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image1363.png公開年:2008年
公開国:日本
時 間:24分
監 督:加藤久仁生
出 演:長澤まさみ 他
受 賞:【208年/第81回アカデミー賞】短編アニメ賞(加藤久仁生)





年々海面が上昇し水没しつつある街。そこにただ一人残り、自宅を積み木のように高く積み上げて暮らしている老人がいる。彼は海面が上昇する度に、上へ上へと家を増築していた。ある日、老人が上の家へ引越しをしている最中に、お気に入りのパイプを落としてしまう。諦めようと思ったが、他のパイプではどうにもしっくりこない。意を決した彼は、潜水服を着て海の中でパイプを探しに潜っていく。海中に没したかつての家には、共に暮らした家族の思い出が刻まれており…というストーリー。

なぜ、海面が上昇しているのか?という部分にはあえて焦点を当てていないのが良い。環境破壊が云々なんて部分が、微塵でも感じられたら、あっという間に興ざめだっただろう。公開当時のことを考えると、次の年に『不都合な真実』のようなインチキエコロジー映画がアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を獲っちゃていた頃だ。

凡人なら間違いなくそういう要素を絡めただろうが、そうしなかった加藤監督は、それだけで慧眼だといえる。間違っても、もう一度観ようなんていう気にはならなかっただろう。

生きるって、多かれ少なかれ何かに立ち向かうことだし、立ち向かうことができているということが生きている証だと思う。往々にして、なんで立ち向かっているのかわからなくなる時があるけど、それでも立ち向かうことを止めたら、それは死を意味する…とまで言ったら極端か?
この老人も、別に家族の思い出に強く意識して執着しているわけでもないし、そこに居座ることで何かを抗議しているわけでもない。でも、惰性とは違って、何かにゆるやかに抗っているのは間違いない。不思議と将来の自分の姿かも…という観方にはならないはなぜだろう(わからん)。

おもしろい作品は、あっという間に時間が過ぎてしまうし、逆につまらん作品は長く感じる。本作は24分と短いけれど、それよりも長く感じる。でも、それはつまらないからではなく、みっちりと濃密だからじゃないかな…と。
変な表現かもしれないけど、かぼちゃの冷製ポタージュを飲んでるような感じの作品。

長澤まさみのナレーション版で観てしまったが、これは、映像とBGMだけで観るべき作品。とはいえ、わざわざ、ナレーション版が存在するということは、伝わりにくい部分があると判断されたんだろう。そういう配慮を差し込まれる隙がないくらい、完璧にサイレントですべてが伝わったなら、最高の作品になっただろう。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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