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公開年:2013年
公開国:アメリカ、ニュージーランド
時 間:161分
監 督:ピーター・ジャクソン
出 演:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ベネディクト・カンバーバッチ、オーランド・ブルーム、エヴァンジェリン・リリー、リー・ペイス、ルーク・エヴァンス、スティーヴン・フライ、ケン・ストット、ジェームズ・ネスビット、ミカエル・パーシュブラント、シルヴェスター・マッコイ、エイダン・ターナー、ディーン・オゴーマン、グレアム・マクタヴィッシュ、アダム・ブラウン、ピーター・ハンブルトン、ジョン・カレン、マーク・ハドロウ、ジェド・ブロフィー、ウィリアム・キルシャー、スティーヴン・ハンター、ジョン・ベル、マヌー・ベネット、ローレンス・マコール、ピーター・ジャクソン 他
受 賞:【2014年/第23回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(オーランド・ブルーム&エヴァンジェリン・リリーvsオーク軍団)
コピー:邪悪な竜、目覚める。


邪悪なドラゴン、スマウグに王国エレボールを奪われたドワーフの王子トーリンは、王国奪還のために旅に出る。その旅に、灰色の魔術師ガンダルフに誘われて帯同している、ホビット族のビルボ。やがて、ガンダルフはもう一つの危機を感じ取り、闇の森の前で旅団を離脱。邪悪なネクロマンサー復活の噂を確認するためにドゥグルドゥアに向かうのだった。ガンダルフと別れたトーリン達はは闇の森で巨大クモの襲撃をうけ、捕食されそうになるが、ビルボが指輪を使ってクモを撃退。加えて森のエルフの王子レゴラスと闇の森の守備隊長タウリエルの援護によって難を逃れる。助かったものの、森のエルフはドワーフを毛嫌いしており、エルフの目を逃れたビルボの除き、一行は捕えられてしまう。特に、過去の因縁から恨みを忘れていないレゴラスの父であるスランドゥイルは、トーリンの望みを聞き入れることなく彼らを投獄してしまう。また、息子レゴラスがタウリエルに好意を寄せていることを知ったスランドゥイルは、身分の違いを理由にタウリエルを叱責。しかし、当のタウリエルはレゴラスに好意を持っておらず、獄中のドワーフの1人・キーリと種族を超えて意気投合し、互いに意識するようになる。その後、密かに侵入したビルボの助けにより一行は脱出に成功。しかし、エルフの里の外で待ち構えていたオークたちの襲撃にあってしまい、辛くも逃れるがキーリは毒矢を受けてしまい…というストーリー。

前回は旅に誘うだけで終わってたからなぁ。いい加減にせいよ!ってレベルの進度で、これはいかんでしょ!と思ったものだが、2作目は話がスイスイ進む。やっと動き始めたって感じ。

『LOTR』の時と同様に、別行動するガンダルフ。別行動の理由も、ドワーフたちが底抜けにバカではないので説明すれば理解できるのの、ちゃんと説明せいないガンダルフ。ヨーダ並みに“よく考えたら無能”キャラだわ。もう、ここまでくると、ガンダルフの方が説明する能力ないバカに見えてくる。
エルフ、歳取らず。オーランド・ブルーム演じるレゴラスは、そのまんま。エルフがくるのが、非常に良いタイミングで、さすがピーター・ジャクソンって感じ。タウリエルのくだりは、なんで、エゴラスがドワーフが嫌いなのか?っていう『LOTR』のキャラ設定の補足になってるのね。おもろい。

エルフの里脱出後の、川下りのシーンがおもしろいなぁ。ジョイポリスとかでアトラクションにしてくれないかなと思うくらいおもしろい。おもしろすぎて、観てるうちに、旅の目的な何だったかすっかりわからなくなる。そのくせ、旅の目的とは無関係な部分で、必ず感情が動くようなエピソードが挟まれるのも優秀。

『LOTR』に出てるキャラは、死なないことが確定なので、ハラハラ感が削がれることは、難点ではある。しかし、(特にレゴラスだが)死ぬか死なないかのハラハラではなく、目的を果たせるかハラハラ、果たせなくてイライラっていう部分に焦点を当てる演出になっているのもウマい。

設定的には“邪悪なドラゴン”という扱いなのだが、ドワーフ=強欲という観点が加わり、実際にトーリンがクソ野郎なんじゃないかという描写も散見されるせいで、何か、スマウグの言っていることが正論で彼こそ気高い存在のような気がしてきた。

で、竜の鱗が一枚取れているとか、前の戦いで弓の達人バルドご先祖様がやらかしたエピソードとか、散々伏線を張っておきながら、未回収のままスゴイところで“続く”となる(前回もそうだったけど)。

まあ、たしかに続きを観たいいう枯渇感は涵養される。でも、小エピソードのひとつくらい、本作内で終わらせてもよさそうなもんだよね。

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公開年:2013年
公開国:イギリス
時 間:116分
監 督:ディーン・パリソット
出 演:ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、メアリー=ルイーズ・パーカー、イ・ビョンホン、アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ブライアン・コックス、ニール・マクドノー、デヴィッド・シューリス、スティーヴン・バーコフ、ティム・ピゴット=スミス、ギャリック・ヘイゴン
コピー:若造に世界が救えるか!!



元CIAの腕利きエージェントだったフランク・モーゼズは、引退後、恋人サラと田舎町で平穏に暮らしていたが、サラは退屈な生活に飽きはじめ、関係がギスギスしはじめていた。そんなある日、スーパーで買い物中に元相棒のマーヴィンが現れ、一緒に仕事をしないかとしつこくに誘ってくる。田舎暮らしに大満足しているフランクは頑なに断ったが、駐車場にいくとマーヴィンの乗った車が大爆発。マーヴィンの葬儀に参列した後、FBI捜査官に連行されしまうフランクは、取り調べで“ナイトシェード”という計画について執拗に聞かれる。シラをきり続けるフランクだったが、特殊部隊が取り調べ室を急襲しフランクを抹殺しようとする。何とか抵抗するも多勢に無勢で、あわやというところに、死んだはずのマーヴィンが登場しフランクを救出。なぜかサラも一緒で、激怒するフランク。核爆弾の部品を密輸し現地モスクワで完成させるという、冷戦時代のナイトシェード計画に関する機密文書がウィキリークスで公開されたことが、この騒動の原因だと知ったフランク。当時、フランクとマーヴィンは、ナイトシェード計画の責任者を護衛していたことから、何か関係していると判断され、2人は国際手配されてしまい各国の諜報機関から命を狙われることに…というストーリー。

はじめの方の、書庫での戦闘がおもしろい。老体なら老体なりのアクションができるし、そのほうがリアル。『エクスペンタブルズ』みたいな老いても超人みたいなのよりは、臨場感を感じる。

イ・ビョンホンは韓国人役でよかったね。日本人とか中国人の役だとまた本国人から発狂されるし、こっちも迷惑だわ。でも、前作でイ・ビョンホンってどんな役だっけ?と思ったけど、前作出てなかったわ。たぶん他の映画の記憶(『G.I.ジョー』とか)。てか、マッチョでシュッとしてるのは認めるけど、ほとんど同じような役でしか需要がないってのがね。

フランクたちはテターボロ空港から出発するらしい⇒じゃあそこに…って、アメリカってフライトプランも出さんで行き先変更、簡単にできるもんか?まあ、政府から依頼された仕事だし、どうにでもなるってことなんだろう。でも、飛行機とられちゃう。そのあとも、ドアとれるんなら、もっと早く取れよ!みたいなシーンとか、イ・ビョンホンは真顔でギャグをやる演技を求められている。地味に難しい役かもしれない。真顔の演技まではやりきったと思うのだが、それを笑いまで昇華できていないのは残念だった。
韓国公開での収益を期待したという側面もあったあろうけど(もしかしたら資金も流れたかも)、韓国市場はあんまり商売にならないよ。だから、こういう流れは減ると思う。イ・ビョンホンは細かいことにこだわらず、韓国から離れて仕事をしたほうがよい(成功するかどうかは知らん)。

ほかにも、なんであのしみで“カエル”だとわかったか?とか、etc…、細かいことはみなまで説明しないのが本作。さらっと、フランクが言いそうな範囲で説明するだけ。それもセリフで。観客がおや?と疑問を抱くのは必至なのだが、流れがつかめればいいんだから、観客はよくわからんままでもいいというスタンス。そして、仮に観客の脳内で解決できなかったとしても、それをなぎ倒して展開する疾走感。シナリオのお手本になるな。このさじ加減。

ヘレン・ミレン演じるヴィクトリアの女王様妄想患者狂言が笑える(もちろん『クィーン』を演じたっていうキャリアを踏まえてのギャグね)。キャストに関していえば、マルコヴィッチ、メアリー=ルイーズ、ゼタと、コメディよりの作品とは思えないキレキレの演技を見せてくれる。いや、コメディだからこそ、マジメにキレキレじゃないといけないというお手本だわ。凡作以上良作未満だけど、キャストのお仕事のおかげで、安定の娯楽作品になってる。

珍シーンとしては、出ました『トゥルーライズ』以来の近距離核爆発を眺めてのラストシーン。市街地で爆発しなけりゃ、平和みたいっす。さすが欧米クオリティ。

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公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:81分
監 督:ハワード・E・ベイカー
出 演:ライアン・マクパートリン、イヴォンヌ・ストラホフスキー、ロジャー・ローズ、ジェフ・ベネット、ポール・マイケル・グレイザー 他







レゴの世界。探検家のクラッチ・パワーズは、レゴ社のボスから召集される。武器のスペシャリストのブリック、生物学者のペグ、天才エンジニアのバーニーとチームを組み、宇宙の超特大刑務所“流刑惑星X-4”でおきた囚人の反乱の状況調査するミッションを任された。さっそく宇宙船で現地へ向かったものの、囚人たちの罠にはまり、宇宙船を奪われて囚人Ωの脱走を許してしまう。囚人Ωの正体は黒魔術師マロックで、魔法の世界アシュラー王国を支配するために“黄金の剣”を探していることを知ったクラッチたちは、王国のある惑星へ急行。黄金の剣の正当な継承者であるレヴェット王子を支援して、マロック打倒に立ち上がるが、肝心のレヴェット王子が臆病者で…というストーリー。

すっかり『LEGO(R)ムービー』だと思って借りてしまった(まだレンタルしてないか)。なんかつまんねーな…と思って調べて、別物であることに気づき、さらに観る気が減退してしまった。

ストーリーがあまりに凡庸。夏休みとかにNHK教育テレビでやりそうな感じだけど、放送されてたからってあえて観ようという気にならなそう。

せっかくのレゴの世界なのに、いまいちユニークさを出せていない。『インディ・ジョーンズ』シリーズとか『エイリアン2』など、著名なアドベンチャー作品をオマージュしているのかもしれないが、意図的に探さないと気づかないレベル。こういうのは、観客に気付かせてニヤリとさせないと意味がない。
レゴ自体は“リアル”なツールでしょ。カチャカチャ宇宙船とかを組み立てるシーンとかは非常におもしろいんだけど、魔法っていう“リアルじゃないもの”を対峙させるのが、意外とアンマッチだだった。世界観の醸成を阻害していたと思う。

細かい演出もセンスがない。骨で“LEGO”というメッセージをおくり、それが難局打開の鍵とか(世の中全部レゴなのに)、そういうメタっぽいネタみたいの、ちっともおもしろくない。
全部が全部、実際のレゴパーツで表現できていないこと(まあ、全部は無理なんだけど)が、意外と興醒め感を生んでいる。構造物がレゴで作られているのはよいのだが、その他の世界のほとんどがレゴブロックじゃなかったりする。どこまでがレゴで、どこまでがそうじゃない世界なのか、ポリシーというか定義は必要だと思う。

均質であることに対する、得体の知れない愛着というか興味みたいなもの(うまく表現できないけど)こそ、レゴの魅力だと思うのだが、それが全然湧いてこない。製作側がレゴの世界観をさほど愛していないのが伝わってくるようだし、子供だまし意識すら感じさせるのが敗因だと思う。
大人もかつてはブロックで遊んだ子供。レゴに対する思いではあるので、マジメすぎるほどマジメにつくらないとダメってこと。

ストーリーも気持ち悪い。チーム内の恋愛とか、全然おもしろくない。というか、チームにした点が生きていない。主人公のファザコンっぷりが気色悪い。急に王子に責任感が生まれたスイッチがまったく不明。なんで、クラッチはあっさり剣を抜くことができたのだろう…。etc。

っていうか、この作品、“レゴ キャッスル ガイコツの塔”っていう商品販促ビデオみたいなものだよね。本当に子供騙し作品って、イライラする。『LEGO(R)ムービー』はきちんとしていることを祈る。
#ガイコツさんのレゴはほしいんだけど、実際のボディは本作のとちょっと違うんだよなぁ…

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公開年:1998年
公開国:フランス
時 間:120分
監 督:セドリック・カーン
出 演:シャルル・ベルリング、ソフィー・ギルマン、アリエル・ドンバール、ロバート・クレイマー 他







妻と別居中の哲学教授マルタン。周囲に本を執筆すると吹聴しているが、執筆どころかあらゆることに行き詰まり感を覚えており、資料集めすらしていない。ある日、バーで飲んでいると、老人の客が支払いのトラブルをおこすので出くわす。何気に代金を支払って助けてやると、画家だと名乗る老人は、金の代わりだといって絵をマルタンに渡すのだった。その絵は、裸婦像で、どうしてもその絵のことが気になったマルタンは、後日老人の住居を突き止めて出向いていく。しかし、近所の人から老人が数日前に死んだことを告げられる。マルタンは、無断で老人の部屋に入り込む。すると、一人の若い娘が出てくる。その娘の肉感的な体を見たマルタンは一目で絵のモデルであることに気付く。老人の親しい友人であったと偽り、セシリアと名乗る娘と会話を重ねるうちに、その場で関係を持ってしまう。以降、体を重ねるだけの官能的な毎日を続けるマルタンは、特に美人でもないが奇妙な魅力を持つ彼女にすっかり夢中になってしまう。しかし、そっけない態度や、自由奔放で他の男性とも簡単に関係を持ってしまう彼女に、日常生活が困難になるほどに苦悩していき…というストーリー。

裸がどうのこうのじゃなく、全編ほぼひたすら性行シーンで、完全にポルノだなぁ…ってR-18だから当然か。

なんか神経質そうな40すぎのおっさんが、エロくてアホな小娘にハマるお話。こんな小娘に夢中になっている自分が許せないのか、友人(女性)に、別れたいけどこっちから切り出したかわいそうだとか虚言を繰り返す。本当は友人に相談に乗ってもらいたいんだけど、本心を言うとはずかしい。だけど、自分が若い女と付き合っていて性的な魅力が高い人間であることもアピールしたいという、とにかく面倒くさい男。
セシリアのネジがはずれているのはしょうがない。そういう女性なんだと思う。たしかに、どういう価値観を持った人間なのか、何を欲しているのか、将来的にどうしたいのか等々、まったく見えてこないので、非常にミステリアスに見えてしまう。いろいろ、いじわるしたり試したりしても、さっぱりわからない。絶対に本当の自分というのが裏にいて、自分には見せていないのだ…、なんとか“彼女自身”を見出してやろうという欲求がふつふつと湧いてくる。

彼女がなんで自分なんかと付き合ってくれているのかも分からないから、得も言われぬ不安がおそってくる。毎日会っているのに不安になってくる。そんな中、突然毎日は会えないなんて言われるもんだから、浮気を疑う。きっと隠しているんだと躍起になるが、彼女は隠したいわけではない。めんどうくさいから言わないだけ。隠すとかえって面倒くさいことになりそうな感じなると、何の躊躇もなく白状する。だから、ごめんなさいとか、そういう感覚もない。

で、マルタンもマルタンで、別れるかっていうと、二股を許容する。でも、明るく許容するわけではない。グギギギギ!!!とますます歯ぎしりしながら付き合い続ける。ストーカーまがいの行動も加速する。嫌がられてちょっと距離が置かれるのかな?と思いきや、逆にセシリアはマルタンを家族に紹介したりする。

まあ、破滅以外にオチはないのだが、どれだけ、グチャグチャ、ボロボロになって破滅するのかが、本作の見どころ。身も蓋もない性描写だが、ひたすら男が自分の精神的な欲求を処理できずに苦悶する姿を描写することが、主眼のお話なので、いまいちポルノという感じがしないのが、不思議なところ。ストーリー自体は文芸作品の域だと思う。よく女優さんが「脱ぐ必然性があったので脱ぎました」とか言うでしょ。本作はまさにそれで、とにかく、あっけらかんと脱いで性行為をする場面を描写しないといけない。変に隠したりぼかしたりすると、本当にポルノになっちゃうので、ストレートにしないと方向性がおかしくなってしまうんだね。

結構、衝撃なのが、セシリアがおしっこした後に、大型のタオルで股間を拭くシーン。これ、フランスじゃふつうなの?拭いた後、ふつうに壁にかけてるんだけど、共用? もしかしてトイレットペーパー流せないのか?(じゃあ大便の時はどうする?) そのシーンで少し思考がフリーズしてしまったわ。

セシリアのとある行動で、性的に奔放なだけでなく、社会性とか通常の情動のレベルでかなり欠陥のある人間であることが発覚する。いい加減、マルタンは目覚めてもいいんじゃないの?と思うのだが、ラストは…。
もう、裸にはうんざりしてしまったけど、渡辺淳一の作品とかよりは愉しめたかな。

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公開年:2013年
公開国:日本
時 間:128分
監 督:佐藤信介
出 演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、西田尚美、橋本じゅん、鈴木一真、相島一之、嶋田久作、児玉清、栗山千明、石坂浩二、テイ龍進、波岡一喜、落合モトキ、井坂俊哉、工藤俊作、阿部丈二、草薙良一、増田修一朗、俊藤光利、大迫一平、植木祥平、松崎裕、朝香賢徹、荒木貴裕、生島勇輝、大塚幸汰、中村織央、和田亮太、井出卓也、大塚ヒロタ、前野朋哉、岸本尚子、吉岡奈都美、五十嵐麻朝、上野直人、廣瀬裕一郎、千野裕子、山森大輔、春日井静奈、寺田伽藍、西田奈津美、桝木亜子、満田伸明、西守正樹、加藤貴宏、河野マサユキ、瀧口亮二、亜佑多、夛留見啓助、新田匡章、渋谷謙人、内ヶ崎ツトム、根本太樹、黒石高大、沖原一生、北代高士、熊川雄大、斉藤悠、塩見大貴、山口航太、三元雅芸、佐藤誓、樋渡真司、国枝量平、岩手太郎、清水一彰、大久保運、平野靖幸、剣持直明、須田琉雅、吉澤実里、平澤宏々路、碓井由美、石田由紀子、岸田タツヤ、増田俊樹、大塚和彦、青木一平、田野良樹、内藤トモヤ、黄田明子 他
コピー :本のために、あの人のために。

1988年(正化元年)“メディア良化法”が制定され、風紀を乱す表現を含むと判断されるメディアを取り締まることが可能となった。政府は検閲のための武装組織“メディア良化隊”を結成し、各地の図書館・書店の書籍を灰燼と化してきた。文化の衰退を恐れた図書館は、2004年(正化16年)、読書の自由を守る自衛組織“図書隊”を結成。以降、両陣営の死闘が繰り返されてきた。2019年(正化31年)、図書隊に笠原郁が入隊する。彼女は、高校生のときに図書隊隊員に読みたい本と彼女自身を助けてもらった経験があり、その隊員のようになりたいと、入隊を希望したのだ。担当教官となった二等図書正・堂上篤は、笠原を容赦なく地獄の特訓に放り込むが、元々男子顔負けの身体能力だけが取り柄の笠原は、意地で喰らい付いていき、とうとう女性初の図書特殊部隊ライブラリータスクフォースに配属されるまでに成長する。そんな中、小田原にある私立の情報歴史図書館の館長が死亡する。良化隊とはいえ私有財産の検閲まではできないために、これまで難を逃れてきたが、所有者がいなくなれば検閲は可能。そしてその図書館には、メディア良化法成立に関する、政府側が知られたくない資料が存在すると噂されており…というストーリー。

本当は、あまりディテールに観客の目を向かせてはいけない作品だと思う。たとえば、笠原が憧れる王子様のくだり。堂上の行いは、いくら図書隊のことがニュースにならないといっても、図書隊が不利な事件だったんだから、調べれば記事くらい残ってるだろう…とか。いくら逆光で後姿しかわからんといっても、声と慎重と担当地区からある程度の予想はできるだろう…とか、なぜか堂上だけは王子様候補から除外されているのは都合がよすぎるだろう…とか。
小田原の図書館が私有財産だから検閲できないっていうけど、書店にある書物だって私有財産だろ…とか。誰かに相続されるんだから、所有者が死んだって、私有財産だろ…とか。etc。
原作ではきちんと説明されているのか知らんけど、映画を観ている分には、ツッコミし放題。まあ、明治=M、大正=T、昭和=Sときて、正化=Sはあり得ないんだから、その程度のレベルだと、早々に諦めをつけるのが正しいのだろう。

しかし、“観客に余計なことを考えさせるな”は、映画の鉄則だと思う。どんな作品だって穴はある。別に観客は穴探しのために映画館に足を運んでいるのではない。愉しむためならいくら騙してもらってもかまわないと思っているのに、わざわざ綻びを見せて興ざめさせるという無能っぷりを発揮する必要はない。何が言いたいかというと、本作は、冒頭から38分くらいまでに、日本映画のダメさが、ギュっと濃縮されてのだ。なんなら、38分から観始めたほうが愉しめる(試してみて)。
メディア良化法の成立や、図書隊結成の経緯、笠原が入隊するまでのエピソード、現在の争点、世相などをだらだらと、それも“ナレーション”で説明するという愚策。
そういうのは、登場人物のセリフや現在進行形のエピソードを使って理解させるべきである。むしろ、観客に「え?それどういう意味?」「どういう状況?」と疑問を沸かせて、ストーリーを進行する上で答えを小出しにして、観客の頭の中に“ああ、そういうことか!EUREKA!”を作っていくのが常道だろう。シナリオが悪いのかもしれないし、監督のセンスがないのかもしれないし、こんな編集で良しとした製作側が悪いのかもしれないが、とにかく、頭から38分くらいまではイライラする。それで、128分まで上映時間が長くなっているというのも、釈然としない。
#38分迄はどうすべきだったのか?というのは、映画監督を目指す人のための、ワークショップのいい教材になると思う。

一応、褒めるところは褒めることにする。それ以降は、観られる。話が動き始めると、細かいことが気にならないので、とても愉しめる。原作の長さだとおそらく意味のあるキャラクターであろう、 田中圭演じる小牧や、福士蒼汰演じる手塚が、別に彼らじゃなくてもいい状態だとしても、疾走感がそれを上回る。
昨今焦点になっている児童ポルノの単純所持に関する法案とか、自衛隊の専守防衛に対する揶揄なんだろうな…と思うけど、後半はそんなこと、どうでもよくなるほど、ストーリーが動いている。本当に、面白い世界観だと思う。思いつきをこういう形に仕上げた、原作は秀逸なのだろうなと思う。

私の言い分を読んで、駄作だと忌避する必要はない。38分まで早送りするなり飛ばすなりすれば、とてもとても愉しめる。

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公開年:2013年
公開国:イギリス
時 間:103分
監 督:ジェフ・ワドロウ
出 演:アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、ジム・キャリー、モリス・チェスナット、クローディア・リー、クラーク・デューク、オーガスタス・プリュー、スティーヴン・マッキントッシュ、モニカ・ドラン、ロバート・エムズ、リンディ・ブース、ドナルド・フェイソン、オルガ・クルクリーナ、トム・ウー、アンディ・ナイマン、ダニエル・カルーヤ、ジョン・レグイザモ、ギャレット・M・ブラウン、リンジー・フォンセカ、ヤンシー・バトラー、ソフィー・ウー、ウェスリー・モーガン、ベネディクト・ウォン、チャック・リデル、イアン・グレン 他

かつて“キック・アス”と名乗って活動をしていたデイヴだったが、今は、ヒーローの姿を封印し、ごく普通の学生生活を送っている。一方の“ヒット・ガール”ことミンディも、亡き父の親友マーカスに引き取られ、ヒーロー活動を厳しく禁じられていた。卒業間近となったデイヴだったが、進路を決めることができずにいたが、再び正義の心に目覚め、再び活動することを決意。ミンディに頼み込んでトレーニングを受けるデイブ。ふつうの女の子になることを強いられていたミンディは、その反動からなのか、トレーニングをどんどんエスカレートさせていく。しかし、実地訓練の場で危険な目に遭わされたデイヴはミンディとモメてしまい、さらにミンディはマーカスにヒット・ガールとして活動していることがバレてしまい、謹慎を命じられてしまう。彼女とは決別して行動しようと考えたデイヴは、SNSでスターズ・アンド・ストライプス大佐が率いる自警団組織“ジャスティス・フォーエバー”の存在を知る。一方、3年前、キック・アスに父親を殺され復讐心に燃えているレッド・ミストは、マザー・ファッカーと名を改めて、世界中から暗殺者を集めはじめる…というストーリー。

“ゲロゲリ棒”に何の違和感も覚えなかったことこそ、本作が『キック・アス』の魅力をそのまま継承している証。ミンディを普通の女の子にしようとして、マーカスがセレブチームに放り込むんだけど、昨日『ミーン・ガールズ』を観たばかりで、タイムリーすぎて笑ってしましまったわ。

ノリは継承しているが、ストーリーはどうか。前作は“悪を憎む狂気”。その狂気が疾走するその先にあるものは?っていうのが見所だったと思う。では、本作は何か。理想と現実の折り合いのつけ方…だろうか。キックアスも、ヒット・ガールも、マザー・ファッカーも、そこで葛藤しているので、話の主軸がそれなのは間違いないと思うけど、そのテーマが面白いか?と問われれば、微妙と答えざるを得ない。落とし処を見つけることは大人への第一歩だとはいえるが、物語としてはハジケっぷりに制限をかけることと同意である。

キック・アスが見つけた落とし処“ジャスティス・フォーエバー”は、市井の犯罪にできる範囲で対処していく集団。もちろん銃火器は使わない。まあ、“割れ窓理論”的に非常に正しくて、小さい事からコツコツと。実は一番結果が得られる行為だと思う。ヒーロー界から見れば、ベンチャー企業に就職したようなもんだな。
前作では、名声こそ高かったがあまりにヘナチョコすぎたキック・アス。本作ではマジメに鍛えてマッチョに。ヒーローとして重要なのかもしれないが、立派な社会人として精進しているサラリーマンに見えなくもない。

一方、マザー・ファッカーは、マフィアのルールをまもるという現実と、復讐鬼に徹するという理想の間を葛藤し、後者を選択する(マフィアの叔父に真っ向逆らったのに、その報復は微塵も無いというのは、シナリオ的に未消化がすぎると思うが)。その結果、社会と折り合いをつけた大人側“ジャスティス・フォーエバー”と、選択しない子供側のマザー・ファッカー側との対決になる。
表面的にはマザー・ファッカー側は悪事の限りをつくすから敵役なんだけど、整理すると、構図的にはマザー・ファッカー側の方が自由を守っている集団に見えなくもないという。

まあ、何かハジケきれないのは、こういう構図が底辺にあるからだと思う。

その他にも難点はある。マザー・ファッカーが集めた要員のバランスの悪さ。というか、マザー・ロシアが強すぎる。そのおかげで、一番目立たせなければいけないヒット・ガールを、キック・アスのトレーニング要員と、マザー・ロシア対処要員としか使えなかったこと(ヒット・ガール不足を不満に感じた観客は多いと思う)。
また、友達のトッド(アス・キック)のくだりが不完全燃焼。敵にするならするだし、友情を復活させる流れを描きたいならもっと焦点を当てるべきだし。さらっと味方に戻しすぎ(この程度の扱いなら使わなくてもよかったくらい)。

前作の監督・脚本って『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の人だったんだねえ。そのままやってくれればよかったのにな。

まあ、いろいろ文句は言ったけど、続編としては全然アリだし、それなりに愉しんだことま認める。前作を観た人は観ないわけにはいかないだろう。

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公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:マーク・ウォーターズ
出 演:リンジー・ローハン、レイチェル・マクアダムス、ティナ・フェイ、ティム・メドウス、エイミー・ポーラー、アナ・ガステヤー、レイシー・シャベール、リジー・キャプラン、ダニエル・フランゼーゼ、ニール・フリン、ジョナサン・ベネット、アマンダ・セイフライド 他
受 賞 :【2005年/第14回MTVムービー・アワード】女優賞(リンジー・ローハン)、ブレイクスルー演技賞[女優](レイチェル・マクアダムス)、チーム賞(アマンダ・セイフライド、レイチェル・マクアダムス、リンジー・ローハン、レイシー・シャベール)



両親が動物学者で15歳までアフリカの大自然で暮らしていたケイディ・ハーロン。ずっと自宅学習だったが、母親がアメリカの大学で教えることになり、16歳になって初めて学校に通うことに。別に自分のことが特別だとは思っていなかったケイディだったが、いざ登校してみると勝手が一切わからず戸惑うばかり。しかし、奇抜なファッションのジャニスと、ゲイ男のダミアンが友達になってくれたおかげで、徐々に学校のルールを覚えていく。運動部、アジア系、オタクなど様々なグループがあったが、一番目立っていたのは“プラスチックス”とよばれるセレブ集団。リーダーのレジーナが女王で、グレチェンとカレンが付添い人のような関係。ジーナは毎年パーティ・クイーンに選ばれるほどの人気らしいが、ジャニスは彼女の性格は最悪だという。ある日、なぜかケイディはグレチェンに呼びとめられ、一緒にランチをすることに。そして、なぜかプラスチックスに入りたいなら、服装や相談事のルールを守れと、一方的に言われる。困惑するケイディだったが、ジャニスは彼女たちに恨みがあるらしく、弱みを握るために仲間のふりをしてスパイをしてくれと頼まれてしまい…というストーリー。

まず、両親の職業の関係で、いままで学校にいっていないという設定が、おもしろい。掴みはOK。両親(というか母親)はいかにも自宅学習させるようなタイプの役者さん。それにしても冒頭のアメリカで自宅学習させているような人の凡例は強烈。アーミッシュとか変な宗教をやってる人の子供が、なかなか強烈に描かれる。まあ、そういう人たちはこんな映画みないからクレームも出てこないのかな。厳密に言えば日本でも自宅学習にすることは可能だけど、稀有な例。日本の学校も大概だけど、アメリカよりはましだと本当に思う。

主人公とセレブチームが対立関係になるという展開がふつうだが、スパイとして入り込むという設定がまたおもしろい。その裏には、初めて友達になってくれたジャニスとの友情と“利用されている”という一歩間違えれば、人間関係が瓦解する要素が多分に含まれており、その危うさも面白さの一つとなっている。

さらに、スパイだと割り切っていたはずなのに、すっかりプラスチックスの魅力にはまってしまうという展開。もちろんその先には、綻びが待っている。なかなかハードな展開に。学園コメディと侮ってはいけないクオリティかと。ラストもなぎ倒すような強引さを発揮しつつも、意外ときれいにまとめているて好感が持てる(「うそ、うそ」じゃねえよ(笑))。

カエル顔のアマンダ・セイフライドが、おバカなキャラクターで、なかなかかわいい。『ウェディング・シンガー』のドリュー・バリモア演じるジュリアもそうだったけど、ちょっとおバカなのは魅力的で、そういう社会的な類型があるということだね。
リンジー・ローハンも日本人が好きそうな顔立ち。その後のご乱心っぷりを考えると、本作が一番いい時期なのかも。

隠れた佳作って感じ。軽くお薦め。

拍手[0回]

公開年:1992年
公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:ジョナサン・リン
出 演:ジョー・ペシ、ラルフ・マッチオ、マリサ・トメイ、ミッチェル・ホイットフィールド、フレッド・グウィン、レイン・スミス、オースティン・ペンドルトン、ブルース・マッギル、モーリー・チェイキン、ジェームズ・レブホーン、レイノール・シェイン 他
受 賞 :【1992年/第65回アカデミー賞】助演女優賞(マリサ・トメイ)
 【1993年/第2回アカデミー賞】ブレイクスルー演技賞(マリサ・トメイ)



大学生のビル・ガンビーニと、スタン・ローゼンシュタインは、車で旅行中。途中、アラバマ州ワーズ市の商店に立ち寄り食糧を調達したが、誤ってツナ缶をポケットに入れて未払いだったことに気付く。すると、パトカーに追跡されていることに気付く二人。もしかすると、ツナ缶を盗んだ罪で追われているのか?すると、そのまま警官に拘束されて殺人の容疑者にされてしまう。彼らが買い物をした商店主が、その後銃殺されたのだ。無実を主張しても、ツナ缶を盗んだ咎で捕まったのだとすっかり勘違いした彼らは、一旦罪を認めてしまっており拘留が決定してしまう。そこで、ビルは母親に電話をかけて弁護士を依頼。すると、従兄のビニーがニューヨークで弁護士をしているというではないか。さっそく依頼するビル。しばらくして、キャデラックでフィアンセ帯同でワーズ市に駆けつけたビニー。ビルたちと面会するのだったが、彼は弁護士資格を得たのはたった6週間前で、一度も法廷に立ったことがないと告白する。2人はがっかりするが、とりあえずビニーに依頼するしかなく…というストーリー。

冒頭の勘違い展開が、あまりおもしろくなかったりするので、いきなり興ざめしちゃう人が何割かいる気がする。勘違いで留置されるという設定を思いついたけど、実際シナリオにしてみたらリアリティのない展開しか思いつかず妥協した…って感じ。ここは、タイトルになっている“いとこのビニー”を登場させるためなので、強引さに目をつぶるしかないんだと思う。

毛のあるジョー・ペシが登場。上に書いたとおりキャリアのない弁護士は飄々と行動していく(飄飄というかイカサマ師みたいかも)。その飄々さの淵源がどこからやってくるのかはあまり描かれていないが、『ホーム・アローン』『リーサル・ウェポン』シリーズで怪演したジョー・ペシである。しっかりと説得力をもって演じきっている。ちなみに画質が古臭いし、彼に毛があるので初期の作品だと思うかもしれないが、本作は『ホーム・アローン2』『リーサル・ウェポン3』と同じ年に公開だ。良作とも彼のキャリア上、最高傑作の部類だと思うが、本作は決して負けていない。いや、メジャーネームに隠れているだけで、その両作よりも上だと私は思う。

判事も検事も悪役設定。判事はイエール大卒っていう設定だけど、南部人をおもいっきりバカにしてる作品だと思う。地元愛と治安維持だけが常に優先され、よそ者は基本排除で、まともな待遇すら与えないという態度。そこに、私服のニューヨークの弁護士がやってくる。規則だ仕組みだ法律だと、権限を振りかざす判事だが、結局は気に食わないからいじめているだけ。辺境な南部人と、リベラルな都会人という構図が生まれる。
でも南部人が、実際バカにされてもしかたがないレベルなので、コメディとして成立してるんだとは思うけど。ただ、巻き起こっている冤罪事件自体は、まったくもって、笑えないんだけどね。実際、こんなことは山のようにあると思うんだ。

なぜか、マリサ・トメイ演じるモナ・リサと行動してる。喧嘩はするんだけど、基本的に彼女に頭があがらない設定がおもしろい。そして、初公判な上に、ビニーはまともに勉強しているとは思えないレベル。よって、公判を重ねるごとに弁護士らしくなっていく。ある意味、男の成長物語だったりして、その様子も面白い。でも、そのヒラメキやヒントは、ほとんどがモナ・リサのおかげだ…という構成である。
このマリサ・トメイが実にいい味を出している…と思ったら、なんと本作でオスカーを受賞しているというね。実はあまり有力な対抗馬がいない年だったりするんだけど、妥当な評価ではあると思う。

婚約者の特殊能力がすべてを解決するという展開ではあるので、プロットとしては褒められたものではないのだが、強引ながらも面白く仕上げているのは事実。茶番なんだから最後までガッツリと茶番を貫いたのが功を奏しているんだと思う。

判事のニューヨークへの照会電話を切りぬけるくだりは、よくわからんけど、まあいいや。良作。快作。お薦め。

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公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:フランク・コラチ
出 演:ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー、クリスティーン・テイラー、アレン・コヴァート、アンジェラ・フェザーストーン、マシュー・グレイヴ、アレクシス・アークエット、エレン・アルベルティーニ・ダウ、ビリー・アイドル、スティーヴ・ブシェミ 他
受 賞 :【1998年/第7回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア)



結婚式を歌で盛り上げる職業、ウェディング・シンガーで生計を立てているロビー。そんなロビー自身も近々結婚を控えており、幸せ気分。そんな中、ウェイトレスのジュリアと出会う。彼女も結婚を控えていたがマリッジ・ブルー気味で、そんな彼女をロビーは励ますのだった。ロビーの結婚式のの当日。ロビーは牧師の前でお相手のリンダを待つが、一向に現れず、そのまま式は取りやめになってしまう。リンダは、プロ・ミュージシャンを目指すロビーが好きなのであって、ウェディング・シンガーと結婚したいわけではないと言い、そのまま破談となってしまう。ロビーは、すっかり落ち込んでしまい、まともにウェディング・シンガーの仕事をこなすことができなくなり、とうとう廃業を宣言してしまう。ジュリアはそんな彼を励まし、徐々にロビーは元気を取り戻していく。そして彼女の結婚式の準備を手伝ううちに、二人の間に友情を超えた感情が芽生えていき…というストーリー。

冒頭から80年代洋楽ラッシュ。詳しくない人でも知っている曲のオンパレードでかなり気分が高揚する。

お互い、結婚する相手がちょっとアホで、そんなのと結婚しようと思う人間だと思うと、ちょっと感情移入とか共感がしにくいかったりする。
特に、ドリュー・バリモア演じるジュリアは、なんでそいつと結婚しようと思ったのか?が説明されているように見えてされていない。金目当てか?と指摘されて強く否定するのだが、その否定が納得できる材料が全然描かれていないというね…。ジュリアの婚約者は、『きっと、うまくいく』のピアの婚約者とまったく同じキャラ設定。ダメな結婚相手の典型例なのかな。
ということで、結構なバカ女なんだけど、バカ女ほどカワイイという典型例。ドリュー・バリモアのキャリアの中で、一番カワイク描かれている作品かもしれない。

ストーリー自体は、ありきたりな内容で、9割方それほど盛り上がらないまま進む。もじもじ考えたり、考え直したり、自分に正直になろうと決意するけど、勘違い展開になったりと、まあ、お約束の連続である。だけど、ラストあたりの飛行機の中の話が、クッソおもしろい。最高。そこを見るためだけの作品といってよい。むっちゃくちゃな展開だけど。最後、なんでお前歌ってんねん!っつーね。

これ、ミュージカル向きじゃね?と思ってしらべてみたら、アメリカでも日本でも上演されてるみたい。みんな考えることはいっしょだな。愉快な作品。お薦めしたい。

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公開年:2013年
公開国:イギリス
時 間:97分
監 督:ジョン・S・ベアード
出 演:ジェームズ・マカヴォイ、ジェイミー・ベル、ジョアンヌ・フロガット、イモージェン・プーツ、エディ・マーサン、ジム・ブロードベント、イーモン・エリオット、シャーリー・ヘンダーソン、ナターシャ・オキーフ、ポリアンナ・マッキントッシュ、マーティン・コムストン、ショーナ・マクドナルド、デヴィッド・ソウル、ケイト・ディッキー、ロン・ドナキー、ゲイリー・ルイス、ジョン・セッションズ、ジョイ・マカヴォイ、ブライアン・マッカーディー 他
コピー :この男をお救いください!
英国発★愛と絶望を笑いにする 最高にイカしたクライム・コメディ!!


スコットランド。クリスマスの夜に日本人留学生が殺害される。あまり素行のよろしくないブルース・ロバートソン刑事は、その事件の担当となり指揮をまかされる。彼は、酒やドラッグ中毒で、おまけに人種差別主義者で、日本人が被害者の事件などまともに捜査するつもりがない。何でそんな事件の担当を引き受けたかというと、目下、署では出世争いの真っ最中で、この事件で手柄をあげて昇進しようと企んでいるからだ。事件の捜査と並行して、同僚を陥れるために、様々な裏工作を行うブルース。ヤク中の新人刑事レイにはどんどんヤクを薦め、ゲイであることを隠しているピーターを動揺させるために、彼がゲイであることを落書きしたり、ドギーは妻の浮気を心配しているが、実は相手はブルースだったりと、ますますエスカレートしていく。そんな中、お人よしの会計士クリフォードと知り合ったブルースは、彼をポルノ旅行に連れ出そうと画策し…というストーリー。

フリーメイソンが、単なる社交クラブとして扱われており、ロッジの中が(本物かどうかは知らんが)描かれている珍しい作品(別にストーリー上、重要ではないけど)。

昇進するために、クレイジーな男がさまざまな画策をするという筋だけでよかったと思うんだけど、会計士を陥れるくだりが昇進と関係なく、ブレてしまっているように感じる。最後のビデオのくだりをやりたっかだけなんだとは思うけれど。日本人留学生殺害事件のほかに、自分で事件を作り上げて昇進の材料にしたのか?だとしても弱いよね。

さらに、ネタバレだけど、たいして面白くないから言ってしまうが、『ファイト・クラブ』みたいな多重人格的設定も浮いているし、だからなんだ!?って感じ。展開が衝撃的なんじゃなくて、なんでこんな設定放り込んできたんだ?という意味の衝撃。
ポルノ旅行をしているあたりまでは、イギリスコメディらしい愉快さがあったんだけど、精神がますます病んでしまった後の展開が、しっくりこない。“謎の女”を重要ポイントにしたければ、もっと必死に探す捜査の様子を描くとか、焦点を当てたストーリー展開にすべきだった。本人が気づいているのか否かとか、そういう演出上の仕掛けも重要だっただろう(それこそ『ファイト・クラブ』みたいに)。大体にして、ネタバラシの映像が出ても、冒頭の日本人留学生殺害現場の女性のことなんて、観客の頭から消えているだろうし、それがどうした?でしかない。だから、彼の生い立ちとかが、全然生きてこない。

上記3件が、未整理、未消化。ブルースの悪漢ぶりこそが、本作のすべてなのだが、悪漢として描ききれていない。その悪漢が、ズブズブと落ちていく様子を観せなきゃね。原作要素を全部盛り込もうとして失敗してるのかもね。クライム・コメディ?ちょっと違うんじゃないかな。

ちょくちょく主人公が、観客を見るというメタ的な演出が散見させるが、これがセンスの無さを確信させる。この監督じゃなかったら、面白くなった気がしてならない残念な作品。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:アレン・ヒューズ
出 演:マーク・ウォールバーグ、ラッセル・クロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジェフリー・ライト、バリー・ペッパー、アロナ・タル ケイティ、ナタリー・マルティネス、カイル・チャンドラー、マイケル・ビーチ、ジェームズ・ランソン、グリフィン・ダン、アンドレア・フランクル、ウィリアム・ラグズデール 他
コピー :“正義”が喰い殺されるこの街で、勝ち目0(ゼロ)の復讐が始まる!



7年前にとある事件が原因でニューヨーク市警を辞めたビリー・タガート。その後、探偵事務所を設立し、浮気調査などで生計を立てていたが、経済状態は芳しくない。市長選を8日後に控えた日、タガートは、市長のホステラーに呼び出されて、妻キャサリンの浮気調査を依頼される。思わぬ臨時収入に気を浴したタガートは快諾。さっそく調査を始めると、なんとキャサリンの浮気相手は、ホステラー市長の対立候補の選挙参謀アンドリュースだった。しかし調査されていることを、キャサリン側も把握しており、タガートはキャサリンから直接て、単なる浮気調査が目的のわけがない、あなたは利用されていると忠告を受ける。ホステラーに対する疑念が湧いたものの、結果を報告して調査を終了したタガート。しかし、数日後、アンドリュースが何者かに殺害される事件が発生。キャサリンの忠告通りに、ホステラーの陰謀に利用されていたことに気づくタガートだったが…というストーリー。

社会的にイマイチうまいこといってなくて、やばい仕事にも片足半分突っ込んでいて、面倒な陰謀に巻き込まれたり利用されたりするけど、そこそこフィジカルは丈夫で、そこそこ頭も良いっていう、ありがちなキャラクターを主人公に据えた映画で、普通だったら駄作になりそうなところを、なんとなく救ってしまう…っていうのが職業なんじゃないかと思えるマーク・ウォールバーグ。ここんところ似たような役ばっかり。イヤにならないのかな?このままだと沈黙シリーズみたいになっちゃうんじゃないかと老婆心。
それに、ラッセル・クロウが、ショボい作品に最近出過ぎなんじゃないかと。

誰が悪者なかのかわからん…という不穏な雰囲気、敵と味方が状況によってコロコロ変わるような展開を愉しむ作品にしたかったんだと思うが、ただただわかりにくく、焦点がぼやけたままの作品になってしまった。まるで観客がのめり込もうとしているのに、作品自らがそれを拒絶しているようですらある。『フロム・ヘル』とか『ザ・ウォーカー』を手掛けたヒューズ兄弟の弟の方の単独監督作品である。

上のあらすじ以上に、特に語るべきストーリーはない。もうちょっと早い段階で、ラッセル・クロウ演じる市長を“巨悪”として確定すべきで、その強大さに立ち向かう姿を描く方向にシフトすべきだった。
(以下、ネタバレ)
罠にはまったが、その罠から簡単には抜け出せない“とある物”がカギになるのだが、細かくは書かないが、この場合、ダブルジョパティの対象にならないのだろうか。前回の公判で殺人じゃないと判決が下っているけれど、新たな証拠が出た場合は二重処罰の禁止の対象外になるのだろうか。よくわからん。

あと、黒人検事(?)と妻の浮気の設定、必要だったかなぁ…。

凡作中の凡作だな。
#コピーの無駄な仰々しさは意味不明。

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公開年:2009年
公開国:インド
時 間:170分
監 督:ラージクマール・ヒラニ
出 演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、オミ・ヴァイディア、ボーマン・イラニ 他
ノミネート :【2013年/第37回日本アカデミー賞】外国作品賞






写真家のファルハーンと会社員のラージューは、大学時代親友同士。ある日、同じく同窓だったチャトルから「ランチョーの消息がつかめた」ことを聞き、待ち合わせ場所の母校へ向かう。彼らは、10年前、インド屈指の難関工科大学ICEに入学し、そこで自由奔放な天才青年ランチョーと出会い、ファルハーンとラージューとランチョーの3人はルームメイトだった。いつも一緒にバカ騒ぎしていた3人は、学長から目をつけられていた。しかし、卒業後、なぜかランチョーは消息を絶っていたのだ。落ち合った3人は、ランチョーが暮らしているという町へ向かうのだったが…というストーリー。

インド映画なんで突然踊り出しちゃうのばっかりでしょ?という認識の人が多いだろう(実際、そうだけど)。でも、日本映画は、本作をもってインド映画に完全敗北したと言い切ってよいと私は思う。

2008年に製作された『スラムドッグ$ミリオネア』は、世界の各賞を採り、主演のデヴ・パテルも評価された。インドが舞台でもインド人が主演でも世界では評価されると、ボリウッドは確信しただろう。“異文化のめずらしい作品”ではなく、平等な作品として。そして、『スラムドッグ$ミリオネア』は、こういう画を撮ればよいのだという、リアルなお手本だったと思う。
#まあ、これらは私の勝手な予測でしかないのだが…。

ライティングと編集技術が素晴らしい。過去と現在を交互に綴っているのだが(これは『スラムドッグ$ミリオネア』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』にも通じる)、この編集もうまい。というか、すっかりハリウッドクオリティ。かといってすべてがハリウッド映画に迎合しちゃってるかというとそうではない。コントチックな擬音とか、インド映画のお約束である突然ダンスとかも健在。でも、擬音も最小限で邪魔しない範囲だし、ダンスも登場人物の内証の表現方法として不自然さはない。うまく、インドと欧米の客の求めるものに折り合いをつけたな…という印象。もう昇華といってよいレベル。

インド映画として譲れなかったのは長さか。途中で一旦インターミッションが入る。ただ、このインターミッションの直前に、衝撃の大展開!!って感じ。インドでは映画はTVドラマの代替的な意味もあるから、こういうCMまたぎで客を引き付けるみたいな演出も得意、というか多い。

謎めいた自由人ランチョーの行動によって、周囲は影響を受けて変わっていく基本プロットが親しみやすいし、そのランチョーに秘密があるという設定なのだが、日本人がいかにも書きそうなシナリオに思えるだけに、くやしいというかニクイというか。
あまり説明しないでおくけど、久々に素直に心が揺れ動かされた作品。長い作品だけど、短いスパンでほっこりと感動がやってくる。かといって全編ユルユルなわけでもなく、シビアでちょっとそれはどうなの?と思えるような、身もふたもないエグい場面もある。その虚飾のない素っ裸な演出に好感が持てる。

今年観た作品の中で、間違いなく3本の指に入る作品。超オススメ。
直訳すれば“3バカ”になるが、それを“きっと、うまくいく”として邦題センスも良し。

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公開年:1976年
公開国:イタリア、日本
時 間:94分
監 督:ルイジ・コッツィ
出 演:リチャード・ジョンソン、パメラ・ヴィロレッジ、リカルド・クッチョーラ、マリア・アントニエッタ 他
コピー :だれかに生きる勇気を与えたとき、天使って涙を流すのですね…






モン・サンミッシェルの病院に、手の怪我を治療してもらおうとやってきた男リチャード。診察の順番を待っていると、前に診察されていた若い娘が話かけてくる。リチャードが座っている椅子の下に彼女のカバンがおいてあったのだ。彼女の後に診察室に入ると、医師が突然、さきほどの娘が白血病で持って2、3ヵ月の命であると語り始める。先ほどの娘は、外で待っている人間が自分の父親であると嘘をついて逃げてしまったのだ。男が帰りのバス停で待っていると、あの娘が近づいてくる。はたして自分の病状を知っているのか否か判断しかねていると、娘は自分の名前や生い立ちを語り始める。彼女の名前はステラ。母は既に亡くなっており、愛人をつくって出て行ってしまった父親を探しているという。当のリチャードは、かつて名ピアニストとして名を馳せていたが今はすっかり落ちぶれてしまい、場末のバーでの演奏で小銭を稼ぐ程度の収入しかなく、彼女にかかわっているような心境ではなかった。しかし、屈託なく話しかけてくる彼女を突き放すことができず、宿泊予定だったシモーヌのホテルに、ステラを同泊させてしまう。その後、2人で彼女の父親を探すことにするのだったが…というストーリー。

いきなり日本語タイトルが出て(おまけに昭和40、50年くさい)、非常に異質な印象でスタートする作品。製作的には日伊合作だからだね。それに舞台はフランスなんだけど、2人はずっと英語で会話してる。リチャードはイギリス人という設定だけど、ステラは?宿屋のオバハンは?まあ、細かいことを言っちゃあいけないんだとは思うけど、本当によくわからんのよ(途中で吹き替え音声にチェンジした)。

wikipediaをみたら『カサンドラ・クロス』と同時上映だったらしい。その振幅具合、どうなんだろう…。ただ、『カサンドラ・クロス』は結構微妙な仕上がりだったから、案外こっちの作品に心奪われた人も多いんじゃないかと思う。『火垂るの墓』を見に行ったらすっかり気持ちが沈んでしまって、『となりのトトロ』で救われた…って時に近いかも。

ある意味、中年男性の夢みたいな展開かもしれないが、目線を変えれば結構気持ちが悪いかもしれない。ステラ役のパメラ・ヴィロレッジは、クロエ・モレッツのイメージ(DVDジャケットの写真は映像と少しイメージが違うように感じる)。彼女になつかれちゃったからって、17歳の小娘とほいほい結婚しちゃう中年、いや壮年オヤジ。
あれは別の人の検査結果にすり替えたのよ!とステラはいうのだが、それを素直に信じるオヤジ。だから、調べない。

まあ、追い詰められて弱っている2人が、お互いを慮って寄り添う姿。いや、寄り添うしかない状況故に、強引に納得させられてしまうマンガレベルの説得力がある。ラストは誰もが判りきった展開ながらも、怒涛の勢いで描かれる。何気に宿屋のオバハンがいるところで、ちょっとヤられる。ベタベタのメロドラマで、頭ではくだらない内容だと理解しつつも、なぜか、強烈に印象が焼付く作品。どの部分がそうさせるのか自分でもよくわからない不思議な作品である。これは、よく使われるのとは違った意味でカルト映画なのかもしれない。

#どっかで聞いたことがあるなと思ったら、ステラの声、上野樹里だった。吹き替えは再録したんだね。棒読みだけど、まあ悪くなかったよ。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:アルフォンソ・キュアロン
出 演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、エド・ハリス 他
受 賞 :【2013年/第86回アカデミー賞】監督賞(アルフォンソ・キュアロン)、撮影賞(エマニュエル・ルベツキ)、作曲賞(スティーヴン・プライス)、視覚効果賞(David Shirk、Chris Lawrence、ティム・ウェバー、 ニール・コーボールド)、音響賞[編集](Glenn Freemantle)、音響賞[調整](Skip  Lievsay、Niv Adiri、Chris Munro、Christopher Benstead)、編集賞(マーク・サンガー、アルフォンソ・キュアロン)
【2013年/第39回LA批評家協会賞】作品賞、監督賞(アルフォンソ・キュアロン)、撮影賞(エマニュエル・ルベツキ)、編集賞(マーク・サンガー、アルフォンソ・キュアロン)
【2013年/第71回ゴールデン・グローブ】監督賞(アルフォンソ・キュアロン)
【2013年/第67回英国アカデミー賞】監督賞(アルフォンソ・キュアロン)、作曲賞(スティーヴン・プライス)、撮影賞(エマニュエル・ルベツキ)、音響賞、特殊視覚効果賞(David Shirk、Chris Lawrence、ニール・コー ボールド、ティム・ウェバー、ニッキー・ペニー)、英国作品賞
【2013年/第19回放送映画批評家協会賞】監督賞(アルフォンソ・キュアロン)、撮影賞(エマニュエル・ルベツキ)、編集賞(マーク・サンガー、アルフォンソ・キュアロン)、視覚効果賞、音楽賞(スティーヴン・プライス)、アクション映画女優賞(サンドラ・ブロック)
コピー :宇宙の 暗闇を 生き抜け

地上600kmの上空で地球を周回しているスペースシャトル。初ミッションを遂行中の女性エンジニアのストーン博士は、ベテラン宇宙飛行士コワルスキーとシャリフと共に、船外でハッブル宇宙望遠鏡の修理作業を行っていた。そのとき、ロシアが自国衛星を破壊したことで発生した大量のデブリが接近するとう連絡が入る。3人は、船内に避難しようとするが間に合わず、デブリと衝突。シャリフはデブリが頭を貫通し即死。ストーンとコワルスキーは宇宙空間に投げ出されてしまうが、特にストーンは船外活動ユニットを装備していなかったため、自力で宇宙空間を移動することができず、パニックになる。なんとかコワルスキーの指示で船外活動ユニットに掴ることができて、一命は取り留めたものの、ISSは破損し、ソユーズも地球に帰還できる能力を失ってしまっていた。そこで、ソユーズの残存ユニットを使って、中国の宇宙ステーション“天宮”へ向かう案を思いつくのだったが、コワルスキーの船外活動ユニットが燃料切れをおこしてしまい…というストーリー。

ストーリーは単純極まりない。宇宙ゴミの激突で、宇宙空間に放り出されちゃう。髪の毛一本ほどもない可能性を手繰り寄せて、地球に帰還する女性宇宙飛行士の話。宇宙空間に放り出されたら、完全に無理ゲー。想像しただけでも息苦しくなりそう。彼女が絶対に生きて帰還する!とそこまで思わせる根源はなんなのかはっきり描写すべきだ…と、いつもの私なら言いそうなところだが、人間の奥底に大地に還りたいという根源欲求があるのだ!という、なぎ倒されんばかりの説得力に、完全屈服である。

宇宙空間に放り出されると体が爆発しちゃう!みたいな、もっともらしい嘘描写はない。科学的な検証、シミュレートがしっかりできているように見える(私は科学者じゃないので実際はわからんけど)。特殊相対性理論の教材レベル。決して興ざめすることのない上質の科学サスペンス物として成立している。本当に中国の機体のボタンが中国語なのかは知らん。本当にそうならアホだわ(笑)。まあ、本作での唯一の息抜きシーンだ。

宇宙空間を彷徨う描写はリアリティたっぷり。一昔前なら、プール内で撮影していたと思うけれど、いまはほとんどCGだろうね。

本当にコワルスキーが生きていたら台無しだったが、もちろんそんなことはない。ただでさえキャストが少ないのに、ジョージ・クルーニーが早々にご退場という展開にご不満の人もいただろうが、これがいい構成だったと思う。
コワルスキーが諦めちゃうところは、ちょっと格好よすぎるという批判もあるかな。逆にストーンが、あの状況になっても、コワルスキーを慮っているところが、リアリティを削がれたかも。宇宙空間だし、ほんのちょっとでも何かあれば死に直結。ずっと崖っぷちを片目つぶって歩いているようなものなのだがら、実際は結構淡々とするんじゃないかなと思う。演出上、好みじゃないけど、そこまでリアルにしたら、映画として成立しないような気もするけどね。

アンジェリーナ・ジョリーやスカーレット・ヨハンソン、ナタリー・ポートマンにも主演オファーがあったようだけど、ちょっとこの3人はアンマッチでしょう。いずれも、科学者って感じのクレバーさが表面にでていない。サンドラ・ブロックで大正解。時間がすすむごとに、やつれていく様子がすごい。

最後、地球に降りてきて、すぐに泳いだりするのは、無理があるかな…と思ったけど、案外、水の中なら動けるのかもね。よたよたと水際を歩きながら、最後に“グラビティ”とタイトルが出る。最後にこのタイトルで終わるから格好いい…というか意味があるんだよね。そう考えると邦題がものすごくダサく感じるね。

本気で手に汗握った作品は久々。よくできました。

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プロフィール
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クボタカユキ
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男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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