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 公開年:1994年
公開国:アメリカ
時 間:94分
監 督:ジョン・ウォーターズ
出 演:キャスリーン・ターナー、サム・ウォーターストン、リッキー・レイク、マシュー・リラード、スコット・ウェスリー・モーガン、ジャスティン・ホウェリン、ミンク・ストール、メアリー・ジョー・キャトレット、スザンヌ・ソマーズ、パティ・ハースト、ジョーン・リヴァーズ、ウォルト・マクファーソン 他




閑静な住宅街に暮らす主婦ビヴァリー。歯科医の夫と二人の子供を持つ、よき妻・よき母親だった。ある朝、彼女の家に、二人の警察官がやってくる。警察官は近所のヒンクル夫人が、卑猥ないたずら電話や郵便物に悩まされており、捜査しているという。心当たりがないと警察官を返し、その後、いつもように家族を送り出したビヴァリーは、自室から近所のヒンクル夫人にいたずら電話をかけ、卑猥な言葉を連呼するのだった。その日は、息子チップの高校でPTA面談がある日。面談で、担任教師からチップがホラー映画にかぶれすぎており行動に問題があることを告げられ、さらに家庭に問題があるのではないか?カウンセリングを受けた方がいいと言われ、彼女は激昂。帰宅する担任教師を待ち伏せて、車でひき殺してしまう。後日、バザー会場を訪れた彼女は、娘が恋しているカールという男子生徒が、別の女の子とデートをしているのを発見。不快に思ったビヴァリーはは、トイレでカールを火掻き棒で串刺しにして殺してしまう…というストーリー。

実は、本作、長らく観たくて仕方なかったの。どうしても見たいんだけど、日本ではDVDが販売されていなくて、レンタルビデオ落ちを見つけるしかない状態。それで、アメリカのamazonで探してやっと発見したんだけど、やっぱり字幕ないと厳しいよなぁ…って断念。あれから10年ほど経ってやっと鑑賞できた。

「まだ被害者は誰一人として賠償金を受け取っていない…」的な日本語字幕があるので、そんな事件があったのか…と素直に調べちゃったが、そんな事件はない。やっと観ることができて浮かれてたな。クソ、騙された。よく見ると“the story is completely fictional.”って書いてあるし。
いくらなんでもこんな実話あるか?こういうタイプの女性のシリアルキラーって聞いたことないぞ?いやいや小説は事実より奇なりっていうしな…なんて結構信じちゃったじゃないか。なんか腹立つわ。

ストーリーは大きく分けて2パートに分かれる。前半はビヴァリーが犯行を重ねていく展開。独自の倫理観を振りかざし、それからはみ出る人間は容赦なく殺していく。にっこりと。ビデオを巻き戻さない客に腹を立てて(厳密にはバイトしている息子に逆らった客なんだけど)、その人の家にまでいって殺すんだけど、「巻き戻せ~~!!」って言って殺すんだもの。

自分が犯人だとわからないような工作はほとんどしない。担任教師はひき殺しっぱなしだし、ビデオ巻き戻さないババァ人目につかないように忍びこんだりはするんだけど、それは犯行を見つからないようにするためではなく、すみやかに殺すための手法でしかない。自分には非がないと思い込んでいる確信犯という設定なのかな…と思っていたのだが、犯行を屋根から見ていた人のことは追いかけて口封じしようとするところを見ると、そうではない模様。彼女は、家族にだけは(特に息子には)殺人者であることを知られらたくないっていう行動原理があるってことに気付く。
まあ、もちろん家族は気付かないわけがないのだが。

後半は、裁判になるが自分で弁護するという展開に。頑なに自分は犯人じゃないというビヴァリー。自分のやったことが正しいことだ!と主張するわけじゃなく、検察側の証拠や証言をどんどん崩していく無双っぷりを発揮する。これは彼女が確信犯ではなく、自分のやっていることが社会的に許されることではなく、自分の倫理観を振りかざしてしまうと有罪になってしまうことを理解しているということだ。でも、家族には自分はやっていないの微笑むというこの怖さ。

最近の日本でも見られるが、犯罪者を崇める人物が出てくる社会現象が発生する。このシニカル要素とビヴァリーの狂人っぷりが並行して描かれるのがユニーク。公判中もシリアルキラーっぷりを発揮してイライラしまくる彼女は、秋には白い靴は履くもんじゃない!っつって、陪審員の女性にイライラする。
被害者の弟が、兄が殺されたことでクレームに来て、息子チップに喰ってかかるのだが、“シリアル・ママ”がTVドラマ化されると聞いて、おとなしくなっちゃうのとかは、やりすぎ演出かもしれない。さすがにここまでくるとコント臭が…。

(以下、ネタバレ)
で、無罪を勝ちとったのはいいけど、「どうしよう…」って狼狽する家族。そして、“白い靴”の女への怒りを爆発させるビヴァリー。ビヴァリーを演じる予定の女優の“こりゃ、マジもんだ”って顔。最初から最後までカオス状態を維持して、突っ走りきった作品。奇作だけど良作。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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