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公開年:2000年
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:ガス・ヴァン・サント
出 演:ショーン・コネリー、F・マーレイ・エイブラハム、アンナ・パキン、ロブ・ブラウン、バスタ・ライムス、マイケル・ピット、マイケル・ヌーリー、リル・ゼーン 他
コピー:あなたが教えてくれた、人生がこんなに美しいこと。
ジャマールは、ニューヨーク・ブロンクスの公立高校に通う16歳の少年。友人とともに得意なバスケを愉しむ毎日だったが、実は、読書や自分の思いを書きためるほど文章を書くことが大好き。しかし、勉強好きと周囲から思われるのを嫌い、ひた隠しにしていた。ある日、友人たちにそそのかされて、ミスター・ウィンドウとあだ名される謎の老人の部屋に忍び込むジャマール。何も取らなかったが、あわてて飛び出したせいで、リュックを置き忘れてしまう。リュックの中にはジャマールが書きためていた自分の創作ノートが入ってた。リュックを取り返してもらおうか、老人のアパートの前で考えあぐねていると、部屋の窓からリュックが落とされる。戻ってきたリュックの中のノートには赤字で老人の批評がびっしりと書きこまれており…というストーリー。
一風変わった老人と前途有望ながらも問題を抱える若者が出会い、人生の手ほどきを受けるというプロットは『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』と非常に近い(脳裏をかすめた人も多いに違いない)。日本だと職人の師弟の間でこういう関係は見られるが(料理人修行のストーリーとかね)、普段の生活の延長の中ではめずらしい。邪悪ではあったが『ゴールデン・ボーイ』もそんな感じだったし、アメリカでは比較的自然なことなのかもしれない。打算的に依存しているわけでもないし、単なる馴れ合いでもなく、年の違いを超えて大人同士として礼儀をわきまえて付き合う姿は、非常にスマートに感じる。
生活環境が悪い中で自分の才能を開花させようとする若者と、世間との関係に失望し自分の才能を発揮する機会を閉ざしてしまった老人。出会うはずのない二人が文章という共通点をきっかけに出会う。各々の生活にはそれぞれの解決すべき問題があり、お互いに影響を与え合うことで、それぞれが変わっていくというのは、良いシナリオの王道である。
実に巧みで「やられた!」と思ったのは、バスケ部仲間との軋轢のくだり。きっと、この感じの悪い金持ちライバルとは、もうひと悶着あるっていう伏線のセットアップなんだろうな…って思っていたのだが、実はフリースローのためだけの前フリで、本筋の悪役ではないというスカし。わざとはずしたのか?って思わせるための伏線って、そこに使うかー!っていう驚き。こういうスカしは大歓迎。
そのバスケ部のライバルに代わって、本筋の悪役になるのが、作文のクローフォード教授。クローフォード教授とは、フォレスターも過去に関わりがある。ジャマールとフォレスターの直接関係だけでなく、ジャマールとクローフォード教授の関係、フォレスターとクローフォード教授の二つの関係が、さらに関係するという、関係の二重構造も実に巧みだと思う。最終的にクローフォード教授をとっちめるくだりは、溜飲を下げるに充分(こういう輩は社会に多いからね)。『YAMAKASI』みたいな、チョンボはやらかさない。
盛り上がりや話のダイナイズムは『セント・オブ・ウーマン』のほうが上だと思うけど、まとまりや巧みさという観点ではは本作のほうが上だし、丁寧でかつ自然な仕上がりに非常に好感が持てる。
最後の相続のくだりがいるかいらないか、好みの分かれるところだろう。でも、マット・デイモンが出てくるのには、思わずニヤリとしちゃうし、本作が、ガス・ヴァン・サントの中で、『グッドウィルハンティング』の正統な流れってことを表しているとも言える。
とにかく、シナリオのセオリーをはずしておらず、穴が無い。難点は、結局二人の主人公は、素晴らしい才能の持ち主で、私たちポンコツとは違うってことだけ(笑)。それを、共感できない決定的な壁と感じた人には、おもしろく思えないかもしれない。問題はその程度で、とにかく実にうまいので、お薦めしたい。
#私が褒める作品は、案外、受賞歴が無かったりする。一般的な感覚とズレてるのかなぁ。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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