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image0998.png公開年:2001年
公開国:アメリカ、フランス
時 間:147分
監 督:ミシェル・ゴンドリー
出 演: ティム・ロビンス、パトリシア・アークエット、リス・エヴァンズ、ミランダ・オットー、ロージー・ペレス、メアリー・ケイ・プレイス、ロバート・フォスター 他
コピー:自分を猿だと思い込んでいる男×宇宙イチ毛深い女×ネズミにテーブル・マナーを教える博士



異常に毛深い体質の女性ライラは普通の生活ができず、見世物小屋などで稼いでいたが、そんな生き方に嫌気がさして、人間社会から逃避して森で自然と共に暮らす。その体験を本にして多額の印税を得ることができたが、性的に男性を求める欲求を抑えることができず、都会生活に戻って全身脱毛を試みる。ライラは全身脱毛の施術師から一人の男性を紹介される。その男はマナーに異常な執着を示すネイサン博士。礼儀こそ人間と獣を別ける文明社会の基本と信じて疑わない人間で、ねずみにテーブルマナーを学ばせる研究に没頭している。二人はある日、森にデートにでかけたが、そこで幼いころから類人猿として育てられた男に遭遇。自分の研究に最適な対象をみつけたネイサンは、彼を“人間”に教育するために研究室に連れて行き、パフと名づける。次第に上品なマナーと知識を覚え、紳士に教育されていくパフ。一方、ネイサンはライラと結婚したが、助手のガブリエルの誘惑に、心が揺らいでおり…というストーリー。

脚本は『マルコヴィッチの穴』のチャーリー・カウフマン。
容姿が獣のようでありながら精神は人間の女。容姿は人間だが、獣として育てられた男。マナーという人間の行動に価値を見出し執着する男。この三者の奇異な行動と通して“人間らしさ”とはなにかを浮き彫りするお話。荒唐無稽ではあるけど、コメディに分類していいかは少々疑問。

この奇異な設定だけでなく、三者とも作中で変化を遂げる。この点はさすがチャーリー・カウフマン。シナリオとは人間の変化を表現するもの…という鉄則ははずさない。
ライラは人間社会にうんざりして自然で生活するが結局人間社会に戻る。しかし、再度目覚めて自然に帰る。さらにラストでは、罪を背負って人間の醜さを主張し、獣としての清さを守った彼女は、皮肉にも人間の規範の象徴である刑務所に入る。この作品の中で一番振幅の激しいキャラクター。
#あんなに体毛生えてきたらツラいよな…って思うだろうけど、実際いるからなぁ。
ネイサンは文明的人間の象徴だが、その生い立ちは苛烈な躾によって偏執的にマナーにこだわるようになってしまった男。そんな彼が、性欲というもっとも生物らしい欲求に振り回される。その精神の醜さは獣にも劣る男。
パフは、類人猿として成長し、あとから人間の行動規範を押し付けられる。彼も目覚めて自然に帰るが、ラストでは人間社会の虜になってしまう。ライラとは別の形で。人間の汚さに完全にまみれながらも、自由を教授する結果に。

ラストは好みが分かれるところだろう。もう少し、インパクトのある展開を望む向きは多いかもしれない。ネイサンの殺害までガブリエルの策略とするか否かが…、それがシナリオとして得策か否か、不自然ではないか…色々考えるとことではある。

獣としての姿が人間の本質、それが自然の姿だ!いや、人間の本質って、小汚い姿のそれだから…。いろいろ価値観を変遷させられる作品である。まあ、人間の生活=不自然…みたいな原始生活こそ理想みたいな価値観へのアンチテーゼにはなっているだろな。それなりに長く文明社会を築いてきたのだから、ある意味それが自然なんだろう。動物は自分のことを自然とも不自然とも思っていない。省みることこそ不自然。でも省みることができる能力こそ人間特有の者。ということは不自然こそ人間。もう禅問答みたいだよね。
まあ、人は醜い。それはそれとして素直に受け入れろ!そういう作品かな。他のチャーリー・カウフマン作品と比べると小粒かもしれないが、良作。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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