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imageX0050.Png公開年:1957年
公開国:日本
時 間:99分
監 督:市川崑
出 演:川口浩、笠智衆、杉村春子、小野道子、川崎敬三、船越英二、潮万太郎、山茶花究、見明凡太郎、伊東光一、浜村純、入江洋佑、袋野元臣、杉森麟、響令子、新宮信子、葉山たか子、半谷光子、佐々木正時、酒井三郎、葛木香一、泉静治、杉田康、花布辰男、高村栄一、春本富士夫、南方伸夫、宮代恵子、久保田紀子、直木明、志保京助、此木透、志賀暁子、吉井莞象、河原侃二、宮島城之 他


茂呂井民雄は名門・平和大学を卒業し大企業・駱駝麦酒株式会社に就職する。大企業といってもその月給は大したものではない。この先勤め上げたとしても、得られる生活レベルは大したものではないことは予想できた。しかし、世の中は就職難で、一流大学卒といっても就職先が簡単に見つかるわけでもない。夢や希望を追及したところで、求めるものが得られるわけでもない。そう、この満員電車のような世の中で、出来る限りはりきるしかべきなのだ…と、割り切っていた。民雄は、大学時代に付き合っていた複数の女性を整理して、入社。新入社員講習を経て、大阪・尼崎の工場へ赴任する。そこで、同僚の更利ら、サラリーマンは、健康を崩さないように、サボっているいるように見えない程度に休まず働かずが第一だと聞かされ、どうにもしっくりこない気持ちになる。そんな中、故郷の父から母が発狂したとの手紙が届き…、というストーリー。

雨の中の卒業式という、シニカルで直球なコメディ描写でスタート。
戦後10年ちょっとで、とても同じ日本とは思えない雰囲気の世の中。舞台が大阪なのが、より異国感を漂わせる。空間的な圧迫感は今も変わらないけど、昔の大阪の街はおもしろい。なんでもアリなノリであふれ、過保護ではない“乱世”な感じに、うらやましさすら憶える。
でも、行政予算の消化の問題は、この時代も一緒みたい。行政に対する文民統制が効いていないアホ国家であることだけは変わらないんだな。情けねえもんだ。
“サラリーマン”という部分に焦点が当たっているけれど、結局は都市への労働力集中に伴う“疎外”の中、生きる価値観をどうやって見つけていくかもがく…という話だ。

川口浩が、こんな飄々とした魅力的な演技をする人だったとは。あの探検隊で無駄に威張ってた隊長のイメージしかないから、ちょっと新鮮だった。

発狂した母親の原因究明のためにサラリーマンが研究者を雇う流れは、コメディとはいえ無理がある。まあ、実は父親のほうが…っていうのは読めはしたけど、けっこう良いデキだと思う。『ファイトクラブ』ばりの仕掛けだ。
しかし民雄は、父親が無料で病院にやっかいになるということを聞いて、なんで、精神化医に詰め寄っているのかがよくわからない。実際、父親はそういう状態なんだし、お礼にタダで収容してくれるっていってるのに。
それに、白髪が戻るのはいくらなんでもねぇ。まあ、その辺りからは、ちょっとカオス気味な展開に。用務員をクビになったあと、風に飛ばされる掘っ立て小屋にしがみつく民雄は、まるで『博士の異常な愛情』の例のシーンみたいだよ。

社会派コメディにしてはオチがちょっと弱いんだけど、ただ、不思議と、若者の社会内でのポジションや価値なんかは、現在に近いね。結婚を臭わされたときのリアクションなんて、いかにも草食系っぽい(嫌いな単語だけど)。
本作を原案にして、今リメイクしたら、おもしろくなるんじゃなかろうか。いいよ、これ。機会があったら是非観て欲しい。

 

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