忍者ブログ
[700]  [699]  [698]  [697]  [696]  [695]  [694]  [693]  [692]  [691]  [690
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

image1644.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:139分
監 督:李相日
出 演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、塩見三省、池内万作、光石研、余貴美子、井川比佐志、松尾スズキ、山田キヌヲ、韓英恵、中村絢香、宮崎美子、永山絢斗、樹木希林、柄本明 他
受 賞:【2010年/第34回日本アカデミー賞】主演男優賞(妻夫木聡)、主演女優賞(深津絵里)、助演男優賞(柄本明、岡田将生)、助演女優賞(樹木希林、満島ひかり)、音楽賞(久石譲)
【2010年/第53回ブルーリボン賞】主演男優賞(妻夫木聡)
コピー:なぜ、殺したのか。なぜ、愛したのか。
ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか?

解体工として働く清水祐一。幼いこと母親に捨てられ、それ以降、寂れた漁村で祖父母と暮らしているは、現在、祖父は寝たきり状態。祖母も衰えているため、祖父の介護も手伝っている。特に友人らしい友人もおらず孤独な日々を重ねる祐一は、出会い系サイトで知り合った福岡在住の保険外交員・石橋佳乃と打算的な関係を結んでしまうが、感情のもつれから彼女を殺害してしまう。ところが、捜査線上に上がったのは別の大学生。迫り来る恐怖を抑えつついつもどおりの生活を送る祐一だったが、そこに一通のメールが届く。それは、かつて出会い系サイトを通じて一度メールのやり取りをした佐賀の女性・馬込光代からのものだった。光代は紳士服量販店に勤務する普通の社会人だったが、孤独に苦悩する毎日を重ねており、話し相手を求めて連絡をしたのだった。そして二人は、佐賀で出会う約束をするのだったが…というストーリー。

主演の妻夫木聡演じる祐一は、悲しく侘しい生い立ちから、まさに、愛されたことのない人には愛し方がわからないという典型パターンのキャラクター。特別に凶暴なわけではない。
深津絵里演じる光代は、むしろ一般的すぎる生い立ちに、内向的な性格が加わり、孤独に苛まれている女性。二人は、内向的で強く思いを表出することも少なく、あらゆる行動に幼稚ゆえのぎこちなさが見られるキャラクター。こんな二人が、恋愛というよりも猛烈なシンパシーを感じあい離れられなくなってしまうわけだが、主役といいつつこの二人は本作の背景でしかないと思う。だって、二人がくっついたからって孤独が解消されるわけでもないし、お互いが精神的に成長するわけでもない。むしろ孤独は二乗になって、社会からの孤立・埋没というキャラが際立つだけ。そういう“事象”として存在しているだけ。
#逃避行劇としては、別におもしろくないでしょ。ただ痛々しいだけで。

そんな“悪人”の周りで、のたうち回るように心の色模様を変化させていくのは、樹木希林と柄本明。
被害者の父親は、はじめは妻を責め、警察を責め、容疑者を責め、そして最後には自分の心の中に何かを見る。
一方の加害者の育ての親である祖母は、自分を責め、自分を責め、自分を責め続けるが、それでも自分の中に何かを見つけ、変わっていく。
人間誰しも、その中に“悪人”の部分を持っている。そして、人それぞれに個性があるように“悪人”の要素も異なる。でも、それを正面から見つめることこそ、生きるということ。被害者の父親が「そうやって、人を馬鹿にして行き続ければいい」という意味の言葉を吐き捨てるのは、それに気付いた証拠なのだ。加害者の祖母が取材陣に囲まれ深々と頭を下げるのもそう。この作品がみせたいのは、そういう部分だと思う。
#特に光代なんかは、始めと最後を比べても対して変化していないのだから、狂言回しといってもよいくらい。

本作はキャスティングした人がMVPかもしれない。満島ひかりはビッチ役をやらせたらピカイチ。蹴しだされて観客誰しもをすっきりさせるんだから、大したもの(…というか、あまりにハマりすぎて、今後大丈夫かってくらい)。岡田将生もクソ人間の演じっぷりは見事なもの。日本アカデミー賞がこの二人に賞を与えているのは、至極打倒である。

李相日監督は、構成力という映画監督として重要なスキルを持っており、貴重な存在かもしれない。これからいい話はどんどん舞い込むだろう。がんばって。
お薦めする。見る価値はある。



負けるな日本

 

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
リンク
カウンター
カレンダー
11 2024/12 01
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
ブログ内検索
最新コメント
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[04/28 ETCマンツーマン英会話]
[10/07 絶太]
最新トラックバック
Copyright © 2009-2014 クボタカユキ All rights reserved.
忍者ブログ [PR]