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公開年:2009年
公開国:日本
時 間:94分
監 督:板尾創路
出 演:板尾創路、國村隼、ぼんちおさむ、オール巨人、木村祐一、宮迫博之、千原せいじ、阿藤快、津田寛治、笑福亭松之助、石坂浩二 他
コピー:その逃亡、ワケあり。
板尾創路が魅せる、“獄”上クライム・ラビリンス!
鈴木雅之という男が信州第二刑務所に移送された。彼はこれまでに二回も拘置所から脱獄しているという曰く付きの囚人であったが、この刑務所でも収監されてからたった1時間で脱獄を成功させてしまう。しかし、鈴木はあっさりと捕獲され、再度収監される。看守長の金村は、鈴木の行動に不審なものを感じ取るが、その真意まではどうもわからない。その後も鈴木は、収監される先々で簡単に脱獄を繰り返し、“脱獄王”の異名がつくほどの有名人となり、英雄視されるまでに。脱獄を繰り返したため、元々は微罪だった刑期は加算に加算をかさねており、ついに、入れられた者は二度と娑婆を拝むことができないと噂される“監獄島”に送致されることが決定する…というストーリー。
どうも、この作品を軽く考えておられる人が多いので、はじめに言っておく。まだ監督としてのキャリアも浅く、補うべき部分は散見され、稚拙な面もあるのは事実だが(金村をなんで特別視したのか…とか)、“映画”であるためのツボは完全に押さえられており、実に映画監督らしい映画監督が誕生したと言いたい。
奇を衒った作品ばかりの昨今、そのモヤモヤした不満をさっと晴らしてくれたような気すらしている。見事な作品だと思う。
私はあえて、本作をコメディにカテゴライズはしなかった。世の皆さんは、板尾創路といういう人間がお笑い芸人だということで、はじめっからコメディだと勝手思いこみ、ちょっとした演出がすべて笑わせることを目的にしているという先入観に捉われたのではなかろか。その落とし穴にはまり、一生懸命、笑うポイントでもさがしていたのでは?私は劇場に足は運ばなかったが、そんな見方をした人たちがゲラゲラ笑っているところで、本作を観なくてよかったとすら思っている。「ゲラゲラ笑うことじゃねえだろ!」って憤慨していたこと必至である。
注目すべき出色な点は、複数の要素の距離感が絶妙ということである。非常に説明しにくいので、例を出して説明するが、これは天性の素質なのか否か。
拘束された独房のなかで、中村雅俊の「ふれあい」を歌うシーン。おそらく笑いがおこった映画館もあるだろうが、ここはニヤリとはすれどゲラゲラ笑うシーンにあらず。①しっかりと歌い上げる行為の馬鹿馬鹿しさ、②唄いたくもなるせつなさと哀愁、③でもその歌が時代にマッチしてない不条理感。
この3つの要素の距離感がものすごいよろしい。脳内というのは、複数の記憶の間を電流が流れ、結びついたときに快感を得られる。その電流の具合によって、“笑い”にもなるし“感動”にもなるのだが、実は“笑い”が生じるということは、いささか脳は苦痛と感じている証拠でもある。そのストレスを解消するために“笑い”を発生させ、快感物質を出して緩和させようとするのだ(私、脳科学者じゃないのでウソかもしれないけど)。本作の演出は、“笑い”ほどストレスも感じさせず、“納得”ほどすっきりでもない中間の刺激。私にとっては実に心地よい。この刺激こそ、“芸術”の本質ラインだと思うのだが、皆さんはそう思わないだろうか。
二回タイトルコールをするところは、いささか“笑い”に倒れた感じなのだが、これは、本作をコメディだと思わせるミスリードである。それを明示的に意図した仕掛けができているとしたら、もうヒッチコックばりの名監督である。あ、タイトルに板尾創路とつけているのも、その狙いを臭わせる隠喩か。
ん~。深読みしすぎといわれようがなんだろうが、私の脳内は“ユーリカ!”を叫んでいる。映画監督としては、まちがいなく松本人志監督よりは高いところにいる。ものすごくお薦めなのだが、世の中にはこれをいまいちと感じる人が相当数いることも知っている。おこがましくて、これが判るヤツだけが賢いなんて言う気は更々無いが、もうちょっと、この良さがわかる人が増えて欲しいとは思う(よしもとサイドもこの作品のスゴさを判った上でプロモーションしているのかは、甚だ疑問なんだけど…)。板尾監督には是非続編をつくっていただきたい。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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