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image0171.png公開年:1984年
公開国:日本
時 間:124分
監 督:伊丹十三
出 演:山崎努、宮本信子、菅井きん、大滝秀治、奥村公延、財津一郎、江戸家猫八、友里千賀子、尾藤イサオ、岸部一徳、津川雅彦、横山道代、小林薫、池内万平、西川ひかる、海老名美どり、津村隆、高瀬春奈、香川良介、藤原釜足、田中春男、吉川満子、加藤善博、関弘子、佐野浅夫、関山耕司、左右田一平、利重剛、井上陽水、笠智衆 他
受 賞:【1984年/第8回日本アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(山崎努)、助演女優賞(菅井きん)、監督賞(伊丹十三)、脚本賞(伊丹十三)
【1984年/第27回ブルーリボン賞】主演男優賞(山崎努『さらば箱舟』に対しても)、監督賞(伊丹十三)

俳優の夫婦である井上佗助、雨宮千鶴子がCM撮影を行っている現場に、千鶴子の父・真吉が無くなったと訃報が入る。千鶴子の両親は佗助の別荘に住んでいたが、千鶴子の母・きく江はその別荘で葬式を出したいという。そして、長女の夫として親族代表となり葬式を出さなくてはならなくなった侘助は、動揺し途方に暮れマネージャー里見の助けを求めるが、何もかも勝手が分からないのは里見も一緒。一行は別荘に向かい、病院に安置されている亡き父と対面。そこには、母・きく江や千鶴子の妹・綾子夫婦、そして真吉の兄・正吉がおり…というストーリー。

ハウ・ツー映画のはしりであり、日本文化・日本人気質の紹介ムービーにもなっているが、伊丹十三本人がそれを目指していたわけではないだろう。純粋に思いついたこと考えていたことを一生懸命に作品化しただけ。でも、自分が住んでる日本に対する愛と、ちょっと左翼的な日本卑下、そんなアンビバレントな感覚の包含が、客観的で醒めた視線を産んでいるんだろう。怪我の功名ってところは大きいと思う。
カメラワークのデキの良さが秀でているのも、その醒めた視線に助力している。コメディは笑わせようとしないこと。それが大事だなと再認識させてくれる良作だ。

本作への批判としてよく聞くのは、カーチェイスでのサンドイッチ渡しとか林でのセックスシーンとかが無駄だっていう点。たしかに本線ストーリーとはあまりにも無関係。初監督作品っていう自信の無さなのか、“葬式”一本だけで勝負する勇気がなかったことが伺えるが、でも、気をひく演出なのは事実。でも、荒削りなおかげで、他の伊丹作品よりも作為とかあざとさを感じないので、いつ観ても新鮮に感じる。
笠智衆演じる住職のタイルのくだりは、後の『マルサの女』の視点に繋がるが、その他にも後の伊丹作品に繋がる萌芽が随所に見られる。この葬儀屋役って江戸家猫八なんだね。意外に(なんて言うと失礼かもしれないが)ウマい演技だと思う。
ラストの、焚き火で色んなものを処分するシーンでの菅井きんの表情。ああ、そんなにこの先長くないんだろうな…なんて感じを醸し出してる。

葬式ってのは、普段はなかなか会えない懐かしい人と会える。でも、絶対会いたくない人と会わないといけない場でもある。通夜で、岸部一徳演じる明が、茂の正吉に対する反発を茶化すシーン。うるさい奴らが帰宅して、千鶴子ときく江と茂だけが残り飲み直すシーン。まあ、結構どこの親族でもこういう軋轢はあるわな。なるほどなぁって思えるシーンは多々あるし、葬式に関わらずに生きることは難しいので、面白く感じるだけでなく、いつか自分も…っていう緊張感も感じる。

不謹慎だが、身近に訃報を聞くと、思い出して観たくなる作品。

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