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公開国:アメリカ
時 間:130分
監 督:クリストファー・マッカリー
出 演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ヴェルナー・ヘルツォーク 、ジェイ・コートニー、ジョセフ・シコラ、ロバート・デュヴァル 他
コピー:その男、行きつく先に事件あり。
その名は、ジャック・リーチャー 世界で最も危険な流れ者(アウトロー)
ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊。白昼、無作為に6発の銃弾が発射され、5人が殺害される事件が発生する。現場に残された薬莢と駐車機に投入された硬貨から指紋が採取され、元米軍スナイパーのジェームズ・バーが容疑者として浮上。簡単に逮捕される。事件は解決に向かうと思われたが、バーは“ジャック・リーチャーを呼べ”というメモを残した以外は黙秘を続けた。その後、護送中に同乗の犯罪者たちから暴行を受け、意識不明の重体となってしまう。警察は唯一の手がかりである“ジャック・リーチャー”を捜したが、まったく手がかりが掴めずに途方に暮れていた。すると、そこに突然チャーリー本人が現れ…というストーリー。
ジャック・リーチャーを主人公にした人気小説シリーズがあるとのこと。原作の主人公の風体とトム・クルーズにはかなり違いがあるようだが、私は読んだことがないので、どうでもいい。
元米国陸軍の退役少佐で、軍警察に所属していた有能な捜査官。その後、住民登録もせず運転免許やクレジットカードすらもたず、定期的に恩給を電子送金で引き落とす以外に、記録らしい記録を残しておらず、社会の隙間に潜むように生きている。ちょとネタバレになってしまうが、その軍警察時代に、容疑者のバーとは関係があったわけだ。
非常に興味深いキャラ設定だと思うし、その経歴に違わず、トム・クルーズのアクションシーンは非常に迫力も緊迫感もあり、ハマリ役なことは否定しない。
しかし、そういう社会から隔絶した生き方をしているから“アウトロー”という邦題になったのだろうが、この邦題がどうもしっくりこない。だって、別にジャック・リーチャーは“無法者”じゃないんだもの。一般社会からは隔絶して生きているけど、別に法は犯していないのはもちろんだが、バーの弁護士の捜査員としての仕事も法を逸脱するわけではない。むしろ、間違いないと思われている証拠を疑い、微かな違和感を見捨てずに、実直に調べ上げる姿は有能そのものである。
「ヤツを葬るために来た」⇒本当にバーが犯人ならね…という、シンプルな思考に貫かれた行動は、非常にわかり易い。そして誰が犯人なのか。検事か警察か弁護しかはたまた別の組織か? 犯人にとって邪魔者であるジャック・リーチャーは、様々なトラブルに巻き込まれる。フィジカルバトルに銃撃戦にカーチェイスと大迫力。核心に迫っていくと、もしかすると彼もハメられているのでは?という展開に。サスペンスあり、ミステリーあり、アクションありとバランスがよく、お腹一杯で非常におもしろく観終えることができた。
しかし、公開時には“トム・クルーズの当たり役!”“続編製作確実!”なんて、散々喧伝されていたのに、賞レースからは総スカン。でも、それも仕方が無いというのが素直な感想。
ただでさえ長いので、これ以上は無理だったかもしれないが、黒人警官と弁護士の父親だけでなく、もっと犯人なのでは?と可能性のある人間を増やすとよかったかと。また、陰謀の全容が明かされないまま、黒幕さんを撃って終わっちゃうのはちょっと引っかかるし、作品全体のスケールを小さくしてしまった。あの黒人警官がなんで奴らの仲間になったのけ、経緯が非常に興味があったのだが、明かされずじまい。はじめは善良な警官だったのに、蛇のように絡めてでがんじがらめにされてしまったとか、それをさらりと表現する方法はあったと思う。
個人的に一番ひっかかった…というか、主人公への共感が薄れてしまった点がある。ジャック・リーチャーと弁護士が事務所で会話するシーン。誰もが俺のような生活をしたいはずだ!と彼は言うのだが、そのセリフには反論しないとダメじゃないかな。自由に生きることと、正直に生きることは、意味が違うので、その辺は明確に定義しなおすべきだったと思う。彼の言う自由が後者の意味であれば、賛同できる。しかし、社会のしがらみを忌避することを指すならば、褒められたもんじゃない。その“社会”があるからこそ、おまえは潜んでいられるんじゃないのか?そして、サラリーマンだって、それを選択する自由を行使しての現状なんだし、あんたのような生き方を選択するとは限らないよ…と。まあ、私が小市民だから、ひっかかるんだろうけど。
この終盤の腰砕けに目をつぶれば、ずっとドキドキ、ワクワクできた。新作料金で観ても損したとは思わないだろう。
#さて、こういう作品が好意的に捉えられているとすると、アメリカの民主党政権も、そろそろ終わりかな…と。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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