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公開国:日本
時 間:133分
監 督:宮崎駿
出 演:松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、小林薫、西村雅彦、上條恒彦、島本須美、渡辺哲、佐藤允、名古屋章、美輪明宏、森光子、森繁久彌、飯沼彗、近藤芳正、坂本あきら、斎藤志郎、菅原大吉、冷泉公裕、山本道子、飯沼希歩、得丸伸二、中村彰男、香月弥生、塚本景子、杉浦一恵、山本郁子 他
受 賞:【1997年/第21回日本アカデミー賞】作品賞、協会特別賞(米良美一)
【1997年/第40回ブルーリボン賞】特別賞
コピー:生きろ。
室町時代。山里に住む青年・アシタカは、北にあるエミシ一族の里を襲ったタタリ神と化した猪を退治する際に、死の呪いを右腕にかけられてしまう。村の老巫女から、西に行けば呪いを断てるかもしれないと告げられたアシタカは、西へ旅立つ。旅の途中、犬神に襲われて谷に転落した男たちを助けた縁で、“タタラ”の村に身を寄せることに。その村は、エボシ御前が率いる製鉄を生業とする村だったが、彼女たちが鉄を作るためにシシ神の森を切り続けたため、ナゴの守という猪をタタリ神に変えてしまったことを知る。その猪神こそ、アシタカの村を襲ったタタリ神だった。そんな夜、サンという娘が山犬とともにタタラの村を襲撃。サンは犬神モロの君に育てられたもののけ姫で、森を侵すエボシ御前を憎んでいるのだった…というストーリー。
ちょくちょくTV放送しているのをザッピングしなら観たり、あらすじを色んなTV番組や雑誌で知ってしまったりで、実はきちんと始めから最後まで観たことがなかった作品。やっときちんと鑑賞。
別に悪い作品だという気はないのだが、説教臭さが鼻について仕方が無いのは事実。手放しで感動している人がいるとしたら、逆にジブリ作品だからと良く内容を吟味することを放棄しているのでは?と、私は勘ぐりたくなる。本作が、アミニズムを表現しているという感想を見ることがあるが、舞台が森なのはわかるし自然を表現しているのは判るが、精神としてのアミニズムがどこに表現されているのか、私にはピンとこない。
たくさんの猪神の姿や、怒りでタタリ神になってしまう様子は王蟲を彷彿とし、コダマなどが出現し人の侵入を拒む森は腐海の設定に近い。そして、その“正しい”生態系は時には人に仇なすという畏怖の存在。サンはナウシカ、アシタカはアスベル、エボシ御前はクシャナで、ゴンザはクロトワ。キャラクター配置もナウシカを想像させ、ユングの“類型”よろしく、前期宮崎駿にみられる独特の類型の顕著たる例である。ちゃんとみると、『風の谷のナウシカ』の焼き直し…というか、原作版の『風の谷のナウシカ』をそのまま作るわけにもいかないから、舞台を中世日本にして作ってみようかな、そんな感じに思える。
腕スパーン、首チョーンと、現在ならばPG指定になりそうな描写も、原作版ナウシカのある意味エグい描写に踏み込みたかったものと想像する。
シシ神様の頭を返却し、怒りを納めるという先に、何があるのか。結局、サンはアシタカは共存できないを言い放つわけで、自然と人間の対立は永遠に解消しない。それこそ抵抗しても無駄という“運命論”のようなものを感じるし、最終的に滅びる運命にあるのだという斜に構えたニヒリズムみたいなものも感じる。
自然と人間の共生がテーマともいわれているが、ストーリー的に何も解決していないし、現実社会に対して何かを示唆していると思えない。いかにも戦後育ち世代の投げっぱなし具合を体現した作品だと、私には映る。いかにも深く物を考えているふりをしているだけで実は大して考えていない戦後育ち老人にありがちな思想。簡単に共産主義思想にかぶれて、且つその浅はかさを振りかざして臆面もなく説教をはじめるのが多い。戦後の虚無感の中で育ったことを差し引いても、私たちからみると実にうんざりである。
自然をコントロールしようなどということはおこがましい…という点には同意するが、人間もその自然から生まれた一部だろう。人間は自然に帰るべきなどという思想だって、逆に、人間は神に近い力を得たという驕りから生まれたおこがましい思想に私には思える。
まあ、元々ジブリはそういう傾いた思想がエンジンになっているのは判ってるので、そこをとやかくいうつもりはない。投げっぱなしなら投げっぱなしでいい。むしろ、自然をテーマにすればするほど答えなんか出るはずもないのだ。ただ、それならば、本作はみなまで語りすぎてはいないだろうか。本作の問題はただそれだけ。本作を褒めている人は、ちょっと鈍感な人だと思う(喧嘩売ってるな)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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