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公開年:1963年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:アルフレッド・ヒッチコック
出 演:ティッピー・ヘドレン、ロッド・テイラー、スザンヌ・プレシェット、ジェシカ・タンディ、ヴェロニカ・カートライト、ドリーン・ラング、エリザベス・ウィルソン、エセル・グリフィス、チャールズ・マックグロー、ロニー・チャップマン、ジョー・マンテル、マルコム・アターベリイ 他
ノミネート:【1963年/第36回アカデミー賞】特殊効果賞(Ub Iwerks)
コピー:恐怖映画の巨匠ヒッチコックの最高傑作
鳥たちが、人間を食いちぎる このショック! 凄まじい恐怖が、あなたを襲う!
社長令嬢のメラニーは、ペットショップで出会った弁護士ブレナーに興味をひかれる。彼につがいの鳥をプレゼントしようと、アパートを探し当てるが、本宅は田舎町にあると隣人から教えられる。とりあえずその町に向かい、人づてにブレナーの家を聞き出し、向かうことに。その途中、突然一羽のカモメに額をつつかれ流血してしまう。ブレナーに手当てをしてもらった後、町を去ろうとするメラニーをブレナーは引止め、明日のパーティーに参加することを促す。一泊することになったメラニーだったが、泊まった家のドアに突然カモメが激突し死んでいた。町中の鳥の様子が何か不穏で…というストーリー。
これほど、世の中の評価と自分の評価が乖離すると、ちょっと不安になってくる。
鳥の襲撃シーンはたしかに“当時としては”インパクトがあっただろう。身近な動物が襲撃してくるというアイデアの先見性は高い(原作あり作品なのでヒチコックのヒラメキではないけれど)。なんで鳥が襲ってきたか?を明確にしないもの、演出としてはいいのかもしれない。ただ、襲ってきた理由を伏せた分…というか鳥を単なる襲撃者として見せすぎた分、本来は登場人物側にドラマを盛らなければバランスが取れないところが、ちょっと薄いままなのが残念ポイント。
唯一、このストーリーの中で心に変化が生じているのはジェシカ・タンディ演じる母親。息子LOVEゆえに初めはメラニーが気に喰わなかったが、鳥騒動で周囲の人に甲斐甲斐しくする様子を見て心を開くわけだ。でも、偏執的に息子LOVEという設定ならよかったのに、実は別に心の拠り所の男性がいたということがわかり、そのキャラ設定も破綻。そういうことなら、息子LOVEじゃなくって、死んだ夫の資産を守るために周囲に厳しい態度をとる老女…っていうキャラのほうがよかったと思う。
仮に、鳥があの小さな町の閉鎖的な人々の心の投影だとすると、メラニーという部外者を排除しようとする行動がそれにリンクするわけだ。
そう考えると、ブレナー家のあの町における位置づけが失敗しているように思える。最後、ブレナー家とメラニーが車で家を出て行くことになるのだから、あの家族は、死んだじいさんの生前の所業や、その後の偏屈なおばあさんの態度によって、町の人々から嫌われていなければしっくりこない。なんなら、子供のキャシーだって、地味に仲間はずれになっているくらいで丁度いい。息子のミッチだって、町で弁護士の仕事を依頼してくる人なんていないから、都会で仕事をしないと食って生けない。実は、表面的には町の一員だが、実は村八分状態ってのが中盤にどんどん見えてくる。見えてくるのと同時に鳥の襲撃が激しくなる。そんな感じだから、警察もまともに捜査しようとしない…って感じ。その嫌われている家族が、同じく部外者として嫌われている女性と心を通わせて、偏狭な町を去るのだ。
でも、鳥は平等に町の人間も襲う。そういう閉鎖的な態度をとる人間の自滅を象徴しているのだろう。ダイナーみたいなところで、メラニーに冷たい視線を浴びせる町の人々の目がそれを表している。
大衆社会の到来が、田舎者の排他主義や差別主義を許さない。つまり時代は変わっていくのだ…という意味ならば、メラニーが新聞社の社長令嬢であることにも意味が出てくる。
メラニーと母親の心が通い合うところが、一つのターニングポイントになるのだから、その後、協力して街を脱出するストーリーをもっと差し込まないとダメ。だから、尻切れトンボみたいな印象になる。それを乗り越えて都会で暮らすことにならないと。
なんなら、一旦街の外にはでたけれど、やっぱり大事なものだけは持って行きたい(通帳とか権利書)と母親が言い出す。娘もつがいのインコを取りに行きたいとか言いだして戻る。戻ると家を荒らしている街のやつらがいて、そいつらと対決。最後はそいつらも鳥にやられちゃう。
その後、一家とメラニーは街を出て、安穏な世界へ。でも都会暮らしだって厳しい。「いままで田舎暮らししかしたことがないけど大丈夫かね…」って不安がる母親と娘に、「どこでもつらいことはあるけど、今度はずっと僕がそばにいるよ」「私もそばにいるわ」的な感じ。
どうよ。これで人間ドラマのほうに厚みがでるんじゃね?って、ヒッチコックにダメだしする俺…。
本作をおもしろいとおっしゃる皆さんには申し訳ないが、私から見ると、イマイチどころかイマサンくらいのシナリオなので、それほどお薦めはしない。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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