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image1369.png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:リドリー・スコット
出 演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ、オスカー・アイザック、サイモン・マクバーニー、アロン・アブトゥブール、アリ・スリマン、ヴィンス・コロシモ、メーディ・ネブー、マイケル・ガストン、カイス・ネシフ、クララ・フーリ 他
コピー: どっちの嘘が、世界を救うのか。


CIAの工作員フェリスは、イスラム原理主義者テロリスト集団のリーダーを捕獲する任務のため、現在、中東に潜伏中。一方、彼の上司のホフマンは、安全なアメリカ本部から指示をするだけ。元々、反りの合わない2人は、フェリスがイラクで接触した情報提供者の扱いをめぐって対立する。その後、組織の極秘資料を手に入れるために重傷を負ったフェリスに対して、ホフマンは容赦なく次の指令を出す。より不満を募らせながらも、入手した資料にあった情報を元に、次の目的地ヨルダンに向かうフェリスだったが…というストーリー。

まあ、戦争当時は、リアルタイム感もあって、ドキドキもしただろうが、イラク戦争がCIAのいい加減な情報が元で始まったことが判っている今となっては、冷めた目で観ざるを得ない。
イスラムによるテロ対策モノなのはわかるんだけど、ディカプリオ演じる主人公のフェリスが、何を目的に動いているのかも、始めはよくわからない。ラッセル・クロウ演じる、本国でヌクヌクと仕事をしている上司役、彼の行動にものすごくイライラはするけれど、そういういい加減なCIAの姿勢を揶揄したいのかな?いずれにしても、どこに焦点を当てたいのかがよくわからず、ちょっと引き気味で鑑賞するしかない。

次第に、どうやらアル・サリームというテロリストの拠点を捜しているということがわかってくるのだが、その作戦の過程で登場するハンニという人物のポジションを理解するのが、なかなか難しい。もちろんムスリム社会も一枚岩ではなく、原理主義者を快く思わない勢力もあるし、西側とだってビジネスと割り切って付き合う人間だっている。でも、彼がCIAに協力する理由はそれだけか?逆に利用してやろうと考えているのか。
実の所、彼は重要なキーマンなんだけど、その割にはキャラが弱いんだよね。

こういう軍事モノは、フィクションの部分が多くなるのは致し方ないものだけど、それでも違和感を感じさせない展開に注力すべきだと思う。しかし、どうも私には不に落ちない流れが散見される。

例えば、作成が失敗した後に、フェリスが考え出した案。何がいい案なのかさっぱりわからない。アル・サリームは自己顕示欲のためにやっているわけじゃないから、自分以外の奴がジハードをしたって、あんな反応をするとは思えない。また、その作戦遂行のために、一人でネットを使って工作できる超人が出てきたり、仰々しい作戦のわりには、恋人が人質になったり、だんだんスケールが小さくなっていく。
こんな調子で、リアリティがイマイチだから、「考えさせられる話だなぁ…」なんてことにはならない。

緊張感のあるシチュエーションの連続ではあるのだが、2時間の映画としての山場のメリハリがなく、ダラダラした印象になってしまっている(こんなことなら、ドラマシリーズにでもして、じっくり作ったほうがいいような…)。さすがのリドリー・スコットも、お得意のディレクターズカットを作っても、どうにもならないデキ。

まあ、アメリカのシステム上の癌の一つは、CIAという組織が、大統領が変わろうが、権力を握り続けることができるということである。まぁ、日本の官僚制度も似たようなものだが、与えられている力が違うからね…。
そういう教訓は得られても、映画としての魅力は著しく低い作品。お薦めしかねる。




負けるな日本

 

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