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image1386.png公開年:2008年
公開国:日本
時 間:101分
監 督:宮崎駿
出 演:山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ、土井洋輝、奈良柚莉愛、柊瑠美、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子、左時枝、平岡映美、大橋のぞみ、竹口安芸子、山本与志恵、片岡富枝、佐々木睦、羽鳥慎一、山本道子、金沢映子、齋藤志郎、石住昭彦、田中明生、脇田茂、つかもと景子、山本郁子 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】音楽賞(久石譲)、アニメーション作品賞
コピー: 生まれてきてよかった。

海辺の崖の上にある一軒家に暮らす宗介。ある朝、海辺で瓶にはまっていた魚を助け、ポニョと名付ける。宗介もポニョもお互いを大好きになる。ところが、ポニョは、人間をやめて海の住人になっている父フジモトによって海に連れ戻されてしまう。どうしても宗介に会いたいポニョは、人間になる決意をして、フジモトが貯めていた“生命の水”を海に撒き散らし、ポニョの妹たちのつくった大津波に乗って宗介の所を目指す…というストーリー。

アニメーションの技術はいかにも宮崎アニメらしく、美しく魅力的な味わい。古代の海洋生物の魅力はハンパない。宮崎アニメとはベストマッチだね。しかし、ストーリーは…。

名前で家族を呼びあう違和感。なんなのかね、気持ち悪い(ちょっと昔に、こういう“仲の良い親子”像を勘違いしたヤツらっていたけどね)。そういう部分も含めて始めはバタバタした展開で、まとまりがないのだが、40分経過したくらいからやっと落ち着いて見られる感じに。
#海水魚を水道水で飼おうとする子供が現れないことを祈る(笑)。

始めから、物分かりのよいまるで大人のような宗介。ポニョは宗介に会うために変化を遂げるが、宗介は最後まで何も変わらない。大きな冒険も、決断も、成長もしない。これが主人公といえるか?変化のない子供、成長のない子供など、気持ち悪くはないだろうか。まるで『ブリキの太鼓』の成長を止めた子供をみたいじゃないか。
#“名付け”をしたという行がは、彼が大人であることを意味するような気もするし。

こんなことなら、老人ホームの偏屈ばあさんの心の変化にスポットを当てて、彼女を主人公にしたほうがよっぽどマシではなかったろうか。宗介は成長ののびしろのない老人が自分を投影した姿に見えなくもない。この気持ち悪さが本作を支配する違和感のすべてだと思う。

震災後にみると、ちょっとグっとくる言葉が端々にあるのは事実だ(予言めいてはいるが偶然)。大いなる自然を仰々しい表現を用いずに感じさせてくれたのは評価したい。
しかし、海の中のファンタジーの世界と、地上の現実の世界が全然かみ合っていないし(コントラストとしても魅力がない)、穿った観方をすると、デボン紀まで戻った世界はある意味再生したわけで、あの津波で一回リセットさらたわけだ(ナウシカ的にいえば)。あの、海中ドームの様子なんか、みんな“死んだ”と捉えられなくもないな(震災後には言いにくいんだけど)。そう考えると、主人公は宗介じゃなくて“自然”なのかもね。

やはり、もう『千と千尋の神隠し』のキレを期待しちゃダメななんだろうね。凡作と切って捨てるようなレベルでは決して無いけど、何度も観ようとは思うような良作とは決していえない作品。
#所ジョージと山ちゃんのキャスティングは反対がいいような気がするんだけどな。



負けるな日本

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