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公開年:1987年
公開国:日本
時 間:48分
監 督:平田敏夫
出 演:井上和彦、鶴ひろみ、屋良有作、池田昌子 他








4世紀頃の古墳時代。ヤマト国の王子ヤマトオグナは、父である大王から、クマソ国の酋長川上タケル征伐を命じられる。川上タケルらが作ろうとしている歴史書の内容が、ヤマト国にとって不都合だったからだ。クマソ国に潜入したオグナだったが、川上タケルの妹であるカジカと出会い恋に落ちてしまう。そして、オグナはクマソ国で、その血を飲めば永遠の命が得られるという伝説の“火の鳥”の存在を知る。川上タケルはオグナを認め、カジカとの婚姻を認めようとする。しかし、オグナは父からの使命との間で苦悩した末、川上タケルを殺害。一転、愛したカジカに仇をして追われる身となり…というストーリー。

これは宇宙編と同様、OVA。短い。

古事記や日本書紀の内容に沿ったエピソードなのだが、まず、川上タケルが作ろうとしている歴史書の内容の都合が悪いから殺せ!という、極めて中二病的な設定であることに着目しなくてはならない。そして、対立する国のトップの縁者である若者同士が恋におちるという『ロミオとジュリエット』的なプロット。憎んでいるけど、愛してるという少女マンガか昼メロかっていう両者の感情。
そう、まずこの原作のストーリー自体が、ものすごいメロドラマであることに気付くべき。だから、やりすぎだ!悪ノリだ!って言われるくらい、メロメロのメロドラマ、それも仰々しいくらいの
ベタベタ演出をしなくてはいけないのに、それができていない。なんなら、全編、宝塚調にするとか、ミュージカル調でもよかったくらい。

この編は、短い時間にまとめるには適しているんだけど、実は、一番アニメ化に向いていないと思う。
それが一番顕著に表れているのが、タケルとカジカが埋められた後も、しばらく生きているというシーン。埋められた様子が、画面の周囲はモヤがかかった感じで表現されている。これは原作も一緒。これをそのままアニメにしたところで、何の利点も無い。だって動かないし、何なら音声だけで済んじゃうんだもん。極めて漫画的な簡略表現であり、台詞で想像させるという意味では小説的でもある表現。この表現をズルっと変えてしまうことこそ、アニメ化する意味なんじゃないかと思うのだ。それをそのままにした時点で、駄作である。
#原作を読んていたときは、けっこう肉体が朽ちているのに、生きていたりするのかなぁ…とかいろいろ想像したものだよ。

宇宙編のOVAがまあまあだったのは原作が優れていただけってことを考えると、りんたろうチームは“火の鳥”のアニメ化には向いていなかったということか。まあ、手塚治虫作品の演出を、ずるっと変えちゃう勇気がある人はなかなかいないだろうけど、きちんと相談すりゃ、手塚治虫もおもしろがってくれたと思うよ(相談できたギリギリ最後の時期だったね)。
まあ、そのままアニメかすりゃウケるだろ!っていう短絡的な感覚もあっただろう。

火の鳥のアニメ化作品の中で一番悪い出来映え。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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