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image1195.png公開年:1971年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、アドリエンヌ・コリ、ウォーレン・クラーク、マイケル・ベイツ、エイドリアン・コリ、オーブリー・スミス、マイケル・ベイツ、マルコム・マクドウェル、パトリック・マギー 他
受 賞:【1971年/第37回NY批評家協会賞】作品賞、監督賞(スタンリー・キューブリック)
コピー:レープと超暴力とベートーベンだけにすべてのエネルギーを費やす恐るべき若者たち!


社会秩序は乱れ、夜な夜な少年ギャングの群れが横行して治安は悪化の一途を辿っている近未来のロンドン。ベートーベンを愛する15歳のアレックスをリーダーとする少年4人組ドルーグは、その夜も街で暴れ廻っていた。手始めにゴミのように溢れるホームレスの老人を袋叩きに。その後、ライバルの非行少年グループの一団が、1人の女性をレイプしようとしてるところを襲撃し、相手のリーダを病院送りにする。さらに、盗んだスポーツカーを暴走させて郊外へ。作家の邸宅に覆面を付けて押し入り、『雨に唄えば』を歌いながら家中を破壊しながら作家の妻をレイプする。その後、グループの主導権を巡り仲間といざこざを起こすが、その夜仲間と共に金持ちが住む一軒家へ強盗に入る。アレックスは住人の老婦人を撲殺するが、昼間のいさかいが原因で仲間から裏切られ、ついに投獄させられてしまう…というストーリー。

おぞましい暴力描写が、それほど、ぞましいと感じられないくらい、昨今の作品(というか今の時代)が追いついてしまったのかなと。で、その感覚があながち間違いではないな…と。

本作の中で、アレックスは狂った振る舞いを重ねた末、逮捕され、人権無視の人体実験をされはするけれど、実は、彼の根の部分は何一つ変化していない。変化したのは、彼の家族やかつての仲間、そして社会体制。
この作品をみた印象が時代によって変わるのは、まさに作中でアレックスにおこったことと同じことを、観客が長い時代の移り変わりを経て体験しているからなんだな…と。この作品が、時代を超えて、人々の印象に残り続けているのは、そういう理由なんだと思う。キューブリックがそこまで計算していたか否かはわからないけれど、何度かこの作品は観ているが、観客の立場や経験値が変化すると、それに伴って印象がガラっと変わる作品。

若者は、親や学校も含めて社会に抑圧されていると考え、反抗する。しかし、親の立場になればわかるだろうが、それは抑圧でもなんでもない。牙を剥かれたから剥きかえしただけ。つまりガチンコ勝負してるだけ。刑務所長が、悪に痛めつけられた国家が、殴り返しても当然っていう理屈に、至極納得しちゃう。今回はそっち方面に目が向いたな。

正直、初めて観たときは、あまり性的な暴力描写に耐性が無くって、脳がトルチョック制裁に耐えるだけで精一杯って感じだった。アレックスが唄う『雨に唄えば』を聞いて、フラッシュバックする作家のおっさんの顔が、すごいわ。それにしても、近未来設定なことを忘れちゃうよね。実は初見の時は、気付いてなかった。よくわからないけど、人民は労働から解放されて、生活の心配をすることがなくなった世界らしいよ(ホームレースはいるけどね)。

時代を跨いでも色褪せない何かがあるキューブリックの傑作。その“何か”が簡単にわかるようでわからない。かといって、アート作品ぶってるわけもないのがいい。

#ポップな美術センスについては、今、一周廻ってものすごくいい感じに。あの作家の家をみると、すごくリフォームしたくなる。
 

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