかみ合っていないような変な感じになってくる。
オリジナルからそうなのもしれないけど、署を包囲している敵の正体を、謎解き的に引っ張ることはできなかったのだろうか。あまりにあっさり判明してしまって、後半はただのドンパチしか残っていないのが、実にもったいない(ここは、膨らますべきだと思うんだけどなぁ)。
せめて、一緒に収容される犯罪者たちに、もうちょっと個性とかバックボーンを持たせていれば、そのドンパチもおもしろくなったと思うのだが。どうも薄っぺらい。
それに、根本的に“要塞”じゃないよな。諸々の事情で不釣合いなぐらいに武器やら装甲車なんかがあって、少ない人数でも善戦しちゃうとか、そういう展開なのかと思っていたが、古い銃器くらいしかないんだもの(ワクワク感がいまいち)。単に、古い建物に篭っただけのような…。
いかにもビッチで死亡フラグ立ちまくりの女が死なないという、裏をかいてくれたのはおもしろかったが、その反面ローレンス・フィッシュバーンが良くない。ローレンス・フィッシュバーンって全然悪役が似合わないでしょ。だから、「ああ、単なるの悪役で終わらないんだろうな…」と早々にフラグが立ち、実際そのとおり味方サイドになる。そこで、私の中で緊張感が途切れてしまったかな。
まあ、及第点。リメイクしようって気をおこさせるほどの、オリジナルってやつを探して観てみたくなったかな。『要塞警察』ね(近所のレンタル屋にあるかな…微妙)。
負けるな日本
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ジョルジオ・セラフィーニ
出 演:ウェズリー・スナイプス、ゲイリー・ダニエルズ、ゾーイ・ベル、ロバート・ダヴィ、フランク・ジーガー、サイモン・リー、ジェイミー・モイアー 他
CIAの秘密工作員だったマーカスは、これまで国家に忠誠を誓い、命令のまま暗殺ミッションを遂行してきた。そんな彼に、アフリカのゲリラに武器を流す死の商人スミスの組織に潜入し、彼に資金を提供しているレッドベイル社を壊滅させるという命令が下された。この命令はCIAは一切感知しないという極秘命令。さっそくマーカスは、仲間のフローリア、ザンダーらとともにチームを結成し、ターゲットのスミスに接触を図る。マーカスはスミスのボディガードとして潜入に成功したが、予定にないところで、マーカスは襲撃されてしまい…というストーリー。
ウェズリー・スナイプスの作品を観るのは久々。『ブレイド』シリーズを観たのが最後かな。いや、他にも観ていたかもしれないけれど、ウェズリー・スナイプスは、どんな作品でもウェズリー・スナイプス。ジャック・ブラックやスティーヴン・セガールの比ではないくらい、どんな作品でもウェズリー・スナイプスはウェズリー・スナイプス。
それでも若いころは『メジャーリーグ』とか、バラエティに富んだ役柄も演じていたんだけどね。
ただ、この人のアクションは個人的に嫌いではない。リアルに格闘技経験があるとか、そんなことではなさそうだし、細かく見ればけっこうムチャクチャな動きなんだけど、映画のアクションとしてみると、メリハリがあって漫画的な意味での説得力はある(脳内的にはしっくりくるアクション…ってこと)。
ただ、残念ながら、本作のいいところはそれだけ。ウェズリー・スナイプスのせいではなくて脚本があまりにも三流。
“国家に裏切られる悲哀”と“仲間に裏切られる悲哀”という2本の軸が両方とも中途半端。特に、仲間と育まれてきたであろう友情が全然描ききれておらず、裏切られたことへのせつなさが全然湧いてこない。
その主要な仲間というのも、たった二人しかおらず(もう一人デクの棒がいるのだが、まったくキャラが立っていない)、根本的に人物を描くということが苦手な脚本家であることがわかる(それって脚本家として致命的な気がするけど)。
また、細かい味付け的な演出が雑。マーカスが糖尿病っていうギミックに必要性を感じない。特別必要でもなかったし、その後の伏線に一切なっておらず(その後、糖尿病のせいでピンチになるとか、そんな場面も特に無し)。連れまわされる女医のキャラも、厚みがなくて、別にだれでもいい感じ。教会で、後日談的にお話を語るのだが、その演出の効果も特に無し。逃走中なんだから、時間軸を“今”にした、もう一展開があって然るべきだと思うのだがね…。そういう、あたりまえが一切通用しない。
…てなわけで、そういう無意味なギミックを排除していったら、正味17,8分で終わっちゃうんじゃないかってくらいの、薄い内容。う~ん、脱税で訴えられてから、周りにいい人が集まらなくなっちゃったのかな…(他ではまったく見たことがないようなキャストばっかりだし)。何か色々とせつない作品である。もちろんお薦めはしない。
#いやあ、3日連続、このクオリティ。苦行になってきた。
負けるな日本
公開年:2005年
公開国:カナダ、アイルランド
時 間:88分
監 督:マイク・スカリオン
出 演:アンディ・カーティス、ブレンダン・デンプシー、ショーン・エレバート、ジョン・ディレイニー、ジェイミー・ベルトン、ラリー・オースティン、ジェリー・シャナハン 他
傷害事件で服役していたマフィアの一員ロニーが出所した。服役中に失墜した地位を挽回するためには、早急に多額の資金調達が必要と考えた彼は、服役の原因をつくった男から聞いた、とある大富豪の情報を元に作戦を考える。その作戦とは、大富豪の屋敷の警備係の男が訪れるパブがあり、潜入するための情報を聞きだして金庫の金を盗むというもの。早速ロニーは、その街外れの小さなパブを乗っ取るのだが…というストーリー。
見知らぬタイトル発見と思い、何気にレンタルしてみたが、案の定、日本未公開作品。せめて掘り出し物でありますようにという願いは、残念ながらかなわず。
あらすじを書いていてアホらしくなってしまったのだが、大富豪の警備係を取り込む作戦は良しとしても、別にパブまで手に入れる必然性はなかろう。大富豪の家の前で見張ってりゃいいじゃんか。どうせ強要するんだもの。
カナダからわざわざ従妹を呼ばねばならない理由は?従妹がそこまでやるモチベーションは何か?親族の絆か?
感じの悪いマフィアのボスのキャラも、その側近のキャラクターが何も生きていない。パブの兄弟の行動は結構ストーリー展開上、役に立っていない。
はじめはロニー目線でスタートしていたのに、急にパブの娘の目線に変わり、半分すぎると一体どういう目線で本作を観ていいのか訳がわからなくなる。繰り広げられているやり取りを、まるで亡霊のように傍で見ている気分にさせるべきだと思うのだが、そういう考慮は一切ないらしい。
おまけに最後のオチだが、一瞬だけ登場した人物が重要で、それ誰だっけ?状態。観も蓋もなければ、溜飲が下がる顛末でもない。結局窃盗は失敗しているにも関わらず金はなくなっているわけで、罪をロニーに着せられたわけではない。どう考えても運転手は容疑者になるだろうし、調べれば従兄弟の素性もすぐバレるだろう。最後の浜辺のシーンは、粋な演出のつもりだろうけど、吐き気がするようなドヤ顔状態。本当に中学生が書いたみたいなシナリオ。
ちなみに、ロイヤル・ストレート・フラッシュなシーンは一切出てこない。一体なにを指しての邦題なのか意味不明。
おまけに、ガイ・リッチーやらタランティーノばりの、スタイリッシュな映画を目指しているらしいのだが、元々そういう才能がないらしく、冒頭から5分の1くらいで力尽き、かっこつけた演出は消えてなくなる。
おまけに家庭用ビデオで撮ったのではないか?と思いたくなるほど雑な画質やライティング。まるで、大学の映画学科や映画学校の卒業記念作品に、何人かプロの協力得てつくりましたよ…レベル。
ああ、もう書くのもイヤになった。はい、注意報発令。時間の無駄。観るな。
負けるな日本
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ロベルト・シュヴェンケ
出 演:ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレン、カール・アーバン、メアリー=ルイーズ・パーカー、ブライアン・コックス、ジュリアン・マクマホン、リチャード・ドレイファス、レベッカ・ピジョン、クリス・オーウェンズ、アーネスト・ボーグナイン、ジェームズ・レマー、ドミトリー・チェポヴェツキー、マシュー・オルヴァー 他
ノミネート:【2010年/第68回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]
【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】アクション映画賞
コピー:それは、アメリカが最も恐れた危険なオヤジたち…
かつてCIA工作員として活躍したフランクだったが、引退した今はオハイオの田舎町で孤独な年金暮らし。役所の年金係りの独身女性サラと電話で会話することを唯一の楽しみにする日々。そんなある日、フランクの家に武装集団が侵入。昔とった杵柄で難なく一味を撃退したものの、通話が全て監視されていたことに気付き、サラの身にも危険が迫っていることを察知。ニューヨークの彼女宅に急行し暗殺の危機から救出する。自分がなぜ襲われたのか調査すると、フランクを含め10名が記された暗殺リストを発見。その10名は中米グアテマラでの特殊任務の関係者たちだと判明するが…というストーリー。
ロートル生活のゆるさと、ドンパチの激しさのギャップを愉しむ作品。ブルース・ウィリスが年金暮らしのおっちゃんには、とても見えないのはご愛嬌で無視するとして、見たこともないお姉ちゃんにかわいく恋している様子は、なかなかかわいい。そして突然のドンパチをかっこよく乗り切って、彼女を救う為に迅速に移動。サラもそこそこの年齢なんだけど、お互いツンデレぎみなのも微笑ましい。
一番愉快なキャラクターを演じてくれたジョン・マルコヴィッチ。こういうネジはずれちゃった系のキャラが、味方で活躍するのは面白い。『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のマードックがTV版ほどキレっぷりを発揮してくれなかったのを残念に思っていたのもあって、これはちょっとうれしかった。だが、残念なことに空港でドンパチやるシーンが、本作アクションの最高潮点で、それ以降の活躍はイマイチ。最後までキレてくれよ。
なぜかヘレン・ミレンが出てくるところでノリが失速する(何度も眠くなって巻き戻してしまった)。サラやフランク以上にツンデレで悪いキャラでは決して無いのだが、なぜかピリっとしない。彼女に輪をかけてモーガン・フリーマンはもっとピリっとしない。特殊能力を発揮するわけでもないし、献身的な最後で終わってしまうのも、ウィットがなさすぎ。
この原因は、彼らの隠居生活の掘り下げが足りないからだと思う。今までこんな感じで普通を装ってきましたよ…っていう部分をもうちょいリアルに描くとか、さぞや現役に復帰したいんだろうなぁ、ストレスがたまっているんだろうなぁ、だけどそうもできない理由がいろいろあるんだろうなぁ…なんて部分を強調するとか。要するにキャラの粒立ちが悪いってこと。病気でした、恋人を失って以降は失意の生活でした…ってだけでは、ただ設定の説明でしかなくて、伝わってこないから。
仮面ライダーが最終回に近づくと、歴代ライダーが集まって…って展開があるけれど、往々にして集まる過程はワクワクするものの、いざ集まってしまうと大して面白くなかったりする。その感じに近いかもしれないな。
結論からいうと、及第点超えはしていると思うけど、それ以上の尖がった部分が少ない作品ってところか。でも、普段アクションを見ない女性にも愉しめる作品なのかもしれない。ああ、もしかするとそういう層を狙ってたりするのかな。案外正解なのかもしれない。
負けるな日本
公開年:2008年
公開国:ドイツ、アメリカ
時 間:97分
監 督:ジョージ・ギャロ
出 演:アントニオ・バンデラス、メグ・ライアン、コリン・ハンクス、セルマ・ブレア、キース・デヴィッド、イーライ・ダンカー、トム・アダムス、トレヴァー・モーガン、エンリコ・コラントーニ、マルコ・セント・ジョン 他
FBI捜査官のヘンリー・デュランドが、3年間の海外赴任を終えて帰宅すると、巨漢だった母親マーティがすっかりスリムな体型に変貌しており仰天。加えて、性格まで奔放になり、複数の男性と関係を持つまでなっており困惑するヘンリー。一方、有名な聖母子像を盗むために、ヘンリーたちが住む町に窃盗団がやって来るが、窃盗団のメンバートミーとマーティは偶然に出会い互いに惹かれ合ってしまう。そんな中、ヘンリーはFBIでの窃盗団の写真の中にトミーを発見し…というストーリー。
日本未公開作品。というか、メグ・ライアン出演作は『イン・ザ・カット』より後はすべて日本未公開なんじゃなかろうか。メグ・ライアン自身、恋愛コメディは久々だったのかな。ロマンティックコメディの代表者だったんだけど、そのイメージの脱却を意図してか、この手の作品は避けていたのに。よほど仕事に恵まれていなくて、えり好みしてられなくなったのか。でも、ロマンティックコメディとはいっても、見た目の劣化ぶりから、純粋なヒロイン像を演じるのはさすがに無理がある。陰鬱な巨漢ママが頑張ってキレイになった…という、けっこう無茶な設定をもってこないと、美人のアイコンにするのは難しかったか。
バンデラスも出ていながら未公開って、そこまでヒドイのか?と思うかもしれないが、オチのご都合主義はちょっと問題かもしれないが、全体的にそれほどヒドくはない。ただ、アメリカでは単なるジョークになるのかもしれないけど、日本において親の性生活を盗聴するなんていうシーンは、不快を超えてタブーに近いだろう。日本人のトラの尾を踏んだ感じがする。
まあ、それ以外はコメディとしては可もなく不可もないってレベルで、旧作料金のレンタルなら全然問題ない作品。適度なドタバタ映画ですな。あと、話のネタとしておもしろいのは、息子役の人(コリン・ハンクス)はトム・ハンクスの息子ってことかな(言われれば似てきたかもーって思うよね)。まあ、何も考えたくないときに観る作品としては、軽くお薦めかも。
#マーティのコーヒーに小銭が入れられるシーンで、ふとこんなことが頭をよぎった。日本にはホームレスはいるけど物乞いはないなよな…って。路上に物乞いのいない国って日本だけなんじゃね?
負けるな日本
公開年:2007年
公開国:カナダ、アメリカ
時 間:108分
監 督:ジョー・カーナハン
出 演:ライアン・レイノルズ、レイ・リオッタ、アリシア・キーズ、アンディ・ガルシア、ジェレミー・ピヴェン、ベン・アフレック、ピーター・バーグ、タラジ・ヘンソン、クリス・パイン、マーティン・ヘンダーソン、ジェイソン・ベイトマン、コモン サー・アイビー、ネスター・カーボネル、ジョセフ・ラスキン、ジョエル・エドガートン、トミー・フラナガン、ケヴィン・デュランド、モーリー・スターリング、アレックス・ロッコ、ウェイン・ニュートン、クリストファー・ホリー、スコット・ハルバースタッド、マシュー・フォックス、マリアンヌ・マルラライリー、ダヴェニア・マクファデン、カーティス・アームストロング、デヴィッド・プローヴァル、パトリック・セント・エスプリト、マイケル・マーフィ、ブライアン・ブルーム、クレア・ケアリー、ウラジミール・クリッチ、ザック・カマー、マイク・ファルカウ 他
コピー:ターゲットは1人――報酬100万ドル 殺るのは誰だ!?
マフィアのボス・スパラッザ邸を盗聴していたFBI捜査官メスナーとカラザーズは、スパラッザがイズラエルという男を殺すためにスウェーデンから暗殺者を雇い、100万ドルの賞金をかけたことを知る。ターゲットのイズラエルは、“エース”と呼ばれた元ベガスの人気マジシャンで、ギャングたちに気に入られて裏社会に入ったものの、その奔放な振る舞いで裏社会全体から目をつけられていた。FBIはスパラッザを逮捕するために、イズラエルに司法取引を持ちかけている。そんな中、エースに100万ドルもの賞金がかけられた噂が広がり、世界中の暗殺者がエースが隠れているタホ湖のホテルに集まってきて…というストーリー。
『ジャッキー・ブラウン』とか『スナッチ』が大好きなので、このテイストは嫌いじゃない。テイストっていうか真似だよね…ってレベルではあるけれど。個人的には、同好の士なんだろうな…と好意的に見てあげたんだけど、一般の人は、真似っコしてるダサさのほうに目がいっちゃうんじゃないかな。所々出てくる下ネタ系の話が、それこそタランティーノっぽくやってますみたいな感じだけど、おそらく監督自身はそれほどエロの人じゃないんだろうね。ぜんぜんドキっともしなくて、わかってないわ~って気分になる。
それに、色々とごちゃごちゃすぎ。キャラ設定自体は漫画のようにわかりやすいんだけど、ビジュアル的な印象づけはイマイチで、例えば、油断すると変装さんと拷問さんが、どっちがスウェーデンでどっちが傭兵なんだっけ?となったりする。お菓子の袋開けてジュース注いでいる間に目をそらしてたりすると、なんかよくわからなくなちゃって、「ありゃ、見落としたわ。こりゃ巻き戻さなイカン』と巻き戻してみるのだが、別に何もなかったりする(笑)。ただ、格好のいい編集のつもりで、カットが飛んでいただけだったりとかね。交通整理するのも監督の仕事だと思うが、その点では落第かも。
救いなのは、ごっちゃごちゃになってこそいるけど、案外、伏線の張り方はまともだってこと。振り返って考えれば、なかなか練られたストーリーではある(振り返らんとわからんようでいいのか)。
まあ、どんでん返しにもなっていない上に、突然シリアスになる最後の展開は、好みがわかれるかもね。
でも、私は嫌いじゃない(いつかもう一回何気に観ようと思う気がする)。『ジャッキー・ブラウン』とか『スナッチ』が好きな人には、「まあまあ」ってところだろう。そうじゃない人には、お薦めしない。スタイリッシュさ、バイオレンス、スピード感、ストーリーの巧みさ、アクション、すべての要素が至っていない作品ってところか。
負けるな日本
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:D・J・カルーソー
出 演:シャイア・ラブーフ、ミシェル・モナハン、ロザリオ・ドーソン、マイケル・チクリス、アンソニー・マッキー、ビリー・ボブ・ソーントン、イーサン・エンブリー、アンソニー・アジジ、キャメロン・ボイス 他
コピー:それは、全てを見ている。
スタンフォード大学を中退したジェリーは、現在コピー店に勤務。ある日、ペンタゴンに勤務する双子の兄が急死したと連絡が入り、数年ぶりに実家へ戻ることに。その後、帰宅途中にATMで預金を引き出そうとすると、口座には覚えの無い75万ドルの大金が。さらに帰宅したアパートには、大量の軍事用機材が配達されていた。事情が掴めず混乱するジェリーに、「FBIが迫っているのですぐ逃げろ」と見知らぬ女性から電話が入る。その電話の通りに間もなくFBIが突入し、ジェリーはそのまま拘束されてしまう。一方、ワシントンでの演奏会に参加することになった幼い息子を送り出したシングルマザーのレイチェルにも「指示に従わなければ息子の命はない」と謎の女からの電話が入る。その後、謎の女の指示でFBIの取調室から脱出したジェリーは、同じように電話の指示で車で待機していたレイチェルと合流し…というストーリー。
観た後にTV放映があることに気付く。ビデオレンタルあるあるだな。
物語の類型として、“善良でありきたりな市民が巨大な事件に巻き込まれていく”というのがある。本作はまさにその典型。あまりパっとしない別々の男女が、謎の電話の指示に従わざるをえなくなり、何が目的で?何で彼らが?というサスペンス的な見せ方である。
こういうサスペンスでは、色々観客が先回りして想像を巡らせると、そのうちのどれかが当たってしまい「ああ、やっぱりね」になる可能性が高いので、カーチェイスやドンパチのジェットコースター的なアクションが織り交ぜられるのがセオリーといってよい。こうすることで、観客の思考を鈍らせて、目をそらすのだ。さらに、謎解きを阻害する憎たらしくて、事情が読めないKYなキャラを登場させるのも効果的だ。こういう作品では、ノせられてアクションシーンにドキドキしたり、憎たらしいキャラに対して「こんにゃろめー」って思うのが得策である。躍起になって、真剣に謎解きに脳の回路をフル回転させるなんてのは、野暮というものである。
本作、こういうセオリーに実に忠実に作られている。さらに、巻き込まれるキャラが二人いて、それが絡んでいくというのも巧みである。「おお、これから一体なにがおこるのだ???」と、実にハラハラと観ることができた。アクション&サスペンスとしては、非常に優秀だと思う。
しかし、いかんせんオチというか黒幕が陳腐すぎた。残り時間40分くらいで、敵が確定された段階で、ものすごく腰砕けになる。
確かに通信網を利用した管理社会というものへの警戒心が高まっているのは事実だが、だからといって、こんな使い古された“マザーコンピュータ”みたいな話じゃぁ、アホらしくなってしまう(『火の鳥(未来編)』とかありがちすぎる)。全てのコンピュータってどこかで巨大な脳みそに繋がってるんでしょ?なんていうジョークのレベルでしょ。サスペンスの謎解きのオチがこれなのは、本当にヒドい。
残り40分は、あまり真剣に画面を観ていなくて問題ないくらい、レベルがガタ落ちする。
アクション映画としては一流だけど、SFとしては三流。足して四流で割って二流って感じ(あながちハズレてないでしょ)。最後の“生きてました…”みたいな演出も、スベりまくり。まあ、TV放映で観るのがちょうどいい作品なのかも。今のハリウッドの良いところと悪いところが、凝縮した作品だと思う。
負けるな日本
公開年:2001年
公開国:フランス
時 間:91分
監 督:アリエル・ゼトゥン
出 演:Yamakasi、マエル・カモウン、ブリュノ・フランデル、アフィダ・ターリ 他
コピー:7人の超人が跳ぶ!
驚異的な運動能力を駆使した恐れを知らない高層ビルを昇り降りするパフォーマンスで大人気の集団“YAMAKASI”。警察は彼らを取り締まろうと躍起になっていたが、それとは裏腹にパリの子供たちは彼らに夢中。しかし、心臓疾患を持つ少年が彼らの真似をして、病状を悪化させてしまう。少年は24時間以内の手術が必要と診断されたが、臓器のコーディネートに多額の費用がかかり、少年の親にはそれを捻出する財力はない。そんな事情を知り責任を感じたYAMAKASIたちは、費用を調達するためにある作戦を考えるのだが…というストーリー。
YAMAKASIという実在のパフォーマンス集団をフィーチャーした映画ということなのかな。自分たちの真似をした為にエラいことになってしまった子供を助けるために奔走するというプロットはわかりやすくていいと思う。スピード感のあるアクションで、見ごたえもあると思う。おもしろくなる材料が完璧に揃っているのだが、なんと、それら材料が完全にゴミになっている。逆に、どうすればつまらなくできるのか、あきれてしまうほど。
おそらく、持ち前の身体能力を使って臓器を運ぶのを支援するんだろうと思っていたら、なんと、運搬費用を捻出するために集団で盗みをやらかすという内容。短絡的に脱法する主人公に、どうやって共感しろと?移民政策への不満を語っておけば、フランス人はおもしろがるのかもしれない。しかし、外国人からみたら「どこか自由・博愛・平等の国なのかしら…」とうんざりするだけだし、子供たちまでもが「警察なんかクソくらえ」といっている社会が恐ろしい。これを恥とも感じていないフランス社会が、また、恐ろしい。出演者もそういう不平等に対して恨み節こそ吐くが、根本的に戦おうとしておらず、非常に気持ち悪い。目先のことにイキがるだけのバカとクズしか登場しない。
はじめのほうで、刑事の上司が7人のそれぞれの特徴を説明して、わざわざキャラクラー付けをしていて、ああ、伏線のセットアップだなぁ…なんて思っていた。しかし、なんとびっくり、結局最後まで個々のキャラが生かされることは無いのだ。
また、刑事の上司や参事官が憎たらしい役回りなのだが、当然、そいつらを痛い目にあわせて溜飲を下げてくれると信じて疑わなかったのだが、結局最後まで何もなし。そんなことありえるかね?なんだこれ。脚本家のレベルが低すぎなんだわ。“ふ・く・せ・ん”って知ってる?そういう概念自体知らないんじゃなかろうか。アクション作品なのに、ちっともスッキリしないって、これを致命的欠陥といわずなんと言おうか。
と、まあ、はじめは好意的にみていたアクションも、よく考えたら、映画の中のアクションなんだからどうにでも作れる。それほどものすごいわけでもないような気がしてきた。こういうパフォーマンス集団を紹介したいなら、ドキュメンタリー映画とかにしたほうが、“リアル”なすごさが伝わっていいんじゃなかろうか。
観る価値はない。お薦めしない。
負けるな日本
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ピエール・モレル
出 演:ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リス・マイヤーズ、カシア・スムートニアック、リチャード・ダーデン、アンバー・ローズ・レヴァ、シェムズ・ダマニ、モステファ・スティティ、ディディエ・コンスタン、アレクサンドラ・ボイド、メリッサ・マルス、サミ・ダール、ヨアキム・デ・アルメイダ 他
コピー:人生のひきがねを引け。
フランスのアメリカ大使館に勤務するジェームズ・リースは、裏でCIAの見習い捜査官としても勤務していた。しかし、ナンバープレート交換程度の地味な作業ばかりで不満の毎日。そんなある日、麻薬捜査のためにCIA本部から凄腕捜査官ワックスが渡仏。そのパートナーを任され、初の重要任務に興奮するリース。ところがワックスという男は、任務遂行のためなら、暴走・破壊・殺人と一切手段を選ばない危険な男だった。人を撃ったことすらないリースは混乱し…というストーリー。
フランス映画がハリウッドを志向するとなぜモヤモヤしちゃうのか…、これは、ちょっとしたテーゼである。最近でいうと『アデル』もそんな感じだった。
むちゃくちゃな相方、振り回される主人公、過剰なアクション、次第にできあがっていくコンビネーション。アメリカのバディ物のお約束どおりといえば、そのとおり。そして、テロ組織と戦うというシンプルなストーリー。でも、なぜか、グッと完全には乗り切れない引っ掛かりがそこにある。
“敵の敵は味方”という言葉があるが、同じ西側ながらも決して仲良しではないフランスをアメリカが、中国人やアラブ人を悪者とすることで同じサイドに立つという構図を、楽しめるかどうか。移民問題を抱えるフランスのお国事情はわかる。しかし、『マチェーテ』では、そのへんの移民政策を、批判ともジョークともつかない微妙なラインでセンスよく扱っていたのだが、本作ではそのセンスが伺えない。あからさまに、中国人やアラブ人を直球で“悪”としているようにしかみえないのだが。
まさか彼女が?というのは、誰もが頭をよぎるだろうが、まさかそのままって…。単なる勧善懲悪を超えた何かを生んでくれるのか?とおもったが、その期待に応えてくれるものは無く、単に狂信者でした…というオチ。
後半突然登場する、凄腕ドライバーが大活躍。なかなかよさげなキャラで、彼の存在なしには成立しない展開なのに、事前の掘り下げは一切ない。もうちょっともっと前から絡める方法はなかったのだろうか。
ワックスのキャラも、実は似合わないジャンルの音楽好き…とか、自分の銃にこだわりがある…とか、色々キャラ付けとしているのだが、ぜ~~~~んぶが取ってつけたようにしっくりきていない。天井を撃ったらサラサラとヘロインが降ってくるってのが無理があるだけでなく、ツボで持ち歩かせるのはああいう風に使うためだ…はじめから計算ずくだったのさって、ねじ伏せるにもほどがありすぎる。で、そんなエスパーばりの能力は終盤になると消えうせて、キャラの一貫性が損なわれるのも、設定の煮込み方が足りない証拠。
あんまり考えないように観ようと、そういう心構えだったんだけど、それでもなぁ…。
満足度としては63点。65点というのが憚れるし、64点でもない。この微妙な採点で、なんとなく雰囲気がつかめるんじゃないかなと。
#まあ、B級映画で60点台って、結構なものだよ。旧作料金ならかなり優秀な部類だ
と思う。その割り切りがあれば、満足できる作品だと思う。
負けるな日本
公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:シルヴェスター・スタローン
出 演:シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレン、エリック・ロバーツ、ランディ・クートゥア、スティーヴ・オースティン、デヴィッド・ザヤス、ジゼル・イティエ、カリスマ・カーペンター、ゲイリー・ダニエルズ、テリー・クルーズ、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、アミン・ジョセフ、セーニョ・アモアク、ハンク・エイモス、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ 他
ノミネート:【2010年/第31回ラジー賞】ワースト監督賞(シルヴェスター・スタローン)
コピー:最強 無敵
ソマリアでの人質救出作戦を成功させ帰還したバーニー・ロス率いるフリーの兵軍団“エクスペンダブルズ(消耗品)”に、休む間もなく新たな依頼が舞い込む。依頼内容は、南米の島国ヴィレーナの独裁者ガルザ将軍の抹殺。バーニーとリー・クリスマスは、すぐさまヴィレーナに潜入し、サンドラという女性の案内で現地視察を始める。実は、このサンドラはガルザの実娘でありながら、国民の窮状を憂い反政府運動を率いる女性闘士。結局、ガルザ一派に追われ二人は島を脱出するが、この依頼の影にCIAの汚い策略があることを感じ取り、依頼を断ってしまう。しかし、一緒に脱出することができなかったサンドラのことが気に掛かり、バーニーは単身でヴィレーナへ乗り込もうとするのだが…というストーリー。
このタイトルとキャストを見て、繊細なストーリーとか芸術性を求める人はいないだろう。後は看板に偽りがあるか否か。
銃撃戦、カーチェイス、爆破、アクション、凄いキャスト、何も考える必要なし。売り文句のとおりだし、予測していた内容と違ったなんていうトンチキな人はないだろう。カレーライスを頼んだらカレーライスが出てきて、ビールを頼んだらビールが出てくる。何の問題もない。スタローンの宣言どおりのCGを使わない爆破爆破のオンパレードを見せられると、やっぱりCGとは違う満足感があったよ。
公開当時、悪い評判を流してた評論家なんかもいたけれど、この映画に何を求めて文句をいってるんだか。“ももたろう”に情緒を求めてるようなもんだろう。
ラジー賞はスタローンをワースト監督賞にノミネートしているのだが、逆に聞きたい。何をどうすればワーストじゃなくなると?説明してみろや。この手をアクション映画のやり口といてあげつらって文句をいうようなヘマをやらかしているとでも?どうせ、スタローンが何をやっても、あいつらはノミネートするのだ。もう、他人の作品を評価する資格ないんだよね。
これだけ主役級が集まっていたら、脇役って損な役回りになっちゃいそうな感じだけど、ジェイソン・ステイサムもジェット・リーもしっかりキャラが立っていて、むしろ主役のオファーが逆にきちゃいそうなくらい。大号令をかけただけあって、応えて来てくれた人には損はさせないっていうスタローンの男気が感じられる。
老いてなお、誰かに求められた仕事を、人より秀でた自分の能力を駆使して、自分の信念でやり続ける。この姿がとても羨ましく、それどころか神々しさすら感じてしまう。お祭り映画のように見えて、それなりのデキと世界観を作り出してしまったので、続編の製作は間違いないだろう。準新作くらいの料金なら、ぜんぜん損した気にはならない。アクション物は徹底してブチのめしてほしいって思ってる人は、絶対に満足できる。そこまで微塵になるまでぶっ放す必要意ないもの(笑)。軽くお薦め。
#ノゲイラ兄弟出てた?
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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